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銀河団衝突の瞬間

Posted by moonrainbow on 21.2019 銀河団   0 comments   0 trackback
初めてとらえられた銀河団衝突の瞬間

銀河団衝突の瞬間
銀河団衝突の模式図。色は銀河団プラズマの温度を表し、赤が高温、青が低温。衝突が進むと衝突軸に沿った衝撃波が形成される(青円弧)。また衝突の瞬間には、衝突軸に垂直な方向へと衝撃波(赤円弧)が走ると予測されてきた(提供:プレスリリースより、以下同)

X線天文衛星「すざく」や電波望遠鏡などを用いた観測で、銀河団同士が衝突するときに発生する衝撃波が初めて観測されました。銀河団の形成と進化の過程を理解するうえで重要な成果となります

宇宙では数百億~数千億個の星が集まって銀河が形成され、さらにその銀河が数百個以上も集まって銀河団が形成されます。銀河団は宇宙の大規模構造の「節」の部分に対応していて、その直径は数億光年にも達しており、重力で束縛された天体としては宇宙で最大のものです

銀河団は宇宙の歴史の中で、互いに衝突と合体を繰り返すことで成長してきたと考えられています。銀河団同士の衝突が完了するまでには数十億年程度かかると推定されており、ある銀河団で衝突の全ての段階を観測することは不可能です。そのため、銀河団の進化の歴史を調べるには、異なる衝突段階にある銀河団をスナップショットとして多数観測する必要があります

これまでの観測で、衝突の最中にある銀河団では衝突軸に沿った方向に衝撃波が存在することが多く報告されています。また、シミュレーションの結果からは、エネルギーが放出され始める「衝突の瞬間」に、衝突軸に垂直な方向に衝撃波が形成されると予測されています。この衝撃波は遠方まで伝搬し、衝突による放出エネルギーは銀河団だけでなく周辺の大規模構造にまで伝わると考えられています

しかし、この初期段階は1億年未満しか保持されないと理論的に考えられています。そのため、衝突したばかりの銀河団の発見例は非常に少なく、銀河団衝突の初期にどのような現象が起こるのか、どのくらいのエネルギーが解放されるのかといったことは不明でした

理化学研究所の顧力意さんたちの研究グループは、X線天文衛星「すざく」「Chandra」「XMM-Newton」と、低周波電波望遠鏡「LOFAR」、巨大メートル波電波望遠鏡「GMRT」を用いて、みずがめ座の方向約12億光年彼方に位置する衝突初期段階の銀河団ペアを詳しく観測しました

銀河団ペア
銀河団ペア。SDSSによる可視光線画像に、Chandra衛星によるX線画像(青)、GMRT望遠鏡による325MHz電波画像(赤)を重ねたもの

まずX線観測データから、2つの銀河団の中間に7000万度の高温プラズマが、約1Mpc(約326万光年)の広範囲にわたってベルト状に存在していることが明らかになりました。さらに、その高温領域の端では高温プラズマの温度と密度が急激に下がることがわかりました。これは高温プラズマ中に衝撃波が存在することを示しているが、その方向は衝突軸に垂直です。シミュレーションで予測されていた、衝突軸に垂直な方向の衝撃波の存在を世界で初めて確認したものとなります

「高温ガスは銀河団よりさらに広い範囲に広がっていると予想されます。観測された衝撃波は銀河団の進化だけでなく、宇宙の大規模構造にも影響を及ぼしたと言えます」(顧さん)

銀河団プラズマの温度マップ
(左)XMM-Newtonによる銀河団プラズマの温度マップ。緑の等高線がX線、白の等高線が電波放射強度を示している。黒破線が衝撃波の位置。(右)圧力マップ。白破線が衝撃波の位置

電波観測のデータからは、銀河団の中間に400~600kpc(約130万~200万光年)にわたる電波放射が広がっていることがわかりました。電波源は低周波でのみ明るいスペクトルを持つことから、既にエネルギーを失っていた電子が衝突現象で発生した衝撃波によって再加速され放射されたものと考えられます。衝突現象が銀河団規模の粒子加速にも影響を与えることを示唆する結果です

今回の研究成果は衝突と合体による銀河団の形成と進化、宇宙の大規模構造形成史の理解、さらに宇宙プラズマ物理学の進展に大きく貢献すると期待される。この衝突銀河団は、2021年度に打ち上げ予定の日本のXRISM衛星、2030年代打ち上げ予定の欧州のAthena衛星によって、より詳細な研究が行われる予定です

2019年7月16日
AstroArtsより

原始銀河団「SPT2349-56」

Posted by moonrainbow on 15.2019 銀河団   0 comments   0 trackback
合体していく124億年前の原始銀河団「SPT2349-56」

原始銀河団「SPT2349-56
この銀河の集まりは、124億光年離れた場所で発見された原始銀河団「SPT2349-56」のイメージ画像です。

「SPT2349-56」は124億年前、つまり宇宙が誕生した約138億年前のビッグバンから約14億年後という初期宇宙の天体です。密集した領域にある銀河は、相互作用による影響で形状は歪み、スターバーストによって大量の星が生み出されています。また、この銀河達は互いを引き寄せ合い、衝突合体を経て1つの巨大銀河へ進化していきます

イメージ画像の元となった原始銀河団「SPT2349-56」は、南極点望遠鏡SPTによって発見されました。後に、電波望遠鏡APEXによる追加観測が行われ、遠方宇宙に存在する事が分かり、アルマ望遠鏡の高解像度観測によって14個の銀河の集まりであることが明らかになりました

20180426_Miller_fig1-1267x450.jpg
ESO/ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/Miller et al

なお、原始銀河団「SPT2349-56」は、発見されている銀河団の中で最も大きい質量を持っていると考えられています

Image Credit:ESO/M. Kornmesser

2019/5/9
Soraeより

かみのけ座銀河団

Posted by moonrainbow on 11.2019 銀河団   0 comments   0 trackback
銀河団の中心に吸い込まれる銀河が放出する

かみのけ座銀河団」の合成画像

密集している銀河と赤い閃光が見られるこの画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能カメラ「ACS」とハワイにあるすばる望遠鏡が捉えた「かみのけ座銀河団」の合成画像で、2019年1月28日に公開されたものです

右側に見える渦巻銀河「D100」の中心から放たれている赤く長い線状の箇所は、電離した水素ガスによるもので、約20万光年の長さがあります。この不思議な赤い天体は、「D100」が他の銀河団の重力に引かれて急降下していく中、「ラム圧(ram pressure)」の影響を受け銀河内のガスが剥ぎ取られている状態を示していますが、細長く直線に伸びているのは特殊なケースです

また、かみのけ座銀河団は沢山の銀河が集まっている事から、「ラム圧」の影響を受けた銀河を研究するのに最適な場所であることは間違いありません

Image Credit:ESA/Hubble & NASA, Cramer et al.

2019/2/3
Soraeより

「パンドラ銀河団(Pandora’s Cluster)」

Posted by moonrainbow on 14.2018 銀河団   0 comments   0 trackback
「パンドラ」と名付けられた銀河団の複雑な構造

パンドラ銀河団
「Abell 2744」と呼ばれる銀河の集まりは「パンドラ銀河団」の名で知られています。

この画像は、NASA/ESAのハッブル宇宙望遠鏡とヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)の「可視光」と「赤外線」で撮影されたデータを組み合わせたもの。ハッブル宇宙望遠鏡の「ACS」は銀河団の詳細な部分を明確にし、VLTの「FORS1」でより広い視野を補完しています

初見では物静かで物足りなさを感じる天体に様に見えますが、画像の光の点を1つ1つ注視することで、様々な形をした銀河が散りばめられていることが分かります。それはまさに、チリメンジャコやシラスに混じったチリメンモンスターを探すかの様なワクワク感がそこにはあります

また、スピッツァー宇宙望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡「ACS」「WFPC2」による別の写真では、大質量の天体によって重力が光を捻じ曲げる「重力レンズ」などの光学現象や、奇妙な構造を確認することができます

「パンドラ銀河団(Pandora’s Cluster)」の名称は、複数の巨大銀河の衝突によって形成された奇妙で複雑な構造から名付けられました。なお、衝突に関係した巨大銀河は少なくとも4つ以上であると考えられています

スピッツァー宇宙望遠鏡が捉えたパンドラ銀河団
▲スピッツァー宇宙望遠鏡が捉えたパンドラ銀河団

ACSとWFPC3のデータを合わせた画像
▲ACSとWFPC3のデータを合わせた画像

Image Credit:NASA, ESA, ESO and D. Coe (STScI)/J. Merten (Heidelberg/Bologna)

2018/12/1
Soraeより

かみのけ座銀河団に22,426個もの球状星団

Posted by moonrainbow on 12.2018 銀河団   0 comments   0 trackback
銀河間に散在する無数の球状星団

かみのけ座銀河団
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、かみのけ座銀河団のモザイク合成画像。画像の横幅は約22万光年に相当する。(提供:NASA, ESA, J. Mack (STScI), and J. Madrid (Australian Telescope National Facility)、以下同)

ハッブル宇宙望遠鏡の観測画像から、かみのけ座銀河団に含まれる銀河同士の間に、22,426個もの球状星団が存在している様子が明らかになりました

地球から約3.2億光年の距離に位置する「かみのけ座銀河団」には、1000個以上の銀河が密集しています。その領域内には銀河だけでなく、銀河から離れた多数の球状星団も存在しています。また、電磁波では観測できないが、重力の影響からその存在を知ることができるダークマターも銀河団内に分布しています。銀河団内のダークマターの分布の様子を調べるには、銀河よりも小さく数が多い球状星団のほうが良い指標となります

オーストラリア国立望遠鏡機構のJuan Madridさんたちの研究チームは銀河団内の球状星団を見つけるため、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)で過去に行われてきたかみのけ座銀河団の画像を集めて、銀河団のモザイク合成画像を作成しました。Madridさんが球状星団の分布を調べようと思ったきっかけは「HSTで撮影されたかみのけ座銀河団の銀河の画像は、どれにも球状星団が写っていた」ことです

Madridさんたちはさらに、球状星団が古い星で占められているために赤っぽく見えることや、(その名の通り)丸く写るという特徴を利用して、球状星団とそれ以外の天体(ほとんどは銀河団より遠くにある無関係の銀河)とを区別するアルゴリズムを開発しました

そのアルゴリズムをかみのけ座銀河団の画像に適用したところ、銀河団の中心領域に位置する複数の銀河の間に、22,426個もの球状星団の候補天体が検出された。これらの天体は銀河同士の接近によって、母銀河から離れて銀河間に散ってしまったものと考えられています。さらに、一部の球状星団が橋のように整列している様子も見られ、これも銀河同士の相互作用の影響と考えらえています

かみのけ座銀河団の一部
かみのけ座銀河団の一部。青緑色の丸が球状星団の候補天体

HSTは高い感度と解像度を備えた優れた宇宙望遠鏡ですが、視野が狭い点が玉に瑕です。「NASAが計画中の『近赤外線広視野サーベイ望遠鏡(WFIRST)』では、銀河団全体を一度に観測することができます。広視野を活かした、驚くような成果がもたらされることでしょう」(Madridさん)。

2018年12月5日
AstroArtsより
 

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