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矮小銀河「きょしちょう座II」の周りに広がるダークマターハロー

Posted by moonrainbow on 12.2021 暗黒物質   0 comments   0 trackback
古い矮小銀河の周りに広がるダークマターハロー

超低輝度矮小銀河「きょしちょう座II」付近
きょしちょう座II
スカイマッパー望遠鏡で撮影された超低輝度矮小銀河「きょしちょう座II」付近。この銀河に属する星々はきわめてまばらで暗いため、この画像では銀河の形はほぼ全くわからない(提供:Anirudh Chiti, MIT)

天の川銀河のそばにある矮小銀河が、大きく広がったダークマターのハローを持つことがわかった。宇宙最初の銀河ができた過程を知る手がかりになるかもしれない

私たちの天の川銀河の周囲には、大マゼラン雲・小マゼラン雲という伴銀河をはじめ数十個の矮小銀河が存在している。このような矮小銀河は宇宙で最初に誕生した銀河の名残だと考えられている。

これらの矮小銀河のうち最も古いものの一つと考えられているのが、2015年に約16万3000光年彼方に発見された「きょしちょう座II」と呼ばれる銀河だ。きょしちょう座IIの総質量は約270万太陽質量だが、そのうち恒星が占めるのは3000太陽質量ほどしかなく、質量のほとんどがダークマターである。こうした、きわめて小さく暗い矮小銀河は「超低輝度矮小銀河」(ultra-faint dwarf galaxy; UFD)と呼ばれている。

きょしちょう座IIでは、非常に金属量(水素とヘリウム以外の元素)の少ない星々が銀河の中心部で見つかっており、これまでに知られている超低輝度矮小銀河の中で化学的に最も古いと考えられている。宇宙では、恒星内部の核融合で作られた重元素が超新星爆発でまき散らされ、まき散らされた物質から次の世代の恒星が生まれるというサイクルによって金属量が増えるため、金属量の少ない星ほど宇宙の初期の時代に生まれたと考えられるからだ。

米・マサチューセッツ工科大学のAnirudh Chitiさんたちの研究チームは、きょしちょう座IIがさらに古い星々を含んでいるかどうかを調べるため、オーストラリア・サイディングスプリング天文台のスカイマッパー望遠鏡できょしちょう座IIの多色観測を行い、この銀河の中心から遠く離れた位置にある金属量の少ない星を探した。その結果、きょしちょう座IIの中心部にある既知の古い星々とは別に、中心から遠く離れた位置にある金属欠乏星を9個発見した。この結果は、超低輝度矮小銀河にも大きく広がったダークマターハローが存在しうることを示す初の証拠だ。

「これほど遠くの星を重力で束縛しているということは、きょしちょう座IIはこれまで考えられていたよりもはるかに重いことになります。宇宙で最初に生まれた他の『第一世代』の銀河も、こうした広がったハローを持つのかもしれません」(Chitiさん)。

またChitiさんたちは、チリ・ラスカンパナス天文台のマゼラン望遠鏡でもきょしちょう座IIの観測を行い、銀河内の相対的な金属量の違いを調べた。すると、この銀河の外縁部にある星は中心部の星に比べて金属量が約1/3しかなく、より古いことがわかった。古い銀河の外縁部と中心部で化学的な違いが見られたのはこれが初めてだ。

この違いを生んだ原因として考えられる説の一つは、初期宇宙でも銀河の衝突合体が起こっていたというものだ。第一世代に近い銀河同士が衝突し、大きくやや新しい方の銀河が、小さくてやや古い方の銀河を飲み込んで、その星々を外側にまき散らしたのかもしれない。こうした銀河の「共食い現象」は宇宙の歴史の中で常に起こっているが、初期宇宙の銀河でも起こっていたかどうかははっきりしていなかった。「きょしちょう座IIは、やがては天の川銀河に容赦なく飲み込まれますが、この銀河自身も共食いの歴史を経験していたのかもしれません」(同大学 Anna Frebelさん)。

研究チームはさらに古く、銀河中心からより離れた星が見つかることを期待して、天の川銀河の周りにある他の超低輝度矮小銀河も同じ手法で観測することにしている。「このような古い星を外側に持つ銀河はもっとたくさんあり、もしかしたら全ての矮小銀河にこのような星があるかもしれません」(Frebelさん)


2021年2月8日
AstroArtsより

ダークマターの密度

Posted by moonrainbow on 11.2021 暗黒物質   0 comments   0 trackback
宇宙一小さな銀河から導かれるダークマター理論への制限

ダークマターの密度分布
ダークマターの密度分布(赤いほど高密度)。ダークマターの相互作用が強いと右のような中心部で密にならない分布になると期待されるが、超低輝度矮小銀河の一つ「Segue1」(しし座)は左のような分布を示している(提供:Kohei HAYASHI)

宇宙最小クラスの超低輝度矮小銀河の観測から、ダークマターの密度が理論予測よりもはるかに大きく、ダークマターは散乱しにくく密になりやすいことが示された

銀河の運動や重力レンズ効果などを通じて、宇宙にはダークマターと呼ばれる物質が大量に存在していることがわかっている。しかし、ダークマターがどのような物質でどのような性質を持つのかといったことはわかっておらず、観測や実験と理論の両面から研究が進められている。

理論研究では多種多様なダークマターのモデルが提唱されているが、有力な候補の一つが「自己相互作用するダークマター」と呼ばれるものだ。この理論によるとダークマター同士が散乱しあうため、銀河中心部に多く存在するダークマターがあまり「密」にならない分布を見せるという性質がある。

この密にならない分布は、星の数が非常に少なく、相対的にダークマターを大量に含む矮小銀河のダークマター分布を上手く説明できるとされている。一方、シミュレーション研究より、こうした銀河では超新星爆発のエネルギーによっても密にならないダークマター分布を作ることができるという結果が得られている。密にならないダークマター分布の原因が、ダークマター自身の性質なのか超新星爆発のエネルギーによるものなのかを区別することは簡単ではない。

東北大学理学研究科の林航平さんたちの研究グループは、矮小銀河の中でも小さく暗い「超低輝度矮小銀河」に注目した。この種の銀河には星がわずか数十万個以下しか含まれておらず、数千億個の星を含む天の川銀河と比べると非常に小さい。こうした宇宙で一番小さい銀河のダークマター分布は超新星爆発のエネルギーの影響を受けていないと考えられるので、本来のダークマター分布を調べるのに適している。

林さんたちは超低輝度矮小銀河の星の運動を詳細に追い、自己相互作用するダークマターに対してダークマターどうしの散乱の強さを調べた。その結果、散乱の強さが非常に低いこと、ダークマターが散乱しにくく銀河中心で「密」になりやすい性質を持つことが示された。散乱の強さは自己相互作用するダークマター理論では説明できないほど小さく、この理論に制限を与える結果となった。

今後も超低輝度矮小銀河の観測や分析を進めることで、様々なダークマター理論に対して制限をかけることが可能になるかもしれない


2021年2月1日
Soraeより

地球はダークマターでできた「髪の毛」に囲まれている?

Posted by moonrainbow on 28.2021 暗黒物質   0 comments   0 trackback
地球はダークマターでできた「髪の毛」に囲まれている?

ダークマターの「髪の毛」(フィラメント)に囲まれた地球の想像図
ダークマターの「髪の毛」(フィラメント)に囲まれた地球の想像図。Credits: NASA/JPL-Caltech

もしかすると地球は、ダークマター(暗黒物質)でできた「髪の毛」に囲まれているのかもしれません

この画像は2015年に発表された研究論文をもとにイラスト化されたものです。地球の周辺に筋状のものが描かれており、ウニのとげのようにも見えます。研究はNASAのジェット推進研究所(JPL)のGary Prézeau氏によるもので、ダークマターが長いフィラメントのようになっていることを提唱しています

■ダークマターとは?

特集「謎に包まれた仮説上の物質『ダークマター』とは?」にあるように、ダークマターは宇宙のすべての物質・エネルギーのうち約27パーセントを占めると言われています。私たちの身の回りにあるような通常の物質はわずか5パーセントほどとされていますので、それに比べると4分の1余りというのは大きな割合と言えます。しかし、ダークマターの検出を目指してこれまで多くの実験が行われてきたにもかかわらず、直接検出されたことはありません。

今回注目するダークマターについては、宇宙に関する多くの観測結果から、科学者たちはその存在を確信しています。ダークマターによる重力を考慮しないと説明がつかない観測結果が数多くあるのです。また科学者たちは、それらの観測から宇宙にどれくらいのダークマターが存在するのかを測定してきました。現在の理論では、ダークマターはあまり動かないという意味で「冷たく」、光を出さず、また光と影響しあわない(相互作用しない)という意味で「暗い」とされています。

たとえば銀河には非常にたくさんの星が存在していますが、銀河はダークマターの密度のゆらぎによって形成されると言われています。重力が糊(のり)のようなはたらきをして、通常の物質とダークマターが一緒に固まって銀河になっていくのです


■髪の毛のようなダークマター

論文が発表された当時までに行われた研究やコンピューター・シミュレーションによると、同じ速度で動いて銀河の周りを回るダークマターがそれぞれ細長い流れのようなものを形作っていると言われています。Prézeau氏によるとこの流れの1つ1つは太陽系よりも大きくなることもあり、「例えばチョコレートとバニラアイスクリームを柔らかい状態のときに渦を巻くように少しだけ混ぜると、それぞれの色を保ったまま両者が混じった模様をみることができます。銀河が作られていくときに重力とダークマターが影響を及ぼしあい、チョコレートとバニラアイスクリームのように1つの流れの中にいるすべての粒子は同じ速度で動いていくのです」(Prézeau氏)

では、この「流れ」が地球のような惑星に近づくとどうなるのでしょうか。Prézeau氏の分析によると、ダークマターの流れが惑星を通過するとその粒子が超高密度のフィラメントを形成し、髪の毛のような形になることがわかりました。通常の物質が地球を通り抜けていくことはできませんが、ダークマターはそうした影響を受けず、素通りすることが可能です。一方で重力の影響は受け、コンピューター・シミュレーションによると細長く密度の高い髪の毛のようになります。

この「髪の毛」には、ダークマターがもっとも密集している「根」と、髪の毛の構造が終わる「先端」があります。ダークマターの流れが地球のコアを通過した場合は、ダークマターは髪の毛の「根」に集中します。ここでの粒子は平均的な密度の約10億倍で、地球から約100万キロメートルのあたりに位置します。地球と月の間の距離が約38万キロメートルですから、その2倍から3倍といったところです。一方、地球の表面をかすめるように通った流れの粒子は髪の毛の「先端」を形成し、地球から「根」までの距離の約2倍のところに位置します


地球付近にあるダークマター
地球付近にあるダークマターの「髪の毛」をクローズアップした想像図。Credits: NASA/JPL-Caltech

「もし私たちがその「根」の場所を特定できれば、そこに探査機を送り込んでダークマターに関する重要なデータを得られるかもしれません」とPrézeau氏は語っています。Prézeau氏のシミュレーションによると、木星のコアを通過した場合は元の流れにあるダークマターの密度よりさらに1兆倍もの高密度になることが予測されており、ダークマターの検出の大きな助けになるかもしれません。

「ダークマターは30年以上もの間、あらゆる直接検出の試みから逃れてきました。ダークマターの『根』はその密度の高さを考えると魅力的な探査場所になるでしょう」とJPLの天文学・物理学・技術部門のチーフ・サイエンティストであるCharles Lawrence氏は述べています


■ダークマターを使った地球の内部探

これらのコンピューター・シミュレーションで得られたもう1つの発見は、ダークマターの「髪の毛」に地球内部の密度が反映されることです。地球には内部のマントルや外層である地殻といった層があり、層によって密度が異なります。それらの層が変わる(遷移する)部分に応じて、その情報がダークマターの「髪の毛」にねじれとして反映されているとされています。ねじれの情報を得ることができれば、理論的にはダークマターを使って地球などの惑星内部がどのような層になっているのかを調べることが可能です。

これらの発見を裏付けてダークマターの謎を解き明かすにはさらなる研究が必要とされていますが、もし本当に髪の毛のようになっていてダークマターを使って地球の中を調べることができるとすると、ダークマターも私たちの生活に無縁とは言い切れないかもしれません


Image Credit: NASA/JPL-Caltech

2021-01-22
Soraeより

「ダークマター」とは?

Posted by moonrainbow on 29.2020 暗黒物質   2 comments   0 trackback
謎に包まれた仮説上の物質「ダークマター」とは?

くじら座にある銀河団「MACSJ0025」
くじら座にある銀河団「MACSJ0025」。青紫色の部分が「暗黒物質(ダークマター)」の存在を示している(Credit: NASA, ESA, CXC, M. Bradac (University of California, Santa Barbara, USA), and S. Allen (Stanford University, USA).)

夜空に輝く星々をはじめ、星雲、銀河といった天体は、私たち自身の目や望遠鏡・人工衛星などを使って観測することができます。しかし、私たちの目に見える存在が宇宙のすべてというわけではありません。宇宙に存在する物質・エネルギーのうち、約27%が「ダークマター(暗黒物質:dark matter)」と呼ばれる仮説上の物質、約68%が「ダークエネルギー(暗黒エネルギー:dark energy)」と呼ばれる仮説上のエネルギーとされています。私たちが知覚している通常の物質は、残りの5%でしかないと言われています

未知の物質ダークマターは宇宙と素粒子の謎を解明する重要なカギとなっていて、世界中の研究者が探索を行っています

■ダークマターが存在している証拠

ダークマターは電磁波(可視光、電波、X線など)を発しないので望遠鏡で観測することはできませんが、質量を持っているので、通常の物質に重力を介して影響を及ぼします。そのため、以下のような重力が引き起こす現象によってその存在が推測されています

1)銀河の回転

回転している物体には、回転の中心から離れる方向に遠心力が働きます。銀河の中心の周りを公転している円盤部の星々も同様で、遠心力は銀河の回転スピードが速いほど強くなります。この遠心力と銀河に存在する物質による重力が釣り合うことで、公転する星々は銀河から飛び出すことなく周り続けることができます。

ところが、銀河の回転速度を実際に測定してみると、銀河を構成する恒星の質量から算出された釣り合いの取れる値と比べてかなり速いのです。この回転速度による遠心力と釣り合うためには、実際に輝いている恒星(通常の物質)以外に大きな質量をもつ「何か」の存在が不可欠です。このことから、光(電磁波)を発しない物質、つまりダークマターが大量に存在すると考えられています


銀河の回転とダークマター
銀河の回転とダークマター(Credit: 創造情報研究所)

2)重力レンズ効果

もう一つの重要な手がかりは「重力レンズ」です。重力レンズとは、遠方の天体(銀河など)と私たちの間にある別の銀河や銀河団の重力によって遠方の天体を発した光の進む向きが曲げられることで、遠方の天体の像がゆがんで見える現象です。重力レンズによる効果は、夜空の複数の方向に同じ銀河の姿が見える事象として観測することができます。

遠方の天体と私たちの間にある銀河・銀河団の質量が大きいほど、遠方の天体を発した光の曲がり方も大きくなります。ダークマターを直接見ることはできませんが、天体の像がゆがんで見える様子を詳しく観測することで、重力レンズ効果をもたらしている銀河や銀河団に存在するダークマターの質量を推定することができるのです


ダークマターによる重力レンズ効果
ダークマターによる重力レンズ効果(Credit: 創造情報研究所)

■謎に包まれるダークマターの正体

銀河の回転速度や重力レンズ効果の観測結果をもとに、ダークマターが存在することはわかります。それでは、ダークマターは何からできているのでしょうか?

ダークマターの正体については幾つかの仮説が立てられていますが、現在有力視されているのは「未発見の素粒子」です。理論上存在が予想されているものの見つかっていない素粒子は幾つかあり、そのうちのどれかがダークマターなのではないかと考えられています。たとえば東京大学宇宙線研究所の「XMASS(エックスマス)」実験では、「弱く相互作用する重さがある粒子」を意味する「WIMPs(Weakly Interacting Massive Particles)」の一種「ニュートラリーノ」や、「アクシオン」といったダークマター候補の素粒子を検出するためのデータ収集が2019年3月まで行われました。

また、過去には惑星や小惑星、白色矮星、褐色矮星、中性子星、それにブラックホールといった、あまり光らない(電磁波を出さない)「暗い天体」がダークマターの候補として検討されてきました。特に銀河を取り巻く希薄な領域「ハロー」に存在する見えにくい天体は「MACHO(Massive Compact Halo Object, Massive Astrophysical Compact Halo Object)」と呼ばれて探索が行われましたが、現在ではダークマターにおいてMACHOが占める割合は少ないと予想されています


■宇宙の大規模構造とダークマター

現在の宇宙は、銀河の集団である「銀河団」が連なったフィラメント状の構造と、銀河が希薄な領域「空洞(ボイド)」が複雑に絡み合った網の目のような構造をしています。

「宇宙の大規模構造」と呼ばれるこの構造は、次のように形成されたのではないかと推測されています。初期の宇宙に存在したわずかな「ゆらぎ」をもとに、ダークマターの密度にもゆらぎが生じます。密度の高い部分はさらに多くのダークマターを引き寄せていき、その重力によって通常の物質であるガスが次第に引き寄せられます。やがて集まったガスから最初の世代の星々や銀河が形成されるようになり、銀河は星形成活動や衝突・合体を経て成長し、現在に至ったというのです。

このように、現在観測されている宇宙の巨大な構造、その成り立ちにはダークマターが密接に関係していると考えられています


2020-12-23
Soraeより

暗黒物質がほぼ存在しない銀河の謎

Posted by moonrainbow on 08.2020 暗黒物質   0 comments   0 trackback
「なぜ、暗黒物質のない銀河が存在するのか」を示す研究結果

銀河NGC1052-DF4の周囲の領域
テネリフェ島・テイデ天文台のIAC-80望遠鏡によって撮影された銀河NGC1052-DF4の周囲の領域

暗黒物質がほぼ存在しない銀河が見つかり注目されていたが、「大質量銀河に接近したことで、この潮汐力によって引きちぎられる『潮汐破壊』の影響によるものだ」との研究論文が発表された.

質量を持つが、電磁波を放射しないため光学的に直接観測できない「暗黒物質(ダークマター)」は、銀河の形成や進化において重要な役割を担っていると考えられている

暗黒物質が集まり、集合体として成長すると、この重力の作用によって水素やヘリウムなどのガスが集まり、やがてガスが冷やされて高密度になると、ここから恒星が生まれ、恒星が集まって銀河が形成される。この理論によれば、暗黒物質から生じる重力がなければ、ガスが集まらず、銀河を形成できないはずだ

■ ハッブル宇宙望遠鏡の観測データを分析

しかし、2018年3月、暗黒物質がほぼ存在しない銀河「NGC 1052-DF2」が、高度547キロの低軌道を周回するハッブル宇宙望遠鏡(HST)によって初めて見つかり、天文学者たちを大いに驚かせた。

2019年10月には、地球から4500万光年の位置で、暗黒物質がない2つ目の銀河「NGC 1052-DF4」も発見されている。

豪ニューサウスウェールズ大学、スペインのラ・ラグーナ大学(ULL)、アメリカ航空宇宙局(NASA)らの共同研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データを用いて「NGC 1052-DF4」が暗黒物質を持たない原因を分析し、「大質量銀河に接近したことで、この潮汐力によって引きちぎられる『潮汐破壊』の影響によるものだ」との研究論文を2020年11月26日、学術雑誌「アストロフィジカルジャーナ」で発表した。これによると、「NGC 1052-DF4」の近くにある巨大銀河「NGC 1035」の重力が「NGC 1052-DF4」を引き裂いており、この過程で暗黒物質が取り除かれているという


■ 暗黒物質がないのは潮汐破壊の影響による......

研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データをもとに、カナリア諸島ラ・パルマ島のロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台に設置されているカナリア大望遠鏡(GTC)やテネリフェ島・テイデ天文台の80センチ望遠鏡(IAC-80)を用いて地上からの観測も補完させながら、「NGC 1052-DF4」の光と球状星団(恒星が球状に密集した集団)の分布を分析した。

その結果、「NGC 1052-DF4」の球状星団の空間分布は、これらの球状星団が母銀河からはぎ取られていることを示していた。これは潮汐破壊が起きたことを裏付けている。

また、光の分析により、「NGC 1052-DF4」から遠ざかる物質で形成される潮汐の尾も確認された。これもまた、潮汐破壊が起きたことを示す証左といえる。

研究チームがさらに分析したところ、「NGC 1052-DF4」の中心部はそのままで、恒星の質量のわずか7%程度しか潮汐の尾には存在しなかった。このことから、恒星よりも密度の低い暗黒物質がまず先に銀河からはぎ取られた後、現在は、外側の恒星も同様にはぎ取られ始めていると考えられる。

「『NGC 1052-DF4』に暗黒物質がないのは潮汐破壊の影響によるものだ」とする今回の研究結果は、銀河の形成や進化にまつわる従来の理論とも整合しており、天文学者間での議論はしばらく落ち着きそうだ


Hubble Views Galaxy Lacking Dark Matter



2020年11月30日
ニューズウィーク日本版より
 

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