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銀河団はどのように形成された?

Posted by moonrainbow on 07.2021 銀河団   0 comments   0 trackback


銀河の集団

銀河団(数百個の銀河がお互いの重力で引き合って形成された銀河の集団)はどのようにして形成されたのでしょうか?

大宇宙の変化はあまりにもゆっくりしているので、われわれ人間はその動きを見ることができません。そこで、その動きを速くして見せてくれるコンピュータシミュレーションという方法が作られています

Simulation TNG50: A Galaxy Cluster Forms



こちらのアニメーション動画は「IllustrisTNG」と呼ばれるプロジェクトによる銀河団形成のシミュレーション(「TNG50」)の成果です。

動画の前半の部分は、水素を主とした宇宙ガス(星間ガス)が銀河や銀河団に進化していく様子を、宇宙の初期から今日に至るまで追跡しています。明るい色はより速く移動するガスを示しています。

宇宙が成熟するにつれて、ガスは「重力の井戸」(gravitational well:大きな天体による重力に引き寄せられること)に落ち、銀河が形成され、回転し、さらに銀河が衝突・合体します。その間、銀河の中心にブラックホールが形成され、周囲のガスが高速で放出されます。

動画の後半では、銀河が「潮汐の尾」(tidal tail:銀河間の潮汐力によって生じる細長い星間ガスの領域)を伴って集合していく様子が映し出されます。

TNG50によるブラックホールからの流出は驚くほど複雑で、詳細は私たちの実際の宇宙と比較・検討されています。初期の宇宙でガスがどのように合体したかを研究することは、地球や太陽、太陽系がどのように形成されたかを人類が理解するのに役立ちます。

なお、この動画では有名な「運命」(ベートーベン交響楽第5番)がBGMとして付けられています。宇宙の進化は運命づけられているようにも思えますが、われわれ人間はその運命に抗することができる存在と捉えることができるようにも思います


Video Credit: IllustrisTNG Project; Visualization: Dylan Nelson (Max Planck Institute for Astrophysics) et al.
Music: Symphony No. 5 (Ludwig van Beethoven), via YouTube Audio Library

2021-05-28
Soraeより

銀河団の磁場構造

Posted by moonrainbow on 13.2021 銀河団   0 comments   0 trackback
風上に伸びる不思議なジェットの姿から銀河団の磁場構造に迫った研究成

銀河「MRC 0600-399」 のジェット
【▲ 電波干渉計「MeerKAT」で観測された銀河「MRC 0600-399」 のジェット(疑似カラー)。超大質量ブラックホールの予想位置を示すX印の上下に噴出したジェットは、途中で左右に折れ曲がる「両鎌構造」を持っている(Credit: Chibueze, Sakemi, Ohmura et al. (2021) Nature Fig. 1(b)より一部改変)】

ノースウェスト大学(南アフリカ)のジェームズ・チブエゼ氏らの国際研究グループは、合体する大小2つの銀河団を電波で観測した結果、銀河から噴出したジェットと銀河団の磁場が相互作用する現場を初めて捉えることに成功したとする研究成果を発表しました。研究グループは今回の成果について、直接観測することが難しい銀河団の磁場構造を明らかにする新たな手法だとしています

■ガスの流れに逆らうように風上へ伸びる銀河のジェット

研究グループが観測したのは、「はと座」の方向およそ6億4000万光年先にある銀河団「Abell(エイベル)3376」です。銀河団とは100個~数千個の銀河が集まっている天体のことで、Abell 3376は大小2つの銀河団が正面から衝突している衝突銀河団のひとつとされています。

今回の研究で鍵となったのは、銀河団の中心にある「MRC 0600-399」と呼ばれる銀河です。この銀河からは超大質量ブラックホールの働きによって差し渡し約16万光年に及ぶジェットが噴出していることがすでに知られていたといいますが、そのふるまいは奇妙なものでした。

銀河団は数千万~1億度にもなる高温のプラズマガスで満たされているとみられており、このガスは「銀河団ガス」と呼ばれています。Abell 3376では、銀河団どうしの衝突によってこのガスに風のような流れが生じているとみられています。銀河から噴出するジェットは通常であれば銀河団ガスの風下に向かって流されていくはずなのに、なぜかMRC 0600-399のジェットはある部分で折れ曲がってから風上に向かって伸びているのだといいます。

研究グループが南アフリカ電波天文台(SARAO)の電波干渉計「MeerKAT(ミーアキャット)」を使ってAbell 3376の中心領域を観測したところ、MRC 0600-399から噴出するジェットを高い精度で観測することに成功しました。もともとはAbell 3376の広範囲な磁場構造を調べることが研究グループの目的だったものの、高感度のMeerKATによって、ジェットの予想外の構造が捉えられたのだといいます。

研究グループによると、Abell 3376を成す2つの銀河団にはそれぞれ異なる温度のガスが付随しており、小さな銀河団の比較的冷たいガスが大きな銀河団のガスを押しのけることで、「コールドフロント」と呼ばれる境界面が形成されているといいます。今回の観測によって、MRC 0600-399から双方向に噴出するジェットのうち上側のジェットが折れ曲がっているのはコールドフロントの位置であり、そこから風上に向かって細く絞られたままのジェットが約30万光年に渡って伸びていることが明らかになりました。

また、ジェットは折れ曲がった位置から風上だけでなく風下にも伸びていることが判明。二股に分かれて伸びるジェットの構造は、研究グループによって「両鎌(double-scythe)構造」と名付けられています


■ジェットが風上に伸びる理由をシミュレーションで分析

Abell 3397におけるジェットと磁場の相互作用
【▲ 今回の研究で明らかになったAbell 3397におけるジェットと磁場の相互作用を示した模式図。左に移動する小さな銀河団を包む「コールドフロント」に沿って磁力線が存在し、折れ曲がったジェットはこの磁力線に沿うようにして細長く流れているとみられる(Credit: Chibueze, Sakemi, Ohmura et al. (2021) Nature Fig. 4より一部改変)】

ジェットが風上に向かって細く絞られたまま伸びている理由を探るために、研究グループは国立天文台の天文学専用スーパーコンピューター「アテルイII」によるシミュレーションを実施。その結果、Abell 3376にはコールドフロントと沿うようにアーチ状の磁場が存在している可能性が示されました。

研究グループによると、ジェットが衝突すると磁場が変形し、変形した磁場が縮もうとする力によって今度はジェットの向きが曲げられることで、磁力線に沿って細く絞られたジェットが流されているとみられます。また、ジェットの電波強度には、銀河を離れるにつれて一旦弱くなったあと、折れ曲がる位置で再び強くなるという特徴があり、同様の特徴がシミュレーションでも再現されたといいます。

MeerKATによるこれまでの観測では、細く長く伸びた直線状の電波放射を持つジェット天体が複数報告されているといいます。研究に参加した東京大学宇宙線研究所の大村匠氏は「ジェットの伝搬の様子を調べる事によって、直接観測が難しい銀河団の磁場構造を知る事が可能であるという、新しい切り口を手に入れました」と語ります。

研究グループでは、集光面積が1平方kmを超える「スクエア・キロメートル・アレイ」(SKA:Square Kilometre Array。アフリカとオーストラリアに望遠鏡群を建設する予定で、MeerKATはSKAの先行機にあたる)などの大型電波干渉計によって、より多様な現象が発見されることに期待を寄せています


ジェットと銀河団磁場の相互作用の様子

【▲ スーパーコンピュータ「アテルイII」によってシミュレートされたジェットと銀河団磁場の相互作用の様子。黄色は磁力線、オレンジ色~青色の部分はガスの速度を示す(オレンジ色のほうが高速)。磁力線に衝突したジェットは進む向きを磁力線に沿う方向へ変えていく(Credit: 大村匠,町田真美,中山弘敬,国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト)】

Image Credit: Chibueze, Sakemi, Ohmura et al. (2021)

2021-05-07
Soraeより

銀河団「Abell 2813」(エイベル2813、ACO 2813)

Posted by moonrainbow on 17.2021 銀河団   1 comments   0 trackback
強力な「重力レンズ」の効果。銀河団の重力に歪められた遠くの銀河の像

重力レンズ効果をもたらす銀河団「Abell 2813」
【▲ 重力レンズ効果をもたらす銀河団「Abell 2813」(Credit: ESA/Hubble & NASA, D. Coe)】

こちらは「ちょうこくしつ座」の方向にある銀河団「Abell 2813」(エイベル2813、ACO 2813)を捉えた画像です。銀河団とは、数百から数千もの銀河が集まっている天体のこと。画像に写る天体の多くがAbell 2813に属する銀河であり、それぞれの銀河に何百億、何千億もの星々が存在するかと思うと、宇宙の途方もないスケールに圧倒されてしまいそうです

画像をよく見ると、歪んだ銀河のような天体が幾つも写っていることがわかります。これらはAbell 2813に属するものではなく、さらに遠くに存在する銀河の像です。本来はこのような形の銀河ではないものの、銀河と地球の間に存在する銀河団の強い重力の影響によって、私たちからは引き伸ばされて湾曲したような姿として見えています。

遠くにある天体(銀河など)を発した光の進む向きが、その天体と地球の間に存在する別の天体(銀河や銀河団など)の重力によって曲げられることで、地球からは歪んで見える。このような現象は「重力レンズ」と呼ばれています。重力レンズはアルベルト・アインシュタインの一般相対性理論によってその存在が予言されていました。

重力レンズの効果を受けた遠くの天体の像は歪むだけでなく拡大もされているため、本来よりも高い解像度で天体を識別することができます。現在ではこうした重力レンズの性質を活かして遠方天体の観測を実施したり、太陽による重力レンズ効果を利用した系外惑星観測用の宇宙望遠鏡が検討されたりしています。

画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」と「広視野カメラ3(WFC3)」の観測データをもとに作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚としてESAから2021年4月12日付で公開されています


Image Credit: ESA/Hubble & NASA, D. Coe

2021-04-13
Soraeより

ほうおう座銀河団の中心にある銀河から噴き出すジェット

Posted by moonrainbow on 12.2020 銀河団   0 comments   0 trackback
年老いて冷えた銀河団の中心に存在する若いジェット

噴き出すジェットの想像図
ほうおう座銀河団の中心にある銀河から噴き出すジェットの想像図(提供:国立天文台

年老いて冷えた「ほうおう座銀河団」の高解像度観測から、中心にある巨大な銀河に誕生から数百万年という若いジェットが見つかった

銀河は宇宙にばらばらに散らばっているわけではなく、数百個から数千個の銀河が集まって銀河団を形成している。銀河を銀河団に引き寄せて留めているものの候補としてダークマターが考えられており、そのダークマターの強大な重力によって銀河団には1000万度を超える高温のガスも大量に閉じ込められている。

高温ガスはX線で強く輝き、X線を放射したガスは熱を失って圧力が低下する。するとダークマターの重力で銀河団の中心部へ引き寄せられるため、集まったガスはさらにX線を放射し、より一層冷えることになる。やがて冷えたガスは銀河団の中心にある銀河に降り積もり、そこでたくさんの星が形成されると予想されている。

しかし、天の川銀河近傍の銀河団ではこのような証拠は見つかっていない。銀河団の中心にある銀河に存在する超大質量ブラックホールからジェットが噴き出し、そこからエネルギーが供給されることでガスが冷えないと考えられている。

地球からおよそ59億光年彼方にある「ほうおう座銀河団」は年老いて冷えた銀河団だと考えられており、天の川銀河近傍にある銀河団とは大きく様子が異なっている。この銀河団の中心には通常の1000倍の速さで爆発的に星が作られる巨大な銀河が存在し、その巨大な銀河の中心に存在する超大質量ブラックホールは1年あたり太陽約60個分の質量を取り込んで急成長している。

国立天文台の赤堀卓也さんたちの研究チームは、アルマ望遠鏡の観測によってこの銀河団の中心部で例外的に大量のガスが冷えていることを明らかにしており、巨大銀河に見られる爆発的な星形成の種となる可能性を示している。これまで、超大質量ブラックホールから吹き出すジェットは見つかっておらず、ジェットがガスの冷却を妨げるという説を一見裏付けているように見える。しかし、これまでの観測では解像度や感度が足りていなかった。

今回、赤堀さんたちは南半球にある電波干渉計・オーストラリア望遠鏡コンパクトアレイ(ATCA)を用いて、従来よりも高い周波数の電波を観測した。従来の周波数はジェットの全体像を観測するために選ばれていたが、高い周波数電波を長時間にわたってとらえることで、ほうおう座銀河団の中心部の高感度・高解像度のデータを取得した。

その結果、中心にある銀河から噴き出すジェットをとらえることに成功し、さらにジェットが2組あることを突き止めた。このうち一方のジェットは誕生から数百万年とみられており、銀河団に比べて極めて若いと推定されている


電波ジェットの強度
ほうおう座銀河団の中心で観測された電波ジェットの強度。左右のグラフは同じ領域であり、縦横軸は天体の天球上での座標を、色は電波強度を表す。左図は銀河団中の巨大銀河(C1)の強度分布を、右図は右上と左下の両方向に伸びたジェットからの電波強度を示す。ブラックホールなどから噴き出されるジェットは一般的に天体を挟んだ両方向に存在することが知られている。C1から両方向に電波放射が観測され、中心から離れたC5とC6のペア(点線四角)は昔噴き出されたジェット、C4とC3(点線楕円)は最近噴き出されたジェットと考えられる(出典:Akahori et al. 2020)

これまで知られていた天の川銀河近傍の銀河団と異なり、ほうおう座銀河団の中心部で大量のガスが冷えているにもかかわらずジェットの存在が確認されたということは、ジェットが高温ガスの冷却を止めていないことを示す。観測されたジェットはまだ噴き出したばかりで、ガスの過熱が十分に進んでいないことが考えられる。

「ほうおうは本来フェニックス、つまり不死鳥のことです。不死鳥の伝説の通り、この銀河団は死につつあるが今まさに甦ろうとしているのかもしれません。建設の始まる超大型電波望遠鏡SKAを用い、さらに高感度かつ高解像度でこの天体を観測して、近くの銀河団との違いがなぜ生じているのかを解明していきたいです」(赤堀さん)


2020年9月7日
AstroArtsより

銀河団「SpARCS104922.6+564032.5」

Posted by moonrainbow on 15.2020 銀河団   0 comments   0 trackback
ブラックホールの静穏化が銀河団の激しい星形成活動のきっかけに?

銀河団「SpARCS1049」の画像
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河団「SpARCS1049」の画像に、X線観測衛星チャンドラによるX線の観測データ(水色)を重ね合わせたもの。星形成活動はそれぞれ矢印で示された中央の銀河(central galaxy)と高密度の高温ガス(densest hot gas)の中間の領域において活発とされる(Credit: X-ray: NASA/CXO/Univ. of Montreal/J. Hlavacek-Larrondo et al; Optical/IR: NASA/STScI)

数多くの銀河が集まっている銀河団は、広大な宇宙のなかでも大規模な構造のひとつです。今回、地球から100億光年近く離れたある銀河団における急速な星形成活動と超大質量ブラックホールの関係に迫った研究成果が発表されています

■ブラックホールに加熱されなくなったガスから大量の星々が形成される

おおぐま座の方向およそ99億光年先にある銀河団「SpARCS104922.6+564032.5」(以下「SpARCS1049」)では、天の川銀河の300倍以上というペースの星形成活動が観測されています。これは、現在の天の川銀河を構成する星々すべてがおよそ1億年で形成されるほどのペースだといいます。

Julie Hlavacek-Larrondo氏(モントリオール大学)らの研究グループは、銀河団SpARCS1049の急速な星形成活動が超大質量ブラックホールの静穏化によって引き起こされたとする研究結果を発表しました。

ブラックホールの活動と星形成にはどのような関係があるのでしょうか。銀河団にはX線を放つ大量の高温ガス(銀河団ガス)が広がっていますが、銀河団に存在する超大質量ブラックホールの活動は、銀河団のガスを加熱するとみられています。ガスは温度が下がると収縮して星が形成されるようになるものの、ブラックホールの活動によってガスの温度が高温に保たれることで、結果として星形成活動が抑制されると考えられています。

研究グループがNASAのX線観測衛星「チャンドラ」による銀河団SpARCS1049の観測データを分析したところ、銀河団のほとんどの場所ではガスの温度が摂氏およそ6500万度だったのに対し、銀河団の中心から8万光年ほど離れたところにある星形成が活発な領域ではガスの密度が平均よりも高く、温度は周囲よりも低い摂氏およそ1000万度であることが判明しました。この観測結果は、大量の星々の形成につながるさらに低温のガスの集まりが存在することを示すものだとされています


超大質量ブラックホールを描いた想像図
超大質量ブラックホールを描いた想像図。高温の降着円盤に囲まれたブラックホールがジェットを放出させている(Credit: NASA/JPL-Caltech)

研究グループによると、積極的に物質を取り込んでいる活発なブラックホールによって放出されるジェットは電波で、ブラックホールに飲み込まれつつある高温の物質はX線で観測されるものの、銀河団SpARCS1049の中心にある銀河ではこうした超大質量ブラックホールの活動を示す証拠が見つかっていないといいます。研究グループでは、銀河団どうしの衝突などによって高密度のガスが遠ざかり超大質量ブラックホールの活動が静穏化したことで、銀河団のガスが加熱されなくなったために、急速な星形成活動が引き起こされたのではないかと考えています。

研究に参加したCarter Rhea氏(モントリオール大学)は、「ブラックホールからエネルギーが送り込まれなくなったガスが十分に冷えたために、これほどの速度で星が形成されるようになった可能性があります。ブラックホールの静穏化は、初期の宇宙における星形成にとって重要な出来事だったのかもしれません」とコメントしています


Image Credit: X-ray: NASA/CXO/Univ. of Montreal/J. Hlavacek-Larrondo et al; Optical/IR: NASA/STScI

2020-08-10
Soraeより
 

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