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超新星爆発の危険

Posted by moonrainbow on 06.2023 超新星爆発   0 comments   0 trackback
160光年以内の超新星爆発は危険? 従来想定より遠くても大量絶滅発生の可能性

超新星爆発は危険
超新星爆発(右)に由来する大量のX線の影響を受けた地球に似た惑星(左)の想像図

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のIan Bruntonさんを筆頭とする研究チームは、これまで知られていなかった超新星爆発のリスクを発見したとする研究成果を発表しました。研究チームによると、従来の想定と比べて6倍ほど遠くで発生した超新星も、惑星の大気に重大な影響を及ぼす可能性があるようです

質量が太陽8個分以上の大質量星や白色矮星を含む連星系で起きるとされる超新星爆発では、強力なガンマ線などの電磁波や高エネルギー粒子が放出されます。2003年に発表された研究成果によると、もしも地球から約26光年(8パーセク)以内で超新星爆発が起きた場合、オゾン層の破壊をともなう大気への影響によって地球の生命は壊滅的な被害を被ると推測されています。

今回、研究チームはアメリカ航空宇宙局(NASA)の「チャンドラ」「ニール・ゲーレルス・スウィフト」「NuSTAR」、欧州宇宙機関の「XMM-Newton」といった観測衛星のデータをもとに、大マゼラン雲で発生した超新星「SN 1987A」をはじめ1970年~2019年にかけて検出された31件の超新星とその余波を分析しました


超新星爆発は危険1
超新星「SN 1987A」の超新星残骸

研究チームによる分析の結果、超新星までの距離が約160光年(50パーセク)離れていても、惑星は致命的な影響を受ける可能性が示されたといいます。仮に惑星の環境が地球に似ていた場合、オゾン層の大半を失ってしまう可能性があるようです。従来の研究で示された“危険距離”は前述の通り約26光年でしたから、およそ6倍遠い超新星でも生命に被害をもたらしかねないことになります。

研究チームによると、新たに判明したリスクはX線によってもたらされます。超新星を起こした天体の周囲に濃いガスが存在している場合、爆発で生じた衝撃波とガスの相互作用によって大量のX線が放出されます。X線の放出は数十年間続く可能性があり、到達したX線によって惑星の大気化学が大幅に変化する結果、大量絶滅を引き起こすのに十分な影響を被る可能性があるといいます


超新星爆発は危険1
地球に似た惑星の比較的近くで超新星が出現した時の様子(上)と、超新星爆発に由来する大量のX線の影響を受けた後の様子(下)の想像図。大気中で大量の二酸化窒素が生成されたために茶色いヘイズ(もや)が発生し、植物が枯れ果てたことで大陸からは緑が失われている

幸い、今の太陽系周辺にはこのような被害をもたらすおそれのある星は存在していないといいますが、過去の状況はまた違っていたかもしれません。世界各地で採取された鉄の放射性同位体(超新星爆発で放出された後に地球へ降り注いだと考えられている)などの証拠をもとに、今から約200万~800万年前、地球から約65~600光年の距離で超新星が発生したと推定されていますが、この距離は今回の研究で示されたX線の“危険距離”と一部が重なっているからです。

チャンドラX線観測衛星を運用するチャンドラX線センターによると、現在、太陽系は高温・低密度のガスが低温のガスに囲まれている「ローカルバブル」(Local Bubble。局所泡、局所バブルとも)と呼ばれる幅数百光年程度の領域に位置しています。ローカルバブルは領域の中心で発生した一連の星形成活動と超新星爆発によって今から約1400万年前に形成されたと考えられていますが、過去にローカルバブルで超新星を起こした大質量星は太陽系に近かったため、当時の地球は今よりも高い超新星のリスクに晒されていた可能性があるといいます。

これらの証拠は過去の地球で発生した大量絶滅と超新星爆発を直に関連付けるものではありませんが、太陽系誕生以来、超新星のような爆発現象が地球に影響を及ぼしてきたことを示唆しているといいます。

研究に参加したイリノイ大学のBrian Fieldsさんは「星のライフサイクルの理解に留まらず、宇宙生物学、古生物学、地球惑星科学といった分野にも影響を与えることから、超新星由来のX線に関するさらなる研究には価値があります」と、今後の研究の重要性を述べています


Source
Image Credit: Science: NASA/CXC/Univ. of Illinois/I. Brunton et al.; Illustration: NASA/CXC/M. Weiss

2023年5月2日
sorae より

超新星爆発の謎

Posted by moonrainbow on 06.2021 超新星爆発   0 comments   0 trackback
超新星爆発に関する長年の謎ついに解明か ニュートリノ加熱説立証へ

超新星残骸「カシオペヤ座A」
【▲ X線観測衛星「チャンドラ」が撮影した超新星残骸「カシオペヤ座A」※疑似カラー(Credit: NASA/CXC/SAO)】

理化学研究所、京都大学、東京大学などは2021年4月22日、これまで謎とされてきた超新星爆発が発生するメカニズムに関して、ニュートリノ加熱説を裏付ける有力な観測的な証拠が得られたと発表しました。研究チームは、2000年から2018年までの約18年間に及ぶNASAのチャンドラX線観測衛星による超新星残骸「カシオペヤ座A」の観測データを詳しく分析することで、その証拠をつかみました

■ニュートリノ加熱説とは?

超新星爆発のメカニズム
【▲ ニュートリノ加熱説による超新星爆発のメカニズムを解りやすく解説したイラスト(Credit: 理化学研究所)】

恒星の中心部では、核融合反応が起こっていて、膨れ上がろうとする力が働いています。ところが、歳を取ると核融合の燃料が尽き始め、核融合反応の勢いが弱まるために、恒星は、自分自身の重力に負けて潰れ始めます。

ところで、この頃になると恒星の中心部には、核融合反応の燃えカスである鉄が溜まって塊をつくっています。そして、この鉄の塊がいったん恒星が潰れるのを支えます。

ところが、恒星が潰れ続けると、恒星の内部がギュッと圧縮され、高温・高圧になるために、ついに耐え切れなくなってこの鉄の塊も潰れ始めます。いわゆる重力崩壊の始まりです。

そして、この重力崩壊の過程で、大量の中性子が発生し、恒星の中心部に中性子の塊をつくります。この中性子の塊はとても丈夫でなかなか潰れません。そのため、物凄い勢いで潰れてきた恒星全体を勢いよく弾き返します。これが超新星爆発です。太陽の質量の約10倍以上の質量を持つ大質量星はこのような最期を迎えると考えられています。

ただ、これまでのシミュレーションによる研究から、ただ単に弾き返されるだけでは、衝撃波が、途中で冷えて、弱まってしまうために超新星爆発は不発に終わってしまうことが解っています。

そこで、衝撃波を、加熱し、復活させる何らかのメカニズムが必要だと考えられています。その有力な答えの1つが、超新星爆発の際に大量に発生するニュートリノ(素粒子の1種)による加熱です


■チャンドラX線観測衛星の観測データからニュートリノ加熱説の有力な観測的証拠をつかむ!

ニュートリノ加熱説
【▲ (左)ニュートリノ加熱説を解りやすく解説したイラスト。(右)チャンドラX線観測衛星によって撮影された超新星残骸「カシオペヤ座A」のX線画像(Credit: 理化学研究所)】

ニュートリノ加熱説によれば、ニュートリノによる加熱によって発生する対流や上昇流によって、ニュートリノによる加熱が効率化され、超新星爆発に至ると考えられていますが、このような対流や上昇流が発生しているところでは、爆発時に、チタン、クロム、鉄などの特定の元素が効率的につくられます。

そこで、研究チームが、2000年から2018年までの約18年間に及ぶNASAのチャンドラX線観測衛星による超新星残骸「カシオペア座A」の観測データを詳しく分析したところ、カシオペア座Aの東南部で上昇流が存在するところで理論的に予測される元素量とよく一致する量のチタン、クロム、鉄などが存在することが確認されました。

研究チームでは、今回の研究成果によって、超新星爆発におけるニュートリノ加熱の存在が観測的に立証されたとしています。

なお、チャンドラX線観測衛星のようなX線天文衛星の開発は日本でも進んでいます。JAXAが開発を進めているX線分光撮像衛星「XRISM(クリズム)」です。XRISMは、2022年度に打ち上げ予定で、X線による観測を通じて、ブラックホールや銀河団などの宇宙の大規模構造の謎の解明に挑みます


※理化学研究所の発表ではカシオペア座と表記されておりますが、soraeでは既存の表記「カシオペヤ座」とさせていただきました

Image Credit:理化学研究所

2021-04-25
Soraeより
 

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