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白色矮星から岩石惑星の痕跡

Posted by moonrainbow on 25.2021 白色矮星   0 comments   0 trackback
白色矮星の外層から岩石惑星の痕跡を検出、蒸発した地殻の破片か

岩石惑星の破片を描いた想像図
潮汐作用で破壊され、白色矮星へと降り積もっていく岩石惑星の破片を描いた想像図(Credit: University of Warwick/Mark Garlick)

ウォーリック大学のMark Hollands氏らの研究グループは、4つの白色矮星の外層から、かつて岩石惑星の地殻に含まれていたとみられる物質が検出されたとする研究成果を発表しました

太陽と比べて質量が8倍以下の恒星は、その晩年に赤色巨星へと進化して周囲にガスや塵を放出します。やがてガスを放出しきった赤色巨星は核融合で輝くことを止めてコア(中心核)だけが残り、白色矮星に進化すると考えられています。核融合をしない白色矮星は予熱で輝く天体なので、恒星としては死を迎えた姿ともいえます。

今回研究グループは欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ガイア」やアパッチポイント天文台のサーベイ観測プロジェクト「スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)」の観測データをもとに、「LHS 2534」をはじめ全部で4つの白色矮星のスペクトル(波長ごとの電磁波の強さ)を調べました。元素には特定の波長の光を吸収する性質があるため、白色矮星のスペクトルを分析することで、そこにどんな元素が存在するのかを知ることができます。

研究グループによる分析の結果、4つすべての白色矮星からリチウムが、LHS 2534ではリチウムに加えてカリウムが検出されたとされています。同様に検出されたナトリウムやカルシウムに対するリチウムとカリウムの比率は、地球や火星のような岩石惑星の地殻を構成していた物質が気化して白色矮星のガス状の外層で200万年に渡り混ざりあったとすれば説明できるといいます。

研究グループは検出されたリチウムやカリウムについて、白色矮星に降り積もった岩石惑星の地殻の破片を示すものだと考えています。これまでにも白色矮星の大気中からはケイ素や鉄といった惑星のマントルやコアを構成する物質が検出されたことがありましたが、Hollands氏によると岩石惑星の地殻を示す決定的な検出はなかったといいます。いっぽう、惑星のマントルやコアにリチウムやカリウムは高濃度では含まれておらず、地殻の物質を示す良い指標になるとHollands氏は言及しています。

発表によると、白色矮星の外層に含まれる破片の質量は最大30万ギガトン(最大60ギガトンのリチウムおよび3000ギガトンのカリウムを含む)、地球の地殻と同じ密度になるように集めれば直径60kmの球体が出来上がる量だと推定されています。研究グループは赤外線による観測データも踏まえた上で、白色矮星の大気中に存在しているのは惑星の破片のごく一部であり、白色矮星を取り囲む円盤から継続的に惑星の破片が落下し続けている可能性を指摘しています。

また、今回の研究対象となった白色矮星は核融合を止めてから約50億~100億年が経っており、一部は恒星として形成されたのが110億~125億年前という天の川銀河でもかなり早い段階で誕生した星とみられています。研究に参加したウォーリック大学のPier-Emmanuel Tremblay氏は、知られているもののなかでも最も古い時代に形成された惑星系の1つだと語ります。

さらに、4つの白色矮星のうち1つはかつて太陽の5倍近い質量を持つB型星だったと推定されています。恒星は質量が大きいほど寿命は短くなるため、B型星の寿命は太陽よりも短く、場合によっては太陽の100~1000分の1程度しかありません。短命な恒星が進化した白色矮星から惑星の痕跡を検出した今回の成果についてTremblay氏は「惑星がどれだけ速やかに形成され得るかについての重要な知見をもたらす記録的な発見です」とコメントしています


Image Credit: University of Warwick/Mark Garlick

2021-02-16
Soraeより

白色矮星「SDSS J1240+6710」

Posted by moonrainbow on 23.2020 白色矮星   0 comments   0 trackback
高速で天の川銀河を移動する白色矮星、崩壊した連星から飛び出した?

爆発後に高速で飛び出す白色矮星を描いた想像図
爆発後に高速で飛び出す白色矮星を描いた想像図(Credit: University of Warwick/Mark Garlick)

星々はいずれも固有の方向へ移動していますが、なかには秒速数十kmや数百kmといった高速で移動するものもあります。2015年に発見されたある白色矮星が、一種の超新星爆発を起こしたために高速で移動するようになったのではないかとする研究成果が発表されています

■部分的な超新星爆発を起こした結果、崩壊した連星から飛び出したか

「りゅう座」の方向およそ1400光年先にある「SDSS J1240+6710」は太陽の4割ほどの質量がある白色矮星で、天の川銀河を時速およそ90万km(秒速およそ250km)で移動しています。今回、Boris Gaensicke氏(ウォーリック大学)らの研究グループは、SDSS J1240+6710が部分的な超新星爆発(partial supernova)を起こしたことで連星を飛び出し、高速で移動することになったとする研究結果を発表しました。

太陽のような恒星が赤色巨星を経て進化した姿とされる白色矮星の大半は、おもに水素とヘリウムでできた大気を持つとされています。ところがSDSS J1240+6710の大気には水素とヘリウムが見当たらず、酸素を主体にネオン、マグネシウム、ケイ素が混じった大気を持つことがすでに知られていました。

研究グループが「ハッブル」宇宙望遠鏡による観測データをもとにSDSS J1240+6710の大気組成を分析したところ、上記の元素に加えて炭素、ナトリウム、アルミニウムが検出されたいっぽうで、鉄、ニッケル、クロム、マンガンといった元素はほぼ存在しないことがわかったといいます。

これらの事実をもとに研究グループでは、SDSS J1240+6710はもともと連星を成しており、Ia型超新星に代表されるような核燃焼型の超新星爆発を起こしたものの、前述のようにその爆発は部分的なものだった(ケイ素燃焼の過程までは進まなかった)と考えています。ただし、核燃焼にともない質量の大部分が急激に失われたことで連星のバランスが崩れた結果、SDSS J1240+6710が高速で飛び出すことになったとしています。Gaensicke氏は「それはこれまでに観測されたことがない種類の超新星だったでしょう」と語ります。

また、研究グループによると、Ia型超新星の残光はニッケルの放射性同位体(ニッケル56)の放射性崩壊が源になっているものの、SDSS J1240+6710が起こした爆発ではニッケル56が少量しか生成されなかったとみられることから、同様の爆発は発見するのが難しいだろうとしています。Gaensicke氏は「天の川銀河にある超新星爆発を生き延びた天体を観測することは、別の銀河で観測される数多くの超新星を理解する上で役立ちます」とコメントしています


Image Credit: University of Warwick/Mark Garlick

2020-07-16
Soraeより

白色矮星連星「J2322+0509」

Posted by moonrainbow on 13.2020 白色矮星   0 comments   0 trackback
合体する運命にある白色矮星連星を発見。なんと公転周期は20分

連星「J2322_0509」を描いたイメージ図
白色矮星どうしの連星「J2322+0509」を描いたイメージ図(Credit: M. Weiss)

2つの恒星が互いを周回し合う連星は、この宇宙ではごくありふれた存在です。今回、連星を成す恒星が両方とも白色矮星に進化した「白色矮星どうしの連星」が、「うお座」の方向で見つかりました

■重力波を放出しつつ600万~700万年後には合体するとみられる

今回、Warren Brown氏(ハーバード・スミソニアン天体物理学センター、アメリカ)らによって分析されたのは、うお座の方向およそ2500光年先にある「J2322+0509」です。J2322+0509はそれぞれ太陽の0.27倍と0.24倍の質量がある2つの白色矮星から成る連星で、重いほうの表面温度は摂氏およそ1万8000~2万度とみられています。

研究チームがアリゾナ州の「マルチミラー望遠鏡(MMT)」やチリの「マゼラン望遠鏡」を使って観測したところ、J2322+0509では2つの白色矮星が約1201秒(20分1秒)周期で互いを周回し合っていることが明らかになりました。これは過去に報告された「ZTF J1539+5027」(約414秒)や「SDSS J0651+2844」(約765秒)に次いで、既知の連星では3番目に短い公転周期だといいます。

J2322+0509では白色矮星が重力波の形でエネルギーを放出しながら周回しているため、今後は周期がさらに短くなり、白色矮星どうしの距離も徐々に短くなっていくとみられています。研究チームでは、J2322+0509の2つの白色矮星は600万から700万年後には合体して、より大きな単一の白色矮星が誕生することになると予想しています。

なお、J2322+0509を成すのはどちらも恒星のヘリウムコアに由来するヘリウムが主体の白色矮星(helium-core White Dwarf)とみられており、研究チームによると、このような白色矮星どうしがペアを組む連星が見つかったのは今回が初めてだといいます。また、2034年に打ち上げられる予定の宇宙重力波望遠鏡「LISA」では、J2322+0509のような白色矮星から放出される重力波が数多く検出できると予想されています


Image Credit: M. Weiss

2020-04-06
Soraeより

2つの白色矮星の合体

Posted by moonrainbow on 10.2020 白色矮星   0 comments   0 trackback
白色矮星どうしの合体で誕生した「重い白色矮星」150光年先に確認

白色矮星どうしの合体を描いた想像図
白色矮星どうしの合体を描いた想像図(Credit: University of Warwick/Mark Garlick)

太陽のような恒星はやがて巨大な赤色巨星になってガスを放出し、自ら核融合はしない白色矮星に進化すると考えられています。今回、平均的な質量の2倍近い重さを持つ白色矮星が、2つの白色矮星の合体によって誕生したとする研究成果が発表されました

■合体はおよそ13億年前と推定、地球の3分の2サイズで太陽よりも重い

Mark Hollands氏(ウォーリック大学、イギリス)らの研究チームが観測したのは、「ぎょしゃ座」の方向およそ150光年先にある白色矮星「WDJ0551+4135」です。白色矮星の平均的な質量は太陽の約0.6倍ですが、WDJ0551+4135の質量は平均のほぼ2倍となる太陽の約1.14倍。太陽よりも重いのに、直径は地球の3分の2ほどしかありません。観測データを分析した結果、この重い白色矮星はおよそ13億年前に2つの白色矮星が合体したことで誕生したとみられています。

研究チームは、カナリア諸島にある天体望遠鏡「ウィリアム・ハーシェル望遠鏡」と、欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ガイア」による観測データを分析に使用しました。ウィリアム・ハーシェル望遠鏡による観測では、WDJ0551+4135が水素に炭素が混じった大気を持っていることが判明しています。進化が通常通りに進んだ白色矮星では、水素とヘリウム、あるいはヘリウムに炭素が混じった大気が観測されることはあるものの、白色矮星の内部に存在していてヘリウムの層に覆われているはずの炭素と、表層にある水素の組み合わせを見つけることになるとはまず予想しないとHollands氏は語ります。

いっぽう、ガイアの観測データからは、WDJ0551+4135がその温度から推定される年齢にしては高速で天の川銀河を周回していることもわかりました。若い星よりも古い星のほうがより高速で銀河を周回していることから、WDJ0551+4135の運動速度は見た目(温度)と実年齢が食い違っていることを示唆しており、過去に温度が上昇するような現象を経験した可能性があるとみられています。「WDJ0551+4135が白色矮星どうしの合体によって誕生した」とする結論は、こうした観測結果をもとに導き出されました


■白色矮星どうしの合体でできた白色矮星はめずらしい


ウォーリック大学の発表によると、白色矮星どうしの合体は予想の範囲内ではあるものの、めずらしい現象のようです。たとえば、合体してWDJ0551+4135になる前の星はどちらも同じくらいの質量だったと考えられていますが、合体の多くは異なる質量の天体のあいだで起きる現象とされています。質量が違えば進化後の姿や進化の速度がそれぞれ異なるため、ペアの重さが異なる連星では白色矮星どうしが合体するとは限りません。

また、白色矮星には「太陽の約1.4倍」という限界の質量(チャンドラセカール限界質量)があり、合体後の質量がこの値を超える場合は超新星爆発に至るとされています。限界に近い質量のWDJ0551+4135は、白色矮星の質量の上限を示す一例と言えそうです


Image Credit: University of Warwick/Mark Garlick

2020-03-03
Soraeより

白色矮星「WDJ0914+1914」

Posted by moonrainbow on 12.2019 白色矮星   0 comments   0 trackback
白色矮星に炙られ蒸発しながら公転する太陽系外惑星の存在

白色矮星(左)の近くを蒸発しながら公転
円盤をともなう白色矮星(左)の近くを蒸発しながら公転する系外惑星(右)の想像図(Credit: ESO/M. Kornmesser)

核融合を起こさず冷えていくだけの白色矮星は、太陽のような恒星が「死」を迎えた姿と言えます。そんな白色矮星の周囲に太陽系外惑星が存在する証拠を見つけたとする研究成果が発表されました

■系外惑星から蒸発した物質でできたとみられる円盤が存在

白色矮星は、太陽の8倍よりも軽い恒星が水素を核融合し尽くす過程でふくれ上がって赤色巨星となり、周囲にガスを放出したあとに残される天体です。もはや核融合で輝くことはなく、時間が経つにつれてその温度は冷えていきます。太陽も例外ではなく、数十億年後には赤色巨星となり、地球は飲み込まれてしまうと考えられています。

Boris Gänsicke氏(ウォーリック大学、イギリス)らの研究チームは、全天の4分の1をカバーするサーベイ観測プロジェクト「スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)」によって観測された約7000個の白色矮星を分析しました。

すると、かに座の方向およそ1500光年先にある白色矮星「WDJ0914+1914」が持つ円盤が、水素、酸素、硫黄といった元素を豊富に含んだ、白色矮星としてはめずらしい特徴を持っていることがわかりました。

WDJ0914+1914について詳しい情報を得るべく、研究チームがヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡「VLT」による観測を実施したところ、この白色矮星の円盤は、海王星ほどの大きさを持った系外惑星から流失した物質によって形成されている可能性が浮上しました。

太陽系の惑星である海王星や天王星の大気には、水(H2O)や硫化水素(H2S)が存在します。研究チームでは、WDJ0914+1914にも海王星のような組成を持った系外惑星が存在していて、この惑星から流れ出た物質によって円盤が形成されることで、水素や酸素、それに硫黄を含んだ円盤が形成されたのではないかと考えています


■まだ熱い白色矮星に至近距離からあぶられる

超大型望遠鏡「VLT」
詳細な観測を実施したESO・パラナル天文台の超大型望遠鏡「VLT」(Credit: ESO/H.H.Heyer)

WDJ0914+1914は太陽の半分程度の質量を持っており、冷えていくだけとはいえ、現在観測されている表面温度は摂氏約2万8000度もあります

研究によると、海王星サイズの系外惑星は、この白色矮星からおよそ1000万km(太陽の直径の7.5倍ほど)離れた軌道を10日程度で1周しているとみられています。表面が太陽の5倍ほども熱い白色矮星に対してこの距離はあまりにも近く、強烈な紫外線の放射によってこの系外惑星の大気は蒸発し続けており、そのうちの一部(毎秒3000トンほど)が円盤に流れ込んでいると考えられています。

また、最初からこの軌道に系外惑星が存在していたとは考えられないことから、研究チームは、この系外惑星が別の系外惑星と重力で相互作用した結果、白色矮星にごく近い軌道まで移動してきたはずだとしています。WDJ0914+1914の周囲には、主星が赤色巨星から白色矮星へと進化する激動の期間を生き延びた2つ以上の系外惑星が存在しているのかもしれません


Image Credit: ESO/M. Kornmesser

2019-12-06
Soraeより
 

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