本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星

Posted by moonrainbow on 02.2017 彗星   0 comments   0 trackback
奇妙な木星族彗星「本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー」

本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星
2016年12月にナミビアで撮影された本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星(提供:Gerald Rhemann)

2017年2月に地球に最接近した本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星の赤外線観測から、この彗星は一酸化炭素よりもメタンが多いという珍しい特徴を持つことが明らかになりました

1948年に本田実さんたち3人が相次いで発見した本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星(45P)は、太陽の周りを5年ほどで公転する短周期彗星の一つです。2016年末に太陽に、2017年2月に地球に近づき、双眼鏡で見える明るさとなって天文ファンの観測や撮影の好対象となっていました

NASAゴダード宇宙センターのMichael DiSantiさんたちの研究チームは米・ハワイにある赤外線観測装置IRTFを使って、この彗星の気体9種類を分光観測しました。気体は彗星の核を構成している氷や岩、塵などが混ざった塊から生じており、その氷には彗星の歴史に関する手がかりが含まれていると考えられています

観測の結果、45P彗星では凍った一酸化炭素がほぼ枯渇していることが明らかになりました。彗星が太陽に接近して暖められると一酸化炭素は簡単に宇宙空間へ逃げ出すため、公転周期の短い45P彗星でこの物質が少ないこと自体は不思議ではないのですが、同様に逃げ出しやすい物質であるメタンが、45P彗星には豊富にあることも明らかになり、45Pは一酸化炭素の氷よりもメタンを多く含む珍しい彗星の一つだとわかりました

メタンが豊富な理由として、メタンが氷に閉じ込められたという可能性もりますが、研究チームは、一酸化炭素が水素と反応してメタノールを形成したかもしれないと考えています。45Pでは平均よりも凍ったメタノールの割合が高いことが明らかになったからです

いつ一酸化炭素と水素の反応が起こったのかという別の疑問が出て来ますが、もし、メタノールが45Pの形成以前に、原始的な氷の粒子上で形成されたのなら、彗星は変化がなかったということになります。反対に、コマにおける一酸化炭素とメタノールの量は、時間の経過と共に変化してきたのかもしれないのです。特に木星型彗星(5~7年周期の彗星)は、オールトの雲を起源とする彗星に比べて、太陽の近くにいる時間が長いからです

太陽系の果てにあるオールトの雲を起源とする長周期彗星の氷と比べると、45P彗星のような木星族彗星の氷についてはまだわかっていないことが多いのです。木星族彗星で今回の対象となったような物質を検出するのは非常に難しく、これまでの研究は数例しかないため貴重な成果です

研究チームは、今回の観測結果が似たような彗星の間でどれほど典型的なのかを明らかにしようとしています。45Pは、2017年から2018年の間に地球から研究可能な5つの短周期彗星のうちの1つ目だ。2017年は45Pに続いてエンケ彗星(2P)とタットル・ジャコビニ・クレサーク彗星(41P)が観測され、来年の夏から秋にはジャコビニ・チンナー彗星(21P)が、2018年末にはウィルタネン彗星(46P)が、それぞれ観測対象となります

「この研究は画期的で、木星型彗星中に存在する分子種の混合物と、太陽の周りを何度も周回したあとの違いに関するわたしたちの知識を広げてくれます」(アメリカ国立科学財団 Faith Vilasさん)

2017年11月28日
AstroARTSより

彗星288P

Posted by moonrainbow on 05.2017 彗星   0 comments   0 trackback
連星の核を持つ彗星288P

彗星288P
2016年8月から9月にかけてハッブル宇宙望遠鏡で撮影した288P/2006 VW139。1か月弱の間に互いの星を周回している様子がわかる。9月20日以降は彗星の尾の方向が変わり始めている(提供: NASA, ESA, and J. Agarwal (Max Planck Institute for Solar System Research))

ハッブル宇宙望遠鏡による観測で、小惑星帯に位置する彗星288Pには核が2つあることがわかりました。小惑星帯にある彗星で、連星として観測された初めての天体です

小天体2006 VW139は2006年11月に米・スペースウォッチ・プロジェクトで発見された天体で、火星と木星の間にある小惑星帯に存在し5.3年周期で公転しています。発見当初は小惑星と考えられていたが、その後に米・パンスターズ望遠鏡による観測から彗星として活動していることがわかり、288Pの符号が付けられました(名称はまだ決まっていない)

独・マックス・プランク研究所のJessica Agarwalさんたちの研究グループが、この彗星が近日点を通過する2か月前の2016年9月にハッブル宇宙望遠鏡で観測を行ったところ、ほぼ同じ質量と大きさを持つ2つの小惑星が約100km間隔で彗星の核の部分に存在し、お互いに周回していることがわかりました。小惑星帯にある彗星(メインベルト彗星)が連星として観測されたのは初めてです

研究グループではこの彗星の成り立ちについて、およそ5000年前に高速回転によって2つに分裂し、それ以来連星として存在していると推測しています。「小惑星帯にある他の連星小惑星の特徴とも異なっており、どうやって小惑星帯に存在しているのかという謎も残っています。今後、似たような天体のさらなる研究や観測が必要です」(Agarwalさん)

このような天体の起源や進化を理解することは、太陽系全体の形成と進化を理解する上で重要な要素であり、どうやって地球に水がもたらされたのかを解明する鍵ともなり得るのです

2017年9月27日
AstroArtsより

彗星の水の謎

Posted by moonrainbow on 08.2017 彗星   0 comments   0 trackback
超小型探査機「プロキオン」が彗星の水の謎を解明(国立天文台

プロキオン」とチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星のコンセプト画像
「プロキオン」とチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星のコンセプト画像(提供:NAOJ/ESA/Go Miyazaki)

2014年に探査機「はやぶさ2」と一緒に打ち上げられた、世界最小クラスの超小型深宇宙探査機「プロキオン」がチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の水素ガスを観測し、彗星核からの水分子放出率の絶対量を明らかにしました。超小型深宇宙探査機による世界初の理学成果です

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P/Churyumov-Gerasimenko)は、ヨーロッパ宇宙機関の探査機「ロゼッタ」が2年以上にわたって観測を行った天体です。ロゼッタは彗星を周回しながら彗星核の近傍から精密な観測を行い、彗星が太陽に近づき遠ざかるにつれて活動が変化する様子や、表面の地形などを調べました

ロゼッタは、彗星氷として最も豊富に含まれる分子である水分子の観測も行いました。水分子は彗星の活動度だけでなく、太陽系初期に形成され彗星に取り込まれた分子の形成過程に関する理解においても重要なものです。しかし、彗星コマ(彗星核の周囲のボンヤリした部分)中に位置したロゼッタからは、コマの特定の領域しか観測できていません

この観測結果からコマ全体の構造や彗星核の別の場所から放出される水分子の量を推定するためには、彗星コマ・彗星核モデルが必要となりますが、水分子生成率の推定値はモデルによって10倍程度も異なります。モデルの妥当性を検証するためには、コマ全体の観測から求めた水分子生成率の絶対値と比較する必要があります

そこで、探査機「プロキオン」による彗星観測が行われました。「プロキオン」は2014年12月に探査機「はやぶさ2」の相乗り衛星として打ち上げられた探査機です。質量約65kg、一辺約60cmと、深宇宙探査機としては世界最小サイズである。当初は「プロキオン」による彗星観測は計画されていなかったものの、立教大学を中心に開発された水素ガスを観測できる望遠鏡「ライカ」を用いて、2015年9月に観測が実施されました

彗星コマ中の水素ガスの大部分は、彗星核から放出した水分子が太陽紫外線で壊されること(光解離)で生成されます。そのため、水素ガスの観測により、核からの水分子放出量が推定可能となります。「プロキオン」による水素ガスの観測から、彗星活動が最も激しい近日点(太陽最接近)付近での水分子生成率の絶対量が決定され、彗星のコマ・核モデルが検証されました。この結果とロゼッタによって決定された成分比などを元に、近日点前後を含む期間の彗星の活動度が非常に正確に推定できました

水素原子の生成過程の模式図
水素原子の生成過程の模式図(提供:国立天文台)

今回の成果は、超小型深宇宙探査機による探査としては世界初の理学的な成果だ。さらに、ロゼッタのような大型の探査計画でも実施できない重要な部分を、低コストかつ短期間で開発された「プロキオン」がサポートしたという点でも重要な意義があり、今後の大型計画における小型探査機のモデルケースとなると期待されます

2017年1月24日
Astro Artsより

彗星探査機「ロゼッタ」任務終了

Posted by moonrainbow on 07.2016 彗星   0 comments   0 trackback
彗星探査機「ロゼッタ」はチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に衝突してミッション終了しました

ロゼッタ
日本時間9月30日午後7時39分、欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査機「ロゼッタ」がチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に衝突し、ミッションを終えました。

ロゼッタは、太陽系ができたばかりの頃から、含まれる物質や姿が変わらないと言われる「彗星」を探査し、太陽系の歴史を知ることを目的とした探査機です。2004年に打ち上げられ、10年かけて彗星に到達し、周回軌道に入りました

ロゼッタは周りから彗星を観測するだけではなく、小型の着陸機「フィラエ」を搭載しており、2014年にロゼッタから投下され、史上初めて彗星に着陸しました。しかし、フィラエは着陸に失敗してしまい、機体が見失われてしまいます。それから2年経った2016年10月2日、ミッション終了間近のロゼッタが初めてフィラエを見つけ、撮影したことが話題になりました

そして、午後7時39分にロゼッタが彗星に衝突しました。地球から彗星までの距離は約7億2000万キロあるため、40分後にロゼッタからの電波が途絶え、衝突が確認されました

ロゼッタ1

ロゼッタは衝突するまでの間にも、彗星表面を撮影し、すでにいくつかの鮮明な画像があげられています。今後、届いた画像や衝突までデータの解析など、研究が行われていきます

ロゼッタ2

Image Credit:ESA

2016/09/30
Soraeより

池谷・村上彗星(332P/Ikeya-Murakami)が一部崩壊している様子

Posted by moonrainbow on 26.2016 彗星   0 comments   0 trackback
クローズアップでとらえられた、崩れゆく池谷・村上彗星

池谷・村上彗星
2016年1月26日から28日にかけて撮影された池谷・村上彗星のアニメーション動画(提供:NASA, ESA, D. Jewitt (UCLA))

地球から約1億km彼方で池谷・村上彗星が一部崩壊している様子を、2016年1月にハッブル宇宙望遠鏡が詳細に観測しました。複数の塊がゆっくりと離れていく様子がとらえられています

池谷・村上彗星(332P/Ikeya-Murakami)は、2010年11月に池谷薫さんと村上茂樹さんが発見した、公転周期約5年半ほどの周期彗星です。2016年3月ごろ、発見以来最初の太陽への最接近(回帰)をしたが、そのおよそ2か月前、まだ太陽から2億4000万kmも離れていたころの彗星をハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測しました

2016年1月にHSTが3日間かけてとらえた一連の画像には、彗星から分裂した塵と氷からなる25個の破片が宇宙を漂い、ゆっくりとした速度で彗星から離れていくようすがとらえられています。ばらばらになった破片は約4800kmにわたって散らばっています

「彗星の崩壊は時折見られるものですが、なぜ、そしてどのようにばらばらになるのかは、よくわかっていません。問題は、崩壊がなんの予兆もなく突然起こるので、詳しいデータを取得する機会があまり多くないということです。今回はHSTの高解像度のおかげで、小さくかすかな彗星の破片が見られるだけでなく、日毎の変化も見ることができ、最高の観測が可能になっています」(米・カリフォルニア大学ロサンゼルス校 David Jewittさん)。

3日間の観測では、彗星の破片の明るさが自転に伴って(表面の氷に太陽光が当たるかどうかで)変化する様子や、ばらばらになるにつれて形が変化している様子もとらえられています。総量は元の彗星の4%ほど、大きさはそれぞれ20~60mほどのようだ。また、親彗星が2~4時間で自転していることや、差し渡しの大きさが約480mと従来の見積もりよりもずっと小さいことなども明らかになりました

観測データから考えると、彗星が太陽に近づいて暖められると表面からガスや塵が噴出し、その結果彗星の自転速度が上昇することによって、物質が彗星の表面から離れて宇宙空間へと漂っていったようです。破片が飛び出したのは2015年10月から12月にかけてとみられています

「これまでは、彗星は太陽の光で暖められ氷が蒸発してしまって一生を終えると考えられてきました。あとには何も残らないかもしれないし、活発な活動を起こした彗星があったところに物質の残骸が残るかもしれません。しかし、分裂のような現象がより消滅プロセスに大きく寄与する可能性が見えてきました。池谷・村上彗星の場合、彗星が分裂・崩壊して忘却の彼方へと消えていく、そのプロセスを見ているのかもしれません」(Jewittさん)。

2016年9月23日
Astro Artsより
 

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