活動銀河「PKS 1413+135」のブラックホールから飛び出したガス塊

Posted by moonrainbow on 25.2017 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
銀河中心ブラックホールから飛び出す高温ガスの塊

観測のイメージイラス
観測のイメージイラスト。(左上から右下へ)観測対象の銀河「PKS 1413+135」、重力レンズ源が含まれる渦巻銀河、OVROの40m望遠鏡(提供:Anthony Readhead/Caltech/MOJAVE)

遠方銀河の中心の超大質量ブラックホールから噴き出すジェットに沿って高温ガスの塊が高速で飛び出す様子が、重力レンズ効果を利用して高精度でとらえられました

銀河の中心に潜む超大質量ブラックホールは強い重力によって周囲の物質を引きつけ、その物質の一部はガスのジェットとなって光速に近い速度で噴き出します。ジェットは100万年から1000万年ほど活発で、数年ごとに高温の物質の塊を吐き出すが、内部の構造や現象のメカニズムについてはよくわかっていないのです

米・カリフォルニア工科大学のHarish Vedanthamさん、米・オーウェンズバレー電波天文台のAnthony Readheadさんたちの研究チームは、うしかい座の方向に位置する活動銀河「PKS 1413+135」の超大質量ブラックホールから飛び出したガス塊を電波観測しました。活動銀河と私たちとの間に存在する天体によって重力レンズ現象が起こったおかげで、これまでにない高精度での観測が可能となっています

「私たちが見ているのはブラックホールに非常に近い塊で、差し渡し数光年しかないとても小さなものです。重力レンズにより100倍も精度が向上し、100万分の1秒角というこの上ない分解能が得られましたが、これは地球から月面上の塩1粒を見つけられるほどの能力に匹敵します」(Readheadさん)

PKS 1413+135では2010年と2015年に、電波放射が左右対称に明るくなったかと思うと暗くなり、再び明るくなる現象がとらえられました。慎重な分析の結果、この現象の原因はおそらく数年の間隔をおいてブラックホールから連続して放出された2つの高速のガス塊だろうと結論づけられました。これらの塊がジェットに沿って移動し、今回発見され「ミリレンズ(milli-lens)」と名付けられた重力レンズ源の背後を通過する際に明るくなったと考えられます。

この銀河からは今後数年のうちに別のガス塊が放出されることが予測されており、地球上のあちこちに設置された電波望遠鏡が協力して観測を行うVLBIによる観測が予定されています。ガス塊の像はミリレンズによって光が湾曲するため弧状になるはずで、孤の存在がとらえられれば、ミリレンズ越しにガス塊を観測していることが確認できます

高温高速度のガス塊だけでなく、重力レンズ源となっている天体も重要です。というのもこの天体は、これまでに観測されている個々の星から成るマイクロレンズより大きく、よく研究されている銀河ほどのサイズの巨大なレンズよりは小さい、初の中間質量レンズであろうと考えられているからです。中間質量を持つ天体はあまりよく理解されておらず、レンズそのものも興味深いです

ミリレンズ天体の質量は太陽の1万倍ほどで、その正体は星団である可能性が最も高いと考えられている。拡大される天体全体を隠してしまわないおかげで、ガス塊一つ一つが移動する様子を観測できるというメリットもあります

「この重力レンズシステムは、ミリレンズと、活動が活発な銀河の中心ジェット内部のふるまいの両方を研究するための、宇宙に浮かぶ実験室となり得るかもしれません」(Readheadさん)

2017年8月18日
AstroArtsより

渦巻銀河の腕の開き具合でブラックホールの質量の推測が可能

Posted by moonrainbow on 11.2017 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
渦巻銀河の腕と中心ブラックホールの質量に強い関連性

おおぐま座の渦巻銀河M81の赤外線観測画像
おおぐま座の渦巻銀河M81の赤外線観測画像。Sab型に分類され、中心ブラックホールの推定質量は太陽の6800万倍(提供:Spitzer Space Telescope / Benjamin Davis)

渦巻銀河の腕の開き具合を見るだけで、その銀河の中心に潜む超大質量ブラックホールの質量の推測が可能であることを示す研究成果が発表されました

銀河の中心には太陽の数百万倍から数十億倍もの質量をもつ超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。従来、ブラックホールの存在の推定や質量の見積もりは、その周囲を回る星やガスの運動から得られてきました

豪・スインバーン大学のBenjamin DavisさんとAlister Grahamさんたちは、この銀河中心ブラックホールの質量と、渦巻銀河の渦状腕の開き具合(あるいは、巻き具合)との関係を調べる研究を行いました。

天文学者エドウィン・ハッブルが考案した、銀河を形状で分類する「ハッブル分類」では、渦巻銀河はSa型(腕が最もきつく巻き付いたもの)からSd型(腕が大きく開いたもの)に分けられます。そして、腕が開いた渦巻銀河ではバルジという銀河中心の膨らんだ領域が小さく、反対にバルジが大きいと腕が巻き付いているという特徴があります

約10年前、銀河の腕の巻き具合と銀河中心ブラックホールの質量との間に関係があることが見つかったのです。Davisさんたちがその研究を発展させ、44個の銀河サンプルを慎重に分析したところ、これらの間に予想以上に強い相関が見られ、開いた腕を持つSc型やSd型の渦巻銀河では銀河中心ブラックホールの質量が小さいことを示す結果が見いだされました。「従来の質量推測方法に匹敵するほどの相関が見られます。銀河の画像を見るだけで、誰でもすぐに銀河中心ブラックホールの質量を見積もることができるのです」(Davisさん)。

渦巻き模様が見られるのは銀河の円盤部であることを考えれば、今回の結果は今までよくわかっていなかった銀河の円盤部とブラックホールの関係に光を当てるものでもあります。さらに、バルジを持たない円盤銀河の中心ブラックホールの質量の予測も可能となった。「ブラックホールと円盤は共進化するはずだということを示唆しています」(Davisさん)。

「渦巻銀河の中心ブラックホールの質量を明かすのは、今や『abcを言う』くらい簡単になりました。また、腕の巻き具合とブラックホール質量の関係は、いまだにほとんど見つかっていない中間質量ブラックホール(太陽質量の100倍から10万倍)探しにも役立つだろうという点も重要です」(Grahamさん)。

2017年7月27日
AstroArtsより

24光年しか離れていない超大質量ブラックホールのペア

Posted by moonrainbow on 16.2017 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
超大質量ブラックホールのペアの動き(NRAO

楕円銀河「0402_379」に存在する超大質量ブラックホールのペアの想像図
楕円銀河「0402+379」に存在する超大質量ブラックホールのペアの想像図(提供:Josh Valenzuela/University of New Mexico)

約7億5000万光年の距離にある銀河に存在する、超大質量ブラックホールのペアの動きがとらえられました。互いの間隔は24光年しか離れていないのです

VLBA(超長基線電波干渉計)による観測で、ペルセウス座の方向約7億5000万光年彼方の楕円銀河に存在する超大質量ブラックホールのペアの動きがとらえられました。ブラックホールのペアの質量は合計で太陽の150億倍もあり、お互いの距離はわずか24光年しか離れていないのです

「これは、互いの周りを回る2つのブラックホールが分離してとらえられた初めてのケースで、目に見えるブラックホール連星の第1号です」(米・ニューメキシコ大学 Greg Taylorさん)

ほとんどの銀河の中心には、太陽の数百万倍から数十億倍もの質量を持つ超大質量ブラックホールが潜んでいると考えられています。今回のように、1つの銀河の中心に大質量ブラックホールが2つが存在しているということは、過去に銀河同士が合体したことを意味しています。今後2つのブラックホールは接近していき、最終的には合体して重量波を放出するとともに、より大きい1つのブラックホールとなります。「この銀河に存在する2つの超大質量ブラックホールも、数百万年以内に合体すると考えられます」(米・ニューメキシコ大学 Karishma Bansalさん)。

TaylorさんたちはVLBAによる過去の観測データから、この銀河に超大質量ブラックホールのペアが存在することを2006年には突き止めていました。今回さらに2009年と2015年の観測データなどを用いて、2つの超大質量ブラックホールが互いの周りを回っていることが確かめられた。1周するのに約3万年かかると見積もられています

VLBAによる楕円銀河0402_379の中心領域の観測画像
VLBAによる楕円銀河0402+379の中心領域の観測画像。超大質量ブラックホールのペアと確認された2つの核(C1とC2)がとらえられている(提供:Bansal et al., NRAO/AUI/NSF.)

「軌道やブラックホールの質量をもっとよく理解するために、この銀河の観測を続ける必要があります。このペアは、連星系でどのような相互作用が起こっているのかを研究する初めての機会を与えてくれます」(Taylorさん)

2つの超大質量ブラックホールを接近させるような銀河の合体は、宇宙ではよく起こることだと考えられています。つまり、この銀河に存在する超大質量ブラックホール連星系は、宇宙において一般的な存在と考えられます。「ブラックホール連星の動きを観測できたことは、同様の連星系の発見を目指す私たちの励みになります。今後、もっと研究に適したブラッホール連星を発見できるかもしれません」(Bansalさん)。

2017年7月3日
AstroArtsより

モンスターブラックホール

Posted by moonrainbow on 08.2017 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
惑星を食い散らし、地球へ赤外線を放射するモンスターブラックホールが観測される

モンスターブラックホール

米テキサス大学サンアントニオ校の研究者はNASAの遠赤外線天文学成層圏天文台(Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy/SOFIA)を使いモンスターブラックホールを観測しています

 「すべてではないとしても、ほとんどの大型銀河の中心には超大質量ブラックホールがあります」とNASA広報官

 「宇宙にあるそうしたブラックホールの多くは、天の川銀河にあるもののように、比較的平穏で不活発です。しかし超大質量ブラックホールは今現在引き寄せられた大量の物質を消化し、膨大なエネルギーを放射しています」

膨大なエネルギーを排出するブラックホール「活動銀河核」

 こうしたブラックホールは「活動銀河核」と呼ばれます。研究からは、その周囲にある塵が従来考えられていた以上にずっと圧縮されていることが判明しました

 また、これまでどの活動銀河核も基本的に同じ構造をしていると考えられてきましたが、これに関連して、超大質量ブラックホールの周囲を塵がドーナツのように囲んでいる構造、すなわちトーラス構造であることも示唆されています

モンスターブラックホール1

 研究チームはSOFIA望遠鏡微光天体赤外線カメラ(Faint Object infraRed Camera for the SOFIA Telescope/FORCAST)で、1億光年以上先にある活動銀河核の中に存在する11個の超大質量ブラックホール周辺の赤外線放射を観測し、各トーラスの大きさ、不透明度、塵の分布を測定しました

 『マンスリー・ノーティシズ・オブ・ザ・ロイヤル・アストロノミカル・ソサイエティ(Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)』に掲載された論文によれば、トーラスは予測よりも30パーセント小さく、赤外線放射のピークも推定よりも長い波長を有していました

 これは中央のブラックホールをとりまく塵が、これまで考えられていた以上に圧縮されていることを示唆しています。さらに、地上からは大気の水蒸気に吸収されてしまうために観測できない波長において、ほとんどのエネルギーを放射していることも窺える

モンスターブラックホール2
image credit:youtube

 SOFIAはボーイング747-SPを改造して約2.5メートル望遠鏡を搭載した、NASAとドイツ航空宇宙センターの共同開発による空飛ぶ天文台です

 地球に存在する水蒸気99パーセントの上空を飛行して、今回のように遠赤外線波長におけるトーラス型塵構造の特性を把握することを可能にしました

モンスターブラックホール3
SOFIA

 今回観測されたものがすべてトーラスを起源としているのか、それとも何か別の要素が存在するのかどうか判断するには、さらなる観測が必要になります。研究チームの次の目標は、SOFIAを用いてさらに多くの活動銀河核を観測するとともに、より長い波長を観察することだそうです

2017年06月22日
カラパイアより

ブラックホールの境界「事象の地平線」

Posted by moonrainbow on 13.2017 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
ブラックホールの「事象の地平線」の存在をサーベイ観測で検証(RAS News&Press

ブラックホールの事象の地平線を横切る星の想像図
ブラックホールの事象の地平線を横切る星の想像図(提供:Mark A. Garlick/CfA)

ブラックホールの境界「事象の地平線」の存在は広く信じられているものの、その実在性は証明されていません。「存在しない場合」に見られるはずの現象を調べることで、反対に実在性を示すという研究結果が発表されました

物質がブラックホールにある程度より近づくと、ブラックホールの強力な重力のためそこから逃げ出すことはできません。この境界は「事象の地平線」と呼ばれており、理論的に存在が予測されています。多くの銀河の中心に存在すると考えられている、太陽の数百万倍から数十億倍もの質量を持つ超大質量ブラックホールの場合も、星が事象の地平線を越えてしまうと消えてしまうはずです

しかし、銀河の中心にはブラックホールではなく巨大な質量を持つ「何か」があるという説も考えられています。その場合、天体の周りには事象の地平線の代わりに硬い表面が存在するはずであり、そこに星がぶつかれば、吸い込まれて消えるのではなく破壊されてしまうはずです

米・テキサス大学オースティン校のPawan Kumarさんたちの研究チームは、そうした破壊現象が起こっているかどうかを観測的に調べ、そこから逆説的に事象の地平線の実在性を示すことを考えました

Kumarさんたちはまず、銀河中心に事象の地平線が存在せず硬い表面があり(つまりブラックホールではない大質量天体があり)、そこに星がぶつかった場合にどんな現象が観測されるかを調べました。すると、天体が星のガスで包み込まれ、数か月から数年単位で輝くだろうという結論に至りました

次に、こうした衝突がどのくらいの頻度で起こるかを見積もり、その見積もりをもとに、観測されると期待される現象数を計算しました。そしてその結果を、米・ハワイで行われているパンスターズ望遠鏡によるサーベイ観測の結果と比較しました

「硬い表面を持つ大質量天体の理論が正しい場合、サーベイ観測の結果中に10回以上、星のガスに包み込まれたことによる一時的な増光が検出されるはずでした」(米・テキサス州オースティン校 Wenbin Luさん)

しかし研究チームは、たったの一つも一時的増光を見つけることはなかったのです

「今回の研究が示唆したのは、一部の、いやおそらくすべてのブラックホールに事象の地平線が存在しており、そこを越えた物質は観測可能な宇宙から消えてしまうということです。アインシュタインの一般相対性理論の正しさを証明する結果です」(米・ハーバード・スミソニアン天体物理センター Ramesh Narayanさん)。

2017年6月6日
Astro Artsより
 

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