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銀河団の中に散らばっている孤立した星々

Posted by moonrainbow on 21.2023 銀河団   0 comments   0 trackback
「迷子星」の光から銀河団の歴史をさぐる

大質量銀河団「MOO J1014_0038」
銀河団の銀河間光
ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた大質量銀河団「MOO J1014+0038」(左)と「SPT-CL J2106-5844」(右)。3つの波長の近赤外線画像から擬似カラー合成した画像に、銀河間光の成分を青色で重ねている。画像クリックで拡大表示(提供:NASA、ESA、STScI、James Jee(延世大学); 画像処理: Joseph DePasquale (STScI))

ハッブル宇宙望遠鏡の観測から、銀河団の中に散らばっている孤立した星々が数十億年前からすでに存在していたことが示された

数百から数千個の銀河が集まった「銀河団」の内部には、どの銀河とも重力的に結び付いていない迷子のような星がたくさん存在する。銀河団全体を眺めると、これらの星々が「銀河間光(intracluster light; ICL)」という淡く広がった光を放っている。

これらの孤立した星々がいつ、どのようにして銀河団の中に散らばったのかについては、「銀河団の中を銀河が運動することで星々がはぎ取られる」「銀河の衝突合体で星々が放出される」「銀河団が形成された数十億年前にはすでに存在していた」など、いくつかの説があって決着がついていない。

韓国・延世大学校のHyungjin Jooさんたちの研究チームはハッブル宇宙望遠鏡を使って、赤方偏移zがおよそ1から2(80億~100億光年)までの距離にある10個の銀河団を近赤外線で観測した。

その結果、銀河間光が銀河団全体の明るさに占める割合は、過去数十億年にわたってほぼ一定であることが明らかになった。これはつまり、銀河間光の光源である迷子の星々が数十億年前からすでに銀河団の中に存在していることを示している


一般に、銀河団のメンバー銀河が銀河団の内部を運動すると、銀河団ガスの抗力を受けて銀河内のガスや塵が銀河から失われ、銀河の星々も銀河外に散乱すると考えられる。しかし、今回のJooさんたちの観測結果から、このような比較的新しい時代に起こる力学的な作用は、迷子星ができる主な原因ではないらしいことがわかった。もしこうしたメカニズムが原因なら、銀河間光の明るさ(=迷子星の数)は時代とともに増していくはずだからだ。

銀河間光を作り出している星々が迷子になった原因はまだ正確にはわからないが、今回の観測結果から、宇宙の初期段階にはすでに、何らかの原因で大量の迷子星が銀河団の中に存在したことになる。「銀河団が形成された初期の時代には、銀河はまだかなり小さくて重力が弱かったために、簡単に星が銀河外へ流出できたのかもしれません」(延世大学校 James Jeeさん)。

もし迷子星が宇宙の初期に生まれたのであれば、こうした星々は長い時間をかけてすでに銀河団のすみずみまで広く散らばっていることになる。だとすると、銀河や銀河団を重力でまとめている「暗黒物質」の分布を探るために、迷子星を利用できるかもしれない。銀河団内の暗黒物質の分布は、現在は背景銀河の像が銀河団の重力レンズ効果で歪む様子をたくさん調べることで推定しているが、銀河間光を使うことで従来の手法を補える可能性がある。近赤外線で高い感度を持つジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡で迷子星を観測して銀河団全体の暗黒物質の分布を調べられるようになれば、銀河団の歴史を理解するのに大いに役立つだろう


2023年1月13日
AstroArtsより

宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」が観測した銀河団「SMACS 0723-73」

Posted by moonrainbow on 18.2022 銀河団   0 comments   0 trackback
宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」科学観測で取得された画像の1つが公開された!

銀河団「SMACS 0723-73」
【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した銀河団「SMACS 0723-73」(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI)】

こちらは南天の「とびうお座」の方向約42億4000万光年先にある銀河団「SMACS 0723-73」です。6種類のフィルターを介して取得された赤外線画像に、赤・オレンジ・緑・青の4色を擬似的に割り当てることで作成されています

無数の星々やガスなどの集合体である銀河が数百~数千も集まっている銀河団は、その途方もない質量によって時空間を歪め、地球から見て銀河団の奥にある天体から発せられた光の進行方向を変化させる「重力レンズ」効果をもたらします。この画像にも、重力レンズ効果によって細長く引き伸ばされたり歪められたりした銀河の像が数多く捉えられています。

この画像は、アメリカ航空宇宙局(NASA)・欧州宇宙機関(ESA)・カナダ宇宙庁(CSA)の新型宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」の科学観測で初めて取得された高解像度画像の1つです。日本時間2022年7月12日朝に開催された公開イベントの席上で、アメリカのジョー・バイデン大統領によって発表されました。

ウェッブ宇宙望遠鏡初のディープ・フィールド(Webb’s First Deep Field)とも呼ばれているSMACS 0723-73の画像取得には、ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ「NIRCam」が使われました。

NASAによると、写っているのは地球上で伸ばした腕の指先にある砂粒と同じくらいの大きさに見える範囲(幅約2.4分角)ですが、これまで赤外線で捉えられたことがないほど暗いものを含む、何千もの銀河が視野に捉えられているといいます。NASAのビル・ネルソン長官によれば、画像には130億光年以上先にある天体も含まれているようです。

ウェッブ宇宙望遠鏡は画像の取得に合計12.5時間を費やすことで、赤外線において「ハッブル」宇宙望遠鏡よりも“深い”(暗い天体も写っている)画像を取得することができたといいます。なお、ハッブル宇宙望遠鏡が同様の深い画像を取得した際に費やされた期間は、数週間とされています。

重力レンズ効果を受けた天体の像は歪むだけでなく拡大されることもあるため、重力レンズは遠方の天体を観測するための「天然の望遠鏡」として利用されています。ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた銀河についても、その質量・年齢・歴史・組成といった詳細な性質を探る研究が進められることでしょう。

なお、日本時間2022年7月12日23時30分からは、ウェッブ宇宙望遠鏡が取得した以下の4つの天体に関する画像やデータも公開される予定です。こちらも発表が楽しみです!

・イータカリーナ星雲…りゅうこつ座の方向約7600光年先にある散光星雲(星形成領域)
・WASP-96 b(スペクトルのみ)…ほうおう座の方向約1150光年先にある太陽系外惑星
・NGC 3132…ほ座の方向約2000光年先にある惑星状星雲、別名「南のリング星雲(Southern Ring Nebula)」「8の字星雲(Eight-Burst Nebula)」
・ステファンの五つ子…ペガスス座の方向にある5つの銀河(うち4つはコンパクト銀河群を構成)

〈記事中の距離は、天体を発した光が地球で観測されるまでに移動した距離を示す「光路距離」(光行距離)で表記しています〉


Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI

2022-07-12
Soraeより

銀河団「RBS 797」に謎の空洞

Posted by moonrainbow on 21.2022 銀河団   0 comments   0 trackback
銀河団の中心に「謎の4つの巨大な空洞」 超大質量ブラックホールの連星が関与か

銀河団「RBS 797」の画像
【▲銀河団「RBS 797」の画像。左は可視光、右はX線で撮影されています(Credit: NASA/CXC/Univ. of Bologna/F. Ubertosi; Optical: NASA/STScl/M.Calzadilla)】

NASAは12月17日、イタリアのボローニャ大学のフランチェスコ・ウベルトシさん率いる研究チームが、NASAが運用するチャンドラX線観測衛星の観測データを使って、銀河団の中心に謎の4つの巨大な空洞を発見したと発表しました

謎の4つの巨大な空洞
【▲丸で囲われた部分が今回発見された謎の4つの巨大な空洞になります。X線で撮影されています(Credit: NASA/CXC/Univ. of Bologna/F. Ubertosi; Optical: NASA/STScl/M.Calzadilla)】

銀河団は、重力的な集まりとしては、宇宙でも最大の構造になります。数百、ときに数千の銀河、銀河団ガス、ダークマターなどからできています。

謎の4つの巨大な空洞は、地球から39億光年ほどのところにある、銀河団「RBS 797」中心の銀河団ガスの中で発見されました。

では、なぜ銀河団ガスの中に4つの巨大な空洞ができたのでしょうか?

研究チームは、超大質量ブラックホールの連星が噴き出すジェットが原因である可能性が最も高いと述べています。巨大な空洞自体は、超大質量ブラックホールが噴き出すジェットによって、周囲の銀河団ガスが吹き飛ばされてできたと考えられますが、今回の様なケースは、連星をなす超大質量ブラックホールの上下に噴き出すジェットが、直交していたために、4つの巨大な空洞ができた可能性が指摘されます。

超大質量ブラックホールが連星をなすこと自体は十分に考えられますが、このように両方の超大質量ブラックホールが共に活動的な時期に観測されることはとても珍しいようです。

そして、今後、この2つの超大質量ブラックホールは合体し、1つの超大質量ブラックホールになると考えられています


Image Credit: NASA/CXC/Univ. of Bologna/F. Ubertosi; Optical: NASA/STScl/M.Calzadilla

2022-01-16
Soraeより

原始銀河団「G237」

Posted by moonrainbow on 20.2021 銀河団   0 comments   0 trackback
110億光年の彼方に異常な速さで星が誕生している原始銀河団を発見

原始銀河団G237の画像
【▲原始銀河団G237の画像。各銀河は観測した波長によって色分けされています。右側の画像は、その中心領域を拡大したもので、この領域では盛んに星が誕生している(Credit: ESA/Herschel and XMM-Newton; NASA/Spitzer; NAOJ/Subaru; Large Binocular Telescope; ESO/VISTA. Polletta, M. et al. 2021; Koyama, Y. et al. 2021)】

アメリカのアリゾナ州にある大型双眼望遠鏡(Large Binocular Telescpe)は10月26日、アリゾナ大学スチュワード天文台の天文学准教授であるブレンダ・フライさんなどが参加する国際研究チームが、大型双眼望遠鏡も参加する観測から、地球から110億光年離れたところに、異常な(extraordinary)スピードで星が誕生している原始銀河団「G237」を発見したと発表しました
宇宙の大規模構造のシミュレーション画像
【▲宇宙の大規模構造のシミュレーション画像。赤く着色された部分はフィラメントとフィラメントが交差する結び目を示しています(Credit:International Gemini Observatory-NOIRLab-NSF-AURA-G. L. Bryan-M. L. Norman)】

宇宙は銀河団と銀河団がフィラメント(filaments=繊維)でつながれた、いわば三次元化されたクモの巣のような構造をしています。これを宇宙の大規模構造といいます。

原始銀河団G237は、地球から110億光年離れた、このようなフィラメントとフィラメントとが交差する結び目のところにあります。宇宙が誕生してから30億年後に形成され、将来、銀河団が集った超銀河団に成長すると考えられています。

このようなG237は当初、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のプランク衛星の観測によって見つかりましたが、その後、大型双眼望遠鏡とすばる望遠鏡の力を合わせた追加観測によって、63個の銀河が含まれていることが確認されました。

で、驚くべきことは、このG237における、星が誕生するスピードです。そのスピードは、少なくても私達の天の川銀河の1000倍にもなり、次々に巨大な銀河が形成されています。

では、G237はどのようにしてこのような異常なスピードを維持しているのでしょうか?すぐに星の材料となる水素ガスを使い果たしてしまいそうです。

この点、現在、研究チームでは、銀河と銀河の間に広がる水素ガスがフィラメントを通じてG237に供給されているのではないか、と考えています。

そして、フライさんは、今年の12月に予定されているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げを楽しみにしているといいます。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡と大型双眼望遠鏡が力を合わせることで初めて、何がこの異常な星の誕生のスピードを可能にしているのか、などを解き明かすことが可能になるからだそうです


Image Credit: ESA/Herschel and XMM-Newton; NASA/Spitzer; NAOJ/Subaru; Large Binocular Telescope; ESO/VISTA. Polletta, M. et al. 2021; Koyama, Y. et al. 2021/ESA/Herschel and XMM-Newton; NASA/Spitzer; NAOJ/Subaru; Large Binocular Telescope; ESO/VISTA. Polletta, M. et al. 2021; Koyama, Y. et al. 2021

2021-12-14
Soraeより

銀河NGC 4567、4568

Posted by moonrainbow on 15.2021 銀河団   0 comments   0 trackback
銀河団中の銀河が星の材料を失うメカニズム

バタフライ(ちょう)銀河
おとめ座銀河団の銀河NGC 4567、4568
「バタフライ(ちょう)銀河」と呼ばれる、おとめ座銀河団の銀河NGC 4567、4568。銀河団中に満ちるガスの影響を受け、星形成を停止しようとしていると考えられている。赤・オレンジの擬似カラーはアルマ望遠鏡が電波でとらえた分子ガスの広がり、白・青はハッブル宇宙望遠鏡で撮影された星(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/S.Dagnello (NRAO)、以下同)

おとめ座銀河団の観測から、銀河が超高温プラズマ内を高速で移動することで星の材料となるガスが引き剥がされ、星形成活動が抑制されることが判明した

銀河がどのように星形成の活発度を変化させたり、最終的に星形成を止めてしまったりするのかは、銀河周辺の環境に大きく影響を受けている。とくに、銀河が多数集まっている銀河団は宇宙の中でも最も過酷な環境であり、銀河の進化を研究するうえで興味深い場所だ。

カナダ国立研究評議会のToby Brownさんたちの国際研究チームは、研究プログラム「Virgo Environment Traced in Carbon Monoxide Survey(VERTICO、一酸化炭素サーベイによるおとめ座銀河団環境調査)」の一環で、おとめ座銀河団に属する51個の銀河のガスをアルマ望遠鏡で観測し、銀河団内の星の材料調査を行った。

約6500万光年の距離にあるおとめ座銀河団は約2000個の銀河で構成されている。銀河団としては近距離に位置すること、多数の銀河が含まれることから、数ある銀河団の中でも研究しやすい対象だ。さらに、星を作り続けている銀河の数が比較的多いという特徴もある。銀河団に含まれる銀河は一般的にガスが少なく、星形成活動をほとんど行っていないので、おとめ座銀河団はやや変わり者である。

「VERTICOが従来以上に明らかにしたのは、どの物理的プロセスが分子ガスに影響を与え、それがどのように銀河の『生死』を左右するかということです」(Brownさん)。

観測研究の結果、銀河全体が星を形成するのを止めてしまうほど、周囲の環境が過酷であることが明らかになった。「おとめ座銀河団内は、近傍宇宙の中で最も極端な領域です。100万度のプラズマや極端に高速の銀河の存在に加えて、銀河とその周囲の激しい相互作用が起こっているだけでなく、『引退した銀河のたまり場』あるいは『銀河の墓場』とも呼べるような場所も混在しています」(Brownさん)


おとめ座銀河団の渦巻銀河M99
おとめ座銀河団の渦巻銀河M99(NGC 4254)

VERTICOの成果は、こうした極端な環境が銀河のガスを引きはがすことで、星の形成がどのように阻害されるのかを明確に示すものだ。「銀河が銀河団内の高温プラズマの中を高速で移動すると、巨大なほうきでガスが掃き出されるように、膨大な量の冷たい分子ガスが銀河から剥ぎ取られていきます。VEERTICOの高解像度観測によってそのメカニズムがよりよく見えたことで、理解が可能となりました」(Brownさん)

2021年11月11日
AstroArtsより
 

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