ダークマターの速度分布が古い恒星の速度分布とよく一致している

Posted by moonrainbow on 08.2018 暗黒物質   0 comments   0 trackback
ダークマターの動きを教える天の川銀河最古の星々

Erisシミュレーションで再現された天の川銀河
Erisシミュレーションで再現された天の川銀河。(左)すべての恒星の分布、(中央)古い恒星の分布、(右)ダークマターの分布。古い星の分布はダークマターと似て、より球状に近く銀河全体に広がっている(提供:L. Necib/Caltech)

天の川銀河のダークマターの速度分布が古い恒星の速度分布とよく一致していることが大規模数値シミュレーションのデータから明らかになりました。ダークマターの直接検出を目指している観測実験にも役立つ結果です

銀河の全質量の9割以上は「ダークマター(暗黒物質)」と呼ばれる、光(電磁波)では見えない未知の物質であることが知られています。ダークマターは質量を持ち、通常の星やガスなどの運動に影響を与えるため、銀河の中でダークマターがどのように分布しているかは推測できるものの、ダークマター粒子がどのくらいの速度で銀河の中を飛び回っているかは長年にわたって謎のままでした

この謎を解くため、米・プリンストン大学のMariangela Lisantiさんたちの研究チームは、「Eris」と呼ばれるコンピューターシミュレーションのデータに注目しました。この大規模数値シミュレーションはNASAのスーパーコンピューター「プレアデス」などを用いて2011年に行われたもので、初期宇宙のダークマターやガスを6000万個以上の粒子で表現し、130億年にわたる銀河形成と進化を精密に再現したものです。このシミュレーションで、天の川銀河によく似た渦巻銀河を作ることに成功しています

ERIS: World's first realistic simulation of the formation of the Milky Way


Erisの紹介動画(提供:University of Zurich / Azmi Baumann)

Erisの計算で再現された銀河のデータから、銀河に含まれるダークマターとさまざまな恒星グループの性質を比較してみたところ、ダークマターの速度分布が重元素量の最も少ない恒星グループの速度分布とよく一致することが明らかになりました。一般に、重元素は超新星爆発や中性子星の合体で作られて銀河の中で増えていくため、重元素量が少ない星ほど年齢が古いことを示します

「天の川銀河の非常に古い星々は目に見えないダークマターの速度分布を見積もるための『速度計』、つまりダークマターの動きを示すトレーサーとして使えるということです」(Lisantiさん)

今のところ、天の川銀河で実際に観測されている古い恒星の数はまだ多くないため、古い星々の速度分布を統計的に研究することはできません。しかし、ヨーロッパ宇宙機関のアストロメトリー衛星「ガイア」によって現在行われているサーベイ観測の成果が最終的にまとまれば、約10億個の恒星データを新たに使えるようになります。こういった観測成果を使うことで、ダークマターの基本的性質について将来手掛かりが得られるかもしれません

ガイア衛星で観測された天の川銀河の恒星のプロット
ガイア衛星で観測された天の川銀河の恒星のプロット。銀河面の下部にあるのはマゼラン雲(提供:ESA/Gaia)

現在、いくつもの研究グループによってダークマターを直接検出する実験が行われています。当初はこれらの実験でダークマター粒子を十分な頻度で検出でき、ダークマターの質量や速度を求められると期待されていましたが、いまだ検出には成功していません。これらの実験ではダークマター粒子と通常物質との衝突を検出するため、衝突現象を検出できるかどうかはダークマター粒子の速度に強く影響されます。今後、古い星々の観測データが大量に得られれば、ダークマター粒子の速度分布モデルを改良でき、これらの直接検出実験に対しても有用な情報を提供できると研究チームでは期待しています

2018年1月31日
AstroArtsより

暗黒物質(ダークマター)の分布と銀河の運動

Posted by moonrainbow on 07.2017 暗黒物質   0 comments   0 trackback
矮小楕円銀河の星の動きから暗黒物質に迫る

ちょうこくしつ座矮小銀河
ちょうこくしつ座矮小銀河(提供:ESO)

ハッブル宇宙望遠鏡と位置天文衛星「ガイア」の観測データから、天の川銀河の伴銀河の一つ「ちょうこくしつ座矮小銀河」内の星の動きが高精度で計測され、暗黒物質の分布や銀河の運動などが明らかになりました

オランダ・カプタイン天文研究所とライデン天文台のDavide Massariさんたちの研究チームが、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が2002年に行った観測と位置天文衛星「ガイア」が2014年から2015年に行った観測のデータから、「ちょうこくしつ座矮小銀河」に含まれる星の3次元の動きを高精度で測定しました。この銀河は天の川銀河の伴銀河の一つで、約30万光年彼方にあります

「月に置いた針の先よりも小さいものを地球から見分けられるほどの精度を達成し、伴銀河の中を個々の星がどのように動いたのか、初めて決定することができました」(Massariさん)

ちょうこくしつ座矮小銀河は「矮小楕円体銀河」に分類される天体ですが、これは宇宙で最も暗黒物質(ダークマター)が支配的なタイプの天体の一つであり、電磁波で直接観測することが不可能な暗黒物質の特性を調べるうえで理想的なターゲットとなります。とくに、暗黒物質がどのように矮小銀河内に分布しているのかを理解することは、現在受け入れられている宇宙論のモデルの正当性の検証につながります

ちょうこくしつ座矮小銀河の星のわずかな動きを誇張した動画
星のわずかな動きを誇張した動画
ちょうこくしつ座矮小銀河の星のわずかな動きを誇張した動画(提供:ESA/Gaia; ESA/Hubble, NASA; D. Massari et al. (2017))

「暗黒物質の存在を推論する最善の方法の一つは、物質が天体の中でどんな動きをするのかを調べることです。矮小楕円体銀河の場合、星がその物質にあたります」(カプタイン天文研究所 Amina Helmiさん)。調べられた約100個の星の運動から、暗黒物質の密度が中心に向かって高くなっていることが示唆され、確立されている宇宙論のモデルと暗黒物質に関する現在の理解と一致するものとなりました

また、研究の副産物として、ちょうこくしつ座矮小銀河が天の川銀河の周りを公転する軌道も求められ、これまで考えられていたよりもはるかに大きく傾いた細長い軌道を動いていることがわかりました。ちょうこくしつ座矮小銀河は、現在は天の川銀河にほぼ最接近したところに位置しているが、最も離れると72万5000光年もの距離に達することになります

2017年12月1日
AstroArtsより

ダークマターの分布図

Posted by moonrainbow on 20.2017 暗黒物質   0 comments   0 trackback
最も詳細なダークマターの分布図(NASA JPL)

ダークマターの分布図
ダークマターの分布図。(赤)平均よりダークマターの多い領域、(青)ダークマターの少ない領域(スケールバーは10億光年を示す)(提供:Chihway Chang of the Kavli Institute for Cosmological Physics at the University of Chicago and the DES collaboration.)

2600万個の銀河の観測から、宇宙マイクロ波背景放射の観測に匹敵する精密さでダークマターの分布図が作られ、宇宙のほとんどはダークマターとダークエネルギーで構成されているとする説を支持する結果が得られました

米・フェルミ国立加速器研究所のダークエネルギー・サーベイ(DES)研究チームが行った研究で、現在の宇宙におけるダークマターの量と分布がこれまでで最も正確に観測されました。観測衛星「プランク」による宇宙マイクロ波背景放射の観測に匹敵する精密さのデータが得られています

DESは主に、チリのセロ・トロロ汎米天文台ブランコ4m望遠鏡に設置されている570メガピクセルのダークエネルギーカメラで観測を行っています。今回発表されたダークマターの分布図は全天の30分の1の領域をカバーしたもので、重力レンズ効果を利用して2600万個の銀河の形を正確に観測し、数十億年にわたるダークマターのふるまいのパターンを直接マップ化しています。全天の8分の1をカバーしたさらに詳細なマップ作りも進行中です

今回の研究成果は、宇宙の26%をダークマターが占めており、宇宙の加速膨張を引き起こしているダークエネルギーが宇宙の70%を構成しているという、プランクの観測結果に基づいた説を支持するものとなっています。「プランクの観測から予測される結果と7%以内の誤差で一致することがわかった瞬間は感激しました」(英・エジンバラ大学 Joe Zuntzさん)。

「初期宇宙の観測から明らかになっている過去の宇宙と同じくらい詳細に、現在の宇宙の構造を見ることが初めて可能になりました。多くの予測を確認しながら、宇宙がたどってきた進化の道を追うことできます」(フェルミ国立加速器研究所 Scott Dodelsonさん)。

「まだデータの表面を引っかいたような段階にありながら、DESによって重要な発見と観測成果がもたらされました。今後数年のうちにダークエネルギーへの理解が進むことでしょう」(フェルミ国立加速器研究所 Nigel Lockyerさん)

2017年8月10日
AstroArtsより

ダークマターの可視化に成功

Posted by moonrainbow on 19.2017 暗黒物質   2 comments   0 trackback
宇宙を支える「巨大な網目」が浮かび上がった

ダークマター
IMAGE BY S.EPPS&M.HUDSON / UNIVERSITY OF WATERLOO

質量はもつが、ほかの物質とは相互作用せず、光を吸収することも反射することもない。科学者たちが宇宙で起こる現象を説明するために考え出した謎の物質「ダークマター」の可視化に、カナダのウォータールー大学の研究者たちが初めて成功しました

これまで不可視だった暗黒物質が、ついに“見えた”。宇宙の大規模構造の説明に有力な、「冷たい暗黒物質」(コールドダークマター)モデルを裏付けるような画像の可視化に、カナダのウォータールー大学の研究者たちが初めて成功しました

われわれが光学的に観測できる物質だけでは、宇宙は完全たりえない──見ることのできる物質だけでは、回転する銀河の遠心力と重力の釣り合いが取れなく、銀河内の星々を繋ぎ止めておくだけの重力が足りないからです

しかし、銀河が形を保持するに十分な重力を補っているこの“欠損質量”は、星のように輝いたりしないし、光を吸収することも反射することもない。しかも、ほかの物質とはほとんど相互作用しないくせに、なぜだか銀河のある場所にくまなく存在している

電磁波を観測する天体望遠鏡では直接見ることはできないが、背景の天体像のゆがみを引き起こす重力的な作用から、間接的にその存在をおぼろげにする巨大な質量──謎に包まれたこの物質が、暗黒物質(ダークマター)と呼ばれるゆえんです

不可視なものを「見る」技術

われわれに観測可能な星や銀河の分布は、クモの巣のような網目構造をつくっていることが、これまでの研究からわかっています。そしてこの網目のネットワークは、ビッグバン後まもなく密度がわずかに高い場所にダークマターが凝集してフィラメント(膜のような構造)をつくり、クモの巣状に進化したのではないか、というのが現在までで最も有力な説です

今回、直接観測することができない不可視の物質を、「弱い重力レンズ」の影響を調査することで可視化に成功したのは、マイケル・ハドソン博士率いるカナダのウォータールー大学の研究者たちです

重力レンズとは、星や銀河などの光源と地球の観測者までの間に巨大な重力源があると、周辺の時空が曲げられて、対象となる星や銀河が歪んだ像となって見える現象のことをいうのです。そのなかでも「弱い重力レンズ」とは、レンズ源の影響が比較的弱く、多くの天体画像を集計することで、統計的に僅かな歪みがあると判断することができる技術のことです

彼らは、45億光年先にある銀河のペアの画像2万3,000枚を合成し、銀河間に存在するとみられる「弱い重力レンズ」の影響を解析。その結果、宇宙の大規模な構造に大きく関与しているとみられる、熱運動の速度が非常に小さく、ほかの物質とは重力だけしか相互作用しない、「冷たい暗黒物質」(コールドダークマター)を可視化することに成功しました

冒頭の画像では、ダークマターのフィラメントが銀河間を橋のように繋いでいる様子を確認することができる。またこの解析結果は、2つの銀河の距離が4,000万光年未満である場合、銀河間を繋ぐフィラメントの力が最も強く働くことも突き止めました

「研究者たちは、ダークマターのフィラメントがクモの巣のような巨大構造を織りなし、銀河同士を繋いでいることを、何十年も前から予測していました」と、ハドソンはプレスリリースにて述べる。「この画像は、予測の域を超えて、(ダークマターを)われわれが見て計測できる“何か”にしてくれることでしょう」

これまで数々のシミュレーションでは、暗黒物質の分布が「冷たい暗黒物質」モデルの特徴と一致することを示唆していた。今回発表された画像も、同モデルを裏付けるものだ。この研究の詳細は、『Royal Astronomical Society』に掲載されています

2017.05.16
WIREDより

100億年前の銀河へのダークマターの影響

Posted by moonrainbow on 26.2017 暗黒物質   0 comments   0 trackback
100億年前の銀河はダークマターの影響が小さかった

渦巻銀河の回転速度を比較したイラスト
渦巻銀河の回転速度を比較したイラスト。(左)近傍宇宙の銀河、(右)遠方宇宙の銀河。グラフの横軸は銀河中心からの距離、縦軸は回転速度。銀河中心から離れると、近傍銀河では回転速度がほぼ一定だが、遠方銀河は回転速度が小さくなる。クリックで拡大(提供:ヨーロッパ南天天文台)

銀河形成がピークを迎えていた約100億年前の宇宙においては、大質量の星形成銀河では普通の物質が支配的だったことが示唆されました。ダークマターの影響がかなり大きいと考えられている現在の宇宙の銀河とは異なる結果です。

近傍の宇宙に存在する渦巻銀河の回転速度を測定してみると、内側のほうと外縁部であまり違わないことがわかります。これは銀河内にダークマター(暗黒物質)が存在し、星やガスがない部分にも大量の質量があるからだと考えられています。もし銀河の質量が星やガスなど電磁波で観測できるものだけの場合、外縁部の回転速度は小さくなるはずです

独・マックスプランク地球外物理学研究所のReinhard Genzelさんたちの国際研究チームは、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTで100億年前の遠方宇宙に存在する6つの巨大な星形成銀河の回転速度を調べました。この時代は宇宙の歴史の中で銀河形成がピークにあったころです

すると、遠方銀河の外縁部の回転は内側の領域よりもゆっくりであることが明らかになりました。つまり、この時代の渦巻銀河ではダークマターの存在量が少ないことが示唆されたのです

「初期宇宙の大質量銀河のほとんどは普通の物質の影響が支配的で、ダークマターの影響が近傍銀河におけるものよりはるかに弱いのです。また、近傍銀河に比べて初期宇宙の銀河はずっと荒れていたのでしょう」(Genzelさん)

ビッグバンから30億年から40億年後(現在から約100億年前)の時点ですでに、銀河中のガスは平らで回転する円盤に集まっていたのでしょう。一方で、円盤の周囲を取り囲むダークマターはもっと大きく広がっていて、円盤に集まっていくにはさらに数十億年を要したのかもしれないのです。こう考えると、銀河円盤の回転にダークマターの影響が見られるのは近傍の(現在の)宇宙だけということになります。この説明は、初期宇宙の銀河はガスが豊富で現在の銀河よりも小さいという観測事実とも整合性があります

この6つの銀河はより大規模な観測の一部ですが、他の銀河も含めた平均的な回転の様子を調べてみると、やはり遠方銀河では中心から遠ざかると回転速度が小さくなる傾向が見られました。詳細なモデルによれば、最遠方の銀河における力学(星の動きなど)は完全に普通の物質に支配されていてダークマターの影響がないことが示されています

2017年3月17日
Astro Artsより
 

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