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電波ジェットが作られる仕組み

Posted by moonrainbow on 14.2022 科学   0 comments   0 trackback
巨大ブラックホールのフレアが電波ジェットを作り出す

M87銀河のジェット
M87のジェット
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したM87銀河のジェット(提供:NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA))

活動銀河核に見られる電波ジェットが作られる仕組みを説明する新モデルが提唱された。太陽フレアと同じ現象が巨大ブラックホールでも起こり、ジェットの源になるという

私たちの天の川銀河を含め、ほぼ全ての銀河の中心部には、太陽質量の数百万倍から数十億倍という超大質量ブラックホールが存在する。とくに活動的な巨大ブラックホール(活動銀河核)では、細く絞られたプラズマ流がほぼ光速で噴出するジェットがしばしば見られ、強い電波を放射することから「電波ジェット」と呼ばれる。電波ジェットを持つ活動銀河核の例としては、史上初めてブラックホールシャドウが撮影されたおとめ座の銀河M87などが有名だ。

しかし、こうした電波ジェットの生成メカニズムは謎のままだ。とくに、ジェットが加速されるエネルギー源が何なのか、ジェットの材料になるプラズマがどこから供給されるのかがよくわかっていない。エネルギー源の大もとはおそらくブラックホールの回転エネルギーだろうとされているが、ジェットにプラズマが供給される仕組みについては有力な理論がない。

ブラックホールの周囲には、ブラックホールに向かって落ち込む物質がプラズマの円盤(降着円盤)となって大量に存在しているが、ブラックホールのごく近くには強い磁場があって一種の「障壁」となっているため、降着円盤のプラズマを電波ジェットに直接運ぶことはできない。降着円盤から出る強いガンマ線がプラズマをジェットへと運ぶという説もあるが、この仕組みで運べるプラズマの量は、ジェットを作り出すのに必要な量の1/100~1/10000にしかならない。

今回、東北大学の木村成生さんたちの研究チームは、ブラックホールのごく近くで発生する「フレア現象」によって電波ジェットにプラズマが運ばれるのではないかと考え、その理論モデルを構築することに初めて成功した。

鍵となるのは「磁気リコネクション」という現象だ。この現象は太陽のフレアを引き起こしている原因と原理的には同じで、磁力線がつなぎ変わることで磁場のエネルギーが突発的に解放され、プラズマ粒子が加熱される。ただし巨大ブラックホールで起こる磁気リコネクションでは、プラズマ粒子1個に与えられるエネルギーが太陽フレアより約10億倍も大きい。また、X線やガンマ線などの高エネルギー光子が太陽フレアよりもたくさん放射される


銀河中心のブラックホール
電波ジェットへのプラズマの供給機構
(左)銀河中心のブラックホールの周りには、落ち込む物質がプラズマの円盤(降着円盤)となって取り巻いていて、ブラックホールの両極方向には電波ジェットが噴き出している。(右)今回提唱された、ブラックホールからジェットへとプラズマが供給される仕組み。ブラックホールの表面付近では、磁気リコネクションによって大きなエネルギーが解放され、このエネルギーを得て加速された電子がガンマ線を放射する。放射されたガンマ線光子同士が衝突すると電子と陽電子のペアが生み出され、これが電波ジェットへと運ばれる(提供:當真賢二)

木村さんたちの新しいモデルでは、これまでのモデルに比べて約10万倍も多いプラズマを電波ジェットへと運ぶことができる。また、このモデルでは、ジェットに供給されるプラズマの量は中心ブラックホールの質量やブラックホールに落ち込む物質の量によって決まり、これが銀河ごとの電波ジェットの明るさの違いを生み出すはずだという。

実際の銀河でも、たとえばM87では非常に明るい電波ジェットが見られる一方、より質量が小さい天の川銀河の中心ブラックホール「いて座A*」は静穏で、電波ジェットも観測できないほど弱い。木村さんたちのモデルならこうした違いを自然に説明できる。

今回提案されたモデルでは、中心ブラックホール付近で継続時間が数分という短いX線フレアが発生することを示しているが、これまでのX線観測衛星では、こうした短時間のX線フレアは見逃されてきた。現在、JAXA宇宙科学研究所で計画されている次世代のX線観測衛星「FORCE」や「HiZ-GUNDAM」を使えば、このような短いX線フレアも観測が可能となり、今回のモデルを検証できるようになるかもしれない


2022年10月7日
AstroArtsより

ハッブル&ウェッブ宇宙望遠鏡の映像の比較

Posted by moonrainbow on 03.2022 科学   0 comments   0 trackback
ハッブル&ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した渦巻銀河「IC 5332」

渦巻銀河「IC 5332」
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」で撮影された渦巻銀河「IC 5332」(Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, J. Lee and the PHANGS-JWST and PHANGS-HST Teams)】

こちらは「ちょうこくしつ座」にある約2900万光年先の渦巻銀河「IC 5332」です。欧州宇宙機関(ESA)によると、IC 5332は直径約6万6000光年で、天の川銀河の3分の2くらい。地球に対して正面を向けた位置関係にある、いわゆるフェイスオン銀河のひとつであるため、らせん状に中心から広がっていく渦巻腕(渦状腕)の様子をよく観察することができます。星々が集まった中心部分の赤みを帯びた銀河バルジと、その周りを取り囲む青く彩られた渦巻腕のコントラストが鮮やかです

この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」を使って取得された画像(波長275~814nm、5種類のフィルターを使用)をもとに作成されました。人の目には捉えられない紫外線や近赤外線の波長も含まれるため、画像の色は使用されたフィルターに応じて着色されています。ハッブル宇宙望遠鏡が捉える波長のうち、紫外線や可視光線は塵に吸収されやすく、塵が豊富な部分は渦巻腕を分けるような暗い領域として写っています

渦巻銀河「IC 5332」1
【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の「中間赤外線装置(MIRI)」で撮影された渦巻銀河「IC 5332」(Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, J. Lee and the PHANGS-JWST and PHANGS-HST Teams)】

いっぽう、こちらは「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡の「中間赤外線装置(MIRI)」を使って取得された画像(波長7.7~21μm、4種類のフィルターを使用)をもとに作成された、IC 5332の姿です。中間赤外線は人の目には捉えられないので、ハッブル宇宙望遠鏡の場合と同様に、画像の色は使用されたフィルターに応じて着色されています。

ESAによると、ウェッブ宇宙望遠鏡のMIRIは、さまざまな温度で赤外線を放出するガスや塵を捉えています。生物の骨格にも似た複雑な構造が、渦巻腕のらせん構造を反映しつつ銀河全体に広がっていることがわかります。

また、どの波長の光で明るく輝くのかは星によって異なるため、ハッブル宇宙望遠鏡の画像とウェッブ宇宙望遠鏡の画像では星々の見え方も異なっています。可視光線を中心に紫外線や近赤外線を捉えるハッブル宇宙望遠鏡と、赤外線での観測に特化したウェッブ宇宙望遠鏡は、同じ天体を異なる波長で観測することで、互いに補完し合う関係にあるのです。

IC 5332の画像はウェッブ宇宙望遠鏡の今月の一枚として、ESAから2022年9月27日付で公開されています


Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, J. Lee and the PHANGS-JWST and PHANGS-HST Teams

2022-09-29
Soraeより

惑星防衛実験探査機「ダート」

Posted by moonrainbow on 28.2022 科学   0 comments   0 trackback
地球防衛の実験機ダート、小惑星への衝突に成功

小惑星から約 7 マイル (12 キロメートル)
NASA の DART ミッションで DRACO イメージャーが、小惑星から約 7 マイル (12 キロメートル) から衝突の 2 秒前に撮影した、小惑星の衛星ディモルフォスの最後の完全な画像。この画像は、直径 100 フィート (31 メートル) の小惑星のパッチを示しています。黄道北は画像の下部に向かっています。この画像は、DRACO 検出器に表示されるとおりに表示されており、現実から x 軸を横切って鏡面反転されています。
クレジット: NASA/Johns Hopkins APL

惑星防衛実験探査機「ダート」が、天体の軌道を変化させる目的で小惑星ディモルフォスに衝突した。衝突結果は分析中で、将来地球に向かってくる天体を逸らす技術の確立に使われる

すでにいくつもの探査機が他の天体に衝突しているが、惑星防衛実験探査機「ダート(DART)」は天体を動かす目的でNASAが衝突させた初めての探査機だ。昨年11月に打ち上げられたダートは、約10か月後の9月27日午前8時14分ごろ(日本時間)、小惑星ディモルフォス(Dimorphos)に時速2万km以上の速度で衝突することに成功した

「ダート」の想像図
「ダート」の想像図(提供:NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben)

直径160mのディモルフォスは、直径780mの小惑星ディディモス((65803) Didymos)の周りを回る衛星である。こうした天体は単独の小惑星よりも衝突の影響が観測しやすいことから、ダートの標的に選ばれた。重量570kgの探査機が衝突したことにより、ディモルフォスの公転周期は約1%、時間にして10分程度短くなると見積もられている。

ダートに取り付けられた観測機器は、光学航法用カメラ「DRACO」ただ一つだけである。ダートはDRACOがとらえた画像を元に、リアルタイム自立航行システムで最後の9万kmを飛行し、2つの天体を識別して小さい方のディモルフォスへ衝突した。DRACOの画像は地球にも送られていて、最後は衝突1秒前に約6kmの距離からディモルフォスの地表を撮影している。この画像を送信中に衝突したため、地球に届いたのはその上端付近だけだった


光学航法用カメラ
DRACOがとらえたディモルフォス
光学航法用カメラ「DRACO」が衝突の2分半前から1秒前までにとらえたディモルフォス(左上画像の右下はディディモス)。ディモルフォスまでの距離は左上920km、右上63km、左下12km以内、右下6km以内(提供:NASA/Johns Hopkins APL)

また、衝突の15日前に展開されたイタリア宇宙機関の小型衛星「LICIACube」もダートの衝突とそれに伴い飛び散った物質を撮影している。LICIACubeには大きなアンテナが搭載されていないため、撮影した画像は今後数週間かけて地球へ送られる予定だ。一方、地球でも数十台の望遠鏡がディモルフォスを数週間かけて観測し、軌道の変化や衝突による噴出物などを調べる。

ディモルフォスは地球から約1100万km離れていて、今後も大きく近づくことはない。しかし、太陽系には地球に接近する軌道を持ち、いつか私たちの安全を脅かすおそれのある小惑星や彗星が存在する。NASAはそうした天体に人工物を衝突させることで軌道を逸らし、地球を防衛する技術の確立を目指していて、ダートはその技術を初めて現実の天体で試す機会となった。

「世界初となるこのミッションにはとてつもない準備と正確さが必要でしたが、ダートのチームはあらゆる面で期待を上回りました。技術実証が成功して私たちは実にわくわくしていますが、ダートが切り開いた可能性はそれだけにとどまらず、いつか小惑星の進路を変えて私たちの惑星を守り、現在の地球の生命を保護するかもしれません」(米・ジョンズ・ホプキンズ大学応用物理研究所所長 Ralph Semmelさん)


DART Impact


DRACOが最後の5分半に取得した画像から作成された動画。実際の10倍の速さで再生しているが、最後の6枚だけは実際にダートが画像を送信した時間間隔(提供:NASA/JHU Applied Physics Laboratory)

2022年9月27日
AstroArtsより

宇宙望遠鏡「ナンシー・グレース・ローマン」

Posted by moonrainbow on 13.2022 科学   0 comments   0 trackback
NASAとスペースX、宇宙望遠鏡「ナンシー・グレース・ローマン」の打ち上げ契約を締結

新型宇宙望遠鏡「ナンシー・グレース・ローマン」
【▲ 新型宇宙望遠鏡「ナンシー・グレース・ローマン」のイメージ(Credit: GSFC/SVS)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)は7月20日付で、宇宙望遠鏡「ナンシー・グレース・ローマン(Nancy Grace Roman)」について、スペースXとの間で打ち上げ契約が締結されたことを発表しました。打ち上げサービスやその他ミッション関連の費用を含む契約総額は約2億5500万ドルで、打ち上げには「ファルコンヘビー」ロケットが使用されます

ローマン宇宙望遠鏡は、宇宙の加速膨張や謎めいた暗黒エネルギー(ダークエネルギー)、それに近年発見が相次いでいる太陽系外惑星に関連した観測を行うために打ち上げが計画されている宇宙望遠鏡です。その名称は、NASAの初代主任天文学者を務めたナンシー・グレース・ローマン氏に由来しています。ローマン氏は早くから宇宙望遠鏡の必要性を認識し、その実現に向けて尽力したことから「ハッブル宇宙望遠鏡の母」とも呼ばれています

ナンシー・グレース
【▲ 在りし日のナンシー・グレース・ローマン氏。1970年代にNASAのゴダード宇宙飛行センターにて撮影(Credit: NASA)】

ローマン宇宙望遠鏡には直径2.4mの主鏡(ハッブル宇宙望遠鏡の主鏡と同じサイズ)とともに、2つの観測装置が搭載されます。1つ目は広視野の近赤外線カメラ「WFI(Wide Field Instrument)」です。WFIはハッブル宇宙望遠鏡の100倍という広視野を持ちながら、ハッブル宇宙望遠鏡に匹敵する高精細な画像を取得することができる3億画素の撮像装置です。

2つ目は技術実証用のステラーコロナグラフ(※)装置「CGI(Coronagraph Instrument)」です。CGIは恒星が放つ強い光を遮ることで、恒星の周りにある太陽系外惑星やデブリ円盤を可視光線や近赤外線で直接観測するために搭載されます。CGIを搭載したローマン宇宙望遠鏡は、恒星と比べて10億分の1程度の明るさしかない惑星を観測することもできるといいます。

※…ステラーコロナグラフ:恒星からの光を遮るための装置、コロナグラフとも


ローマン宇宙望遠鏡の視野
【▲ ローマン宇宙望遠鏡の視野(外側)と、ハッブル宇宙望遠鏡の視野(中央)を比較した図(Credit: GSFC)】

NASAによれば、ローマン宇宙望遠鏡は2026年10月に米国フロリダ州のケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられる予定です。打ち上げ後のローマン宇宙望遠鏡は、太陽と地球のラグランジュ点のひとつ「L2」(地球からの距離は約150万km)の周辺に向かって観測を行います。運用期間は5年間の予定です(さらに5年間延長される可能性あり)。ちなみに太陽-地球のL2周辺では、先日科学観測を開始した「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡なども観測を行っています。

なお、ローマン宇宙望遠鏡の計画には宇宙航空研究開発機構(JAXA)をはじめとする日本の研究チームも参加しており、CGIの光学素子の製作、地上局による支援、国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」による協調観測といった形で携わっています。宇宙論や系外惑星をはじめ様々な分野の研究に貢献することが期待されているローマン宇宙望遠鏡、4年後の打ち上げが楽しみです


スペースXの「ファルコンヘビー」
【▲ ローマン宇宙望遠鏡の打ち上げに使われるスペースXの「ファルコンヘビー」ロケット(2018年2月撮影)(Credit: SpaceX)】

Image Credit: GSFC/SVS

2022-08-09
Soraeより

ショートガンマ線バーストGRB 211106A

Posted by moonrainbow on 12.2022 科学   0 comments   0 trackback
アルマ望遠鏡、ガンマ線バーストの残光をミリ波で初観測

ショートガンマ線バースト
GRB 211106A
ショートガンマ線バーストGRB 211106Aのイラスト。 中性子星と他の星が合体して爆発し(左の円盤状の天体)、ショートGRB(左寄りの白いジェット)が発生した。これが周囲の物質と衝突し、残光(右側の球殻状の衝撃波)が生じた(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), M. Weiss (NRAO/AUI/NSF))

継続時間の短い「ショートガンマ線バースト」の残光がミリ波で初めて観測された。このタイプの現象としてはこれまでで最も高エネルギーのバーストだったとみられる


ガンマ線バースト(GRB)は空のある位置で突発的に強いガンマ線が観測される現象だ。宇宙で最もエネルギーの大きな現象の一つで、太陽が一生の間に放出する以上のエネルギーがわずか数秒で放射される。

特に、バーストの継続時間が短い「ショートガンマ線バースト」(以下、ショートGRB)は、中性子星やブラックホールの合体で発生すると考えられている。こうした天体同士の近接連星は、重力波を放出しながら徐々に軌道が縮んで最終的に合体する。この合体で爆発が起こり、光速に近いジェットが発生する。このジェットがたまたま地球の方向を向いていると、ショートGRBとして観測されるのだ。

ショートGRBは1秒以下しか続かないが、バースト後に「残光」が、様々な波長の電磁波で数日にわたって見られることがある。この残光は、ジェットが周囲のガスとぶつかって生じるものだ。そのため、ショートGRBが検出されると、ただちに世界中の望遠鏡や宇宙望遠鏡で残光探しが行われる。

だが、残光を見つけるのは容易ではなく、特に電波の残光を検出するのは難しい。これまでに電波で残光が検出されたショートGRBは6個しかなく、ミリ波での残光は全く検出例がなかった。

「ショートGRBの残光は非常に明るくエネルギーの高い現象ですが、遠方の銀河で起こるため、地球からは非常に暗くしか見えません。アルマ望遠鏡以前のミリ波望遠鏡では感度が足りず、残光を検出できませんでした」(米・ユタ大学 Tanmoy Laskarさん)。

2021年11月6日にNASAのガンマ線観測衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト」がつる座の方向で検出したショートGRB「GRB 211106A」でも、X線の残光は観測されたが発生元となった母銀河は検出されず、バースト位置を正確に特定できなかった。また、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の当初の観測でも可視光線の残光は見えなかった。

そこでLaskarさんたちは、バーストのおおよその発生位置をアルマ望遠鏡で観測した。その結果、ミリ波での残光をとらえることに初めて成功した。これによってバーストの発生位置を正確に決めることができ、改めてHSTで観測を行ったところ、その位置に暗い銀河を見つけた。この銀河は宇宙年齢が現在の40%ほどの時代にあたる約80億光年の距離にあることも判明した。

Laskerさんたちはミリ波と電波の観測から、GRB 211106Aで発生したジェットの細さ(開口角)を求めることにも成功した。この情報を使えば、宇宙におけるショートGRBの発生率を推定し、中性子星同士、または中性子星+ブラックホールの連星が合体する確率と比べることもできる。さらに、ミリ波の観測データからGRBの周囲の物質密度を知ったり、X線のデータと組み合わせて爆発の真のエネルギーを見積もったりすることも可能だ。

「今回のショートGRBは、この種の現象としてはアルマ望遠鏡で初めて観測を試みたものです。ショートGRBの残光をとらえるのは非常に難しいので、これほど明るい残光がとらえられたのは圧巻でした。長年にわたりショートGRBを観測してきた私たちにとって、この驚くべき発見は新しい研究分野を切り拓くものであり、今後アルマ望遠鏡や他の望遠鏡アレイでさらに多くのバーストを観測する追い風となるでしょう」(米・ノースウェスタン大学 Wen-fai Fongさん)


2022年8月10日
AstroArtsより
 

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