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天体「マグネター」が超強磁場を持つ

Posted by moonrainbow on 06.2022 マグネター   0 comments   0 trackback
マグネターの超強磁場、X線偏光で初めて観測的に確認

マグネターの想像図
マグネターの想像図(提供:ESO/L. Calçada)

X線偏光観測衛星IXPEによって、強力な磁場を持つ中性子星だとされている天体「マグネター」が実際に超強磁場を持つことが、初めて観測的に確認された

質量の大きな恒星が一生の最期に超新星爆発を起こしたあとに残る中性子星は、太陽と同程度の質量を半径約10kmの中に詰め込んだ超高密度天体であると同時に、太陽の数十億倍もの強力な磁場を持つ天体でもある。その中でも「マグネター(磁石星)」と呼ばれるものは、通常の中性子星のさらに1000倍ほど大きい、宇宙最強クラスの磁場を持つ天体だ。

こうした磁場を直接観測する手段はないため、これまではもっぱら理論的に調べられてきた。そんなマグネターの磁場を観測によって検証できると期待されたのが、2021年12月に打ち上げられたNASAとイタリア宇宙機関のX線偏光観測衛星「IXPE(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)」である。IXPEは天体が発するX線の波が特定の方向に偏っていること(X線偏光)を高い感度で観測できる初めての宇宙望遠鏡だ。

伊・パドバ大学のRoberto Tavernaさんたちの研究チームはIXPEのX線偏光計を用いて、カシオペヤ座の方向約1万3000光年の距離に位置するマグネター「4U 0142+61」を観測した。4U 0142+61の磁場は130億テスラと、地球磁気の26兆倍にもなるとされている。IXPEはこのマグネターが発する様々なエネルギーのX線を観測し、それぞれのエネルギー帯について、平均してどの方向に波が偏っているか(偏光角)、また偏っている波がどれだけの割合で存在するか(偏光度)を測定した。

測定の結果、比較的低エネルギー(2~4キロ電子ボルト)のX線では偏光度が約15%あるものの、5キロ電子ボルト付近では偏光度が0%近く、つまりほとんど偏光していなかった。しかし、さらに高エネルギー(5.5~8キロ電子ボルト)では偏光度が再び約30%にまで上昇している。また、低エネルギー側と高エネルギー側で偏光角が90度回転していることもわかった


マグネターの想像図1
4U 0142+61で観測されたX線の偏光度と偏光角の分布
マグネター4U 0142+61で観測されたX線の偏光度と偏光角の分布。★はそれぞれ別の方法で解析した偏光度と偏光角を示す(提供:東京理科大学リリース、以下同)

このようにX線のエネルギーによって偏光角が大きく変わるのは、観測前には予想されていなかったことだ。だがこの現象はマグネターの磁場によって説明できる。

まず、低エネルギーのX線は中性子星の表面から放たれていて、磁力線に平行な方向に偏光したのだと考えられる。その一部が、中性子星の磁気圏で加速された荷電粒子に当たって散乱されることで、エネルギーを受け取った上に磁力線に垂直な向きへと偏光していれば、観測されたのと同じ結果となる。

もう一つ予想外だったのは、低エネルギー側の偏光度が低いことだ。従来の想定では、マグネターの表面には大気が存在し、超強磁場中の大気が効率良くX線を偏光させるため、偏光度は80~100%になるはずだった。今回の約15%という観測結果は、4U 0142+61が大気を持たず、超強磁場により整列した超高密度の物質からなる固体地殻がむき出しになっていることを示唆している


マグネターの想像図2
マグネターのX線が偏光するメカニズム。大気が存在しない固体表面から、磁力線に平行に約15%だけ偏光した低エネルギーX線が放射される。その一部が荷電粒子に散乱され、磁力線に垂直に偏光した高エネルギーX線となる

今回データ解析がなされたマグネターは4U 0142+61だけだが、IXPEは今後もいくつかのマグネターを観測する予定だ。これにより、中性子星の超強磁場や表面状態についての理解が深まると期待される。また、ブラックホールといった他のタイプの天体についてもIXPEによるX線偏光観測がなされており、今後の分析により、従来の方法では見ることができなかった新しい宇宙の姿が明らかになりそうだ

2022年11月29日
AstroArtsより

マグネター「Swift J1818.0-1607」

Posted by moonrainbow on 15.2021 マグネター   0 comments   0 trackback
観測史上最も若い「マグネター」のX線をNASAの観測衛星が捉えた

マグネターの想像図
マグネターの想像図(Credit: NASA)

太陽と比べて8倍以上重い恒星が超新星爆発を起こした際に形成されると考えられている中性子星のなかには、典型的な中性子星の最大1000倍という強力な磁場をともなう「マグネター」と呼ばれるものがあります。今回、2020年発見された観測史上最も若いとみられるマグネターをX線で観測した画像が公開されています

X線観測衛星「チャンドラ」が観測したマグネター

X線観測衛星「チャンドラ」が観測したマグネター「Swift J1818.0-1607」(中央)(疑似カラー。Credit: X-ray: NASA/CXC/Univ. of West Virginia/H. Blumer; Infrared (Spitzer and Wise): NASA/JPL-CalTech/Spitzer)

画像の中央にある紫色に着色された天体が、アメリカ航空宇宙局(NASA)のX線観測衛星「チャンドラ」によってX線で観測されたマグネター「Swift J1818.0-1607」です。実際に紫色に見えるのではなく、人の目には見えないX線の観測データをもとに擬似的に着色されています。なお、背景の星々は赤外線による観測データを着色したものになるため、こちらも人の目で見た星空とは異なります。

「いて座」の方向およそ2万1000光年先にあるSwift J1818.0-1607は、2020年3月12日にNASAのガンマ線観測衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト」によって最初に検出された後、欧州宇宙機関(ESA)やNASAのX線観測衛星、それに地上の電波望遠鏡によって追加観測が行われました。

およそ3000個が知られている中性子星のうちマグネターは1パーセントほど。Swift J1818.0-1607は31番目に見つかったマグネターで、自転周期は既知のマグネターで最も短い約1.4秒とされています。前述のようにマグネターの磁場は中性子星のなかでもかなり強力で、もしもマグネターが地球から月までの距離の6分の1(約6万4000km)まで近づいた場合、地球上にあるすべての磁気カード(クレジットカードなど)のデータが消去されてしまうほどだといいます


ウェストバージニア大学のHarsha Blumer氏とマニトバ大学のSamar Safi-Harb氏によるチャンドラを用いたSwift J1818.0-1607の観測は、発見から3週間ほどが経った4月3日に実施されました。高解像度で捉えられたX線がかすかに拡散している様子から、マグネターを取り囲む塵がX線を反射しているとみられています。

冒頭でも触れたように、Swift J1818.0-1607は観測史上最も若いマグネターとみられています。両氏によると、観測されているSwift J1818.0-1607は誕生から470年が経ったと推定されており(昨年6月に発表されたパヴィア高等研究所のPaolo Esposito氏らによる推定では240年とされていました)、人類は16世紀頃にこのマグネターを生み出した超新星爆発を目撃できた可能性があります。

これほど最近の超新星であれば、周囲に超新星残骸が残っていてもおかしくありません。両氏が赤外線宇宙望遠鏡「スピッツァー」やアメリカの「カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)」の観測データを分析したところ、Swift J1818.0-1607から離れたところに残骸らしきものが見つかったといいます。

ただ、超新星爆発の際に中性子星が高速で弾き出されることはあるものの、Swift J1818.0-1607と超新星残骸らしき天体の距離は離れすぎているといいます。仮に爆発から約500年ではなく5000~1万年が経っているとしても、観測されている位置関係が成り立つには秒速3600~7300kmという中性子星では観測例のない高速で弾き出されなければならないといい、両者の関連性を調べるために引き続きSwift J1818.0-1607の固有運動(天球上での見かけの動き)の測定と高解像度の電波観測が必要だとしています。

また、マグネターの多くはX線でのみ観測されていますが、その一部はX線だけでなく電波でも観測が可能で、Swift J1818.0-1607も電波で観測できるマグネターのひとつとされています。Blumer氏とSafi-Harb氏は分析の結果、Swift J1818.0-1607は通常のマグネターよりも自転のエネルギーをX線に変換する効率が低く、マグネターとパルサー(自転に同期してパルス状に電磁波が観測される中性子星)の中間的な特性を示していると結論付けています


マグネター
マグネター「Swift J1818.0-1607」(中央)とその周辺(疑似カラー。Credit: X-ray: NASA/CXC/Univ. of West Virginia/H. Blumer; Infrared (Spitzer and Wise): NASA/JPL-CalTech/Spitzer)

Image Credit: X-ray: NASA/CXC/Univ. of West Virginia/H. Blumer; Infrared (Spitzer and Wise): NASA/JPL-CalTech/Spitzer


2021-01-11
Soraeより

マグネター「Swift J1818.0-1607」

Posted by moonrainbow on 24.2020 マグネター   0 comments   0 trackback
観測史上最も若い240歳の「マグネター」が見つかる

マグネターを描いたイメージ図
マグネターを描いたイメージ図。周囲に磁力線が描かれている(Credit: ESA)

恒星が超新星爆発を起こした際に形成されると考えられている中性子星のなかには、典型的な中性子星の最大1000倍という強力な磁場をともなうとされる「マグネター」と呼ばれるものがあります。今回、誕生から240年ほどしか経っていないとみられる若いマグネターが見つかったとする研究成果が発表されています

■既知のマグネターでは最も若いとみられる

いて座の方向およそ1万5000光年先の天の川銀河内にあるマグネター「Swift J1818.0-1607」は、2020年3月12日にNASAのガンマ線観測衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト」によって最初に検出されました。スウィフトによる検出後、欧州宇宙機関(ESA)の「XMM-Newton」やNASAの「NuSTAR」といったX線観測衛星や、イタリアの「サルディーニャ電波望遠鏡」などによるSwift J1818.0-1607の追加観測が行われています

Paolo Esposito氏(パヴィア高等研究所)らの研究グループによると、追加観測の結果、Swift J1818.0-1607が約1.36秒周期で自転していることが明らかになったといいます。また、多くのマグネターがX線のみで観測されるのに対し、Swift J1818.0-1607はX線だけでなく電波でも観測することができる数少ないマグネターのひとつとされています。

注目はその年齢で、分析が正しかった場合、観測されたSwift J1818.0-1607は誕生からおよそ240年(※)しか経っていないことになります。Esposito氏は「アメリカ独立戦争やフランス革命が進行していた頃、人類はこのマグネターを生み出した超新星爆発を目撃できた可能性があります」と語っています。

※…マグネターまでの距離はおよそ1万5000光年離れているので、1万5000年前に240歳だったということになります

発表によると、中性子星はこれまでに3000個以上が知られていますが、マグネターは30個ほどしか見つかっていないといいます。マグネターの活動は年齢が若いときほど活発である可能性がこれまでの研究では示されているといい、今回見つかった若いマグネターは理論モデルを洗練させる上で役立つとされています。

また、研究グループは過去の観測結果を例に、マグネターと認識されていない中性子星でもマグネターのような現象が起こり得ることに言及。マグネターがより一般的なものであり、ガンマ線バーストや高速電波バーストといった一時的な現象に関わっている可能性を指摘しています。研究に参加したAlice Borghese氏は「今回観測されたマグネターがこれまで見つかっていなかったように、マグネターは『目覚める』ときだけ見つかりやすくなるのかもしれません」とコメントしています
。.

2020-06-20
Soraeより
 

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