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新しいワープ航法の理論モデル

Posted by moonrainbow on 13.2021 ワープ航法   2 comments   0 trackback
重力で時空を歪ませる新しいワープ航法の理論モデルが発表される。物理法則的には可能

ワープ航法

物理学的に可能な、重力で時空を歪ませる新しいワープ航法

 もし我々人類が広大な宇宙に進出しようするならば、光速を超えて移動するワープ航法の技術は必要不可欠なものだ。

 だからこそ、人類は想像力をたくましくして、SFの中でそれを描き、あるいは理論としてその実現可能性を模索してきた。

 そんな夢の航法が一歩現実に近づいた。物理的に可能な理論モデルがついに発表されたからだ。それは1990年代に考案されたコンセプトをベースにしたもので、物理法則を破らずに(理論上)ワープを実現することができる


アインシュタイン方程式の解を基にした「アルクビエレ・ドライブ
 
そのコンセプトは、1994年にメキシコの理論物理学者ミゲル・アルクビエレがアインシュタイン方程式の解を基に提唱した「アルクビエレ・ドライブ」というものだ。

 その原理は大胆かつダイナミックなもの。宇宙船の後方に小さなビッグバン(時空の膨張)を作り出しながら、前方にはビッグクランチ(収縮)を引き起こすことで、まるで時空を波乗りでもするかのように移動する


 一般相対性理論では、光速より速く移動することはできないとされる。しかし、宇宙の膨張についてはこの限りでなく、光速を超えることが許される

 アルクビエレ・ドライブでは、宇宙船と外側にいる観測者との間に時間的な差異は発生しておらず、そのために宇宙船自体は加速しないままに保たれる。ただ時空が光速を超えて膨張・収縮しているだけだ。そのため一般相対性理論を破ることなく、光よりも速い移動を実現することができる

ワープ航法1
アルクビエレのワープドライブにおける時空の膨張と収縮 credit:AllenMcC. / WIKI commons

負のエネルギーではなく、重力を使う
 
だがこのアイデアには、負のエネルギーを大量に必要とするという問題点があった。

 負のエネルギーは量子スケールの変動の中にのみ存在する。アルクビエレ・ドライブを実現するには、太陽の質量に匹敵するエネルギーを集めなければならない。これは現代の物理学ではまず不可能なことだ。

 そこでスウェーデン、ルンド大学をはじめとするチームは、この問題を回避するために、重力で時空を曲げればいいと提唱している。

 これならば多少速度は低下するかもしれないが、負のエネルギーを使わなくてもアルクビエレ・ドライブを実現できるという


ワープ航法2
新しいワープ航法

質量を圧縮して殻に閉じ込め1年を1時間の時間の流れ
 
しかし重力で時空にはっきり認識できるような作用を引き起こすには、少なくとも惑星クラスの質量が必要になる。

 研究グループが想定しているのは、地球ほどの質量を圧縮して10メートルくらいの殻に閉じ込めることだ。すると殻内部では1年が1時間くらいの時間の流れになるそうだが、そのための技術は今のところ不明だ。

 面白いのは、アルクビエレ・ドライブに適した宇宙船の形状だ。普通宇宙船といえば、飛行機や船のように進行方向に対して細長い形状を思い浮かべるだろう。

 しかしアルクビエレ・ドライブの場合、幅広で背が高い方がエネルギーが少なくて済むのだという。だから宇宙船の形は、お皿を立てたような斬新なものになる


ワープ航法3
アルクビエレ・ドライブを想定した宇宙船

ますます増えるワープ航法の研究

 もちろんあくまで理論上の話であって、すぐに実現できるわけではない。それでも、今回のものも含めてワープ航法についての研究はどんどん増えているそうだ。

 この事実は、それが科学的に健全な原理に基づいていることを示唆するものであるとのことだ。

 この研究は、『Classical and Quantum Gravity』(1月25日付)に掲載された


2021年03月06日
カラパイアより
 

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