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太陽系が生まれた場所は今より1万光年も銀河の内側

Posted by moonrainbow on 25.2023 太陽系   1 comments   0 trackback
太陽系が生まれた場所は今より1万光年も銀河の内側

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天の川銀河の想像図。現在の太陽系は、銀河の中心から約2万6000光年の距離に位置している(提供:加藤恒彦、4D2U Project、NAOJ、ALMA (ESO/NAOJ/NARO))

天の川銀河内の元素組成を再現するようなモデル計算により、46億年前に太陽系が誕生した場所は現在よりも天の川銀河の中心に近く、1万光年ほど内側だった可能性が示された

太陽系の重元素の量は、太陽の周辺にある同じ年代の他の星々とは異なっている。天の川銀河の中心部と外側では元素の量に違いがあることと合わせると、太陽系はもともと46億年前に現在とは異なる環境の場所で生まれ、その後今の場所まで移動してきたのではないかと考えられている

星は質量の違いによって進化の速さが異なり、その進化過程で合成される元素の供給過程が大きく変わる。具体的には、酸素、マグネシウム、ケイ素の一部は太陽の10倍以上の質量をもつ星の内部で合成され、II型超新星爆発(重力崩壊型超新星爆発)によって宇宙空間にばらまかれる。また、炭素の大部分は、太陽よりもやや重い星が漸近巨星分枝星に進化した際に、恒星風によって周囲に供給される。さらに、ケイ素の一部や大部分の鉄の由来は、太陽程度の質量の星が進化してできた白色矮星に関連して生じるIa型超新星によるものだ。このように供給過程が異なるだけでなく、星の質量の大小によって星の寿命も異なり、大質量星では1000万年程度で一生を終えて元素供給が行われる一方で、小質量星では10億年程度かけて重元素を生成して宇宙に放出するという違いもある。

そこで、鹿児島大学 天の川銀河研究センターの馬場淳一さんたちの研究チームはこれら3タイプの元素供給プロセスを考慮したモデルを構築し、銀河の環境がどのように変化していくのか(「銀河の化学進化」と呼ぶ)、太陽系が銀河内のどこで生まれたのかを探る研究を行った。

モデル計算によると、銀河の内側ほど早い時期に星形成活動が活発になり、重元素量が早い段階で増えていく。重元素量の変化の様子を距離ごとに計算して、太陽系が誕生した46億年前に太陽系の重元素量に到達する距離を調べたところ、天の川銀河の中心から約1万6000光年(1万3000~2万光年)の間であることが示された。現在の太陽系の位置は銀河中心から約2万7000光年なので、太陽系は現在より約1万光年ほど銀河の内側で形成された可能性を示す結果だ


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銀河中心からの距離における重元素割合の時間変化
天の川銀河の化学進化の理論モデル(左)と、銀河中心からの様々な距離における重元素(鉄と水素の割合)の時間変化の様子(右)(提供:鹿児島大学リリース、以下同)

また、天の川銀河内の異なる位置と時刻における重元素組成の予測に基づいて、どのような惑星系が形成されるのかを調べたところ、銀河の内側ほど惑星の材料物質が豊富で、鉄コアの大きな岩石惑星が形成される可能性があること、外側では水の豊富な惑星系が誕生する可能性があることも示された

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惑星材料物質の空間分布の時間変化
天の川銀河の化学進化の理論モデルに基づく惑星材料物質の空間分布の時間変化。(左)銀河の内側ほど惑星材料物質の総量が多く、巨大ガス惑星をもつ惑星系が誕生しやすい可能性がある。(中)銀河の内側ほど鉄の相対含有量が高く、大きな鉄コアを持つ岩石惑星が誕生しやすい可能性がある。(右)外側ほど鉄に対する酸素の相対含有量が高く、水を豊富に含む惑星が形成されやすい可能性がある

今回の成果が示すように46億年前に太陽系が天の川銀河の内側で誕生したとして、その後どのような経路で、どのタイミングで現在の場所まで移動してきたのか、その大移動を促す原因は何だったのかという新たな疑問も生じる。研究チームは、太陽系の大移動には銀河の渦状腕構造や棒状構造の性質が密接に関わっていると考えているようだ

2023年11月21日
AstroArtsより

小惑星「Dinkinesh(ディンキネシュ)」とその衛星

Posted by moonrainbow on 19.2023 太陽系   0 comments   0 trackback
小惑星ディンキネシュの衛星は接触二重小惑星 NASA探査機ルーシーの観測で判明

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小惑星Dinkinesh(ディンキネシュ)とその衛星。アメリカ航空宇宙局(NASA)の小惑星探査機Lucy(ルーシー)の望遠カメラ「L’LORRI」で2023年11月2日2時頃に撮影されたもの

こちらはアメリカ航空宇宙局(NASA)の小惑星探査機「Lucy(ルーシー)」に搭載されている望遠カメラ「L’LORRI」で撮影された小惑星「Dinkinesh(ディンキネシュ)」とその衛星です。LucyによるDinkineshのフライバイ探査が行われた日本時間2023年11月2日の2時頃、小惑星から約1630km離れた位置で撮影されたもので、NASAが2023年11月7日付で公開しました

ディンキネシュは二重小惑星だった! NASA探査機ルーシーのフライバイ探査で判明

画像の左側にはDinkineshが、右側にはLucyのフライバイ探査で存在が判明したDinkineshの衛星が写っているのですが、衛星は2つの物体が接触したような形をしていることがわかります。NASAによると、この画像はDinkineshの衛星それ自身が接触二重小惑星(Contact binary)、つまりお互いに接触した2つの小惑星で構成されていることを示しています。

Lucyミッションの主任研究員を務めるサウスウエスト研究所(SwRI)のHal Levisonさんは、Dinkineshの衛星を構成する2つの部分がなぜ同じような大きさなのかが理解できないと指摘しており、その理由の解明は科学界にとって楽しいものになるだろうとコメントしています


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Lucy探査機と小惑星Dinkineshの位置関係を示した略図。赤は探査機の移動経路。Aは2023年11月2日1時55分頃、Bは同日2時頃に画像が撮影された時の探査機の位置を示している

Dinkineshの衛星を捉えた画像は2023年11月2日付ですでに公開されていましたが、先に公開された画像は探査機との位置関係上、衛星が接触二重小惑星であることまではわかりませんでした。7日に公開された冒頭の画像は先に公開された画像の約5分後に撮影されたもので、探査機が約1500km移動したことで小惑星との位置関係が変化し、衛星の真の性質を伝える一枚となりました。

2021年10月に探査機が打ち上げられたLucyは「木星のトロヤ群」に属する小惑星の探査を主な目的としたミッションです。ミッションの期間は2021年から2033年までの12年間で、その間に小惑星帯を公転しているものも含めて合計10個の小惑星を訪問する予定でしたが、Dinkineshの衛星が見つかったことで探査対象の小惑星は合計11個になりました。

木星のトロヤ群とは太陽を周回する小惑星のグループのひとつで、太陽と木星の重力や天体にかかる遠心力が均衡するラグランジュ点のうち、木星の公転軌道上にあるL4点付近(公転する木星の前方)とL5点付近(同・後方)に分かれて小惑星が分布しています。幾つもの小惑星を一度のミッションで観測するために、Lucyの探査機は小惑星を周回する軌道には入らず、小惑星の近くを通過しながら観測するフライバイ探査を繰り返し行います。

木星のトロヤ群小惑星は初期の太陽系における惑星の形成・進化に関する情報が残された「化石」のような天体とみなされています。これらの天体を間近で探査することから、ミッションと探査機の名前はエチオピアで見つかった有名な化石人骨の「ルーシー」(約320万年前に生息していたアウストラロピテクス・アファレンシスの一体)にちなんで名付けられました。

Lucy探査機は今後、2024年12月に地球フライバイを行って軌道を修正し、2025年には2つ目の探査対象である小惑星帯の小惑星「Donaldjohanson(ドナルドジョハンソン)」のフライバイ探査を行います。その後は2027年の「Eurybates(エウリュバテス)」とその衛星「Queta(ケータ)」をはじめ、ミッションの主目標である木星のトロヤ群の小惑星探査が行われる予定です


Source
NASA - NASA’s Lucy Surprises Again, Observes 1st-ever Contact Binary Orbiting Asteroid

2023年11月14日
sorae 宇宙へのポータルサイトより

白色矮星が太陽系に突入?

Posted by moonrainbow on 17.2023 太陽系   0 comments   0 trackback
2万9千年後に太陽系に衝突すると予測された白色矮星だが、接近する可能性が低いことが明らかに

白色矮星が太陽系に突入

 昨年、天文学者が不吉な予測をした。今から2万9000年後、天の川銀河を暴走する白色矮星が太陽系に突入し、大波乱が起きるかもしれないというのだ

 この恐ろしい予測に驚いた北アイルランドの研究チームが、危険な白色矮星「WD 0810-353」の軌道を改めて調べてみたところ、どうやら太陽系が破滅する心配はひとまずないことがわかったそうだ。

 「ガイア計画によって測定された接近速度は正しくなく、WD 0810-353は実際には太陽系に接近しないことがわかりました」と、アーマー天文台&プラネタリウム(北アイルランド)の天文学者ステファノ・バニューロ氏はプレスリリースで述べている


白色矮星が太陽系に突入、大混乱が起きる!?
 
欧州宇宙機関「ESA」によるミッション「ガイア計画」では、宇宙望遠鏡で天の川銀河にある10億個以上の星々の観測し、銀河の正確な3次元マップを作ろうとしている。

 2022年、天文学者のワジム・ボビレフとアニサ・バジコワは、このガイアのデータを分析し、その中に太陽系に向かっている星がないかどうか探してみた。

 そして発見されたのが、白色矮星「WD 0810-353」だ


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暴走白色矮星「WD 0810-353」のイメージ/ / image credit:Robert Lea

 白色矮星とは、一生を終えた星が残す恒星の残骸で、太陽もいずれこのタイプの天体になると考えられている。

 そしてガイアのデータによるなら、2万9000年後、WD 0810-353は太陽系から半光年以内(地球と太陽の3万1000倍の距離)まで接近すると考えられるというのだ。

 まったく問題なさそうに思えるが、天文学的にはかなり近い距離で、その重力によって太陽系を囲んでいる「オールトの雲」を乱す可能性すらある。

 本当にそんなことがあれば、オールトの雲を構成する氷が太陽系内に落下し、下手をすれば地球に衝突する恐れもある


 未来の地球人は大ピンチなのだろうか?

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太陽系の端にある氷の天体であるオールトの雲の図。赤い線は、天体が内惑星に向かってどのように押し込まれるかを示している / image credit: ESO/L. Calcada

磁場による錯誤があるため太陽系に突入する危険性は少ないと判断
 
だがガイアはとても重要なものを見逃していたようだ。それはWD 0810-353に白色矮星としては珍しい強い磁場があることだ。

 WD 0810-353が太陽系に向かっているという予測は、その「視線速度」(ある天体が観測者に近づく/遠ざかる速度)に基づいたものだ。

 そして視線速度は、星が放つ光のスペクトルから割り出される。

 救急車が近寄ってくる時と遠ざかっていく時では、サイレンの音の高さが違って聞こえるだろう。これを「ドップラー効果」というが、同じことが光の波長にも起きている


 星が地球から遠ざかっていると、光の波長が引き伸ばされ、赤い色側に偏る(赤方偏移)。反対に、星が地球に近寄っていると、波長はぎゅっと縮み、青い色側に偏る(青方偏移)。視線速度は、こうした光の波長の偏り具合から求められる

白色矮星が太陽系に突入3

 ところが、こうした光の波は磁場の影響を受ける。

 通常、光波はあらゆる方向に振動するが、磁場にさらされると、特定の方向に偏り出す(偏光)。だから、この影響を無視して視線速度を計算しようすれば、狂いが生じることになる。
太陽系は大丈夫そうだ
 アーマー天文台プラネタリウム(北アイルランド)のステファノ・バニューロ氏らは、WD 0810-353もそうした磁場の影響受けていないか確かめてみることにした。

 そのために、チリにある超大型望遠鏡「VLT」の「FORS2」という装置の観測データを調べてみた。

 するとFORS2は、WD 0810-353のスペクトルを正確にとらえており、その強烈な磁場がガイア宇宙望遠鏡を欺いていただろうことがわかったのだ。

 WD 0810-353の光にある偏光から磁場をモデル化し、これに基づき星の軌道と速度を求めてみたところ、おそらくは太陽系にニアミスなどしないだろうことが判明。

 「WD 0810-353は、太陽に向かってすらいないかもしれません。これで気がかりな宇宙の危険がひとつ減りました」と、語るバニューロ氏も心から安心したようだ。

 この研究は『The Astrophysical Journal』(2023年7月24日付)に掲載された


2023年11月12日
カラパイアより

金星の昼側で大気に酸素が含まれている

Posted by moonrainbow on 16.2023 太陽系   0 comments   0 trackback
金星の昼側で大気に酸素が含まれていることがはじめて検出される

金星の大気

金星の大気を研究していたドイツの天文学者によって、 金星の昼側の大気に含まれる「酸素」が観察されたそうだ

 昼側とは、望遠鏡で覗いたときに光って見える部分だ。ちなみに欠けて見えるところが夜側で、月の満ち欠けと同じ理屈だ。

 金星に「原子状酸素」があるだろうことは理論的にはすでに知られていた。それが夜側で検出されたことはあったが、昼側でも検出されたのは今回が初めてのことだ。

 今回の発見は、金星大気の力学とその循環パターンを理解する新たなヒントであり、将来的な金星ミッションを成功させる大切な情報になるかもしれない


似ているようで大きく異なる地球と金星
 
金星は大きさや密度が地球によく似ていることから、「地球の姉妹」といわれる惑星だ。だが2つの惑星にはまったく違うところがある。

 地球には豊かな水があり、多種多様な生命が宿る。一方、金星は地獄のようなところだ。大気はほとんどが二酸化炭素でできており、それによる温室効果のせいで平均気温は460度もある。

 二酸化炭素の雲からは酸性雨が降り、大気全体がものすごい速さで金星の周りを回っている。

 そのおかげで金星の雲の下では、時速約700kmもの突風が吹くことがある。地球上で観測されたもっとも速い台風でも風速時速407kmと言えば、金星の風の強烈さが少しはイメージできるだろう。

 なぜ金星は地球とこれほどまでに違うのか、そのはっきりとした理由はわからない。

 両者はもともともよく似ていたのに、どこかの時点で何かが違ってしまったのだろうか? それとも、誕生したときからまったく違う存在だったのだろうか?

 金星の大気を理解することで、その謎を解明するヒントが得られるかもしれない。そのための重要なパズルのピースが酸素なのだ


金星の大気1

金星の昼側で発見された原子状酸素
 
ちなみに今回、金星の昼側で酸素が見つかったと言っても、それは私たちが普段呼吸しているものとはちょっと違う。観測されたのは正確には「原子状酸素」だ。

 私たちが吸っている酸素は、2つの酸素原子がくっついた「分子状酸素」すなわちO2だ。

 一方、原子状酸素は酸素原子たった1つだけの状態で存在している。だから、ほかの原子とすぐに反応してくっついてしまうために、あまり長持ちしない。

 地球では、原子状酸素は空の高いところにある。太陽の光によってO2が分解されるからだ(これを「光分解」という)。

 同じようなことが、金星でも起きていると考えられている。太陽の光が二酸化炭素の大気に当たると、光分解によってCO2が原子状酸素と一酸化炭素にわかれ、さらに一酸化炭素も光分解される。

 こうした原子が、太陽の光が当たらない夜側に流れていくと、再び結びついて二酸化炭素になり、そのプロセスで金星の夜側が光る。

 実際、原子状酸素は金星の夜側では観測されているのだが、昼側ではまだ見つかっていなかった


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JAXAの金星探査機「あかつき」が2016年に撮影した金星の赤外線画像 / image credit:JAXA

金星の昼側で原子状酸素を確認
 
そこで、ドイツ航空宇宙センター「DLR」の物理学者ハインツ=ヴィルヘルム・ヒューバース氏らは、DLRとNASAが運用する成層圏赤外線天文台「SOFIA」で、金星の昼側の酸素を探すことにした。

 SOFIAは飛行機に搭載され、地球の空から赤外線を観測する飛行天文台だ。今回の観測では、3回のフライトによって、金星の昼・夜側とその境目(明暗境界線)の計17カ所のデータが集められた。

 すると、17カ所すべてで原子状酸素が検出されたのだ。

 原子状酸素がもっとも濃かったのは、地表から100kmの高さだ。このことは、金星の研究者にとっては大きな意味がある


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金星の原子状酸素の位置・温度・密度を示したもの / image credit:Hubers et al., Nat. Commun., 2023

 金星の大気には、2つの大きな循環がある。1つは高度70km以下のもの。その高さの大気は、金星の自転とは逆方向に流れている。もう1つは、高度120km以上のもので、太陽側(太陽直下点)からその反対側(太陽対蹠点)へ向けた流れだ。

 つまり原子状酸素が一番濃いのは、この2つの大気循環パターンの間ということだ。だから原子状酸素を利用すれば、金星の大気循環を調べる便利なツールになるかもしれない。

 なぜ地球と金星は似ているようで大きく違うのか? 金星の大気を調べれば、その謎を解く重要な手がかりも手に入るかもしれない。そしてそれは将来的な金星探査ミッションを成功させる大切な知見にもなることだろう。

 この研究は『Nature Communications』(2023年11月7日付)に掲載された


2023年11月12日
カラパイアより

巨大惑星が他惑星の「生命誕生」を邪魔する?

Posted by moonrainbow on 12.2023 太陽系   0 comments   0 trackback
巨大惑星が他惑星の「生命誕生」を邪魔する? 例えば木星

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巨大惑星がいくつも存在する太陽系外惑星系の想像図(NASA/Dana Berry)

木星のような巨大惑星は、地球サイズの惑星の軌道を乱し、気候に壊滅的な影響を及ぼすことで、地球に似た環境の形成を妨げる可能性があるとする研究論文が、学術誌アストロノミカル・ジャーナルに掲載された

論文では、巨大ガス惑星の重力が、同じ主星を公転するより小さい惑星の未来を根本から変える可能性について詳しく説明している。

太陽系には4つの巨大ガス惑星(木星、土星、天王星、海王星)が存在する。中でも最大の木星は、巨大な重力の作用により、地球に危険を及ぼす恐れのある小惑星や彗星の進路を逸らしている


■破壊的役割

太陽系以外の恒星系では、巨大ガス惑星がはるかに破壊的な役割を演じている可能性がある。論文ではその一例として、うしかい座の方向に太陽系から121光年の距離にある、4つの巨大ガス惑星を持つ恒星系「HD 141399」を調査した。4つの巨大ガス惑星の作用によって、主星のハビタブルゾーン(生命生存可能領域)から惑星が弾き出されるかどうかを、コンピューターシミュレーションで調べた

■ハビタブルゾー

ハビタブルゾーンはゴルディロックスゾーンとも呼ばれ、水が液体の状態で惑星の表面に存在するために必要な、主星と惑星との距離のことだ。これは生命の必要条件と考えられている。領域は、内側の境界線「ボイルライン」(主星と惑星の距離が近すぎて、水が沸騰して蒸発してしまうライン)と、外側の「アイスライン」(水が凍結するライン)とで隔てられている

■カオスな場所

論文の第一執筆者で、米カリフォルニア大学リバーサイト校の天体物理学者スティーブン・ケーンによれば、HD 141399はカオスな場所で、「4つの木星が建物解体用の鉄球のように振る舞い、あらゆるものの調子を狂わせている」という。もし地球がこの恒星系内にあるとすると、現在の位置にとどまれない可能性が高いことが、シミュレーションで明らかになった。「巨大ガス惑星の重力が、岩石惑星を公転軌道から弾き出し、ゾーンから放り出してしまう。岩石惑星がこの事態を免れるエリアは、ごくわずかに限られる」と、ケーンは説明した

■さらなる根拠

同じ研究チームが発表した別の論文でも、巨大ガス惑星がカオス状態を引き起こす可能性があることが示唆されている。太陽系からわずか30光年の距離にある恒星「GJ 357」のハビタブルゾーン内にある惑星は当初、地球サイズと考えられていたが、それよりもはるかに大きい可能性が高いことが、この研究で明らかになった。「おそらく地球型ではないため、生命は存在できないだろう」(ケーン)

この惑星の質量は、地球の10倍と推定された。シミュレーションの結果、この惑星が引き起こす重力のカオス状態により、近くのより小型の惑星がハビタブルゾーン内の軌道を公転するのが不可能になっていることが示唆された。研究チームは、恒星のハビタブルゾーン内を公転していることが判明したからといって、その惑星が生命を育むことができると考えてはならないと注意を促している


「現在の太陽系内の惑星の配置に対して、心から感謝すべきであるさらなる根拠を、今回の研究は提供している」とケーンは話した

2023年11月6日
Forbes JAPANより
 

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