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地球の新たな準衛星「2023 FW13」

Posted by moonrainbow on 02.2023 衛星   0 comments   0 trackback
地球の新たな準衛星「2023 FW13」を発見 西暦3700年まで存在する “月のような天体”

地球の新たな準衛星「2023 FW13」
準衛星「2023 FW13」の想像図

地球の自然衛星は「月」だけであると一般的に言われますが、小さな小惑星の中には短期間だけ地球の “第2の月” となった例が知られています。しかしながら、地球の重力に捕らわれていた、つまり真に地球中心の軌道にいたことのある小惑星はこれまでに4例 (※1) しか知られていません

※1…人工物である可能性が高いものや流星を含まない。

一方で、見た目だけは自然衛星のように振る舞う小惑星も見つかっています。このようなタイプの小惑星を「準衛星」と呼びます。地球から観測した時に地球の周りをゆっくりと公転しているように見えることからそう呼ばれていますが、準衛
星の重力的な中心は地球ではなく太陽であり、月のように地球の重力に捕らわれている真の衛星とは無関係であると言えます。

地球の新たな準衛星「2023 FW13」1
図1: 準衛星の例であるKamoʻoalewa(2016 HO3)の軌道。地球もKamoʻoalewaも太陽を中心とした軌道を公転しているが、地球から見たKamoʻoalewaは地球を公転する衛星のような軌道を描く

準衛星である小惑星が衛星のような動きをしているように見えるのは、こうした小惑星が地球の公転軌道とほとんど同じ軌道を公転していて、なおかつ地球と小惑星の軌道が交差しているからです。準衛星の公転軌道は遠日点 (太陽から最も遠くなる軌道上の点) が地球の公転軌道の外側に、近日点 (太陽に最も近くなる軌道上の点) は内側にあります。遠日点では小惑星の速度は地球よりも遅くなるので、地球が小惑星を追い抜きます。反対に、近日点では小惑星の速度は地球よりも速くなるので、今度は小惑星が地球を追い抜きます。遠日点と近日点で抜きつ抜かれつを繰り返すことで、まるで小惑星が地球の周りを公転しているように見えるのです。

準衛星となる小惑星の軌道は長期的には安定しておらず、準衛星になる期間は地球にかなり接近している時のみとなります。普段はそのようには見えない運動をしているものの、短期間だけ準衛星のように見えると予測される小惑星は複数見つかっています。

一方で、現在(2023年4月22日時点)準衛星となっている小惑星は5個見つかっていますが、軌道が最も安定していると推定されている469219番小惑星「Kamoʻoalewa」 (※2) でも、準衛星である期間は約300年と推定されてます。

※2…一般的なカタカナ表記は「カモオアレワ」であるが、発音に近づけると「カモ・オーレヴァ」と表記できる


地球の新たな準衛星「2023 FW13」2
図2: 2023 FW13の、2023年から2052年までの公転の軌跡(緑色)。見た目上は地球(水色)の周りを公転しているように見える

このような背景の中で、最近発見された「2023 FW13」はかなり特異な準衛星であることが判明しました。2023 FW13は地球から約2700万km離れた位置にあり、直径は10mから20mと推定されている、かなり小さな小惑星です。

2023年3月28日に初めて観測された2023 FW13は、その後の調査でより古い撮影記録(最古のものは2012年5月21日)にも写っていたことが判明。軌道が解析された結果、2023 FW13は現在地球の準衛星となっている6個目の小惑星であることが判明しました。

さらなる軌道解析の結果から、2023 FW13の準衛星としての軌道は相当安定していることが判明しました。この小惑星は遅くとも紀元前100年から準衛星の軌道に入っており、少なくとも西暦3700年までは現在の軌道を維持すると考えられています。約3800年という軌道の安定度は、準衛星では文字通り桁違いの長さです。

2023 FW13のような準衛星は真の衛星ではありませんが、地球の近くに留まり続けるという点は共通しています。このような地球からの距離が比較的近い小惑星には数ヶ月で到達可能であるという利点があり、小惑星探査の目標や、あるいは火星のような長期の有人宇宙探査の練習台として利用できる可能性があります


Source
Minor Planet Electronic Circular. “MPEC 2023-G10 : 2023 FW13”. (Minor Planet Center)

2023年4月28日
sorae より

木星系探査機「JUICE(JUpiter ICy moons Explorerの略)」・日本語では「木星氷衛星探査計画」

Posted by moonrainbow on 21.2023 衛星   0 comments   0 trackback
ESAの木星系探査機「JUICE」打ち上げ成功 8年に渡る旅路がスタート

ESAの木星系探査機「JUICE」打ち上げ成功
ESAの木星系探査機「JUICE」を搭載した「アリアン5」ロケットの打ち上げ

アリアンスペースは2023年4月14日(日本時間)に、「アリアン5」ロケットの打ち上げを実施しました。搭載されていた欧州宇宙機関(ESA)の木星系探査機「JUICE」は所定の軌道へ無事に投入されたことを、アリアンスペースやESAが発表しています

打ち上げに関する情報は以下の通りです

■打ち上げ情報:アリアン5 ECA+(Flight V260)

ESAの木星系探査機「JUICE」打ち上げ成功1
JUICEミッションのイメージ図

ロケット:アリアン5 ECA+
打ち上げ日時:日本時間2023年4月14日21時14分【成功】
発射場:ギアナ宇宙センター(フランス領ギアナ)
ペイロード:JUICE

JUICE(JUpiter ICy moons Explorerの略)は欧州初の木星系探査ミッションで、日本語では「木星氷衛星探査計画」と呼ばれています。その名が示すように、JUICEの主な探査目標はガリレオ衛星とも呼ばれる木星の四大衛星のうち、エウロパ・ガニメデ・カリストの3つ。2031年7月に木星系へ到着してからは木星を周回しつつ3つの氷衛星をフライバイ観測し、2034年12月以降はガニメデの周回軌道に入って観測を行う計画です。

打ち上げ後、アリアン5第2段からの分離成功に続き、同日22時4分にはESAのニュー・ノーチャ地上局(オーストラリア)でJUICEからの信号を受信することに成功。同日22時33分には太陽電池アレイの展開にも成功したことが確認されました。

JUICEは木星へ直接向かうのではなく、地球と金星で合計4回のスイングバイ(太陽を公転する惑星の重力を利用して軌道を変更する方法)を繰り返して徐々に軌道を変更していきます。1回目となる地球-月スイングバイ(最初に月で、1日半後に地球でスイングバイを行う)の実施は2024年8月の予定です。

なお、今回は1997年10月から運用されているアリアン5の116回目の打ち上げとなりました。後継機の「アリアン6」ロケットに切り替えられるまで、あと1回の打ち上げが残されているということです


Source
Image Credit: ESA - M. Pédoussaut, ESA/ATG medialab, NASA/ESA/J. Nichols (University of Leicester), NASA/JPL, NASA/JPL/University of Arizona, NASA/JPL/DLR

2023年4月15日
sorae より

木星の衛星

Posted by moonrainbow on 19.2023 衛星   0 comments   0 trackback
木星の衛星が新たに4つ見つかる 最多の衛星を持つ惑星の地位を奪還

木星の既知の衛星64個
【▲ 図1: 木星の既知の衛星64個の軌道 (Image Credit: S. S. Sheppard) 】

「最も多くの (自然) 衛星を持つ惑星は何か?」という質問に答えるのは難しいものです。太陽系で最も大きな惑星の木星と、2番目に大きな惑星の土星が、最も多くの自然衛星を持つ惑星の地位を奪い合ってきたからです。木星と土星の衛星は2000年以降、地上からの観測だけでも数十個が新たに発見されています

観測した天体が衛星であると主張するには、複数回の観測結果をもとに惑星の周りを公転していることを示す必要がありますが、新発見の衛星はどれも小さくて暗く、観測すること自体が極めて困難です。また、これらの衛星は惑星から遠く離れた軌道を公転しており、公転周期が数か月から数年単位となるため、見た目の位置から公転周期を推定するには数年に渡る観測が必要となります。そのうえ、すでに発見済みの衛星やまだ見つかっていない別の衛星、無関係の小惑星などと区別する必要もあります。

こうした事情から、複数の衛星の発見が同時に報告・発表されることは珍しくなく、最初の観測から1年しか経過していないものと、10年以上経ったものがまとめて発表されることもしばしばです。このため、何個もの差をつけて最多の座を奪い合うこともあります。

この記事を執筆する以前は、最も多くの衛星を持つ惑星は土星でした。それまで最多だった木星の衛星は、2018年7月17日に発見されたヘルセ (S/2018 J 1) までで59個ありましたが、その後に土星で2019年10月7日に11個、2019年10月8日に9個の発見が報告されたことで、土星の衛星の総数は62個となりました。その後、木星と土星に1個ずつ衛星が追加され、木星は60個、土星は63個 (※) に。衛星の総数はそれぞれ増えたものの、順位は変わっていませんでした。

※…この数字は、土星のA環にある複数の小規模な塊、F環の周辺で観測された3個の衛星候補を含んでいません。これらは一時の観測以降は行方不明となっており、最長でも数年程度しか持続しない一時的な塊であったと推定されています


多数の衛星を発見していることで知られるスコット・S・シェパード氏は、2022年12月20日と2023年1月5日に合計4個の木星の衛星発見を報告し、小惑星電子回報に掲載されました。これにより木星の衛星の総数は64個となり、土星を超えて最も多くの衛星を持つ惑星となりました

今回発見された4つの衛星の一覧
【▲ 図2: 今回発見された4つの衛星の一覧 (Image Credit: 彩恵りり) 】

4つの衛星にはまだ正式な名前が無く、それぞれ報告順に「S/2018 J 2」「S/2011 J 3」「S/2016 J 3」「S/2021 J 1」という仮符号が付けられています。S/の後の4桁の数字は初観測の年を表すため、古いものは2011年の初観測から報告まで10年以上かかったものがある一方、2021年の初観測から速やかに確定されたものもあるなど、諸条件により初観測から報告までの時間差が大きいことが分かります。

木星と土星の衛星が実際にいくつあるのかは不明です。例えば木星では、直径800m以上の大きさを持つ衛星は600個あるとも推定されています。いずれにしても、望遠鏡の精度向上によって、これからも多数の衛星が発見される可能性は十分にあるでしょう。

Minor Planet Electronic Circular. - “MPEC 2022-Y68 : S/2018 J 2”. (Minor Planet Center)


2023-01-12
Soraeより

土星の衛星タイタンの最新画像

Posted by moonrainbow on 15.2022 衛星   0 comments   0 trackback
赤い星&地球みたい? 土星の衛星タイタンの最新画像をウェッブ宇宙望遠鏡が撮影

近赤外線カメラ(NIRCam)で撮影されたタイタン
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で撮影されたタイタン
【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で撮影されたタイタン(注釈なしバージョン)(Credit: NASA, ESA, CSA, A. Pagan (STScI), JWST Titan GTO Team)】

赤い天体と地球のような色合いの天体が2つ並んだこちらの画像、実はどちらも「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」の「近赤外線カメラ(NIRCam)」を使って2022年11月4日に撮影された、土星の衛星タイタンです。

ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えられない赤外線で主に観測を行うため、2つの画像は赤外線の波長に応じて着色されています。左はタイタンの下層大気に敏感な波長を捉えたもので(2.12μm:赤に割り当て)、北半球に浮かぶ2つの雲が写っています。

いっぽう、右は複数の波長で取得された画像を合成したものです(1.4μm:青、1.5μm:緑、2.0μm:赤、2.1μm:明るさに割り当て)。大気中の厚いヘイズ(もや)を透かして、タイタン最大の湖であるクラーケン海(Kraken Mare)や、高アルベド地形(明るい領域)のアディリ(Adiri)、暗い色の砂丘が広がるベレット(Belet)といった特徴的な地形が写っています


近赤外線カメラ(NIRCam)で撮影されたタイタン1
【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で撮影されたタイタン(注釈付きバージョン)(Credit: NASA, ESA, CSA, A. Pagan (STScI), JWST Titan GTO Team)】

ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げと観測開始は世界中の研究者から待ち望まれていました。濃い大気や炭化水素の湖があるタイタンを研究する科学者も例外ではなく、大気の組成や気象パターン、表面のアルベド地形を研究できる時が来るのを期待していたといいます。

今後もウェッブ宇宙望遠鏡のNIRCamや「中間赤外線装置(MIRI)」を使ったタイタンの観測が予定されており、大気を構成する気体のデータや、タイタンが高密度な大気を有する太陽系で唯一の衛星になった理由を解き明かす重要な手がかりが得られると期待されています。

冒頭の画像は欧州宇宙機関(ESA)やウェッブ宇宙望遠鏡を運用する米国宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)から2022年12月1日付で公開されています


Image Credit: NASA, ESA, CSA, A. Pagan (STScI), JWST Titan GTO Team

2022-12-07
Soraeより

探査機ジュノー、エウロパに接近飛行

Posted by moonrainbow on 11.2022 衛星   0 comments   0 trackback
探査機ジュノー、エウロパに接近飛行

「ジュノー」が撮影した画像
「ジュノー」が撮影した画像から作成されたエウロパのモザイク画像(提供:NASA / SWRI / MSSS / Jason Perry © CC NC SA)

NASAの木星探査機「ジュノー」が衛星エウロパをフライバイし、氷で覆われた表面を撮影した

NASAの木星探査機「ジュノー」が9月29日(日本時間)、衛星エウロパへのフライバイ(接近飛行)を実施し、表面から352kmの距離を通過した。探査機がエウロパに高度500km以下まで接近したのは、1979年に木星フライバイを行った探査機「ボイジャー」2号と、木星探査機「ガリレオ」に続いて3回目となった。ガリレオは2000年にエウロパの表面から351kmまで接近していて、今回はそれに迫る距離だ。

ジュノーはエウロパ上空を秒速23.6kmで通過しながら画像を撮影しただけでなく、木星の磁気圏とエウロパの相互作用、エウロパの内部や表面の組成および構造、さらに電離層に関する貴重なデータを取得した。これらのデータからエウロパの表面を覆う厚さ数kmの氷や、その下の様子がわかると期待される。氷の下には塩分を含んだ海が存在すると考えられていて、そこに生命に適した環境があるかどうかが大きな関心事となっている。

「ジュノーが取得した画像を過去のミッションのものと比較し、エウロパの表面の特徴が過去20年間で変化したかどうかを確認する予定です。今回の画像はこれまで低解像度だった領域を置き換え、エウロパの地図を埋めてくれることでしょう」(米・惑星科学研究所 Candy Hansenさん)


上空412kmから撮影
エウロパのクローズアップ
上空412kmから撮影されたエウロパのクローズアップ(提供:NASA/JPL-Caltech/SwRI)

今回のフライバイでジュノーは軌道を修正し、木星を1周する時間を43日から38日に短縮した。この後は2023年と2024年に、衛星イオへのフライバイを予定している

2022年10月6日
AstroArtsより
 

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