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中性子星の合体でレアアースが作られていた

Posted by moonrainbow on 06.2022 中性子星    0 comments   0 trackback
中性子星の合体でレアアースが作られていた

中性子星合体とキロノバ
中性子星合体とキロノバの想像図(提供:東北大学)

中性子星の合体により、レアアースのランタンとセリウムが生成されていることが、観測とシミュレーションを比較することで確認された

地球や生物を構成する元素の多くは、太陽のような恒星の中で核融合反応によって合成されたことがわかっている。だが、通常の核融合では鉄よりも重い金属を作ることができない。そのような重い元素がどこで生成されたかについては議論が続いているが、有力な候補として挙げられているのが中性子星の合体だ。

中性子星は質量の大きな恒星が寿命を迎えた後に残る超高密度な天体だが、2つの中性子星が互いの周りを回る連星を形成し、少しずつ近づいて最後は重力波を出しながら衝突合体することがある。このとき中性子星の一部が放出され、鉄より重い元素を合成すると予想されてきた。また、この現象に伴ってキロノバと呼ばれる爆発的な発光現象が観測されると考えられていた。

2017年8月、中性子星の合体に伴う重力波が初めて検出された。「GW170817」と名付けられたこの重力波の発生源は直後の観測で突き止められ、可視光線と赤外線でキロノバも確認されている。この中性子星合体で理論予想どおりに重元素が合成されているかを調べるため、観測されたキロノバのスペクトルが分析されてきた。

個々の元素は決まった波長の光を吸収する性質があるため、スペクトルの中で暗くなっている波長(吸収線)を調べることによって中性子星合体の際に放出された元素が特定できる。ただし、物質が高速で吹き飛んでいるためドップラー効果で波長がずれてしまい、吸収線を同定するのは難しい。そもそも、鉄より重い元素がどのような吸収線を示すかについてはデータが少ないという問題もある。

これまでに可視光線のスペクトルからストロンチウムが検出されているが、赤外線域にも吸収線らしき特徴が未解明のまま残されていた。そこで、東北大学の土本菜々恵さんたちの研究チームは重元素の吸収線を網羅的に調べた上で、国立天文台の天文学専用スーパーコンピューター「アテルイII」でキロノバの環境を模した数値シミュレーションを行い、そのスペクトルを調べた


キロノバのスペクトル
キロノバのスペクトルと本研究で得られたスペクトル
GW170817に伴うキロノバのスペクトル(灰色)と本研究で計算されたスペクトル(青色)。左の数字は中性子星合体後の日数。破線で吸収線の特徴を、同じ色でそれらの特徴を作る元素名を記載。スペクトルは見やすいように縦軸方向にずらしてある。観測スペクトルの1400nm付近、1800~1900nm付近は地球大気の影響を受けている(提供:Domoto et al.)

その結果、ランタンとセリウムという金属元素がキロノバの赤外線スペクトルに吸収線を作ることがわかった。計算されたスペクトルの特徴は、GW170817に伴うキロノバで観測されたスペクトルとも一致していて、両元素が確かに生成されていたことを示唆する。ランタンとセリウムはともに、レアアース(希土類元素)と呼ばれる工業的に重要な金属元素のグループに属する元素だ。中性子星の合体でレアアースの生成が確認されたのは、初めてのことである。

今後は重力波の観測によってさらに多くの中性子星の合体が見つかることが期待され、今回確立した手法と合わせて元素合成に関する理解が大きく進むだろう


2022年11月2日
AstroArtsより

中性子星の合体が宇宙の「金鉱」だった 

Posted by moonrainbow on 06.2021 中性子星    0 comments   0 trackback
中性子星とブラックホールの合体と比較

連星中性子星
【▲ 新しい研究では、連星中性子星が、現在私たちが目にしている金やプラチナなどの重金属の宇宙的な供給源である可能性が高いことを示唆しています。(Credit: National Science Foundation/LIGO/Sonoma State University/A. Simonnet)】

わたしたちの身体や身の回りの物体、地球を構成している物質はすべて元素からできています。そして、その元素の起源は宇宙にあります

鉄までの軽い元素のほとんどは、星の中心部で作られます。恒星内部の高温により、核融合が促進され、徐々に重い元素が作られていきます。しかし、金やプラチナなどの貴金属を含む重金属(重元素)が、宇宙のどこでどのように作られたのか、まだまだ謎に満ちています。

星が核融合を起こす際には、陽子を融合させて重い元素を作るためのエネルギーが必要になります。星は、水素から鉄までの軽い元素を効率よく生産しています。しかし、陽子の数が26個を超えると(鉄を超えると)、エネルギー的に効率が悪くなります。つまり、金やプラチナのような重い元素を作ろうとすると、陽子を結合させる別の方法が必要になります。

これまで科学者たちは、超新星爆発がその答えになるのではないかと考えてきました。巨大な星が超新星爆発で崩壊するとき、その中心部にある鉄は軽い元素と結合して、より重い元素を生成すると考えられています。

しかし、2017年、アメリカとイタリアにある重力波観測所「LIGO」と「Virgo」が初めて検出した、連星中性子星の合体という有望な候補が確認されました。その合体は閃光を放ち、その閃光には重金属のサインが含まれていました。

合体によってできた金の量は、地球の質量の数倍に相当します。超新星爆発に比べて、重元素の生成には連星中性子星の方が効率的であることが示されたのです。

しかし、中性子星の合体は、中性子星とブラックホールの衝突と比べてみるとどうなるでしょうか? 中性子星とブラックホールの衝突は、LIGOやVirgoで検出されている別のタイプの合体で、重金属の「工場」になる可能性があります。ブラックホールが中性子星を完全に飲み込んでしまう前に、ブラックホールが中性子星を崩壊させて重金属を噴出させることができるのではないかと考えられています。

マサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)とニューハンプシャー大学(University of New Hampshire)の研究者が行った新しい研究によると、過去25億年の間に、中性子星とブラックホールの合体よりも、2つの中性子星の衝突である連星中性子星の合体で、より多くの重金属が生成されたと報告しています。

研究チームは、それぞれのタイプの合体が生み出す金やその他の重金属の量を調べることにしました。分析の対象となったのは、LIGOとVirgoがこれまでに検出した2つの連星中性子星の合体と、2つの中性子星とブラックホールの合体です。

研究者たちはまず、それぞれの合体に含まれる各天体の質量と、ブラックホールの回転速度を推定しました。ブラックホールの質量が大きすぎたり、回転速度が遅すぎたりすると、重元素を生成する前に中性子星が飲み込まれてしまうからです。また、中性子星の破壊に対する抵抗力を調べました。抵抗力が強いほど、重元素を生み出す可能性は低くなります。さらに、LIGOやVirgoなどの観測結果から、一方の合体が他方の合体に比べてどのくらいの頻度で起こるかを推定しました。

最後に、研究チームは数値シミュレーションを用いて、天体の質量、回転、破壊の度合い、発生率などの組み合わせを変えた場合に、それぞれの合体が生み出す金やその他の重金属の平均量を計算しました。

連星中性子星の合体では、中性子星とブラックホールの合体に比べて、平均して2~100倍の重金属が生成されることがわかったのです。今回の分析の対象となった4つの合体は、過去25億年以内に起きたものと推定されています。つまり、少なくともこの期間では、中性子星とブラックホールの衝突よりも、連星中性子星の合体によって重元素が多く生成されていたと結論づけることができます。

今後、LIGOとVirgoによる観測が再開されれば、さらに多くの検出が行われ、各合体が重元素を生成する割合の推定値が向上すると期待されています。これにより、遠方にある銀河の年齢を、その銀河に含まれるさまざまな元素の量から推定できるようになるかもしれません。

宇宙の「金鉱」は、新たな天文学的知見の「採掘場」としても期待されているようです。

この研究結果は、2021年10月25日付けで「Astrophysical Journal Letters」誌に掲載されました


Image Credit: National Science Foundation/LIGO/Sonoma State University/A. Simonnet

2021-11-02
Soraeより
 

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