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探査計画候補「トライデント」

Posted by moonrainbow on 25.2020 太陽系   0 comments   0 trackback
ボイジャー以来のトリトン観測を目指す探査計画候補「トライデント」

ボイジャー2号がネプチューンシステムの接近飛行中に撮影
ネプチューンの月トリトンのこのグローバルカラーモザイクは、1989年にボイジャー2号がネプチューンシステムの接近飛行中に撮影したものです。(Credit: NASA/JPL- USGS)

2020年2月、NASAは「ディスカバリー計画」における4つの次期ミッション候補を選定しました。そのうちのひとつ「Trident(トライデント)」について、予定されているミッションの内容をNASAのジェット推進研究所(JPL)が解説しています

■謎に満ちた海王星の衛星「トリトン」をフライバイ探査

1989年8月にNASAの惑星探査機「ボイジャー2号」が唯一のフライバイ探査を行った海王星の衛星トリトンは、謎の多い天体です。トリトンには窒素を主成分とした大気や電離層が存在しており、ボイジャー2号が撮影した表面の画像には地下から物質が噴出したとみられる痕跡も捉えられていました。また、その軌道は海王星の自転に逆行する右回りであることから、トリトンは海王星の重力に捉えられたエッジワース・カイパーベルト天体が起源ではないかとも考えられています。

トライデントはトリトンのフライバイ探査を目的としたミッションで、主な目標は3つあります。1つ目は、太陽系の天体がいかにして生命を育み得る環境を獲得するに至るかの解明です。土星の衛星エンケラドゥスや木星の衛星エウロパのように、トリトンも氷の地殻の下に海が存在するのではないかと考えられています。ただ、もしもトリトンが海王星の重力に捉えられたエッジワース・カイパーベルト天体であるならば、地下の海は海王星に捕獲された後で発達した可能性があります。最初から衛星として誕生したとみられるエンケラドゥスやエウロパとは異なる経緯をたどったかもしれないトリトンを調べることで、地下の海の形成についての新たな知見が得られると期待されています。

2つ目は表面の広範囲な観測です。ボイジャー2号は南極域を中心としたトリトン表面の4割ほどを撮影していますが、トライデントでは残るエリアのほとんどを撮影します。また、海王星の反射光に照らされたトリトンの夜側を撮影することで、ボイジャー2号が観測した1989年以降の変化を捉えることも予定されています。

3つ目はトリトンの表面が若さを保っている理由の解明です。トリトン表面の年齢は1000万歳程度と地質学的には非常に若く、噴出物の痕跡以外にもメロンの表皮のような地形や壁のように切り立つ崖に囲まれた平原といった特徴がみられます。このようなトリトンの表面がどのように形成されているのかを探ることで、氷を主体とした他の天体の地形がどのように形成されるのかを解き明かすことにつながると期待されています


トライデント
トライデントは地下の海の存在、物質を噴出させる原動力、表面が若く保たれている理由、活発な電離層などの解明に挑む(Credit: NASA/JPL-Caltech)

木星でのスイングバイを計画しているトライデントは、2025年10月(あるいは2026年10月)に探査機を打ち上げ、2038年にトリトンをフライバイ探査するスケジュールが提案されています。ディスカバリー計画の次期ミッションは来年2021年の夏に最大2つのミッションが選定される予定です。

ミッションを率いるLouise Prockter氏(月惑星研究所/大学宇宙研究協会、アメリカ)は「トリトンは太陽系において最も興味を惹かれる天体の一つです」、プロジェクトサイエンティストのKarl Mitchell氏(JPL)は「捕獲され進化したエッジワース・カイパーベルト天体、噴出活動をともなう地下の海、活発な電離層、そして若くてユニークな表面。トリトンは太陽系科学における単なる鍵ではなく、幾つもの鍵がつなげられたキーリング(キーホルダー)そのものです」とコメントしています


Image Credit: NASA/JPL-Caltech

2020-06-20
Soraeより

小惑星ベンヌ表面

Posted by moonrainbow on 20.2020 太陽系   0 comments   0 trackback
摂氏200度の昼夜の温度差。小惑星ベンヌ表面の亀裂や剥離を確認(NASA)

ベンヌ表面の一例
オシリス・レックスによって撮影されたベンヌ表面の一例。矢印の先が熱破砕によるものとみられる亀裂や剥離などの特徴(Credit: NASA/Goddard/University of Arizona)

小惑星「ベンヌ」からのサンプル採取を目指すNASAの小惑星探査機「オシリス・レックス」は、2020年10月の採取実施に向けてリハーサルやベンヌ表面の観測を続けています。今回、オシリス・レックスによって撮影されたベンヌ表面の画像から、昼夜の温度差によって生じたとみられる亀裂や剥離を確認したとする研究成果が発表されています

■昼夜の激しい温度差によって岩が割れたり表面が剥がれたりしたとみられる

およそ4.3時間で1回自転するベンヌ表面の温度は、昼から夜にかけて摂氏プラス127度~マイナス73度ほどの範囲(摂氏約200度の温度差)で変化するとみられています。このような急激な温度変化によって膨張と収縮を繰り返した岩石が割れたり一部が剥がれたりする熱破砕は、大気を持たない小惑星の表面が風化する上で重要な役割を果たしている可能性があると考えられてきたといいます。

Jamie Molaro氏(米国惑星科学研究所)らの研究グループは、オシリス・レックスに搭載されている光学観測装置「OCAMS(OSIRIS-REx Camera Suite)」によって撮影されたベンヌ表面の画像から、岩石が熱破砕された証拠が見つかったと発表しました。岩石の一部には表面から1~10cm程度の部分が剥離したと考えられる特徴がみられる他に、別の岩石では一定の方向に沿って走る亀裂が確認されています。

研究グループによると、このような風化は雨や造構運動によって引き起こされることもあるものの、ベンヌはそのような運動が起きるには小さすぎますし、大気がないので雨が降ることもありません。そのため、今回確認された剥離や亀裂の原因として考えられるのは熱破砕ということになります。

論文を主筆したMolaro氏は「大気がない天体で明瞭に観察された熱破砕の初めての証拠です」とコメント。オシリス・レックスのプロジェクトサイエンティストJason Dworkin氏(ゴダード宇宙飛行センター、NASA)は「2023年に持ち帰られる予定のサンプルを分析すれば、熱破砕のプロセスをより詳しく理解できるでしょう」と語っています


Image Credit: NASA/Goddard/University of Arizona

2020-06-13
Soraeより

太陽圏は球形ではなく彗星のような形

Posted by moonrainbow on 18.2020 太陽系   1 comments   0 trackback
ボイジャーが離脱した太陽圏は球形ではなく、やはり彗星のような形か

長く伸びる太陽圏の尾
長く伸びる太陽圏の尾(ヘリオテイル)を描いた想像図(Credit: NASA’s Scientific Visualization Studio/Conceptual Imaging Lab)

1977年に打ち上げられたNASAの無人探査機「ボイジャー1号」と「同2号」は、どちらも「太陽圏(Heliosphere:ヘリオスフィア)」を離脱して星間空間に到達したとみられています。この太陽圏の形が3年前に発表された研究において指摘されたような球形ではなく、以前から考えられてきたように彗星のような形をしていたとする研究成果が発表されています

■NASAの観測衛星IBEXによる11年分以上の観測データから分析

太陽圏は太陽風と星間物質が混ざり合う境界面である「ヘリオポーズ(Heliopause)」から内側の領域を指す言葉です。太陽風が星間物質と衝突して速度が落ち始める部分は「終端衝撃波面(Termination Shock、末端衝撃波面とも)」、ヘリオポーズと終端衝撃波面に挟まれた厚みのある部分は「ヘリオシース(Heliosheath)」と呼ばれています。太陽および地球をはじめとした太陽系の惑星は、太陽風が支える終端衝撃波面に包まれた泡のような空間に位置しています

太陽圏(Heliosphere)の模式図
太陽圏(Heliosphere)の模式図。青が終端衝撃波面(Termination Shock)、水色の縁がヘリオポーズ(Heliopause)、その間にある領域がヘリオシース(Heliosheath)。ヘリオテイル(Heliotail)はこの画像では左に向かって伸びているとみられる(Credit: NASA/JPL-Caltech)

David McComas氏(プリンストン大学)らの研究グループは、McComas氏が主任研究員を務めるNASAの太陽圏観測衛星「IBEX(Interstellar Boundary Explorer)」による観測データを分析した結果、太陽圏は彗星のような尾(Heliotail:ヘリオテイル)が長く伸びた構造であることが示されたとしています。

2008年10月に打ち上げられたIBEXは、太陽風と星間物質が衝突することで生じるエネルギー中性原子(ENA)の分布を調べることで、太陽圏の境界を描き出すことを目的の一つとしています。IBEXの運用期間は当初2年間とされていましたが、実際にはその予定を大きく越えて、第24太陽活動周期のほぼ全体をカバーするに至っています。

研究グループによると、2014年に観測された太陽風の圧力上昇にともなって生じたとみられる高エネルギーの中性原子が2016年からIBEXで検出されるようになったものの、その分布には偏りがあり、星間物質の流れの風上方向からは多く検出されたいっぽうで、風下方向からは検出されなかったといいます。

研究グループは、高エネルギー中性原子の分布に偏りが生じた理由として、太陽圏が星間物質の流れの風下側に向かって長く伸びていることで生じた時差の可能性に言及。太陽圏境界の風上側は太陽風の変化による影響がすぐに現れたものの、風下側は太陽から離れているため、太陽風の変化が及んだりエネルギー中性原子が飛来したりするまでに時間がかかるのではないかと考えています。

なお、太陽圏の形については、土星探査機「カッシーニ」、ボイジャー、IBEXによる観測データをもとに、球形に近い形状をしているのではないかとする研究成果が2017年に発表されています。もしも太陽圏が球形であればエネルギー中性原子の分布もあまり偏らないはずですが、その後のIBEXによる観測データは分布が偏っていることを示しており、以前から想定されてきた彗星のような形を示唆する結果となっています


太陽圏観測衛星「IBEX」を描いた想像図
太陽圏観測衛星「IBEX」を描いた想像図(Credit: NASA)

Image Credit: NASA’s Scientific Visualization Studio/Conceptual Imaging Lab

2020-06-15
Soraeより

木星の衛星エウロパの水噴出の新たな証拠を発見

Posted by moonrainbow on 20.2020 太陽系   0 comments   0 trackback


木星の衛星「エウロパ」
木星の衛星「エウロパ」(Credit: NASA/JPL-Caltech/SETI Institute)

厚さ数kmの氷の地殻の下に大量の液体の水(海)があると考えられている木星の衛星エウロパでは、地殻の割れ目から水が噴出しているとみられており、幾つかの証拠も示されています。今回、NASAの木星探査機「ガリレオ」によって得られた観測データを調べた結果、ガリレオが2000年にエウロパの水噴出に遭遇していた可能性が指摘されています

■観測された高エネルギー陽子の減少に水噴出が関与していたか

Hans Huybrighs氏(ESA:欧州宇宙機関)らの研究チームは、2000年にガリレオが取得した観測データを再解析したところ、エウロパで水が噴出していることを示す新たな証拠が得られたとする研究成果を発表しました。

今から20年前の2000年、木星を周回探査していたガリレオがエウロパに接近したところ、木星の強力な磁場のなかで通常は豊富に検出される高エネルギー陽子が減少する様子を観測しました。過去の研究では、エウロパそのものによって高エネルギー陽子がさえぎられたために、ガリレオの観測装置で検出される量が減少したものと理解されていたといいます。

Huybrighs氏らが当時の観測データをもとに詳細なシミュレーションを行ったところ、エウロパからの水噴出にともなう周辺環境の変化を考慮した場合にのみ、高エネルギー陽子の検出量が減少する結果が得られたといいます。研究チームでは、高エネルギー陽子がエウロパからの噴出物や希薄な大気を構成する物質に衝突したことで電子を得て非荷電粒子化し、結果として高エネルギー陽子の検出量が少なくなったものと考えています。

研究者たちは、ガリレオによる周回探査が行われていた当時からエウロパでは水が噴出している可能性が高いと考えており、この10年ほどの間に水の噴出を示唆する証拠が見つかり始めています。2016年には「ハッブル」宇宙望遠鏡によってエウロパから噴出する水らしきものが撮影されている他に、同年にはハワイのW.M.ケック天文台にある「ケック望遠鏡」も噴出した水分子が発したとみられる赤外線を捉えることに成功しています。

研究チームでは、2022年に探査機が打ち上げられる予定の木星氷衛星探査計画「JUICE」に期待を寄せています。ESAが主導し宇宙航空研究開発機構(JAXA)やNASAなどが参加するJUICEでは、エウロパ、ガニメデ、カリストの地下にあるかもしれない海の探査や、噴出した物質の採取を通して地下の海の組成を調べることなどが予定されています


エウロパの水噴出とみられる現象
ハッブルによって撮影されたエウロパの水噴出とみられる現象(矢印)を示した合成画像(Credit: NASA/ESA/W. Sparks (STScI)/USGS Astrogeology Science Center)

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/SETI Institute

2020-05-15
Soraeより

小惑星「リュウグウ」

Posted by moonrainbow on 16.2020 太陽系   0 comments   0 trackback
小惑星「リュウグウ」 水星よりも太陽に近い軌道を描いた時期がある可能性

リュウグウの表面
タッチダウン直後の「はやぶさ2」から撮影されたリュウグウの表面(Credit: JAXA、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大、産総研)

2019年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が2度に渡るサンプル採取を実施した小惑星「リュウグウ」。現在のリュウグウは時折地球に接近することもある地球近傍軌道を周回していますが、数十万~数百万年前には現在とは異なり、今よりも太陽に近づく軌道を描いていた可能性を示す研究成果が発表されました

■太陽により変性したとみられる赤黒い物質と変性していない青白い物質の分布から推定

2019年2月22日(日本時間)に実施された「はやぶさ2」による第1回タッチダウンの際、発射された弾丸や機体が上昇したときの噴射によって、リュウグウの表面から岩石とともに赤黒い微粒子が舞い上がった様子が確認されました。同様の赤黒い物質はリュウグウの中緯度地域の表面にも分布しているものの、そのいっぽうで赤道周辺や極域では青白い物質が目立つことがすでに明らかになっています。

リュウグウの表面に分布する物質について詳しく調べた諸田智克氏(東京大学)らの研究チームによると、赤黒く見えるものは太陽による加熱や風化によって変性した物質であり、変性を受けていない青白い物質と混在しつつ、リュウグウの表面から数十cm~数m程度の深さまで層を成していることが明らかになったといいます。

この赤黒い物質が太陽による加熱で変性を受けたとみられる期間は、クレータの形成年代をもとに30万~800万年前と推定されています。リュウグウはおよそ900万年前までに火星よりも外側の小惑星帯で形成され、この期間には現在よりも太陽に近づく軌道を描くようになったと考えられており、その後、まれに地球へと接近する現在の軌道へと移動したものとみられています。JAXA宇宙科学研究所では、リュウグウが水星の軌道よりも内側にまで入り込む時期があった可能性に言及しています。



また、太陽の加熱で変性したとみられる赤黒い物質は赤道周辺にも分布していたものの、リュウグウ表面の物質が低緯度から中緯度に向けて流動していく過程で赤道周辺からは減っていき、変成を受けなかった青白い物質が赤道周辺では目立つようになったとみられています。

なお、タッチダウンの際に舞い上がった赤黒い微粒子は、太陽による変成作用を受けた後に微小天体の衝突や熱疲労によって破壊された岩石の破片とみられています。タッチダウン地点には変性を受けていない青白い物質も存在していたことから、「はやぶさ2」では赤黒い物質と青白い物質の両方を採取できた可能性があり、太陽による変性作用の解明につながるのではないかと期待されています


リュウグウの歴史
今回の研究をもとに推定されたリュウグウの歴史。表面にみられる物質からは、リュウグウが小惑星帯から太陽に接近する軌道へと移り、その後に地球近傍の軌道へと移動したことが示唆される(Credit: 東京大学/Morota et al. (2020))

Image Credit: JAXA、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大、産総研

2020-05-10
Soraeより
 

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