「重力よりも強い」光の力が支配する超大質量ブラックホール

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「重力よりも強い」光の力が支配する超大質量ブラックホール近傍

ガスと塵に覆い隠された銀河中心の超大質量ブラックホールの想像
ガスと塵に覆い隠された銀河中心の超大質量ブラックホールの想像図(提供:NASA)

400個の活動銀河核の分析から、銀河中心の超大質量ブラックホールを取り巻くガスや塵はブラックホールのごく近傍に位置しており、その配置は主に中心部から発生する電磁波の放射圧で決まることが明らかになりました。ブラックホールが急速に物質を吸引し、光の放射圧が重力よりも強くなると、ガスが吹き飛ばされてしまうためブラックホールは太り続けることができなくなるという

銀河のなかには、その中心核から広い波長範囲で太陽の10億~1000兆倍もの莫大な電磁波エネルギーを放射しているものがあります。こうした「活動銀河核」の正体は、太陽の10万~100億倍の質量をもつ超大質量ブラックホールです。ブラックホールに周囲の物質が落ち込むと強い重力によってガスが高温に熱せられ明るく輝き、吸い込まれる直前のガスは電磁波を放射します

ガスを吸い込んだブラックホールは質量が増えて重くなる(成長する)と推定されますが、そのガスがどこにあり、どのような形で分布しているのか、その起源は何なのかといった、ブラックホールの成長メカニズムを知る上で不可欠な基本的な問題は、長年の謎です

チリ・カトリカ大学のClaudio Ricciさん、京都大学の上田佳宏さんたちの研究チームは、多数の活動銀河核のサンプルから統計的な性質を調べました。たとえば、全サンプルにおける隠された活動銀河核の割合がわかれば、ブラックホールを隠しているガスや塵の平均的な立体角を推定することができます

研究チームは、NASAのガンマ線観測衛星「スウィフト」による全天探査で作られたカタログに含まれる400個の活動銀河核について、光度(ブラックホールからの放射エネルギーの強さ)やブラックホールを隠している視線方向にあるガスの量、ブラックホールの質量を求めました。解析には日本のX線天文衛星「すざく」などのデータも利用されています

データ解析の結果、「ブラックホール質量に対する光度の比」が大きくなるほど、ブラックホールを覆い隠しているガスの量が減っていることがわかりました。周囲のガスの分布を決定する要因は、単位時間あたりにブラックホールが吸い込むガスの量であることを、世界で初めて明らかにしたものです

この結果は、ガスの分布が、ブラックホールからの強い重力(吸い込まれる方向に働く)と、そこから放射される光の力(放射圧:外に押し出す方向に働く)とのせめぎあいで成り立っていることを意味します。また、ガスの大部分がブラックホールの重力圏内、すなわち数光年~数十光年という近傍にあることも示唆する結果です

これらの発見は、超大質量ブラックホールがどのように成長をとげてきたかという物理メカニズムを理解する上で鍵となるものです。たとえば、小さな(重力の弱い)ブラックホールが急速に周囲のガスを吸い込んだ結果、その光度がブラックホール質量に対して相対的に大きくなると、光度の絶対値が小さかったとしても周囲のガスは放射圧で吹き飛ばされてしまいます。するとブラックホールに落ち込む予定だったガスが枯渇し、ブラックホールの食べる「餌」もなくなってしまうことになります。超大質量ブラックホールの成長には、このような自己制御(輻射フィードバック)が働いていることが強く示唆されます

開発中のX線天文衛星XARMでは超大質量ブラックホールを覆い隠すガスの運動が高精度で測定できるようになります。ガスに対するブラックホールの重力と放射圧の影響を直接調べることで、物理状態の理解が飛躍的に進むと期待されます

2017年10月4日
AstroArtsより

渦巻銀河「NGC 7674」

Posted by moonrainbow on 02.2017 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
銀河衝突で誕生した超大質量ブラックホールのペア

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた渦巻銀河「NGC 7674」
渦巻銀河「NGC 7674」
ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた渦巻銀河「NGC 7674」(大きい方の銀河)(提供:NASA, ESA, the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration and A. Evans (University of Virginia, Charlottesville/NRAO/Stony Brook University))

複数の電波望遠鏡を用いた観測から、銀河同士が衝突・合体すると超大質量ブラックホールのペアが形成されることが確認されました

米・ロチェスター工科大学(発表当時)のDavid Merrittさんたちの研究チームが世界中にある複数の電波望遠鏡を使って、地球から約4億光年の距離にあるペガスス座の渦巻銀河「NGC 7674」を観測しました。複数の望遠鏡を組み合わせて仮想的な単一巨大望遠鏡として用いることで、人間の目の約1000万倍も視力の良い、超高分解能が達成されたのです

「2つのコンパクトな電波放射源がNGC 7674の中心に検出されました。どちらの電波源にも、ガスが降着している超大質量ブラックホールに関連する特徴が見られることから、これらはブラックホールのペアだと考えられます。ブラックホール同士の間隔は1光年以下で、これまでに直接撮像で検出されたペアのうち最も近いものです。2つのブラックホールの合計質量は太陽の約4000万倍、軌道周期は約10万年です」(Merrittさん)

NGC 7674の中心に位置する2つのコンパクトな電波源
NGC 7674の中心に位置する2つのコンパクトな電波源(提供:TIFR-NCRA and RIT, USA)

このペアは、NGC 7674の前身である銀河同士の衝突・合体で形成されたと考えられています。「ブラックホール同士の連星は重力波を放出しますが、恒星質量ブラックホールの場合と異なり、超大質量ブラックホールの連星からの重力波は周波数が低く、重力波検出装置『LIGO』では検出できません」(Merrittさん)。

NGC 7674からは強い電波が放射されています。今回の観測から、アルファベットのZ字状に電波ジェットを放出する「Z型電波銀河」にコンパクトな連星が存在するという理論的な予測が確認されました。「この形は、銀河同士の合体と超大質量ブラックホール連星の形成という複合的な効果の結果と考えられています」(Merrittさん)

2017年9月25日
AstroArtsより

活動銀河「PKS 1413+135」のブラックホールから飛び出したガス塊

Posted by moonrainbow on 25.2017 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
銀河中心ブラックホールから飛び出す高温ガスの塊

観測のイメージイラス
観測のイメージイラスト。(左上から右下へ)観測対象の銀河「PKS 1413+135」、重力レンズ源が含まれる渦巻銀河、OVROの40m望遠鏡(提供:Anthony Readhead/Caltech/MOJAVE)

遠方銀河の中心の超大質量ブラックホールから噴き出すジェットに沿って高温ガスの塊が高速で飛び出す様子が、重力レンズ効果を利用して高精度でとらえられました

銀河の中心に潜む超大質量ブラックホールは強い重力によって周囲の物質を引きつけ、その物質の一部はガスのジェットとなって光速に近い速度で噴き出します。ジェットは100万年から1000万年ほど活発で、数年ごとに高温の物質の塊を吐き出すが、内部の構造や現象のメカニズムについてはよくわかっていないのです

米・カリフォルニア工科大学のHarish Vedanthamさん、米・オーウェンズバレー電波天文台のAnthony Readheadさんたちの研究チームは、うしかい座の方向に位置する活動銀河「PKS 1413+135」の超大質量ブラックホールから飛び出したガス塊を電波観測しました。活動銀河と私たちとの間に存在する天体によって重力レンズ現象が起こったおかげで、これまでにない高精度での観測が可能となっています

「私たちが見ているのはブラックホールに非常に近い塊で、差し渡し数光年しかないとても小さなものです。重力レンズにより100倍も精度が向上し、100万分の1秒角というこの上ない分解能が得られましたが、これは地球から月面上の塩1粒を見つけられるほどの能力に匹敵します」(Readheadさん)

PKS 1413+135では2010年と2015年に、電波放射が左右対称に明るくなったかと思うと暗くなり、再び明るくなる現象がとらえられました。慎重な分析の結果、この現象の原因はおそらく数年の間隔をおいてブラックホールから連続して放出された2つの高速のガス塊だろうと結論づけられました。これらの塊がジェットに沿って移動し、今回発見され「ミリレンズ(milli-lens)」と名付けられた重力レンズ源の背後を通過する際に明るくなったと考えられます。

この銀河からは今後数年のうちに別のガス塊が放出されることが予測されており、地球上のあちこちに設置された電波望遠鏡が協力して観測を行うVLBIによる観測が予定されています。ガス塊の像はミリレンズによって光が湾曲するため弧状になるはずで、孤の存在がとらえられれば、ミリレンズ越しにガス塊を観測していることが確認できます

高温高速度のガス塊だけでなく、重力レンズ源となっている天体も重要です。というのもこの天体は、これまでに観測されている個々の星から成るマイクロレンズより大きく、よく研究されている銀河ほどのサイズの巨大なレンズよりは小さい、初の中間質量レンズであろうと考えられているからです。中間質量を持つ天体はあまりよく理解されておらず、レンズそのものも興味深いです

ミリレンズ天体の質量は太陽の1万倍ほどで、その正体は星団である可能性が最も高いと考えられている。拡大される天体全体を隠してしまわないおかげで、ガス塊一つ一つが移動する様子を観測できるというメリットもあります

「この重力レンズシステムは、ミリレンズと、活動が活発な銀河の中心ジェット内部のふるまいの両方を研究するための、宇宙に浮かぶ実験室となり得るかもしれません」(Readheadさん)

2017年8月18日
AstroArtsより

渦巻銀河の腕の開き具合でブラックホールの質量の推測が可能

Posted by moonrainbow on 11.2017 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
渦巻銀河の腕と中心ブラックホールの質量に強い関連性

おおぐま座の渦巻銀河M81の赤外線観測画像
おおぐま座の渦巻銀河M81の赤外線観測画像。Sab型に分類され、中心ブラックホールの推定質量は太陽の6800万倍(提供:Spitzer Space Telescope / Benjamin Davis)

渦巻銀河の腕の開き具合を見るだけで、その銀河の中心に潜む超大質量ブラックホールの質量の推測が可能であることを示す研究成果が発表されました

銀河の中心には太陽の数百万倍から数十億倍もの質量をもつ超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。従来、ブラックホールの存在の推定や質量の見積もりは、その周囲を回る星やガスの運動から得られてきました

豪・スインバーン大学のBenjamin DavisさんとAlister Grahamさんたちは、この銀河中心ブラックホールの質量と、渦巻銀河の渦状腕の開き具合(あるいは、巻き具合)との関係を調べる研究を行いました。

天文学者エドウィン・ハッブルが考案した、銀河を形状で分類する「ハッブル分類」では、渦巻銀河はSa型(腕が最もきつく巻き付いたもの)からSd型(腕が大きく開いたもの)に分けられます。そして、腕が開いた渦巻銀河ではバルジという銀河中心の膨らんだ領域が小さく、反対にバルジが大きいと腕が巻き付いているという特徴があります

約10年前、銀河の腕の巻き具合と銀河中心ブラックホールの質量との間に関係があることが見つかったのです。Davisさんたちがその研究を発展させ、44個の銀河サンプルを慎重に分析したところ、これらの間に予想以上に強い相関が見られ、開いた腕を持つSc型やSd型の渦巻銀河では銀河中心ブラックホールの質量が小さいことを示す結果が見いだされました。「従来の質量推測方法に匹敵するほどの相関が見られます。銀河の画像を見るだけで、誰でもすぐに銀河中心ブラックホールの質量を見積もることができるのです」(Davisさん)。

渦巻き模様が見られるのは銀河の円盤部であることを考えれば、今回の結果は今までよくわかっていなかった銀河の円盤部とブラックホールの関係に光を当てるものでもあります。さらに、バルジを持たない円盤銀河の中心ブラックホールの質量の予測も可能となった。「ブラックホールと円盤は共進化するはずだということを示唆しています」(Davisさん)。

「渦巻銀河の中心ブラックホールの質量を明かすのは、今や『abcを言う』くらい簡単になりました。また、腕の巻き具合とブラックホール質量の関係は、いまだにほとんど見つかっていない中間質量ブラックホール(太陽質量の100倍から10万倍)探しにも役立つだろうという点も重要です」(Grahamさん)。

2017年7月27日
AstroArtsより

24光年しか離れていない超大質量ブラックホールのペア

Posted by moonrainbow on 16.2017 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
超大質量ブラックホールのペアの動き(NRAO

楕円銀河「0402_379」に存在する超大質量ブラックホールのペアの想像図
楕円銀河「0402+379」に存在する超大質量ブラックホールのペアの想像図(提供:Josh Valenzuela/University of New Mexico)

約7億5000万光年の距離にある銀河に存在する、超大質量ブラックホールのペアの動きがとらえられました。互いの間隔は24光年しか離れていないのです

VLBA(超長基線電波干渉計)による観測で、ペルセウス座の方向約7億5000万光年彼方の楕円銀河に存在する超大質量ブラックホールのペアの動きがとらえられました。ブラックホールのペアの質量は合計で太陽の150億倍もあり、お互いの距離はわずか24光年しか離れていないのです

「これは、互いの周りを回る2つのブラックホールが分離してとらえられた初めてのケースで、目に見えるブラックホール連星の第1号です」(米・ニューメキシコ大学 Greg Taylorさん)

ほとんどの銀河の中心には、太陽の数百万倍から数十億倍もの質量を持つ超大質量ブラックホールが潜んでいると考えられています。今回のように、1つの銀河の中心に大質量ブラックホールが2つが存在しているということは、過去に銀河同士が合体したことを意味しています。今後2つのブラックホールは接近していき、最終的には合体して重量波を放出するとともに、より大きい1つのブラックホールとなります。「この銀河に存在する2つの超大質量ブラックホールも、数百万年以内に合体すると考えられます」(米・ニューメキシコ大学 Karishma Bansalさん)。

TaylorさんたちはVLBAによる過去の観測データから、この銀河に超大質量ブラックホールのペアが存在することを2006年には突き止めていました。今回さらに2009年と2015年の観測データなどを用いて、2つの超大質量ブラックホールが互いの周りを回っていることが確かめられた。1周するのに約3万年かかると見積もられています

VLBAによる楕円銀河0402_379の中心領域の観測画像
VLBAによる楕円銀河0402+379の中心領域の観測画像。超大質量ブラックホールのペアと確認された2つの核(C1とC2)がとらえられている(提供:Bansal et al., NRAO/AUI/NSF.)

「軌道やブラックホールの質量をもっとよく理解するために、この銀河の観測を続ける必要があります。このペアは、連星系でどのような相互作用が起こっているのかを研究する初めての機会を与えてくれます」(Taylorさん)

2つの超大質量ブラックホールを接近させるような銀河の合体は、宇宙ではよく起こることだと考えられています。つまり、この銀河に存在する超大質量ブラックホール連星系は、宇宙において一般的な存在と考えられます。「ブラックホール連星の動きを観測できたことは、同様の連星系の発見を目指す私たちの励みになります。今後、もっと研究に適したブラッホール連星を発見できるかもしれません」(Bansalさん)。

2017年7月3日
AstroArtsより
 

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