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白色矮星「HD 149499B」

Posted by moonrainbow on 05.2022 白色矮星   0 comments   0 trackback
白色矮星「HD 149499B」の大気中から「セシウム」を初めて検出

白色矮星に重い元素
【▲ 図: 白色矮星に重い元素が存在すること自体も謎ですが、これは白色矮星を周回していた岩石惑星が衝突することによって供給された、と考えられています。しかし、白色矮星の強い重力では短期間しか表面に存在しないはずであり、なぜ長期間存在するのかは謎に包まれています。 (Image Credit: CfA/Mark A. Garlick) 】

太陽のような軽い恒星は、寿命の最期に「白色矮星」というコンパクト天体を残します。白色矮星は直径が地球ほどしかないものの、質量は太陽と同じくらいという、非常に高密度で表面重力の強い天体です。この重力の強さによって、白色矮星の表層部では元素の分離が強く発生します

白色矮星の本体には恒星だった頃の核融合反応で生じた酸素や炭素が存在する一方で、表層部には水素とヘリウムでできた大気が存在すると見られています。軽い元素である水素やヘリウムは白色矮星の最表層部に存在できる一方で、それよりも重い元素は強い重力に引き寄せられ、白色矮星の内部へと入り込んでしまいます。このため、白色矮星の大気を観測すると、原則的には水素とヘリウムしか検出されないはずです。

ところが現実には、高温の白色矮星の大気からは水素とヘリウム以外の重い元素も見つかっています。特に、28番元素の鉄よりも重い元素は十数種類発見されており、2005年に3つの白色矮星からゲルマニウムが見つかって以降は、新しい元素の発見が連続して報告されています


宇宙望遠鏡科学研究所 (STScI) のPierre Chayer氏らの研究チームは、表面温度が約5万℃という高温の白色矮星「HD 149499B」の大気成分を観測しました。その結果、55番元素の「セシウム」を、白色矮星の大気から初めて検出することに成功しました。その存在量はヘリウムとの比率で「-5.45」であると測定されています。これは、「ヘリウムの数万分の1程度の割合でセシウムが存在する」ことを示しています

これまでの観測では、白色矮星の大気で検出された鉄よりも重い元素の量は、恒星の大気と比較して過剰に多いことが知られています。例えば大気からゲルマニウムが検出された白色矮星「Feige 86」では、金と白金が太陽と比較して3倍から1万倍も多く含まれています。今回、セシウムでも同様に過剰な存在量が観測されたことで、白色矮星の大気に重い元素が過剰に存在することは一般的であると考えざるを得ません。

一方で、白色矮星の強い重力は、重い元素を大気から本体へと短期間で沈み込ませてしまい、スペクトル解析では元素の存在が隠されてしまうはずです。重い元素の供給源そのものは、最近になって白色矮星に衝突した岩石惑星 (もしくはその残骸) の可能性があるものの、これらすべての白色矮星でつい最近衝突が起きたというのは、あり得そうもないほどの偶然です。したがって、白色矮星の大気中に重い元素が存在するためには、白色矮星の強い重力に逆らって重い元素を “浮揚” させる力が必要となるはずです


現在、白色矮星で重い元素が見つかる理由の有力な候補は「放射浮揚 (Radiative Levitation)」です。原子は白色矮星のように高温の環境ではイオン化して、イオン化していない (中性の) 時よりも光子 (電磁気力を媒介する素粒子) を吸収しやすくなります。吸収された光子のエネルギーの一部が原子の運動エネルギーに変換されることで、原子が “蹴り上げられ” 、大気中に存在できるようになります。この効果は、特に重い元素であるほど強くなる傾向にあります。また、放射浮揚による光子の吸収効果は波長が短いほど強く働くため、波長の短い光子を多く放出している高温の白色矮星で見られることとも一致します。

放射浮揚は長年に渡る有力候補ではあるものの、その裏付けとなる決定的な証拠や観測結果はまだありません。実際に放射浮揚が起きている場合は極紫外線やX線が吸収されるため、その波長で観測を行えば予測される放射量と比べて大幅に暗く見えるはずであり、今後の観測によって証明される可能性があります


Source

P. Chayer, et.al. “Detection of cesium in the atmosphere of the hot He-rich white dwarf HD 149499B”. (arXiv)

2022-11-28
Soraeより

白色矮星「G238-44」

Posted by moonrainbow on 26.2022 白色矮星   0 comments   0 trackback
恒星の死がもたらす惑星系規模の混乱を白色矮星の観測データから推定

白色矮星「G238-44」
【▲ 白色矮星「G238-44」の想像図(Credit: NASA, ESA, Joseph Olmsted (STScI))】

こちらは「こぐま座」の方向約86光年先にある白色矮星「G238-44」の想像図です。星系の中心で輝くG238-44に向かって、幾つもの小天体が落下していく様子を描いています

白色矮星とは、太陽のように比較的軽い恒星(太陽の8倍以下の質量)が赤色巨星へと進化した後に、ガスを失ってコア(核)だけが残った天体のこと。地球と同じくらいのサイズで太陽の半分~1個分の質量を持つとされる、高密度な天体です。白色矮星は中心部で核融合反応を起こさず余熱で輝くのみなので、「恒星としての死」を迎えた姿とも言えます。

赤色巨星に進化した恒星の外層は大きく膨張し、周囲にガスを放出しながら白色矮星に進化するとみられています。もしもその恒星の周囲に惑星などが存在していた場合、この過程で膨張した恒星に飲み込まれたり、軌道が変化して星に落下したりすると考えられています


■金属を含む岩石天体と氷天体の両方が落下したことを示す初の証拠

2022年6月にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)を卒業したTed Johnsonさんを筆頭とする研究チームは、「ハッブル」宇宙望遠鏡などによる観測データをもとに、G238-44の大気における窒素・酸素・マグネシウム・ケイ素・鉄といった元素の存在量を測定しました。その結果、地球や小惑星のように金属を含む岩石天体と、彗星のような氷天体の両方が落下した証拠が得られたといいます。

研究チームによれば、G238-44の大気からは非常に高い存在量の鉄と、予想外に高い存在量の窒素が検出されました。豊富な鉄は地球のような岩石惑星の中心にある金属コアの証拠であり、窒素は氷天体の存在を意味すると研究チームは結論付けています。Johnsonさんは「データに最も適合するのは、水星のような天体由来の物質と、彗星のように氷と塵でできている天体由来の物質が、約2対1の比率で混合しているケースです」と語ります。

白色矮星に落下した天体に由来すると思われる物質が白色矮星の大気から検出されたのは今回が初めてではなく、過去には落下した岩石惑星の組成を推定した研究成果も発表されています。太陽系外惑星の組成を直接調べることはできませんが、白色矮星の大気中に存在する元素を分析することで、かつて存在していた系外惑星の組成を探ることができるのです。

しかし今回の研究では、G238-44には岩石天体だけでなく氷天体も落下したと結論付けられました。2種類の天体が白色矮星に落下した可能性が示されたのは、今回が初めてのことだといいます。研究論文の共著者であるUCLAのBenjamin Zuckerman教授は「この白色矮星(G238-44)で検出された様々な元素の存在量は、岩石質の天体と揮発性物質が豊富な天体の両方に由来しているように見えます。これは何百もの白色矮星に関する研究でも初の事例です」とコメントしています


予想されるG238-44星系の模式図
【▲ 予想されるG238-44星系の模式図(日本語表記は筆者が追加)。白色矮星の周囲には破壊された天体でできた降着円盤が形成されている。星から離れた領域では巨大ガス惑星が生き延びているかもしれない。※元バージョンはこちら(Credit: NASA, ESA, Joseph Olmsted (STScI))】

金属を含む岩石天体と氷天体の両方が落下したことを示す証拠は、恒星の死がもたらす混乱の規模を理解する助けになりました。

太陽に近付くにつれてガスを放出する彗星の活動からもわかるように、恒星に近い領域では氷は揮発して失われてしまいます。太陽系の場合、太陽に近い小惑星帯には岩石質の小惑星が分布し、太陽から遠いエッジワース・カイパーベルト以遠には氷を主成分とする小天体が分布しています。

岩石天体と氷天体の両方が落下したということは、惑星系の幅広い領域から白色矮星に向かって天体が落下したことを意味します。UCLAの発表によると、星は白色矮星としての新たな生涯を開始してから1億年以内に、恒星に近い領域と遠い領域(小惑星帯とエッジワース・カイパーベルトのような)の両方から天体を捕獲できる可能性が、今回の研究では確認されたといいます。

今から数十億年後には、太陽も赤色巨星を経て白色矮星に進化すると予想されています。太陽に近い地球などの岩石惑星は蒸発するいっぽうで、木星から海王星までの太陽から遠い惑星は生き延びる可能性があり、木星の重力によって軌道を乱された小惑星は白色矮星になった太陽へ落下していくだろうとJohnsonさんは語ります。未来の太陽系は、研究チームが調べたG238-44の惑星系にとても良く似た運命を辿ることになるようです


Image Credit: NASA, ESA, Joseph Olmsted (STScI)

2022-06-23
Soraeより

白色矮星の降着円盤

Posted by moonrainbow on 28.2022 白色矮星   0 comments   0 trackback
降着円盤の構造をとらえる新たな手法、可視光線とX線の高速同時観測

矮新星はくちょう座SS星の想像図
矮新星はくちょう座SS星の想像図。中心の白色矮星、周りを取り巻く降着円盤、円盤にガスを供給する伴星から成る(提供:東京大学木曽観測所)

矮新星はくちょう座SS星では、可視光線における秒スケールでの明るさの変化がX線に連動していることがわかった。矮新星を構成する白色矮星の降着円盤について知る新たな手がかりとなりそうだ

生まれつつある恒星から、銀河中心核の超大質量ブラックホールまで、大量の物質が中心天体に取り込まれるような場面では、降着円盤と呼ばれる構造が形成される。降着円盤は、ガスの回転による遠心力が中心天体の重力と釣り合うことで維持されていて、ガスが摩擦で回転速度を失うことで中心へと落下していく。この摩擦でガスが加熱され、降着円盤は明るく輝く。

降着円盤の多くは、望遠鏡でも点にしか見えない距離にある。そのため、円盤の構造について知るには、多波長での観測や明るさの時間変動を手がかりとする必要がある。このような観測によって降着円盤の仕組みが解明されてきた天体として挙げられるのが矮新星だ。矮新星とは、高密度な天体である白色矮星と通常の恒星が極めて接近した連星系で、恒星から白色矮星へガスが流出し、降着円盤を形成している。定期的に「ししおどし」のように円盤のガスが急激に白色矮星へ落下するメカニズムが働くため、矮新星は一定の周期で急増光を示す。

代表的な矮新星はくちょう座SS星(SS Cyg)は、1か月ほどの周期で増光と静穏の状態を繰り返す。また、X線から可視光線まで幅広い波長帯域で明るく、とくに可視光線では100年以上もの間観測され続けている。

このはくちょう座SS星が、静穏期でも可視光線で2.5倍、X線で10倍も明るくなるという状態が、2019年8月から1年以上にわたって続いている。これは長い観測の歴史の中で初めてのことだ。東京大学の西野耀平さんたちの研究チームは、この機に降着円盤天体について新たな知見が得られると考え、可視光線とX線での同時観測を2020年9月から11月にかけて実施した。可視光線観測には東京大学木曽観測所105cmシュミット望遠鏡に搭載された高速動画カメラ「トモエゴゼン(Tomo-e Gozen)」、X線観測には国際宇宙ステーションに設置されているNASAのX線望遠鏡「NICER」を使い、どちらの波長でも秒以下での変動までとらえられる観測を実現している。

このうち2020年9月14日に観測した約500秒のデータから、可視光線とX線の変動が同期していることが明らかになった。はくちょう座SS星で可視光線とX線の変光がはっきりと連動しているのが検出されたのは初めてのことだ。また、明るさが急激に変化した部分に着目すると、可視光線の変化がX線の変化に対して約1秒遅れていることがわかった。X線に対して可視光線が遅延する現象が矮新星でとらえられたのは、これも初めてだ/u>。

はくちょう座SS星の可視光線
時間変動の観測結果
はくちょう座SS星の可視光線(赤)とX線(青)の明るさの時間変動。ピンクで示されているのは、明るさの変化が急激だった区間(提供:東京大学大学院理学系研究科・理学部リリース、以下同)

矮新星の降着円盤では、X線は白色矮星付近の高温に加熱されたガスから発せられ、可視光線は比較的低温な円盤外縁部から出ている。また、今回検出された可視光線の遅延は、はくちょう座SS星の白色矮星付近から降着円盤の外縁まで光が伝播する時間とおおよそ一致する。このことから、中心付近の高温ガスからのX線が降着円盤と伴星の表面に当たり、それによって加熱されたガスが可視光線を再放射したのだと考えられる<

幾何学的構造の説明図
円盤の幾何学的構造
はくちょう座SS星の円盤の幾何学的構造の説明図(円盤面の方向から見た断面図)

X線が円盤の外側へ届くには、高温ガスが分布する中心付近の円盤がある程度厚くなければならない。今回のような可視光線とX線の連動は過去に観測されてないことから、中心付近における円盤の拡大は最近起こった可能性がある。

これまで、矮新星の構造をとらえるためには、もっぱらX線のスペクトル解析が用いられてきた。一方、今回の研究では可視光線とX線の同時観測により、降着円盤の形状に関する知識を得ることに成功している。この手法は他の天体における降着円盤にも応用できるだろう。西野さんたちはさらに、可視光線とX線以外も用いた多波長の高速同時観測も検討している


2022年5月23日
AstroArtsより

白色矮星の表層で水素の安定した核融合反応

Posted by moonrainbow on 14.2021 白色矮星   0 comments   0 trackback
一部の白色矮星では表層で水素の安定した核融合反応が起きている可能性


白色矮星「シリウスB
【▲ 白色矮星「シリウスB」(左)と地球(右)を比べたイメージ図(Credit: ESA/NASA)】

ボローニャ大学/イタリア国立天体物理学研究所(INAF)のJianxing Chen氏らの研究グループは、「ハッブル」宇宙望遠鏡による観測データを分析した結果、一部の白色矮星では表層に残った水素の安定した水素燃焼(水素の核融合反応)が起きているとする研究成果を発表しました

比較的軽い恒星が進化した姿である白色矮星は、自ら核融合反応は起こさず余熱で輝くのみだと考えられてきました。研究を率いたChen氏自身が「大変驚きました」と語る今回の成果は白色矮星に関する従来の認識とは合致せず、白色矮星の年齢や、それをもとに推定されてきた球状星団・散開星団の年齢を見直すことにつながるかもしれません

■白色矮星における安定した水素燃焼の観測的証拠が初めて得られた

恒星の最期というと超新星爆発を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、質量が太陽の8倍以下の比較的軽い恒星は超新星に至らず、赤色巨星に進化した段階で外層からガスを放出した後に、コア(中心核)の部分が残った白色矮星へ進化すると考えられています。

白色矮星は地球と同程度のサイズですが、質量は太陽の半分~1個分ほどもある高密度な天体です。冒頭でも触れたように、白色矮星は恒星だった頃の余熱で輝く天体であり、自ら核融合反応を起こさないと考えられていました。

今回、Chen氏らはハッブル宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」を使用し、天の川銀河にある2つの球状星団「M3」および「M13」の白色矮星を近紫外線の波長で観測しました。M3とM13は年齢や金属(水素やヘリウムよりも重い元素)の含有量がよく似ており、星の種族を比較研究する上で理想的な対象なのだといいます。

観測の結果、恒星の数はM3よりもM13のほうが少ないにもかかわらず、同じ明るさの範囲における白色矮星の数はM3が326個であるのに対し、M13では460個も検出されました。データを分析したところ、M3の白色矮星はどれも標準的だったものの、M13の白色矮星は標準的なものと水素の薄い外層を持つものの2種類が存在することが判明。恒星進化のシミュレーションと比較した結果、M13の白色矮星のうち約7割では表層で安定した水素燃焼が起きている可能性が示されました。

白色矮星が別の恒星と連星を組んでいる場合、恒星から流れ出て白色矮星の表面に降り積もった水素ガスが暴走的な熱核反応を起こして表層が吹き飛ぶ「新星」(古典新星とも)や、ガスが降り積もり続けて白色矮星の質量が太陽の約1.4倍(チャンドラセカール限界)に達したことで発生する「Ia型超新星」に至ることがあるとされています。ただし、新星やIa型超新星は一時的な激しい現象であり、安定した水素燃焼とは異なります。Chen氏は「白色矮星でもまだ起こる安定した熱核反応の観測的な証拠が初めて得られました」と語ります


■球状星団や散開星団の年齢が見直しを迫られる可能性

球状星団「M3」
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した球状星団「M3」(右)と「M13」(左)(Credit: SCIENCE: ESA, NASA, Giampaolo Piotto)】

表層で安定した水素燃焼を起こす白色矮星がM13には存在するのにM3には見られない理由については、白色矮星へと進化した恒星の質量が関係しているとみられています。研究グループによると、白色矮星に進化する星が恒星としての最期に近付いたとき、比較的重い星の場合は対流によって外層の水素が内側へと運ばれて燃焼するため、誕生する白色矮星には水素が残りません。これに対し、比較的軽い一部の星では外層の水素が内側へと運ばれるプロセスが生じないといいます。M13の星々はM3と比べてわずかに軽い傾向があるといい、白色矮星に水素が残存しやすかったようです。

研究に参加したボローニャ大学のFrancesco Ferraro氏によると、白色矮星が維持できる水素の表層は質量が太陽の1万分の1程度という大変薄いものながら、最小限の熱核反応が可能とされています。

今回の成果が正しかった場合、研究者は白色矮星の年齢を推定し直す必要に迫られるかもしれません。余熱で輝き時間とともに冷えていく天体だとみなされていた白色矮星の年齢は、これまで表面温度との比較的単純な関係をもとに推定されてきました。表面温度が高い白色矮星ほど年齢が若く、温度が低くなるほど年齢を重ねているというわけです。

しかし、表層で安定した水素燃焼が続いている場合は冷え方が遅くなるため、白色矮星の年齢が実際よりも若く見積もられるかもしれません。研究グループによると、推定される年齢には最大で10億年の誤差が生じる可能性があるといいます。また、球状星団や散開星団の年齢を求める上で、表面温度から推定された白色矮星の年齢は一種の時計として用いられてきたといい、今回の成果によって星団の年齢も見直しを迫られることになるかもしれません


Image Credit: SCIENCE: ESA, NASA, Giampaolo Piotto

2021-09-09
Soraeより

白色矮星から岩石惑星の痕跡

Posted by moonrainbow on 25.2021 白色矮星   0 comments   0 trackback
白色矮星の外層から岩石惑星の痕跡を検出、蒸発した地殻の破片か

岩石惑星の破片を描いた想像図
潮汐作用で破壊され、白色矮星へと降り積もっていく岩石惑星の破片を描いた想像図(Credit: University of Warwick/Mark Garlick)

ウォーリック大学のMark Hollands氏らの研究グループは、4つの白色矮星の外層から、かつて岩石惑星の地殻に含まれていたとみられる物質が検出されたとする研究成果を発表しました

太陽と比べて質量が8倍以下の恒星は、その晩年に赤色巨星へと進化して周囲にガスや塵を放出します。やがてガスを放出しきった赤色巨星は核融合で輝くことを止めてコア(中心核)だけが残り、白色矮星に進化すると考えられています。核融合をしない白色矮星は予熱で輝く天体なので、恒星としては死を迎えた姿ともいえます。

今回研究グループは欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ガイア」やアパッチポイント天文台のサーベイ観測プロジェクト「スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)」の観測データをもとに、「LHS 2534」をはじめ全部で4つの白色矮星のスペクトル(波長ごとの電磁波の強さ)を調べました。元素には特定の波長の光を吸収する性質があるため、白色矮星のスペクトルを分析することで、そこにどんな元素が存在するのかを知ることができます。

研究グループによる分析の結果、4つすべての白色矮星からリチウムが、LHS 2534ではリチウムに加えてカリウムが検出されたとされています。同様に検出されたナトリウムやカルシウムに対するリチウムとカリウムの比率は、地球や火星のような岩石惑星の地殻を構成していた物質が気化して白色矮星のガス状の外層で200万年に渡り混ざりあったとすれば説明できるといいます。

研究グループは検出されたリチウムやカリウムについて、白色矮星に降り積もった岩石惑星の地殻の破片を示すものだと考えています。これまでにも白色矮星の大気中からはケイ素や鉄といった惑星のマントルやコアを構成する物質が検出されたことがありましたが、Hollands氏によると岩石惑星の地殻を示す決定的な検出はなかったといいます。いっぽう、惑星のマントルやコアにリチウムやカリウムは高濃度では含まれておらず、地殻の物質を示す良い指標になるとHollands氏は言及しています。

発表によると、白色矮星の外層に含まれる破片の質量は最大30万ギガトン(最大60ギガトンのリチウムおよび3000ギガトンのカリウムを含む)、地球の地殻と同じ密度になるように集めれば直径60kmの球体が出来上がる量だと推定されています。研究グループは赤外線による観測データも踏まえた上で、白色矮星の大気中に存在しているのは惑星の破片のごく一部であり、白色矮星を取り囲む円盤から継続的に惑星の破片が落下し続けている可能性を指摘しています。

また、今回の研究対象となった白色矮星は核融合を止めてから約50億~100億年が経っており、一部は恒星として形成されたのが110億~125億年前という天の川銀河でもかなり早い段階で誕生した星とみられています。研究に参加したウォーリック大学のPier-Emmanuel Tremblay氏は、知られているもののなかでも最も古い時代に形成された惑星系の1つだと語ります。

さらに、4つの白色矮星のうち1つはかつて太陽の5倍近い質量を持つB型星だったと推定されています。恒星は質量が大きいほど寿命は短くなるため、B型星の寿命は太陽よりも短く、場合によっては太陽の100~1000分の1程度しかありません。短命な恒星が進化した白色矮星から惑星の痕跡を検出した今回の成果についてTremblay氏は「惑星がどれだけ速やかに形成され得るかについての重要な知見をもたらす記録的な発見です」とコメントしています


Image Credit: University of Warwick/Mark Garlick

2021-02-16
Soraeより
 

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