ダークマターの可視化に成功

Posted by moonrainbow on 19.2017 暗黒物質   2 comments   0 trackback
宇宙を支える「巨大な網目」が浮かび上がった

ダークマター
IMAGE BY S.EPPS&M.HUDSON / UNIVERSITY OF WATERLOO

質量はもつが、ほかの物質とは相互作用せず、光を吸収することも反射することもない。科学者たちが宇宙で起こる現象を説明するために考え出した謎の物質「ダークマター」の可視化に、カナダのウォータールー大学の研究者たちが初めて成功しました

これまで不可視だった暗黒物質が、ついに“見えた”。宇宙の大規模構造の説明に有力な、「冷たい暗黒物質」(コールドダークマター)モデルを裏付けるような画像の可視化に、カナダのウォータールー大学の研究者たちが初めて成功しました

われわれが光学的に観測できる物質だけでは、宇宙は完全たりえない──見ることのできる物質だけでは、回転する銀河の遠心力と重力の釣り合いが取れなく、銀河内の星々を繋ぎ止めておくだけの重力が足りないからです

しかし、銀河が形を保持するに十分な重力を補っているこの“欠損質量”は、星のように輝いたりしないし、光を吸収することも反射することもない。しかも、ほかの物質とはほとんど相互作用しないくせに、なぜだか銀河のある場所にくまなく存在している

電磁波を観測する天体望遠鏡では直接見ることはできないが、背景の天体像のゆがみを引き起こす重力的な作用から、間接的にその存在をおぼろげにする巨大な質量──謎に包まれたこの物質が、暗黒物質(ダークマター)と呼ばれるゆえんです

不可視なものを「見る」技術

われわれに観測可能な星や銀河の分布は、クモの巣のような網目構造をつくっていることが、これまでの研究からわかっています。そしてこの網目のネットワークは、ビッグバン後まもなく密度がわずかに高い場所にダークマターが凝集してフィラメント(膜のような構造)をつくり、クモの巣状に進化したのではないか、というのが現在までで最も有力な説です

今回、直接観測することができない不可視の物質を、「弱い重力レンズ」の影響を調査することで可視化に成功したのは、マイケル・ハドソン博士率いるカナダのウォータールー大学の研究者たちです

重力レンズとは、星や銀河などの光源と地球の観測者までの間に巨大な重力源があると、周辺の時空が曲げられて、対象となる星や銀河が歪んだ像となって見える現象のことをいうのです。そのなかでも「弱い重力レンズ」とは、レンズ源の影響が比較的弱く、多くの天体画像を集計することで、統計的に僅かな歪みがあると判断することができる技術のことです

彼らは、45億光年先にある銀河のペアの画像2万3,000枚を合成し、銀河間に存在するとみられる「弱い重力レンズ」の影響を解析。その結果、宇宙の大規模な構造に大きく関与しているとみられる、熱運動の速度が非常に小さく、ほかの物質とは重力だけしか相互作用しない、「冷たい暗黒物質」(コールドダークマター)を可視化することに成功しました

冒頭の画像では、ダークマターのフィラメントが銀河間を橋のように繋いでいる様子を確認することができる。またこの解析結果は、2つの銀河の距離が4,000万光年未満である場合、銀河間を繋ぐフィラメントの力が最も強く働くことも突き止めました

「研究者たちは、ダークマターのフィラメントがクモの巣のような巨大構造を織りなし、銀河同士を繋いでいることを、何十年も前から予測していました」と、ハドソンはプレスリリースにて述べる。「この画像は、予測の域を超えて、(ダークマターを)われわれが見て計測できる“何か”にしてくれることでしょう」

これまで数々のシミュレーションでは、暗黒物質の分布が「冷たい暗黒物質」モデルの特徴と一致することを示唆していた。今回発表された画像も、同モデルを裏付けるものだ。この研究の詳細は、『Royal Astronomical Society』に掲載されています

2017.05.16
WIREDより

100億年前の銀河へのダークマターの影響

Posted by moonrainbow on 26.2017 暗黒物質   0 comments   0 trackback
100億年前の銀河はダークマターの影響が小さかった

渦巻銀河の回転速度を比較したイラスト
渦巻銀河の回転速度を比較したイラスト。(左)近傍宇宙の銀河、(右)遠方宇宙の銀河。グラフの横軸は銀河中心からの距離、縦軸は回転速度。銀河中心から離れると、近傍銀河では回転速度がほぼ一定だが、遠方銀河は回転速度が小さくなる。クリックで拡大(提供:ヨーロッパ南天天文台)

銀河形成がピークを迎えていた約100億年前の宇宙においては、大質量の星形成銀河では普通の物質が支配的だったことが示唆されました。ダークマターの影響がかなり大きいと考えられている現在の宇宙の銀河とは異なる結果です。

近傍の宇宙に存在する渦巻銀河の回転速度を測定してみると、内側のほうと外縁部であまり違わないことがわかります。これは銀河内にダークマター(暗黒物質)が存在し、星やガスがない部分にも大量の質量があるからだと考えられています。もし銀河の質量が星やガスなど電磁波で観測できるものだけの場合、外縁部の回転速度は小さくなるはずです

独・マックスプランク地球外物理学研究所のReinhard Genzelさんたちの国際研究チームは、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTで100億年前の遠方宇宙に存在する6つの巨大な星形成銀河の回転速度を調べました。この時代は宇宙の歴史の中で銀河形成がピークにあったころです

すると、遠方銀河の外縁部の回転は内側の領域よりもゆっくりであることが明らかになりました。つまり、この時代の渦巻銀河ではダークマターの存在量が少ないことが示唆されたのです

「初期宇宙の大質量銀河のほとんどは普通の物質の影響が支配的で、ダークマターの影響が近傍銀河におけるものよりはるかに弱いのです。また、近傍銀河に比べて初期宇宙の銀河はずっと荒れていたのでしょう」(Genzelさん)

ビッグバンから30億年から40億年後(現在から約100億年前)の時点ですでに、銀河中のガスは平らで回転する円盤に集まっていたのでしょう。一方で、円盤の周囲を取り囲むダークマターはもっと大きく広がっていて、円盤に集まっていくにはさらに数十億年を要したのかもしれないのです。こう考えると、銀河円盤の回転にダークマターの影響が見られるのは近傍の(現在の)宇宙だけということになります。この説明は、初期宇宙の銀河はガスが豊富で現在の銀河よりも小さいという観測事実とも整合性があります

この6つの銀河はより大規模な観測の一部ですが、他の銀河も含めた平均的な回転の様子を調べてみると、やはり遠方銀河では中心から遠ざかると回転速度が小さくなる傾向が見られました。詳細なモデルによれば、最遠方の銀河における力学(星の動きなど)は完全に普通の物質に支配されていてダークマターの影響がないことが示されています

2017年3月17日
Astro Artsより

「暗黒物質」解明に期待

Posted by moonrainbow on 14.2016 暗黒物質   0 comments   0 trackback
「反ヘリウム」初めて自然界で検出か? 

反物質の「反ヘリウム」

物質と衝突すると双方が消滅してしまう反物質の「反ヘリウム」とみられる物質を検出したと、スイスの欧州合同原子核研究所(CERN)が2016年12月8日に発表しました。結果が本物であれば、世界で初めて自然界で反物質を検出したことになります。今回AMSで検出された可能性がある反ヘリウムは反陽子2個と反中性子1個で構成され、重さはヘリウムとほぼ同じです

研究チームは、国際宇宙ステーション(ISS)に搭載されている「アルファ磁気分光器」(AMS-02)を用いて、2011年から5年間観測。そして合計で900億個超の粒子を分析したところ、数個の反ヘリウムと思われる粒子が発見されたのです

なお、AMSは、ISSに搭載されている機器の中でも最大の科学観測装置です。ネオジム磁石が搭載されており、その強力な磁場で宇宙線を集めることができます。また2012年の時点で、電子の反粒子である陽電子の観測に成功していました

物質は「電子」「陽子」「中性子」から構成されていて、反物質はこれらとは反対の性質を持つ「陽電子」「反陽子」「反中性子」から構成されています。ビックバンが起きた直後は物質と反物質が存在し、互いに打ち消し合っていましたが、何らかの理由で物質の数が勝り、反物質は消えてしまいました。消滅せずに残った物質が現在の宇宙を構成していると言われています。映画・小説の『天使と悪魔』にも登場したことから、こちらで反物質を知った方も多いのではないでしょうか

なぜ宇宙から消えてしまったはずの反物質の観測が行われているのでしょうか。それは、宇宙の3割ほどを占める未知の物質である「暗黒物質」が互いに衝突したときに、反陽子などが発生するとされているからです。反ヘリウムは反陽子から構成されているため、検出されたものが反ヘリウムだった場合、暗黒物質が存在する証拠の一つになる可能性があります

1995年にはCERNで反水素、2011年には米国のブルックヘブン国立研究所(BNL)で反ヘリウム原子核を作りだすことに成功しています。このように反物質は人工的には作製されてきましたが、自然界では検出されていませんでした。今後もさらにデータを集め、分析が行われていきます

Image:NASA

2016/12/11
Soraeより

ダークマターが原始のブラックホールによって成り立っている?

Posted by moonrainbow on 22.2016 暗黒物質   0 comments   0 trackback
謎の物質「ダークマター」はブラックホールが構成?

謎の物質「ダークマター」

宇宙空間に存在するはずの、しかし観測はされていない「ダークマター」。宇宙の成り立ちを説明するために考えだされた仮説上の物質ですが、その成り立ちが解明されつつあるのかもしれません。現在、とある天文学者はダークマターが原始のブラックホールによって成り立っていると考えているのです
 
NASAゴダード宇宙飛行センターの天文学者のAlexander Kashlinsky氏は、宇宙の生成時に誕生した原始のブラックホールがLIGOによって観測された「重力波」を完全に説明できるとしています。同氏によるとダークマターは原始のブラックホールで構成されているだけでなく、全ての銀河も巨大なブラックホールの球体に埋め込まれています
 
2005年にKashlinsky氏はスピッツァー宇宙望遠鏡を利用し、遠赤外線を観測して初期の宇宙を観測しました。また2013年には同一の領域がX線で観測され、同一の天体を観測していたことが判明しました。このように遠赤外線とX線の両方を放つのは、ブラックホールに他なりません。そして近年の重力波の観測も、ブラックホールの存在を裏付けるものでした
 
Kashlinsky氏の報告によると、宇宙の誕生から5億年の間にダークマターは崩壊し、「ハロ」と呼ばれる領域を作りました。そして、このハロは初期の銀河や星を生み出す種となったのです。またダークマターが原始ブラックホールによって形成されているとすれば、初期の宇宙ではより多くのハロが生み出されたことになります
 
今回の報告はダークマターとブラックホールの成り立ちをうまく説明したものですが、それを確認するためにもさらなるブラックホールの観測が必要となります。ダークマターやダークエネルギーは宇宙の多くを占めると予想されていますが、その研究はまだ始まったばかりなのです
 
Image Credit: NASA, ESA, and D. Coe, J. Anderson, and R. van der Marel (STScI)

2016/06/15
Soraeより

ダークマターが銀河系の質量の88%あった!

Posted by moonrainbow on 20.2016 暗黒物質   0 comments   0 trackback
銀河系の質量は太陽7000億個分で暗黒物質が約9割あった

ダークマターも計測、最も徹底的な最新の分析で明らかに

天の川の帯
米ユタ州のナチュラル・ブリッジズ国定公園上空に広がる天の川の帯。(PHOTOGRAPH BY JIM RICHARDSON, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 地球を含む銀河系(天の川銀河)の質量については、天体物理学者たちに聞けば、たちまち議論が白熱するほど諸説入り乱れています。だが、その議論も決着に向かうかもしれません。カナダ、オンタリオ州のマックマスター大学の研究者らが新たな計測方法を提示しました

 この研究成果は2016年5月31日、同国ウィニペグで開催中のカナダ天文学会(Canadian Astronomical Society)で報告されました。それによると、銀河系の質量は太陽の7000億倍で、これまで出されてきた説の中では軽い方になるそうです。同時に、銀河系に含まれるダークマター(暗黒物質)は、従来の算出よりもやや多いとの結果が出ました。目に見えず、まだ謎の多いダークマターは、銀河系を取り囲む雲のように存在していると考えられています

 銀河系の質量が現在どれだけあるのか分かれば、天文学者は我々の銀河の過去と未来をより深く理解できます

 マックマスター大学の博士号候補生で、今回の研究を主導したグウェンドリン・イーディー氏は、「銀河系の質量を解明できれば、宇宙全体の中での位置づけをより深く知ることができます」と話しています

 第一に、どんな銀河でも、星が生まれ、存在し、死んでいく速度は、その銀河の総質量と関連があるとみられています。

「銀河の進化を研究する場合、その質量と進化がどう関係しているかに着目します」とイーディー氏。「銀河系の質量をより正確に把握できれば、銀河系や他の銀河がどのように生まれて進化するのかが分かります」。

ダークマターの測り方

 銀河系にどれだけの物質があるのか、これまでの推定には大きなばらつきがありました。ある研究では太陽1兆個分とされる一方、別の研究では1000億個分にとどまるとも言われていました

 こうした数値には、ちり、惑星、衛星、恒星、銀河系を周回する矮小銀河の一部など、私たちが見たり直接検出したりできる物質が全て含まれ、さらに銀河を取り囲むダークマターのハロー(かたまり)も含まれています

 他の物体に重力を及ぼすということしか分かっていないダークマターは、とりわけ測定が難しいです。イーディー氏は、球状星団という老いた星の集団について大学院で研究を始めて以来、この問題に取り組んできました

 最終的に、氏は銀河系のダークマターを測定する方法を考案しました。銀河の周囲に存在する球状星団89個の、すでに分かっている動きと速度を利用するというものでした

 球状星団を使ったのは、銀河全体に不規則に分散しており、また比較的大きくはっきりしていて、個々の恒星よりも追跡しやすいためです。これらの星団が銀河の中心を周回する間、ダークマターは予測可能なパターンで星団を押したり引っ張ったりしています

 ダークマターと銀河内で観測されている物体の質量とを合計することで、イーディー氏は銀河系の「質量プロファイル」を作成できました。それによると、銀河の中心からある距離までの範囲に含まれる、全ての物質の質量を推定できます

 その結果、銀河系の質量は太陽7000億個分となり、「軽い銀河」派により近い結論となりました。大きくて遠い球状星団や広く散らばった矮小銀河など、銀河の外縁にある物体の一部は実際には銀河系の重力に引っ張られていないため、銀河の総質量には含まれないと考える立場です

 また現在、銀河系の恒星の質量は太陽約600億個分と推定され、それ以外ではガスとちりが約1~3%であることから、イーディー氏の研究結果にしたがえば、ダークマターが銀河系の質量の88%にものぼることになります

まだ謎の多い「私たちの銀河系」

 銀河系の質量を算出しようとしたのはイーディー氏が初めてではないのです。だが、カナダ国立研究機関、ヘルツバーグ天体物理学研究所の研究官で機器のスペシャリストでもあるアラン・マコナキー氏は、「幅広い種類のデータをまとめており、現時点では最も徹底的な分析の1つ」と評価しています

「球状星団が動く速度や方向を突き止めるのはとても難しいことです。銀河系に関して、これらのデータ全てを一貫性のあるモデルにまとめるのは大きな挑戦といえます」とマコナキー氏

 同氏は続けて、「私たちは銀河系に生きているにもかかわらず、その銀河の重さははっきり分かっていないと言うと、一般の人にいささか驚かれることがあります」と語りました。「今回の研究成果により、私たちが暮らす場所の重さが分かったと、自信を持って言える段階に大きく1歩近付きました」。

 イーディー氏は、今回の結果はダークマターの性質を特定しようと尽力している天体物理学者たちへの刺激にもなると考えています

「夜空に見える天の川は広大です。夜の闇に横たわる星々やちりの川は美しく、壮大で、途方もなく広がっています」とイーディー氏は言います。「ですが、自分が見ているのは実際に存在している物の約5分の1でしかないと思うと、見過ごしている物が何なのか突き止めたいという気になるのです」

2016.06.03
ナショジオより
 

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