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ガンマ線バースト「GRB 221009A」

Posted by moonrainbow on 10.2023 高速電波バースト   0 comments   0 trackback
数千年に一度、史上最強のガンマ線バースト

GRB 221009A
GRB 221009Aの発生前(上)と後(下)各6時間の擬似カラーX線画像(提供:日本大学リリース)

昨年10月に検出され、異例の明るさとなったガンマ線バースト「GRB 221009A」は、数千年に一度しか起こらない規模の現象だったことがわかった。X線残光も桁外れの強さだ

2022年10月9日、や座の方向19億光年の距離で、ガンマ線バースト「GRB 221009A」が発生した。NASAのガンマ線バースト観測衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト」などによる検出を受け、世界中の天文台が残光を観測した結果、その明るさが異例なものだと判明した(参照:「観測史上最強規模のガンマ線バーストが発生」)。

このたび日本の「MAXI」研究チームなどが発表した研究成果によれば、GRB 221009Aは、それまでで最も明るいガンマ線バーストの70倍も明るく、この規模の現象が起こる頻度は1000年から1万年に一度と極めて稀だという。

MAXIは国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」の船外実験プラットフォームに取り付けられている全天X線監視装置だ。90分で地球を1周する間に全天をスキャンし、突発的なX線天体などを観測する。ガンマ線バーストのX線残光は急激に減光するため、タイミングが合わないとMAXIでの観測が困難なこともあるが、GRB 221009AはMAXIが最初に検出した時点で発生から41分経過していたにもかかわらず全天で2番目に強いX線源としてとらえられ、その後も7.5時間にわたる計5回のスキャンで検出され続けた


GRB 221009Aが発生したや座の方向は天の川の流れの中にあり(銀河面に近く)、そのためガンマ線バーストは天の川銀河内の塵の層をいくつも透過して地球へ届いている。その結果、スウィフトやヨーロッパ宇宙機関のX線宇宙望遠鏡「XMMニュートン」による観測では、幾重にも重なる「X線リング」が観測された。X線リングが見られたガンマ線バーストは7例目だが、過去の例に比べてリング数が3倍も多い

X線リング
XMMニュートンがとらえたX線リング(擬似カラー)。GRB 221009Aの発生から2日後と5日後に行われた観測を統合している。最も広いリングは満月の大きさに匹敵し、約1300光年の距離にある塵の雲から生じたもの、最も内側のリングは6万1000光年の距離にある塵から発生したもの(提供:ESA/XMM-Newton/M. Rigoselli (INAF))

GRB 221009Aの正体は超新星爆発に伴って放出されたジェットに由来するものと考えられている。MAXIなどによって明らかになったX線残光の性質は、今後ジェットの特徴を調べる上で役立てられるだろう。また、過去最大の明るさだったGRB 221009Aはガンマ線バーストとその残光の特徴がこれまでにないほど数多く詳細に観測されており、今後の研究でガンマ線バーストとその残光に関する多くの知見が得られると期待される

ガンマ線バーストの構成
GRB 221009Aのような継続時間の長いガンマ線バーストの構成。大質量星(左)のコアが崩壊してブラックホールが形成され、光速に近いジェットが放射される。ブラックホール近くのプラズマなどにジェットが衝突してガンマ線バーストが発生し、離れた部分の星間ガスとジェットが衝突したところから残光が放射される。画像クリックで拡大表示(提供:NASA's Goddard Space Flight Center)

2023年4月5日
AstroArtsより

高速電波バースト

Posted by moonrainbow on 11.2022 高速電波バースト   0 comments   0 trackback
高速電波バーストの正体を、出現する銀河の環境から探る

高速電波バーストFRB 20180924B
FRB 20180924B母銀河の一酸化炭素分子輝線の積分強度図
高速電波バーストFRB 20180924Bが起こった母銀河における一酸化炭素分子輝線の分布。明るい部分ほど信号が強いことを表す。緑丸がFRBの位置。左下の楕円はアルマ望遠鏡の空間分解能(提供:東京大学大学院理学系研究科・理学部リリース、以下同)

星の材料である分子ガスの観測から、未だ謎の多い天体現象である「高速電波バースト」が一般的な星形成銀河とは異なる銀河環境で出現することが明らかになり、その起源に関する手がかりが得られた

高速電波バースト(Fast Radio Burst; FRB)は、宇宙のどこかから突発的に、数マイクロ秒~数ミリ秒という短時間の強力な電波パルスが届く現象だ。2007年に初めて見つかって以来これまでに数千例観測されているが、その正体はよくわかっていない。FRBの大半が天の川銀河の外から届く中、2020年には天の川銀河内のマグネター(強力な磁場を持つ中性子星)から似たような電波パルスが検出されたことで注目を集めたが、他のFRBもマグネターに由来するかは不明だ。

東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センターの廿日出文洋さんたちの研究チームは、FRBが出現した銀河(母銀河)の環境を調べることで、その環境で誕生しやすい天体の中からFRB起源天体の候補を見つけるというアプローチの研究を行った。廿日出さんたちは天体の材料となる分子ガスに注目し、その指標となる一酸化炭素分子からの輝線をアルマ望遠鏡で観測した。

これまでにFRBの母銀河で分子ガスの観測が試みられたのは(天の川銀河を除くと)2例しかなく、このうち検出に成功したのは近傍の銀河であるおおぐま座のM81(約1200万光年)だけだった。今回はより遠くにある3つのFRB母銀河を観測し、つる座の方向約3.6億光年の距離にある母銀河で分子ガスを検出することに成功した


分子ガスを検出できなかった母銀河についても、観測限界を踏まえれば質量の上限値を見積もることができる。今回と過去の観測を合わせた6つのFRB母銀河をサンプルとして解析を行ったところ、分子ガスの質量が多いほど銀河で星が生まれるペースも速くなるという一般的な傾向が6つの母銀河では必ずしも当てはまらないことが示された。また、FRB起源天体の候補であるガンマ線バーストや重力崩壊型超新星の母銀河とも傾向が異なるため、FRBを放出したのは別の天体である可能性が示唆された。

分子ガス質量
様々な銀河における分子ガス質量と星形成率の関係。橙色の四角が今回の研究対象となった6つのFRB母銀河で、左向きの矢印は上限値であることを示す。一般的な星形成銀河(水色の十字)では分子ガス質量と星形成率との間に相関があるのに対して、FRB母銀河はそこから外れることもある。また、ロングガンマ線バースト母銀河(緑の菱形)、重力崩壊型超新星母銀河(黄色の三角)とも傾向が異なる

今回の研究で提示された手法を元に、分子ガスを観測したFRB母銀河のサンプルを増やすことで、FRB起源天体の理解が進むと期待される

2022年12月5日
AstroArtより

「高速電波バースト」ののマップ

Posted by moonrainbow on 21.2021 高速電波バースト   0 comments   0 trackback
宇宙で検出された数百もの謎の電波現象「高速電波バースト」ののマップが公開される

高速電波バースト

ほんのミリ秒という一瞬の間に、太陽3日分のエネルギーが放出される謎の電波現象――それが「高速電波バースト(FRB)」だ

 どこで起きるのかまったく予測不能で、その多くはたった一度きりしか発生しない。そのために検出がきわめて難しく、2007年に初めて検出されてからその後の10年で約140回しか観察されてこなかった。

 しかしカナダ、ドミニオン電波望遠鏡に建設されたCHIME望遠鏡によって、状況が大きく変わりつつある。その運用初年度にあたる2018~19年だけでも、535ものFRBの検出に成功しているのだ。

そのこれまでの成果となるFRBのマップが、第238回アメリカ天文学会で発表されたそうだ。

デジタル処理で空の半分をカバーするCHIME望遠鏡
 CHIME望遠鏡の特徴は、4つの巨大なアンテナアレイを使い、地球が自転する間に空の半分の範囲をカバーできることだ。

 光をとらえる通常のアンテナと違い、デジタル信号プロセッサーで電波をとらえる点も大きな特徴だ。その処理能力は秒間7テラビットに相当――世界のインターネットで送受信されるデータ容量の数パーセントに匹敵する膨大な量だ


New CHIME radio telescope will help unravel today’s biggest cosmic mysteries


New CHIME radio telescope will help unravel today’s biggest cosmic mysteries

FRBは珍しい現象ではない
 
検出された535のFRBのうち、ほとんどはたった一度きりしか発生しなかった。しかし18の発生源で検出された61回は繰り返し検出されたものだ。これら反復するタイプは単発のものよりもやや長く続く傾向があるらしく、発生源も異なっている可能性があるとのこと。

 また今回得られたデータから計算すると、FRBは空全体で1日に800回は起きていると推測できるという。つまり検出することは難しいが、決して宇宙において珍しい現象ではないと考えられるのだ


宇宙に分布するガスマップの作成

FRBは未だ原因が特定されない不可思議な現象だが、天文学者はすでにその利用価値を見出している。

 電波が宇宙を伝わるとき、その途中でおそらくはガスやプラズマを通過している。そしてその際に特性や軌道が変化する。そうした変化を分析することで、FRBがどのくらいの距離を移動し、どれだけのガスに遭遇したのか推測できるのだ。

 これを利用すれば、宇宙の理解を深め、そこに分布しているガスのマップを作成することすら可能になるそうだ


2021年06月16日
カラパイアより

高速電波バースト(FRB)の消失

Posted by moonrainbow on 18.2020 高速電波バースト   0 comments   0 trackback
深まる宇宙の謎。深宇宙から地球へ発せられていた「高速電波バースト」の1つが消失、その理由は?

高速電波バースト

宇宙からときおり飛来するミステリアスな電波信号の奇妙な振る舞いは、今も天文学者の首を捻らせている

 地球では「高速電波バースト(FRB)」と呼ばれる正体不明の電波信号がキャッチされることがある。わずか数ミリ秒だけ続く強力な電波で、それが持つエネルギーは膨大だが、発生源は今のところよくわかっていない。

 これまで、いくつかの高速電波バーストが確認されていたが、その1つのバーストが消失したという


高速電波バースト「R2」消失の謎
 
高速電波バースト(以下FRB)の中には宇宙の同じ場所でチラチラと反復して観察されるものもある。

 初めて反復するFRBが観測されたのは2012年のことで、「FRB 121102」や「R1」と呼ばれている。発生源がある銀河は、30億光年離れた矮小銀河だ。次の観測は2018年で、「R2」という。

 ASTRONオランダ電波天文学研究所のレオン・オーストルム氏らは、ウェスターボーク合成電波望遠鏡(WSRT)でR1とR2をそれぞれ130時間と300時間観測。その特徴やR2が位置する銀河の解明を試みた。

 結果、R1からは30回のバーストが検出されたのだが、なぜかR2からは何も検出されなかった。

 これについては、R2の波長はWSRTでは検出できない種類というのが、一番単純な説明であるという。WSRTが検出できるのは青色光だけなので、この説明が正しければ、R2は赤色光を放っているということになる。

 また別の可能性としては、R2がバーストを止めてしまったとも考えられる。

 ただし、ASTRONの別の研究グループのジェイソン・ヘッセルス氏によれば、最初の説明か、R2のFRBが暗すぎて観測できなかった可能性の方が高いだろうとのことだ


高速電波バースト1
CharDsg/iStock

FRBにもさまざまなタイプが存在する可能性
 
いずれにせよ、R1とR2は互いにかなり違っているらしいことは明らかにされた。

 「もし両者が似ているのなら、R2も簡単に見えたでしょうが、そうではありませんでした」とオーストルム氏はコメントし、「明るさ、バーストが反復する頻度、さらにはそれ以外の基本的パラメーターの点でずいぶん異なっていてもおかしくないでしょう」と述べた。

 またヘッセルス氏らによる研究によれば、それらが位置する銀河もかなり異なっているようだ。

 こちらの研究では、「FRB 180916.J0158+65」という反復FRBを銀河までたどることに成功している。FRBを銀河までたどることができたのはようやく5度目で、反復するFRBとしては2つ目の例だ。

 こちらの銀河は、R1が位置する銀河とは完全に別物であったという。形が不規則な矮小銀河ではなく、天の川のような螺旋を描いているのだ。また環境もそれほど極端ではなく、R1の分析結果はそれほど当てはまらないと考えられる


高速電波バースト2
Free-Photos from Pixabay

FRBの理論は修正を迫られている?

「今、きちんとした理論でFRBの多様性を説明できるのか、それともFRBの発生源には複数のタイプがあるのか、真剣に検討しなければならない状況にあります」とヘッセルス氏は話す。

 仮にFRBの発生源に色々なタイプがあるのだとしたら、それぞれがかなり違っているように見える理由もそれなのかもしれない。

 FRB 180916.J0158+65の地球との距離はR1のそれの6分の1なので、より詳しく観察することができる。次世代の大型望遠鏡が運用されるようになれば、FRBの謎も解明されるはずだ。

 「最終的な目標はその正体を突き止めることですが、今の時点ではデータが増えるほど、疑問が深まります」とオーストルム氏は話す。

 この研究は『arXiv』(12月27日投稿)ならびに『Nature』(1月6日付)に掲載された


2020年01月11日
カラパイアより

「FRB 121102」の高速電波バースト

Posted by moonrainbow on 12.2017 高速電波バースト   0 comments   0 trackback
「FRB 121102」から1時間で15回も検出された高速電波バースト

14回のバースト
検出された15回のバーストのうち、14回のバーストを示した動画(提供:University of California - Berkeley)

繰り返し検出されるものとしては唯一の存在である高速電波バースト源「FRG 121102」で、1時間で15回ものバーストが発生しました

高速電波バーストは遠方宇宙で発生する、非常に短時間の電波フラッシュ現象です。オーストラリアのパークス電波望遠鏡によって初めて検出されて以来、世界の複数の電波望遠鏡が観測を続けていますが、その発生源はほとんどわかっていないのです

そのうち、2012年11月2日にぎょしゃ座の方向で検出された「FRB 121102」は、現時点で唯一の何度も繰り返し発生する高速電波バースト源で、これまでに150回以上もバーストが検出されています。発生源は地球から約30億光年彼方の矮小銀河であることが2016年に明らかになっていますが、バーストが繰り返される理由ははっきりしていません。極度に強い磁場を持ち自転する中性子星「マグネター」で起こるアウトバーストではないかといったものから、地球外知的生命体が探査機を推進させるために放つ強力なレーザーバーストなのではないかという憶測にまで及んでいます

FRB 121102の電波バーストの発生メカニズムを明らかにするため、何度も電波望遠鏡が向けられてきました。そして2017年8月下旬に「Breakthrough Listen」プロジェクトが行った観測により、わずか1時間ほどの間に15回もの高速電波バーストが検出されました。「FRB 121102が新たな活発な状態にあることを確認しました。観測で得られた高解像度のデータで、謎めいたバーストの特性がこれまでで最高の精度で測定できるでしょう」(同プロジェクト Vishal Gajjarさん)

なお、2015年に始まったBreakthrough Listenの元々の目的は知的生命体の存在証拠探しであり、世界各地の複数の電波望遠鏡を用いて多数の恒星や銀河を観測しています。「高速電波バーストが地球外テクノロジーによるものであるかないかにかかわらず、Breakthrough Listenは私たちの周りにある宇宙を理解することを目的とした、急速に成長しつつある新たな分野のフロンティアを押し進める役割を担っています」(同プロジェクト Andrew Siemionさん)

2017年9月5日
AstroArtsより
 

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