彗星の水の謎

Posted by moonrainbow on 08.2017 彗星   0 comments   0 trackback
超小型探査機「プロキオン」が彗星の水の謎を解明(国立天文台

プロキオン」とチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星のコンセプト画像
「プロキオン」とチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星のコンセプト画像(提供:NAOJ/ESA/Go Miyazaki)

2014年に探査機「はやぶさ2」と一緒に打ち上げられた、世界最小クラスの超小型深宇宙探査機「プロキオン」がチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の水素ガスを観測し、彗星核からの水分子放出率の絶対量を明らかにしました。超小型深宇宙探査機による世界初の理学成果です

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P/Churyumov-Gerasimenko)は、ヨーロッパ宇宙機関の探査機「ロゼッタ」が2年以上にわたって観測を行った天体です。ロゼッタは彗星を周回しながら彗星核の近傍から精密な観測を行い、彗星が太陽に近づき遠ざかるにつれて活動が変化する様子や、表面の地形などを調べました

ロゼッタは、彗星氷として最も豊富に含まれる分子である水分子の観測も行いました。水分子は彗星の活動度だけでなく、太陽系初期に形成され彗星に取り込まれた分子の形成過程に関する理解においても重要なものです。しかし、彗星コマ(彗星核の周囲のボンヤリした部分)中に位置したロゼッタからは、コマの特定の領域しか観測できていません

この観測結果からコマ全体の構造や彗星核の別の場所から放出される水分子の量を推定するためには、彗星コマ・彗星核モデルが必要となりますが、水分子生成率の推定値はモデルによって10倍程度も異なります。モデルの妥当性を検証するためには、コマ全体の観測から求めた水分子生成率の絶対値と比較する必要があります

そこで、探査機「プロキオン」による彗星観測が行われました。「プロキオン」は2014年12月に探査機「はやぶさ2」の相乗り衛星として打ち上げられた探査機です。質量約65kg、一辺約60cmと、深宇宙探査機としては世界最小サイズである。当初は「プロキオン」による彗星観測は計画されていなかったものの、立教大学を中心に開発された水素ガスを観測できる望遠鏡「ライカ」を用いて、2015年9月に観測が実施されました

彗星コマ中の水素ガスの大部分は、彗星核から放出した水分子が太陽紫外線で壊されること(光解離)で生成されます。そのため、水素ガスの観測により、核からの水分子放出量が推定可能となります。「プロキオン」による水素ガスの観測から、彗星活動が最も激しい近日点(太陽最接近)付近での水分子生成率の絶対量が決定され、彗星のコマ・核モデルが検証されました。この結果とロゼッタによって決定された成分比などを元に、近日点前後を含む期間の彗星の活動度が非常に正確に推定できました

水素原子の生成過程の模式図
水素原子の生成過程の模式図(提供:国立天文台)

今回の成果は、超小型深宇宙探査機による探査としては世界初の理学的な成果だ。さらに、ロゼッタのような大型の探査計画でも実施できない重要な部分を、低コストかつ短期間で開発された「プロキオン」がサポートしたという点でも重要な意義があり、今後の大型計画における小型探査機のモデルケースとなると期待されます

2017年1月24日
Astro Artsより

彗星探査機「ロゼッタ」任務終了

Posted by moonrainbow on 07.2016 彗星   0 comments   0 trackback
彗星探査機「ロゼッタ」はチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に衝突してミッション終了しました

ロゼッタ
日本時間9月30日午後7時39分、欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査機「ロゼッタ」がチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に衝突し、ミッションを終えました。

ロゼッタは、太陽系ができたばかりの頃から、含まれる物質や姿が変わらないと言われる「彗星」を探査し、太陽系の歴史を知ることを目的とした探査機です。2004年に打ち上げられ、10年かけて彗星に到達し、周回軌道に入りました

ロゼッタは周りから彗星を観測するだけではなく、小型の着陸機「フィラエ」を搭載しており、2014年にロゼッタから投下され、史上初めて彗星に着陸しました。しかし、フィラエは着陸に失敗してしまい、機体が見失われてしまいます。それから2年経った2016年10月2日、ミッション終了間近のロゼッタが初めてフィラエを見つけ、撮影したことが話題になりました

そして、午後7時39分にロゼッタが彗星に衝突しました。地球から彗星までの距離は約7億2000万キロあるため、40分後にロゼッタからの電波が途絶え、衝突が確認されました

ロゼッタ1

ロゼッタは衝突するまでの間にも、彗星表面を撮影し、すでにいくつかの鮮明な画像があげられています。今後、届いた画像や衝突までデータの解析など、研究が行われていきます

ロゼッタ2

Image Credit:ESA

2016/09/30
Soraeより

池谷・村上彗星(332P/Ikeya-Murakami)が一部崩壊している様子

Posted by moonrainbow on 26.2016 彗星   0 comments   0 trackback
クローズアップでとらえられた、崩れゆく池谷・村上彗星

池谷・村上彗星
2016年1月26日から28日にかけて撮影された池谷・村上彗星のアニメーション動画(提供:NASA, ESA, D. Jewitt (UCLA))

地球から約1億km彼方で池谷・村上彗星が一部崩壊している様子を、2016年1月にハッブル宇宙望遠鏡が詳細に観測しました。複数の塊がゆっくりと離れていく様子がとらえられています

池谷・村上彗星(332P/Ikeya-Murakami)は、2010年11月に池谷薫さんと村上茂樹さんが発見した、公転周期約5年半ほどの周期彗星です。2016年3月ごろ、発見以来最初の太陽への最接近(回帰)をしたが、そのおよそ2か月前、まだ太陽から2億4000万kmも離れていたころの彗星をハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測しました

2016年1月にHSTが3日間かけてとらえた一連の画像には、彗星から分裂した塵と氷からなる25個の破片が宇宙を漂い、ゆっくりとした速度で彗星から離れていくようすがとらえられています。ばらばらになった破片は約4800kmにわたって散らばっています

「彗星の崩壊は時折見られるものですが、なぜ、そしてどのようにばらばらになるのかは、よくわかっていません。問題は、崩壊がなんの予兆もなく突然起こるので、詳しいデータを取得する機会があまり多くないということです。今回はHSTの高解像度のおかげで、小さくかすかな彗星の破片が見られるだけでなく、日毎の変化も見ることができ、最高の観測が可能になっています」(米・カリフォルニア大学ロサンゼルス校 David Jewittさん)。

3日間の観測では、彗星の破片の明るさが自転に伴って(表面の氷に太陽光が当たるかどうかで)変化する様子や、ばらばらになるにつれて形が変化している様子もとらえられています。総量は元の彗星の4%ほど、大きさはそれぞれ20~60mほどのようだ。また、親彗星が2~4時間で自転していることや、差し渡しの大きさが約480mと従来の見積もりよりもずっと小さいことなども明らかになりました

観測データから考えると、彗星が太陽に近づいて暖められると表面からガスや塵が噴出し、その結果彗星の自転速度が上昇することによって、物質が彗星の表面から離れて宇宙空間へと漂っていったようです。破片が飛び出したのは2015年10月から12月にかけてとみられています

「これまでは、彗星は太陽の光で暖められ氷が蒸発してしまって一生を終えると考えられてきました。あとには何も残らないかもしれないし、活発な活動を起こした彗星があったところに物質の残骸が残るかもしれません。しかし、分裂のような現象がより消滅プロセスに大きく寄与する可能性が見えてきました。池谷・村上彗星の場合、彗星が分裂・崩壊して忘却の彼方へと消えていく、そのプロセスを見ているのかもしれません」(Jewittさん)。

2016年9月23日
Astro Artsより

「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」の意外な「匂い」

Posted by moonrainbow on 08.2016 彗星   0 comments   0 trackback
彗星の意外な「匂い」が判明

彗星の意外な「匂い」
 
2014年に欧州宇宙機関(ESA)の探査機「ロゼッタ」によって、世界初の彗星着陸が行なわれた「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」。この非常にいびつな形をした彗星は約6.5年というゆっくりとした公転周期で太陽系を周っています。そして、研究の結果その匂いは腐った卵/猫のおしっこ/苦扁桃(アーモンド)というやーな感じのものなんだそうです
 
この彗星にはロゼッタから着陸船「フェラエ」が着陸したのですが、フェラエは同彗星に存在する物質の組成を計測しました。そして今回、イギリスのオープン大学のColin Snodgrass氏やその同僚はそのデータを用い、匂いを取り扱う会社の協力を得てチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の匂いを突き止めました
 
同彗星に存在する硫化水素やアンモニア、シアン化水素を混ぜた匂いは、腐った卵/猫のおしっこ/苦扁桃(アーモンド)のような匂いでした。シアン化水素などは有毒なので今回の匂いは100%の再現ではありませんが、実際の匂いとは大きく変わらないとのことです
 
王立協会のSnodgrass氏は、「もし彗星の匂いがかげれば、今回のような匂いになるでしょう。しかしもし宇宙服なしに彗星の上に立てば、空気がないので匂いを感じることはできませんけどね」と語っています。思わぬ残念な匂いが判明した隕石ですが、私たちはその匂いをかがずに済みそうです
 
Image Credit: ESA/Rosetta/Navcam

2016/06/24
Soraeより

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に水の氷が存在

Posted by moonrainbow on 19.2016 彗星   0 comments   0 trackback
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星表面の氷は水と確認

イムホテプにおける水の氷の赤外線観測結果
イムホテプにおける水の氷の赤外線観測結果。(提供:Comet images: ESA/Rosetta/NavCam-CC BY-SA IGO 3.0; VIRTIS images and data: ESA/Rosetta/VIRTIS/INAF-IAPS, Rome/OBS DE PARIS-LESIA/DLR; G. Filacchione et al (2016)) .

探査機「ロゼッタ」によるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の観測たデータから、彗星の表面に水の氷が存在することが決定的になりました。一方、通信が途絶えている着陸機「フィラエ」の復活はかなり難しいとみられています

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の彗星探査機「ロゼッタ」は2014年の夏にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)に到着し、周囲を飛行しながら観測を行っています。到着後間もなく取得した赤外線観測データの分析から、可視光線で明るく見えていた「イムホテプ(Imhotep)」領域中の幅数十mほどの2地点に、水の氷が含まれていることが確認されました。彗星から噴き出すガスの主成分は水蒸気ですが、水の氷は地表下にあると考えられており、表面にはほとんど見られません

それぞれの地点で純粋な水の氷は約5パーセントを占め、残りはすべて暗く乾燥した物質でした。さらに、氷の粒子には2種類あることがわかりました。一つは大きさが直径数十μm、もう一つは約2mmです

一方、アヒルのような形をした彗星の首の部分にあたる「ハピ(Hapi)」領域で見つかった粒子は大きさが数μmしかなかったです。「さまざまな大きさの氷の粒子が示唆しているのは、形成メカニズムと形成されるまでの時間的スケールの違いです」(伊・国立宇宙物理研究所 Gianrico Filacchioneさん)。彗星の一日(自転周期)は12時間ほどで、ハピにあるとても小さな粒子は、日々起こる氷の循環(凝結)によってできる薄い霜の層と関係しているそうです

「それとは対照的に、数mmサイズの粒子はゆっくりと時間をかけてできたようで、それがときどき侵食によって露出するのです」(Gianricoさん)。マイクロメートルサイズの粒子が典型的なサイズだと仮定すると、観測されたミリメートルサイズのものは、焼結や太陽の熱による昇華といった二次的な氷の結晶の成長で説明できます

研究者たちは現在、彗星が太陽に近づいた昨年の夏ごろに得られたデータの分析を進めており、熱の増加で表面に露出した氷がどのように変化したのかを調べています

一方、2014年11月にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の表面に投下された着陸機「フィラエ」は、太陽光の届かないところに入ってしまい、着陸後しばらくしてから冬眠モードになっていました。その後、彗星が太陽に近づいて太陽電池が再充電され、2015年6月にフィラエは目を覚ましました。ロゼッタを介して断続的に8回の通信を行ったものの、2015年7月9日に再び交信が途切れています

2016年1月10日、フィラエの太陽電池パネルに積もった塵をふるい落としたりパネルを太陽の方向に向けたりするコマンドが送信されました。しかしやはり、交信はなかったのです。「残念ながら通信再開にはつながらず、フィラエからは何の信号も届きませんでしたが、あと数回コマンドを送信する予定です」(ドイツ航空宇宙センター Stephan Ulamecさん)。


Rosetta Blogの表紙絵
2016年1月8日付けのRosetta Blogの表紙絵(提供:ESA)

今後、彗星は太陽からどんどん遠ざかり、状況は悪くなるばかりです。2016年1月の末には彗星は太陽から約3億kmも離れてしまいます。表面温度が摂氏51度以下になると、フィラエは二度と作動できなくなります

ロゼッタ自体のミッションは2016年9月末まで続きますが、フィラエについては相当厳しい状況となっているようです。「1月末までに応答がなければ、終わりです」(ロゼッタのプロジェクトマネージャー Philippe Gaudonさん)。

2016年1月14日
Astro Artsより
 

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