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新星のリチウム生成量には多様性がある?

Posted by moonrainbow on 16.2021 ニュース   0 comments   0 trackback
すばる望遠鏡による観測成果

リチウムが生成される様子
【▲ 新星においてリチウムが生成される様子を描いたイメージ図(Credit: 京都産業大学)】

元素の周期表を覚える方法のひとつに「水兵リーベ僕の船……」で始まる語呂合わせがあります。リーベの「リ」にあたる元素のリチウム(Li)は、身近なところではスマートフォンなどで使われるバッテリーの原料として利用されており、現代社会に欠かせない元素のひとつと言えます

京都産業大学・神山(こうやま)天文台の新井彰氏らの研究グループは、白色矮星と恒星からなる連星で起きる爆発現象「新星」のひとつを観測したところ、生成されるリチウムの量が他の新星と比べて少なかったとする研究成果を発表しました。

新星とは、恒星から白色矮星へとガスが降り積もり続けた結果、白色矮星の表面で水素の暴走的な核融合反応が起きるとされる現象です。星全体が吹き飛ぶ超新星とは違い、新星は短い場合は数十年ごとに繰り返し出現することもあります。研究グループは今回の成果について、新星の爆発メカニズムと宇宙における物質進化の双方を理解する上で重要なものだとしています


■生成されるリチウムの量は新星によって大きな差がある可能性

初期の宇宙に存在していた元素の大半は水素とヘリウムで、重元素(水素やヘリウムよりも重い元素)は恒星内部の核融合や宇宙線の作用、あるいは新星や超新星のような激しい現象によって生成されてきたと考えられています。私たち人間をはじめとした地球の生命を形作る炭素、酸素、窒素といった元素も、もとをたどれば星によって生み出されたものなのです。

いっぽう、重元素のなかでも一番軽いリチウムの場合、一部は水素やヘリウムとともにビッグバンで合成されたとみられるものの、大部分(リチウム全体のおよそ9割)は恒星の核融合反応や新星・超新星などによってビッグバン後に生成されたものだと考えられています。

このうち新星については、2013年8月に出現した新星「いるか座V339」(V339 Del)の観測において、国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」の観測装置「高分散分光器(HDS)」によってリチウムのもとになるベリリウム7(7Be)が検出されました。ベリリウム7はベリリウムの同位体(半減期は約53日)で、電子捕獲によってリチウム7(7Li)に変化します。すばる望遠鏡によって初めて観測的な証拠が得られたことで、新星はリチウムの供給源として有力視されてきました。

研究グループは今回、2015年9月に出現した新星「いて座V5669」(V5669 Sgr)をすばる望遠鏡で観測し、この新星でベリリウムを介してリチウムが生成される様子を調べました。新星でのリチウム生成が観測されたのはこれが史上8例目で、そのうち4例はすばる望遠鏡による成果とされています。観測の結果、いて座V5669で推定されるリチウムの生成量は過去に観測された新星と比べて数パーセントと少なく、新星によって生成されるリチウムの量には100倍ほどの幅があることが明らかになりました


リチウムが生成される核反応を示した図
【▲ 新星においてリチウムが生成される核反応を示した図。爆発が起きると白色矮星表面でヘリウム3(3He)とヘリウム4(4He)からベリリウム7(7Be)が一気に生成され、ベリリウム7の電子捕獲によってリチウム7(7Li)がゆっくりと生成される(Credit: 国立天文台)】

研究グループによると、従来の観測結果からは天の川銀河に存在するリチウムの大部分が新星によって生成されたことを説明できていたものの、今回の観測結果は新星によるリチウムの生成量が少ない場合もあることを示しており、ビッグバン後のリチウム生成には新星以外にも超新星などが寄与している可能性が示唆されるといいます。

研究グループでは今後、新星が起きた連星の物理的性質を詳しく調べることで、リチウムの生成量に多様性が生じる理由を解き明かし、天の川銀河における元素組成の進化について理解が進むことに期待しています


Image Credit: 京都産業大学

2021-07-09
Soraeより

ベテルギウス「大減光」

Posted by moonrainbow on 23.2021 ニュース   0 comments   0 trackback
ベテルギウス「大減光」の理由を解明か、最新の研究成果が発表される
2021-06-17松村武宏
観測装置「SPHERE」を使って撮影されたベテルギウス
【▲ 超大型望遠鏡(VLT)の観測装置「SPHERE」を使って撮影されたベテルギウス。左から2019年1月、2019年12月、2020年1月、2020年3月に撮影(Credit: ESO/M. Montargès et al.)】

こちらは、ヨーロッパ南天天文台(ESO)のパラナル天文台にある「超大型望遠鏡(VLT:Very Large Telescope)」の観測装置「SPHERE」を使って撮影された、オリオン座の赤色超巨星「ベテルギウス」です。左から順に2019年1月、2019年12月、2020年1月、2020年3月に撮影されたものですが、2019年12月から2020年3月にかけてのベテルギウスは一部が暗くなっていることがわかります。

ベテルギウスは約420日周期で明るさが変わる脈動変光星(膨張と収縮を繰り返すことで明るさが変化する変光星の一種)として知られていて、その見かけの明るさは通常0.1等~1.0等ほどの範囲で変化します。ところが、2019年10月から2020年2月にかけて観測された減光は大幅なもので、一時は約1.6等まで暗くなりました


2020年1月に撮影された画
【▲ ベテルギウスの大幅な減光が進行していた2020年1月に撮影された画像。特に右下の部分が暗くなっている(Credit: ESO/M. Montargès et al.)】

冒頭の画像を撮影したMiguel Montargès氏(パリ天文台/ルーヴェン・カトリック大学)らの研究グループによると、減光中のベテルギウスは南側の半球の可視光線での明るさが通常の10分の1まで暗くなったといいます。明るさは2020年4月には普段の水準に戻りましたが、ベテルギウスはやがて超新星爆発に至ると考えられていることから、この「大減光」は近いうちに超新星爆発が観測される兆候ではないかとして注目を集めました。

今回Montargès氏らは、ベテルギウスの大幅な減光の原因に関する新たな研究成果を発表しました。研究グループが導き出した「大減光」のシナリオによると、まずベテルギウスからガスの大きな塊が放出されて遠ざかり始め、続いてベテルギウスの表面(光球)の温度が局所的に低下します。一部表面の温度低下は放出されたガスの温度低下を招き、温度が下がって凝縮したガスからは固体の塵が形成されます。この塵が集まってできた雲が地球から見てベテルギウスの一部を隠したことで、通常よりも大幅な減光として観測されたのではないかというわけです


Artist’s animation of Betelgeuse and its dusty veil


▲形成された塵の雲がベテルギウスの一部を隠す様子を示したアニメーション▲
(Credit: ESO/L. Calçada)

赤色超巨星は超新星爆発を起こす前に周囲へガスや塵を放出すると考えられています。放出された物質は新たな恒星や惑星といった天体の材料になるだけでなく、場合によっては生命の構成要素になる可能性もあります。研究を率いたMontargès氏が「私たちはスターダスト(星くず、宇宙塵)の形成を直に目撃したのです」と語るように、肉眼でも観測できた今回のベテルギウスの大幅な減光は、将来地球のような惑星や生命を形作るかもしれない塵が新たに形成されたために起きた可能性があるのです

なお、ベテルギウスの大幅な減光については、「塵の雲によってベテルギウスの一部が隠された」ことが原因だとする説と、「ベテルギウスの表面に生じた黒点がもたらした温度低下」が原因だとする説がこれまでに提唱されていました。Montargès氏らが描くシナリオでは、ガスの放出に続くベテルギウス表面の局所的な温度低下が塵の雲の形成を招いて減光が観測されたと考えられており、提唱された2つの原因がどちらも関わっていた可能性が示されています。

ちなみに発表では今回の成果について、ベテルギウスの「大減光」が超新星爆発の初期兆候ではないことを示すものだとしています。研究グループは現在建設中の「欧州超大型望遠鏡(ELT:Extremely Large Telescope)」によってベテルギウスのより詳細な撮像が実現するとともに、直接撮像できる赤色超巨星の数が増えることで、赤色超巨星の謎の解明が進むことに期待を寄せています


Image Credit: ESO/M. Montargès et al.

Soraeより

分子雲から星が誕生する様子のシミュレーション動画

Posted by moonrainbow on 28.2021 ニュース   0 comments   0 trackback
巨大な分子雲から星が誕生する様子を再現したシミュレーション動画

「STARFORGE」による星形成のシミュレーションより
【▲「STARFORGE」による星形成のシミュレーションより(Credit: Northwestern University/UT Austin)】

夜空に輝く星々は、ガスや塵が集まった冷たい分子雲から誕生すると考えられています。分子雲のなかでも特に密度の高い部分が重力で収縮すると、星の赤ちゃんと言える原始星が誕生します。原始星は周囲のガスを集めて成長しつつジェットを噴出し、中心で水素の核融合反応が始まると恒星として輝きを放つようになるのです

こちらは、そんな星の誕生を再現したシミュレーション動画。太陽2万個分の質量がある巨大な分子雲における星形成の様子が精密に再現されています。動画が始まるとすぐに分子雲の密度に変化が生じ、あちこちに白い点が現れます。やがて、幾つもの白い点からオレンジ色で示されたジェットが活発に噴出する様子がみられるようになったところで、シミュレーションは終了します。左下に表示されているスケールバーの長さは32.6光年(10パーセク)を示していて、左上にはシミュレーション開始時点からの経過時間(1 Myr=100万年)が示されています

STARFORGE: The Anvil of Creation


▲STARFORGEによる星形成のシミュレーション動画「STARFORGE: The Anvil of Creation」▲
(Credit: Northwestern University/UT Austin)

このシミュレーション動画は、ノースウエスタン大学やテキサス大学オースティン校などの研究者らが開発した「STARFORGE」と呼ばれる3次元磁気流体力学シミュレーション用のフレームワークを用いて作成されました。STARFORGEは「Star Formation in Gaseous Environments」(ガス環境における星形成)を縮めたもので、「星の鍛冶場」(forgeは鍛冶場の炉や鍛冶場そのものを意味する)とも読めます。動画はSTARFORGEによる最初の完全な星形成のシミュレーションを示したもので、シミュレートされた分子雲は研究者から「Anvil of Creation」、日本語で「創造の金床(かなとこ)」と呼ばれているそうです。

STARFORGEは、星の質量がどのようにして決まるのか、なぜ星は星団で形成される傾向があるのかといった、星形成に関する疑問の解明に取り組むために開発されました。シミュレーションでは原始星ジェット、紫外線から赤外線に至る電磁波、恒星風、分子雲の近くで起こる超新星爆発などの影響が、分子雲内部における個々の星形成とともに考慮されています。

ノースウエスタン大学によるとSTARFORGEはすでに成果をあげており、星の質量を決める上で原始星ジェットが重要な役割を果たしていることが明らかになったとされています。シミュレーションから原始星ジェットの影響を除外すると星の質量が大きくなりすぎるいっぽうで、原始星ジェットの影響を考慮すればはるかに現実的な質量の星が誕生するといいます。

開発に参加したノースウエスタン大学のMichael Grudić氏は「星形成を理解すれば、銀河の形成を理解できます。銀河の形成を理解すれば、宇宙が何でできているのかをより理解することができます。人類がどこから来たのか、宇宙においてどのように位置付けられるのかを理解するには、突き詰めれば星の起源を理解することにかかっているのです」と語っています


Image Credit: Northwestern University/UT Austin

2021-05-20
Soraeより

周期的でパルスのようなX線の放射

Posted by moonrainbow on 27.2021 ニュース   0 comments   0 trackback
可視光線では静穏、X線では爆発的に輝く銀河中心核

eROSITAの全天観測で初めて発見
準周期的X線変動が見られた1つ目の銀河の可視光線画像とX線の光度変化
eROSITAの全天観測で初めて発見された準周期的X線変動が見られた銀河、くじら座の2MASS 02314715-1020112(赤方偏移z=0.05)。緑の線はNICERによって得られたX線の光度変化で、X線変動の最大から最小までの時間は約18.5時間である(提供:MPE; optical image: DESI Legacy Imaging Surveys, Legacy Surveys / D. Lang (Perimeter Institute)、以下同)

静穏と考えられていた2つの銀河で、ほぼ周期的でパルスのようなX線の放射が見つかった。従来観測が難しかった、比較的低質量の銀河中心ブラックホールを研究する新たな切り口となるかもしれない

遠方の宇宙には、銀河の中心核が残りの銀河全体よりも明るく輝く天体が存在する。この輝きは中心に位置する超大質量ブラックホールが物質を引き寄せる過程で生じるエネルギーによるものだ。天の川銀河や他の多くの銀河の中心にも超大質量ブラックホールはあるが、活動的な銀河中心核と比べれば質量が一回り小さく、また周囲に取り込む物質がほとんど残ってないため、それほど目立たない。

そうした静穏な銀河中心核の中にも、X線の眼で見れば爆発的に輝いているものが存在するようだ。独・マックスプランク地球外物理学研究所のRiccardo Arcodiaさんたちの国際研究チームは、X線望遠鏡eROSITAによる観測から、これまで静穏と考えられていた2つの銀河に、ほぼ周期的で巨大なパルスのようなX線放射があることを発見した。eROSITAは露独のX線天文衛星Spektr-RGに搭載された装置で、X線で全天を掃天観測しており、あらゆる方向を継続的に複数回観測しているため、突発的な天体現象を探すのに適している。

ヨーロッパ宇宙機関のX線天文衛星XMMニュートンと国際宇宙ステーションに搭載された中性子星観測装置「NICER」による追観測結果と合わせると、これらの2天体にはいずれもわずか数時間の間に振幅の大きいX線の変動が見られた。ピーク時に発するX線の強さは、一つの銀河全体が発するX線に匹敵するほどのものだ。

一方、日本の光・赤外線天文学大学間連携(OISTER Web)による観測などからは、2つの銀河には活動銀河核のようなスペクトルや光度変化は見られなかった。このことから、X線の準周期的変動を引き起こしている原因は大量の物質がブラックホールに流れ込んでいることではないとみられ、ブラックホールの周囲を公転する恒星や白色矮星程度の質量が小さな天体だろうと考えられている


準周期的X線変動が見られた銀河
準周期的X線変動が見られた2つ目の銀河の可視光線画像とX線の光度変化
eROSITAで2番目に発見された準周期的X線変動が見られた銀河、エリダヌス座の2MASX J02344872-4419325(赤方偏移z=0.02)。紫の線はXMMニュートンによって得られたX線の光度変化で、約2.4時間周期の変動が見られる

超大質量ブラックホールの周りを回る恒星質量天体は、重力波を放ちながら少しずつ軌道が小さくなると予想される。そのため、将来の重力波望遠鏡による観測対象としても期待されている。X線による観測を重ねることで、小天体が公転しているというシナリオが合っていることが確認されれば、重力波と電磁波といった複数の経路から天体を調べる「マルチメッセンジャー天文学」の新たな可能性が開かれそうだ

2021年5月20
AstroArtsより

天の川銀河のハローの全天地図が作成される

Posted by moonrainbow on 07.2021 ニュース   0 comments   0 trackback
ダークマター解明に貢献

天の川銀河と大マゼラン雲の画像
【▲ 天の川銀河のハローの外側の部分の全天地図に天の川銀河と大マゼラン雲の画像を重ね合わせた合成画像。明るくなるほど、恒星の密度が高くなっている。左下に見えている丸で囲われた明るい部分は大マゼラン雲の通過によってつくられた軌跡(wake)になる(Credit:NASA/ESA/JPL-Caltech/Conroy et. al. 2021)】

NASAは2021年4月21日、ハーバード大学のチャーリー・コンロイさんなどからなる研究チームが、天の川銀河のハローの外側の部分の全天地図を作成したと発表しました。研究チームによれば、この領域の全天地図が作成されたのは今回が初めてで、ダークマターの研究などに大きく貢献できるといいます

私達の天の川銀河では、直径10万光年ほどの銀河円盤部の外側にハローと呼ばれる広大な領域が広がっています。

ハローは、銀河円盤部を球状に取り囲んでいて、すばる望遠鏡を使った国立天文台などの研究チームの研究成果によれば、その直径は100万光年を超えると考えられています。このようなハローには古い恒星や球状星団が低い密度で散在しています。

研究チームは、ESAの位置天文衛星ガイアとNASAの近地球物体広視野赤外線探査衛星NEOWISEの観測データを使って、天の川銀河のハローの外側の部分(天の川銀河の中心から20万光年~32万5,000光年ほどの領域)における全天地図を作成しました。これまで天の川銀河のハローのもっと内側の部分の地図はつくられていましたが、この領域の全天地図がつくられたのはこれが初めてとなります。

この今回の全天地図で、注目していただきたいのは、画像の左下に見えている、丸で囲われた、ひときわ明るく、恒星の密度が高い部分です。

この部分は、大マゼラン雲が、ハロー内を移動した際に、その重力的な影響によってつくられた、いわば大マゼラン雲の移動の軌跡(wake)です。これまでの研究から、このような軌跡が存在することは示唆されていましたが、実際に存在することが確認され、その詳細な形、大きさ、位置が明らかになったのは、これが初めてとなります。

研究チームによれば、恒星の分布はダークマターの分布の現れと考えられるために、この軌跡を詳しく調べることで、ダークマターの性質をよりよく理解することができるといいます。また、大マゼラン雲は約20億年後には天の川銀河と衝突すると考えられているために、この軌跡を詳しく調べることで、ダークマターを含む銀河同士の衝突などの相互作用の理解も深めることができるそうです


Simulation of Dark Matter in the Milky Way Halo


【▲ 今回の全天地図を基にシミュレーションによって作成された大マゼラン雲によってつくられたダークマターの軌跡の3D動画(Astronomers Release New All-Sky Map of Milky Way’s Outer Reaches | NASA)】

2021-04-26
Soraeより
 

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