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5億光年先の銀河の中心で超大質量ブラックホールのペアを発見

Posted by moonrainbow on 22.2023 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
5億光年先の銀河の中心で超大質量ブラックホールのペアを発見 アルマ望遠鏡ほか

銀河「UGC 4211」の中心部
【▲ W.M.ケック天文台の「ケックII望遠鏡」を使って近赤外線の波長で観測された銀河「UGC 4211」の中心部。合体した2つの銀河の中心核が捉えられている(Credit: M. Koss (Eureka Scientific) et al./W. M. Keck Observatory)】

ユーレカ・サイエンティフィック(Eureka Scientific)のMichael Koss上級科学研究員を筆頭とする研究チームは、「かに座」の方向約5億光年先にある銀河「UGC 4211」の中心部で、わずか750光年の距離を隔てて成長を続ける2つの超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール)を発見したとする研究成果を発表しました。複数の波長で観測された超大質量ブラックホールのペアとしては観測史上最も狭い間隔だとされています

UGC 4211は銀河どうしの合体の最終段階にあるとみられています。銀河の合体は遠方の(初期の)宇宙ではひんぱんに起きていたと考えられていますが、遠くにある銀河はそれだけ観測が難しくなります。そのため、天の川銀河から比較的近いところにあるUGC 4211は、銀河合体の最終段階を研究する上で理想的な候補とみなされています。

研究チームがUGC 4211の活動銀河核(AGN:Active Galactic Nuclei)を調べたところ、1つではなく近接した2つの超大質量ブラックホールが存在することが明らかになったといいます。多くの銀河の中心には太陽の数百万倍以上もの質量がある超大質量ブラックホールが存在すると予想されており、銀河中心の狭い領域から強い電磁波を放射する活動銀河核の原動力になっているとも考えられています。UGC 4211の中心にあるブラックホールの質量は、太陽の約2億倍および約1億2600万倍と推定されています


合体の最終段階を迎えた
【▲ 合体の最終段階を迎えた銀河UGC 4211(左)と、その中心に潜む2つの超大質量ブラックホール(右)の想像図(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO); M. Weiss (NRAO/AUI/NSF))】

今回の研究には「ハッブル」や「チャンドラ」といったアメリカ航空宇宙局(NASA)の宇宙望遠鏡をはじめ、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」やW.M.ケック天文台の「ケック望遠鏡」などによる観測データが用いられています。研究に参加したチリ・カトリック大学のEzequiel Treisterさんによると、ブラックホールの正確な位置は「アルマ望遠鏡(ALMA)」の観測データで示されました。

UGC 4211の超大質量ブラックホールのペアは限られた数の銀河を対象とした観測で見つかったことから、超大質量の連星ブラックホール(およびそれを生み出す銀河合体)は宇宙では驚くほどありふれたものかもしれないと研究チームは考えています。

Treisterさんは、これまでに特定されていない近接した超大質量の連星ブラックホールが数多く存在する可能性があるとすれば、超大質量ブラックホールどうしの合体にともなう重力波が近い将来ひんぱんに観測されるようになるかもしれないと期待を述べています。また、Kossさんは合体の最終段階にあるUGC 4211について、ブラックホールの合体と成長の関係や、最終的な重力波の生成に関する知見を与えてくれるとコメントしています


Image Credit: M. Koss (Eureka Scientific) et al./W. M. Keck Observatory, ALMA

2023-01-13
Soraeより

ブラックホールの成長メカニズム

Posted by moonrainbow on 21.2022 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
機械学習が導き出したブラックホールの成長メカニズム

本研究の概念図
本研究の概念図。
機械学習により、ブラックホールと本体の銀河の組み合わせを多数テストし、その中から実際の観測と最もよく一致する組み合わせを選ぶ。(Credit: H. Zhang, M. Wielgus et al., ESA/Hubble & NASA, A. Bellini) オリジナルサイズ(2MB)

銀河の中心にある超巨大ブラックホールの成長と、銀河本体の成長とは、どのように関係しているのでしょうか。機械学習を用いた研究によって、その深いつながりが導き出されました。この研究は、数十年来の仮説を裏づけるものになりました

ほとんどの銀河の中心には、超巨大ブラックホールが存在すると考えられており、その質量は、太陽の数百万倍から数十億倍にも及びます。このような超巨大ブラックホールが、どのようにして速く成長するのか、またそもそも、どのように作られるのか、天文学者は長年この謎に取り組んでいます。

アリゾナ大学や国立天文台の研究者を中心とする国際研究チームは、機械学習を用いて、この謎の解明に挑みました。まず、超巨大ブラックホールが時間とともにどのように成長するかを予測するための機械学習の基盤を構築し、それを用いて多数の成長法則を提案しました。次にそれらの法則を使って、一つの仮想宇宙で何十億個ものブラックホールの成長をコンピュータで再現しました。最後に、仮想宇宙を「観測」して、実際の宇宙で観測されるブラックホールと特徴が一致するかどうかをテストしたのです。何百万もの法則をテストした後、既存の観測結果を最もよく説明できる法則が選び出されました。その結果、超巨大ブラックホールの成長は、宇宙誕生から数十億年の間が最も活発で、以降はたいへんゆっくりと進むことが分かったのです。

一方で銀河は、新たな星を形成する速度が、宇宙誕生から数十億年でピークに達した後、時間とともに減少して、やがて星形成が停止するというふるまいを示してきたことが以前から知られていました。今回の研究では、銀河の中心にある超巨大ブラックホールも、銀河本体と同じ時期に成長し、その後に成長が止まることを示すことができました。これは、数十年来の、銀河におけるブラックホールの成長に関する仮説を裏付けるものです。

しかし、この結果は、さらなる疑問を投げかけています。ブラックホールの大きさは、銀河本体に対してたいへん小さいものです。ブラックホールが銀河と同じ時期に成長するためには、スケールが大きく異なるガスの流れを同期させる必要があります。ブラックホールと銀河とがどのようにしてそのバランスを保っているのか、今後の研究による解明が待たれます。

この研究成果は、Zhang et al. “TRINITY I: Self-Consistently Modeling Halo-Galaxy-Supermassive Black Hole Connection from z = 0-10”として、英国の王立天文学会誌に2022年10月16日付で掲載され、同11月25日付で編集版が出版されました


2022年12月15日
国立天文台より

ブラックホール同士が衝突したとき

Posted by moonrainbow on 07.2022 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
2つのブラックホールが偶然に衝突し、未だかつてない時空の波紋を広げる

ブラックホール同士が衝突

 ブラックホール同士が衝突したとき時空に広がる波紋は、この謎めいた天体について多くのことを教えてくれる

 2019年5月に検出された重力波「GW19052」は、ほかに例のない非常に珍しいものだった。

 これまでに90個ほど観測されたブラックホールの衝突のほとんどは、「連星ブラックホール(二重ブラックホール連星)」によるのものだ。つまり2つの恒星で構成された連星が2つのブラックホールとなり、互いに引きつけ合って衝突したものだ。

 だが「GW19052」は、宇宙をさまようブラックホール同士が偶然に出会い、激しく衝突して1つのブラックホールに合体したときに発生した可能性があるという。

 もし本当なら、このようなブラックホールの”動的な出会い”の初の観測事例になるそうだ


ブラックホールが衝突して合体したときにできる重力波
 
アインシュタインの一般相対性理論によれば、質量をもった物体が存在すると、それだけで時空に歪み(ゆがみ)ができるという。さらにその物体が(軸対称ではない)運動をすると、時空の歪みが光速で伝わってくる。これが「重力波」と呼ばれるものだ。

 2つのブラックホールが衝突して合体した時、時空に波紋が広まる現象がまさに重力波だ。

 これまでの研究では、こうした重力波のほとんどは、長年連れ添った2つのブラックホール(連星ブラックホール)が合体して生じたものであることがわかっている。

 そうしたブラックホールは、おそらく恒星として生まれたときからずっと一緒で、いわば兄弟のような存在だった


ブラックホール同士が衝突1
photo by iStock

連星ブラックホールとは違う奇妙な重力波
 
だが、宇宙を移動する2つのブラックホールの”動的な出会い”によっても重力波は発生する。

 2019年に検出された重力波「GW19052」は当初、2つのブラックホールが円軌道に沿って高速で回転しながら互いに接近し、やがて合体するプロセスで発生したものと考えられていた。

 ところがGW19052には、従来のブラックホールの合体では説明できない奇妙な点があった。それは10分の1秒未満と短く、鋭かったことだ。

 そこでドイツ、イエナ大学の天文学者ロッセラ・ガンバ氏らは、この重力波は、また別の種類の合体によって生じたのではないかと考えた。

 宇宙を移動する2つのブラックホールが動的に出会い、螺旋を描くことなく瞬間的に合体したときに発生したのではないかというのだ


GW190521 The Impossible Black Hole



史上初めて観測された動的な出会い
 
ガンバ氏らは、シミュレーションで衝突するブラックホールの軌道・回転・質量などを調整しつつGW19052の再現を試み、彼女らの仮説を検証することにした。

 その結果、2つのブラックホールは連星ではなかったことが示唆されたという。

 そうではなく、お互いがお互いの重力に捕獲され、荒々しい偏心したループで2回ほど宙返りした後で、衝突して誕生したブラックホールだったらしいことが明らかになった。

 この状況では、どちらのブラックホールも回転しないのだ


 研究チームによると、こうした状況は、重力による相互作用が起こりやすい星団など、密集した宇宙で発生しやすいのだそうだ

Gravitational waves from the first detection of a neutron star - black hole merger (GW200105)



2つのブラックホールが融合してできた単一のブラックホール
 
今回明らかになったことは、GW190521についてすでに知られていたことと整合的だ。

 たとえば、GW190521を発生させたブラックホールの片方は、太陽の約85倍の質量をもつと推定されていた。

 現在のブラックホール理論では、太陽質量の65倍を超えるブラックホールが、単一の星から誕生することはないとされている。そのような大きなブラックホールは、ブラックホール同士の合体によってしか誕生しない。

 今回の研究では、衝突した2つのブラックホールは、それぞれ太陽質量の81倍と52倍だったと推定されている。

 つまり片方についてはこれまでの推定値よりもわずかに下回るが、それでも単一の星から誕生するブラックホールを超えている。

 こうしたブラックホールの動的な出会いはきわめて稀と考えられているが、ありえないわけではない。GW190521は、そうした珍しい現象の初の観測事例である可能性もあるとのことだ。

 そして初めて観測に成功したということは、今後数年のうちにさらに多くの事例が観測されるかもしれないということだ。

 GW190521を検出した重力波観測装置「LIGO」と「Virgo」は、2023年3月から日本の大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」と連携して、新たな重力波の観測を開始する。

 この研究は『Nature Astronomy』(2022年11月17日付)に掲載された


2022年11月30日
カラパイアより

銀河中心核のブラックホールを取り巻く塵のリング

Posted by moonrainbow on 28.2022 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
銀河中心核のブラックホールを取り巻く塵のリングを検出

渦巻銀河NGC 4151
渦巻銀河NGC 4151。銀河の中心には活発に活動する超大質量ブラックホールが存在する(提供:NASA, ESA, and J. DePasquale (STScI))

銀河中心の超大質量ブラックホールを取り巻く塵から放射される赤外線が、世界最高の解像度で観測され、リング状の構造がとらえられた

ほとんどの銀河の中心部には、太陽質量の100万倍から10億倍程度の超大質量ブラックホールが存在するとされる。そうしたブラックホールのなかには周囲からガスが流れ込んでいるものがある。ガスは真っ直ぐ落下するのではなく、円盤を形成して回転しながら落下しており、その過程で円盤は摩擦により明るく輝く。また、エネルギーの一部は円盤から垂直な方向にジェットを放出することで解放されている。ただし、円盤そのものは地球から見るとあまりに小さいため、姿をとらえられない。

銀河によっては円盤の輝きが遮られているように見えることから、円盤の外側には塵(ダスト)がドーナツ状に集まった「トーラス」という構造があるという仮説が40年前から存在する。このトーラスも銀河全体から見れば小さいため観測は困難だが、様々な形でその姿をとらえようとする試みが続けられている。

トーラスの内側の塵は、ブラックホール付近から放たれる紫外線によって加熱されることで、赤外線を放っていると考えられる。すると、中心の穴を地球に向けているような角度のトーラスであれば、塵のリングが赤外線で輝いているのが観測できるはずだ。そこで、京都産業大学の岸本真さんたちの研究チームは、その条件を満たす銀河中心核として、りょうけん座の方向約6200万光年の距離に位置する渦巻銀河「NGC 4151」に注目した。

リングの形をとらえるほどの解像度を得るには、間隔を置いて設置された複数の望遠鏡で同時に観測する干渉計の技術が必要となる。岸本さんたちは米・カリフォルニア州ウィルソン山に設置されている6つの望遠鏡からなる光学干渉計「CHARA」を用いてNGC 4151を観測した。CHARAを構成する個々の望遠鏡の口径は1mだが、望遠鏡間の距離は数百mあり、それだけの長さを口径とする望遠鏡に相当する解像力を持つ。CHARAは赤外線観測では現在世界で最もシャープな観測の「眼」だ。各望遠鏡に補償光学のための装置も取り付けたことで、観測能力がさらに向上した。「集められる光の量が格段に増え、各望遠鏡の口径が比較的小さいにもかかわらず、天の川銀河内の恒星よりもずっと暗い、天の川銀河外のターゲットの観測が可能になりました」(CHARA干渉計 ポスドク研究員 Matt Andersonさん)


CHARA干渉計
CHARA干渉計の全景イラスト(提供:CHARA Array)

観測の結果、NGC 4151の中心から噴出するジェットとは垂直な方向に赤外線で輝く塵のリングが浮かび上がり、トーラスの内側の構造をとらえることに成功した

NGC 4151の中心部数千光年の領域
(左)NGC 4151の中心部数千光年の領域。(中央)推測されている中心部約1光年の構造のイラスト。ブラックホールを中心にジェット(白)が前後に噴出し、その周りを塵のリング(赤)が取り巻いている。(右)中心のブラックホールに対して、CHARA干渉計およびケック干渉計によっていくつかの方向に沿って測られたサイズ。図の上下方向に伸びた構造が検出されている(提供:京都産業大学リリース)

今回とらえられた塵のリングはジェットと垂直な方向に広がっていたが、別の観測では、トーラスのもう少し外側でジェットに沿った方向への流れが見つかっている。アウトフローと呼ばれるこの大きなガスの流れがどのように形成され、ブラックホール系を宿す母銀河とどのように相互作用をしているのかについての理解が、今回の観測で進むと期待されている。CHARAではさらに高感度の装置の開発が進んでおり、研究チームはこれを用いたさらなるデータの取得を目指している

2022年11月25日
AstroArtsより

地球に最も近いブラックホール

Posted by moonrainbow on 13.2022 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
地球に最も近いブラックホールがわずか1600光年先で発見される、既知のブラックホールより約3000光年も近く

地球に最も近いブラックホール

極めて高密度で強力な重力により光さえ飲み込んでしまうブラックホールは、地球が属する天の川銀河だけで約1億個あるとされています。新たに、アメリカ国立科学財団(NSF)の国立光赤外線天文学研究所(NOIRLab)が管理するハワイのジェミニ天文台が、地球に最も近いブラックホールをわずか1600光年離れた場所で発見しました

今回発見されたブラックホールは「ガイアBH1」と名付けられており、太陽の約10倍の質量を持ち、見かけ上の位置はへびつかい座の近辺にあります。ガイアBH1は地球から約1600光年離れているとされており、これまで地球に最も近いとされていたいっかくじゅう座X-1の約4700光年と比較して、実に3分の1ほどの近距離に位置しています

bh_2022110810251324f.jpg
By NASA Hubble Space Telescope

活発に活動するブラックホールは、近くの恒星からの物質を取り込むことで熱が発生し、強力なX線とジェットを放出します。一方、今回発見されたガイアBH1は、周辺に吸収できるエネルギー源が存在しない「休眠状態」のブラックホールです。ガイアBH1のような休眠状態のブラックホールは、X線などを放出せず周囲に溶け込んでいるため、観測が困難とされています

地球に最も近いブラックホール2

ガイアBH1の観測に成功したのは、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天体物理学者であるKareem El-Badry氏を代表とするチームです。El-Badry氏らの研究チームはまず、欧州宇宙機関(ESA)のガイア探査機からのデータを分析し、この連星にブラックホールが存在する可能性があることを特定しました。分析したデータには、「目に見えない巨大な天体」の重力によって引き起こされたと思われる、恒星の不規則な動きが捉えられていたとのこと。

続いて研究チームは、地球が太陽を周回するのとほぼ同じ距離でブラックホールと思われる天体を周回する恒星の軌道を、ジェミニ天文台に搭載された多天体分光器を用いて詳細に観測しました。その結果、この連星の中心にある目に見えない天体が、太陽の約10倍の質量を持つブラックホールだと突き止めました。

ガイアBH1の元になった恒星は少なくとも太陽の20倍の質量を持っていたとされ、寿命はわずか数百万年だったと考えられています。この連星が同時に形成された場合、一方の星が膨張してもう一方の星を飲み込んでしまうと考えられており、既存のモデルで連星が形成されたメカニズムを説明するのは難しいとのこと。今回の発見は、連星系におけるブラックホールの形成および進化について理解のギャップがあることを示すと共に、連星系の中に未知の休眠ブラックホール集団が存在することを示唆しています。

El-Badry氏は「この連星がどのように形成されたのか、またこのような休眠中のブラックホールが宇宙にどれだけ存在するのか、我々に多くの疑問を投げかけています」と述べています


2022年11月07日
Gigazineより
 

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