fc2ブログ

星の周りで有機物に取り込まれる窒素と重水素

Posted by moonrainbow on 15.2023 ニュース   0 comments   0 trackback
星の周りで有機物に取り込まれる窒素と重水素

いて座方向に位置するAFGL 2006
いて座方向に位置するAFGL 2006。赤外線(3.6-5.8μm)の擬似カラー画像。水色の長方形が赤外線衛星「あかり」でスペクトルを取得した領域(提供:東京大学リリース、以下同)

若い大質量星の周りで、窒素が複雑な有機分子に取り込まれる過程の第一歩であるシアネートイオンが確認された。また、重水素が有機物に取り込まれる形で潜んでいることもわかった

窒素は生命の材料となるアミノ酸に欠かせない元素だ。小惑星探査機「はやぶさ2」の探査結果などから、アミノ酸は太陽系外縁部の低温環境下で生成されたと考えられている。だが窒素がどのような過程で有機分子に取り込まれてアミノ酸へ成長するかは、まだ十分に理解されていない。

また、重水素はビッグバン直後に生成された後、恒星内部の核融合反応で徐々に減少したと考えられていて、宇宙における物質進化の重要な指標とされている。ところが宇宙空間で実際に観測される重水素の量は理論よりも少なく、どこに潜んでいるかは不明のままだった。

これら2種類の元素について調べるため、明星大学の尾中敬さんたちの研究チームは、日本の赤外線天文衛星「あかり」が観測した若い大質量星「AFGL 2006」周辺の近赤外線分光スペクトルを詳細に解析した。AFGL 2006の周辺には物質が比較的高密度に集まった低温の領域があり、星が発する強い紫外線を受けた化学反応が進んでいると考えられる。

解析の結果、AFGL 2006周辺から、窒素を含む低温の有機化合物であるシアネートイオン(OCN-)による吸収スペクトルが検出された。シアネートイオンは窒素が複雑な有機分子に成長する初期段階と考えられていて、その生成には紫外線が関与しているという説がある。今回の解析結果では、紫外線強度が高い領域ほどシアネートイオンの存在量も多いという傾向が見られ、窒素の取り込みに紫外線が重要な役割を果たしていることが裏付けられた。

さらに、有機物の一種である芳香族炭化水素で、炭素に結合しているのが通常の水素ではなく重水素だった場合に発する赤外線も検出された。生命の材料としても注目される多環芳香族炭化水素(PAH)からの赤外線も同じ領域で観測されているため、低温環境下で重水素がPAHに取り込まれている可能性を示す結果だ


「あかり」が取得したAFGL 2006
AFGL 2006の近赤外線スペクトル
(a)「あかり」が取得したAFGL 2006の近赤外線スペクトルの例(黒線)。低温の領域によく観測される水の氷、二酸化炭素の氷の吸収が3μm、4.26μmに見られる。加えて、3.3μmには多環芳香族炭化水素の炭素と水素の結合の特徴を表す輝線バンド、4.05μmには水素原子の遷移輝線が見られ、さらに4.65μmには複雑な構造を持つ吸収線が見られる。(b)4.65μmの吸収線を吸収の深さに変換し、それぞれの成分に分けた図。緑は予想される水素の輝線を示すし、紫、灰色、橙の線はそれぞれ、シアネートイオン、一酸化炭素の氷およびガスの吸収を示す。赤線は全体を組み合わせて観測にフィットしたモデルスペクトルを表す。(c)4.4μmに見られる多環芳香族炭化水素の炭素と重水素の結合に起因する超過成分を取り出した拡大図

今回、若い大質量星の周辺における窒素と重水素それぞれの足取りをたどる重要な手がかりが得られた。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の赤外線観測により、さらに詳しいことが明らかになるだろう

AFGL 2006の想像図
AFGL 2006の想像図。中心にあるAFGL 2006が紫外線を放射し、周りのガスを電離している。その周りを中性ガスがとりまき、観測者との間にはシアネートイオンを含む氷の層がある。4.4μmの重水素―炭素結合による超過は氷の層と中性ガスの境界近くで放射されていると考えられる

2023年1月10日
AstroArtsより

天文学史上最も明るいガンマ線バースト

Posted by moonrainbow on 22.2022 ニュース   0 comments   0 trackback
天文学史上最も明るいガンマ線バースト 観測に成功

天文学史上最も明るいガンマ線バースト 観測
ガンマ線バースト「GRB 221009A」の最初の検出から約1時間後の残光。明るい輪ができるのは、バーストの方向にある天の川銀河内のダスト(塵、ちり)の層でX線が散乱されるため。米航空宇宙局のガンマ線観測衛星スウィフト搭載のX線望遠鏡で撮影(2022年10月14日提供)。

天文学史上最も明るい閃光(せんこう)現象が今月、観測された。地球から24億光年の距離で、ブラックホールの形成によって発生した可能性が高い

 最も高エネルギーの電磁波であるガンマ線の閃光現象「ガンマ線バースト」が最初に観測されたのは、今月9日。その後も世界中で残光が観測された。

 天体物理学者のブレンダン・オコナー(Brendan O'Connor)氏は、今回観測されたような数百秒間持続するガンマ線バーストは、太陽の30倍以上の大質量星が最期を迎える際に起きると考えられるとAFPに話した。

 大質量星が超新星爆発し、崩壊してブラックホールになると、引き寄せられた物質の円盤が周囲に形成される。物質が内側に落下すると、光速の99.99%の速度でエネルギーのジェットとして噴出される。

 今回観測された閃光で放出された光子のエネルギーは、過去最高の18テラ電子ボルト(18の後に0が12個並ぶ値)で、地球の電離層における長波無線通信に影響を及ぼした。

「地球に到達している光子の量とエネルギーの両方で記録更新だ」とオコナー氏は指摘する。

 同氏は14日早朝、南米チリにあるジェミニ南望遠鏡(Gemini South Telescope)に搭載の赤外線装置を使って新たな観測データを取得した。「これほど明るく、これほど近いものは、まさに100年に一度の事象だ」と興奮気味に語った


2022年10月22日
AFPより

宇宙飛行士の血液の突然変異

Posted by moonrainbow on 27.2022 ニュース   3 comments   0 trackback
調査したすべての宇宙飛行士の血液に特定の突然変異を発見

突然変異

宇宙飛行士の血液の突然変異
 
宇宙飛行を行ったNASAの宇宙飛行士14人の血液を調べたところ、全員のDNAに突然変異が起きていたことがわかったそうだ。

 突然変異が見つかったのは「造血幹細胞」のDNAで、「体細胞変異」と呼ばれる変異だ。

 すぐに病気になるような深刻なものではないと考えられているが、宇宙線などの宇宙環境が関係すると考えられるため、引退後も含め、宇宙飛行士のキャリアを通じた健康診断の重要性を浮き彫りにしている。

 この結果は、『Nature Communications Biology』(2022年8月17日付)で報告された


調査した全員の宇宙飛行士の血液に突然変異

 「体細胞変異」とは、遺伝的なDNAの変異とは異なり,分化や生育の過程で、一部の細胞が獲得したDNAの変異のことだ。

 今回確認された体細胞変異は「クローン性造血」と呼ばれるもので、単一の血液細胞から生じたクローンの割合が高くなるのが特徴だ。

 クローン性造血は、過度な紫外線を浴びたり、化学療法や放射線治療などのストレスを受けたりすることで発症する。

 そのため、今回調査した全員の宇宙飛行士で見られた突然変異は、宇宙線を浴びたことが原因と考えられている。

 米マウントサイナイ医科大学のデビッド・グーカシアン教授は、
宇宙飛行士は、宇宙線をはじめとする、体細胞に突然変異を起こす要因がいくつもある極限環境で作業します。

そのため、そうした突然変異がクローン性造血につながるリスクが高まります
 と、プレスリリースで説明する


突然変異1
photo by Unsplash
 
調査対象となったのは、1998年から2001年にかけて宇宙に行ったNASAの宇宙飛行士14人。比較的短期間のミッション(中央値12日)で、6人は初めてのミッションだった。

 驚くべきは、比較的若かった(中央値42歳)にもかかわらず、彼らに見られた突然変異が高齢者のものに似ていたことだ。

 「観察されたクローン性造血は比較的軽微なものでしたが、比較的若く、健康な宇宙飛行士であることを考えれば驚きです」と、グーカシアン教授は話す


突然変異2
photo by Unsplash

キャリアを通じた健康診断が大切
 
クローン性造血は、血液がんの前段階の状態で、心臓や血管の病気とも関係する。だからといって、必ずしも宇宙飛行士がそうした重い病気にかかるわけではないという。

 それでも、長期間宇宙の極限環境にさらされれば、そうなるリスクは高まる。

 今後人類は月や火星を目指し、より長期的なミッションに挑むことになる。そうした中、今回の研究は、引退後も含め、宇宙飛行士のキャリアを通じた健康診断の大切さを伝えてくれている。

 なお宇宙飛行士の健康はちょうどタイムリーな話題かもしれない。昨年、NASAは宇宙飛行士が浴びてもいい放射線の基準を変更しようと提案したばかりだ。

 それによれば、若い宇宙飛行士ほど基準が引き上げられ、また男女の違いもなくす方向で検討しているそうだ


2022年09月19日
カラパイアより

地球外で初のりゅうぐう試料に水を確認

Posted by moonrainbow on 23.2022 ニュース   0 comments   0 trackback
りゅうぐう試料に水を確認 地球外で初、海の起源解明に期待 東北大、JAXAなど解析

りゅうぐう試料に水を確認1

りゅうぐう試料に水を確認
小惑星「りゅうぐう」の試料に含まれる硫化鉄結晶(六角形)。内部の穴(中央)から水が見つかった(NASA/JSC・東北大提供)

 探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」から持ち帰った砂などの試料に水が含まれているのを確認したと、東北大や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの研究チームが22日付の米科学誌サイエンスで発表した。鉱物と結合した分子などの形で水が確認された例はあったが、地球外で採取された試料から、常温では液体となる状態で見つかったのは初めてといい、地球の海の起源解明などにつながる成果だと期待される

 東北大の中村智樹教授らは、はやぶさ2が持ち帰った試料から大きさ1~8ミリの砂粒17個を、大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)などで分析。内部構造や鉱物の組成、硬さなどの性質を詳細に調べたところ、試料内の硫化鉄結晶に微小な穴があり、内部に水が閉じ込められているのが見つかった。

 成分に塩や有機物のほか、二酸化炭素(CO2)が含まれる「炭酸水」で、りゅうぐうの元となった母天体の内部で硫化鉄結晶が形成された際に取り込まれたと分かった。

 分析結果に基づくシミュレーションから、母天体は約46億年前の太陽系誕生から約200万年後に太陽系外縁で生まれ、直径100キロ程度で水と岩石の体積比が1対1と水が豊富だったことも判明。その後、地球に近い軌道に移動し、天体が衝突して生じた破片が集まって現在のりゅうぐう(直径約900メートル)が生まれたと考えられるという。この過程で水は宇宙空間に蒸発したため、現在のりゅうぐうにはほとんど残っていない。

 中村教授は「見つかったのは、母天体に大量にあった水と同じだ。こういう天体がぶつかれば、地球に水が供給されることになる。有機物や塩も含まれており、地球の海や有機物の起源に直接関わるような証拠を発見できた」と話した


2022年9月23日
時事通信より

中国が開発を進める深宇宙探査機

Posted by moonrainbow on 13.2022 ニュース   0 comments   0 trackback
中国が開発を進める深宇宙探査機 電気推進の電源に原子力の利用を想定

中国が計画中
【▲ 中国が計画中の海王星探査機で使用される原子力を利用した電源システムの構造を示した図(Credit: SciEngine/Yu, Goubin et al. (2022))】

アメリカ航空宇宙局(NASA)は、いわゆる「深宇宙」でも天王星や海王星など遠くの惑星へと向かう探査計画として、天王星を探査する「ウラヌス・オービター・プローブ」ミッションを検討しています。そのいっぽう、中国では海王星の衛星「トリトン」に探査機を送るミッションが計画されています

中国国家航天局(CNSA)、中国科学院(CAS)、中国国家原子能機構(CAEA)、中国空間技術研究院(CAST)から構成される研究グループは、Scientia Sinica Technologica誌にてトリトンの探査計画を公表しました。同論文によると、探査機の電源として原子力エネルギーが活用される予定だといいます。

天王星や海王星のような「アイス・ジャイアント(巨大氷惑星)」には、科学において重要な発見が含まれている可能性があるといいます。特に、海王星最大の衛星であるトリトンは海王星の自転に逆行して公転する逆行衛星であることや、その組成が冥王星と似ていることから、もともとは海王星の外側にある「エッジワース・カイパーベルト」で形成された準惑星であり、海王星の重力によってカイパーベルトから引き抜かれたと推測されています。

こうした背景から、海王星の軌道力学を研究することで、太陽系がどのように形成・進化し、生命の誕生に至ったのかについての解答が与えられうるといいます


原子力エネルギーが活用される背景

海王星探査機の構造
【▲ 中国が計画中の海王星探査機の構造を示した図(Credit: SciEngine/Yu, Goubin et al. (2022))】

研究グループがトリトンへ送る探査機の電源として想定しているのが、原子力エネルギーです。研究グループによると、探査機の質量を3000kg以下、探査機の寿命を15年以上と仮定すると、電気推進に8kWe、ペイロードに2kWe、合計で10kWe以上もの電力供給が必要だといいます。ところが、太陽エネルギーの量は距離の2乗に反比例するため、木星付近の光の強さは地球の約4%しかありません。そのため、太陽からより離れた深宇宙での探査を可能にするのは原子力エネルギーだけだといいます。

これまでにはNASAの火星探査車「Curiosity(キュリオシティ)」「Perseverance(パーシビアランス)」や、惑星探査機「Voyager(ボイジャー)」などで電源として原子力電池が使用されてきましたが、研究グループは原子力エネルギーから変換した電気を探査機の電気推進システムで利用することを考えているといいます。ただし、エネルギー源として期待される「プルトニウム238」の場合、製造が難しく高価であるため、10kWe以上の電力需要を満たすだけのプルトニウムを用意するのが難しいようです


そこで、研究グループはプルトニウム238に代わるエネルギー源として「ウラン235」を考えています。ウラン235を用いたシステムは質量が大きいために電力供給の効率では劣るものの、化学推進よりも比推力が大きい(効率が良い)電気推進に多くのエネルギーを供給できるといいます。探査機には推力160mNの電気推進エンジンを4基搭載することが計画されており、このうち2基が同時に使用されます(残る2基はバックアップ)。参考として、日本の小惑星探査機「はやぶさ2」には推力10mNのイオンスラスターが4基搭載されており、最大3基を同時に使用できます。

目下のところ、深宇宙への探査計画は中国だけではありません。NASAもトリトンに探査機を送る「トライデント(Trident)」ミッションを構想していましたが、Planetary Science and Astrobiology Decadal Survey 2023–2032で断念されたことを報告。代わりに、天王星とその衛星に探査機を送る「ウラヌス・オービター・プローブ」ミッションを構想している模様です


トリトンに探査機
【▲トリトンに探査機を送るミッションのスケジュール案(Credit: SciEngine/Yu, Goubin et al. (2022))】

中国の研究グループは、2030年頃に探査機の打ち上げを実施し、木星の重力を利用することで、2036年に海王星へ到達すると予想しています。打ち上げの予定時期は複数想定されており、遅くとも2040年までに海王星へたどり着く必要があるとしています

Image Credit: SciEngine/Yu, Goubin et al. (2022)

2022-09-08
Soraeより
 

プロフィール

moonrainbow

Author:moonrainbow
昔、"地球の旅人"の頃




服と鞄と雑貨の販売をしています

カテゴリ

カレンダー

12 | 2023/01 | 02
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード