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中性子星合体

Posted by moonrainbow on 18.2023 中性子星   0 comments   0 trackback
中性子星合体から1秒間の変化を高精度シミュレーション

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中性子星合体後約1秒の様子
シミュレーションで示された中性子星合体後約1秒の様子。(左)物質中の電子の割合。中性子だけでできていた天体から物質が放出され、新しい元素が生成される様子を表す。(中)物質の密度。ブラックホールの周りにトーラスが形成されていく。(右)磁場強度。画像クリックで拡大表示(提供:K. Hayashi, K. Kiuchi (Max Planck Institute for Gravitational Physics & Kyoto University)、以下同)

中性子星同士の合体を、合体後1秒間という過去最長にわたって計算するシミュレーションが行われた。重力波と電磁波の同時観測に加え、理論モデルを確立することで、合体の過程についての理解が深まりそうだ

2017年8月に、中性子星同士の合体で放出されたものとしては初めてとなる重力波GW170817が検出された。このとき、ガンマ線、可視光線、電波といった様々な電磁波でも合体に伴う輝きが検出されていて、重力波と電磁波の観測を組み合わせる画期的な「マルチメッセンジャー天文学」が実現した。

一方で、中性子星の合体で何が起こったのかは詳しくわかっていない。合体により鉄より重い元素が合成されると推測され、その過程に関する詳細な理解が望まれている。しかし、中性子星は直径約20kmで質量が太陽の40%を超えるような超高密度天体で、合体を再現するには高精度の理論計算が必要となる。

京都大学・基礎物理学研究所の木内建太さんたちの研究チームは数値相対論と呼ばれる技法を用いて、太陽質量の1.2倍と1.5倍(GW170817のデータから推測されるに値)の中性子星が合体するシミュレーションを行った。スーパーコンピュータ「富岳」で7200万CPU時間をかけた結果、既存のシミュレーションよりも10倍長い、合体後1秒間の変化を調べることに成功した。

中性子星合体による鉄より重い元素の合成は、衝突で物質が放出される際に起こると考えられているが、今回のシミュレーションでその放出過程が詳しくわかった。計算によれば、合体の約0.01秒後から、潮汐力と衝撃加熱によって物質の放出が始まり、0.04秒後にピークに達する。一方、合体によってドーナツ状の構造(トーラス)が形成されるが、合体から約0.3秒経つと磁気乱流によってトーラスから物質が放出されるようになる。

重力波と電磁波によって多面的に観測された現象については、精緻な理論モデルと比べることで、さらに理解を深めることができる。今回の結果は、宇宙分野に限らず、原子核物理や素粒子物理学にも大きな波及効果があると予想される。

「宇宙で起こる現象は日常生活から遠く離れたものですが、それを基礎物理学で解き明かすことは人類の知の地平線を広げることにつながると信じています。今回の研究を通して、知の地平線を広げることに少しでも寄与できたであろうことは研究者として至上の喜びを感じます」(木内さん)


Numerical-relativistic simulation of a binary neutron star merger


「富岳」によるシミュレーションの動画「Numerical-relativistic simulation of a binary neutron star merger」

2023年7月14日
AstroArtsより

中性子星

Posted by moonrainbow on 14.2023 中性子星   0 comments   0 trackback
重い中性子星は “柔らかい” 核を持つ?

重い中性子星は “柔らかい” 核を持つ?
中性子星の想像図

太陽よりもずっと重い恒星がその生涯を終える時、その中心核は収縮して「中性子星」と呼ばれるコンパクト星を残します。中性子星は全体が1つの原子核であるとも表現されるほどの、最も高密度な天体の1つです

言ってみれば、中性子星は私たちがよく知る物体の極限状態の1つであり、具体的な物性を調べられるという点でも興味深い研究対象です。ただし、中性子星の内部は極めて高密度・高エネルギーな環境であるため、正確な性質はほとんど分かっていません。

中国科学院のMing-Zhe Han氏らの研究チームは、いくつかの中性子星の観測データと理論計算を駆使し、中性子星の内部の様子を探りました。研究には中性子星同士の合体を捉えた重力波「GW170817」、正確な大きさが判明している中性子星「PSR J0030+0451」、最大級の重さを持つ中性子星「PSR J0740+6620」のデータが用いられました。これらの観測データと、原子核に関連する研究データや理論を組み合わせることで、研究チームは中性子星の内部の状態をシミュレーションしたのです。

その結果、特に重い中性子星について、これまでの予測とは異なる結果が得られました。天体サイズの物体の場合、中心部に向かえば向かうほど物質は強く圧縮されるため、中心部が一番硬くなる傾向にあります。中性子星を構成する物質の大部分は中性子でできた原子核だと考えられていますので、中心部に至るまでそのような構成だとすれば、中性子星の中心部は最も硬くなるはずです。

しかし、極端に重い中性子星のシミュレーションでは、最も硬くなる部分は中心部ではなく、その周辺部であるという結果になりました。つまり、重い中性子星は奇妙なほどに “柔らかい” 核 (コア) を持つことになります。この結果は、重い中性子星の中心部では物質構成が変化していると仮定することで説明できる可能性があります。

Han氏らは、重い中性子星の中心部は原子核ではできておらず、原子核を構成する中性子や陽子が分解し、素粒子であるクォークが剥き出しで存在する「クォーク物質」の状態にあると考えていて、太陽の2.14倍以上の質量を持つ中性子星がクォーク物質でできた核を持つ可能性が高いと推定しています。物質構成が異なるとすれば、中心部が硬くないことを示したシミュレーション結果の説明になります。

太陽の2.14倍という質量は、それ以上重ければ中性子星が潰れてブラックホールになってしまうとされる「トルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフ限界」の98%に相当します。また、低い確度で見積もっても、太陽の2.01倍以下の質量の中性子星にクオーク物質の核はありそうにないとも推定されています。この研究に基づけば、奇妙な核を持つのはほんの一握りの中性子星であることになります。

中性子星の中心部は物質の極限状態が保たれている興味深い場所であり、誕生直後の宇宙にも近い環境です。極限状態の研究は、私たちが身近に観察している物質の性質を決める様々な物理的パラメーターを知るために必要な研究でもあります。

意外かもしれませんが、中性子星に奇妙な核が存在するのか否かという疑問を解き明かすための研究は、物質でできている私たち自身とも縁遠い話ではありません


Source
Ming-Zhe Han, et.al. “Plausible presence of new state in neutron stars with masses above 0.98MTOV”. (Science Bulletin)

2023年6月8日
sorae より

中性子星の「山」の高さはどれくらい?

Posted by moonrainbow on 06.2021 中性子星   0 comments   0 trackback
 最新の研究により推定

中性子星の想像図
【▲ 中性子星の想像図(Credit: ESO / L. Calçada)】

イギリスの王立天文学会は、全国天文学会議2021(National Astronomy Meeting 2021)において、サウサンプトン大学の博士課程の学生であるファビアン・ギティンスさん率いる研究チームが、新しいコンピューターモデルに基づいて、中性子星の地表面に存在する、いわゆる「山」の高さを新しく推定する研究成果を報告したと発表しました。

太陽質量の8倍以上の質量を持つ恒星はその最後に大爆発を起こします。いわゆる超新星爆発です。

そして、その後には、ブラックホールや中性子を主成分にする中性子星が残されます。

このようなでき方からも解るように中性子星は非常に高密度な天体です。直径20kmほどの大きさに太陽ほどの質量が詰め込まれています。

そのため、その地表面(原子核と電子からなる固体の地表面があると考えられています)における重力は、非常に強く、凹凸があればほとんどならされてしまいます。つまり中性子星はほぼ完全な球形をしています。

とはいえ、中性子星の地表面に凹凸が全くないというわけではありません。では、中性子星の地表面にある、いわゆる山の高さはどれくらいになりうるのでしょうか?

これまでの研究では中性子星の山の高さは数センチメートルほどになりうると考えられてきました。

しかし、研究チームがより現実の中性子星に近いコンピューターモデルをつくり計算したところ、中性子星の山の高さはせいぜい数分の1ミリメートルほどにしかなりえないことが解りました。これはこれまでの推定の1/100ほどの高さということになります。

実は、高速回転している中性子星に山のようなものがあると、重力波が発生します。そして、この重力波を観測すれば、謎の多い中性子星についてさまざまな情報を得ることができるわけですが、残念ながら、現在、まだこのような重力波の観測には成功していません。ちなみに、重力波とは、重い天体などが加速度運動したときに発生する時空の微小な揺れで、「時空のさざ波」とも呼ばれています。

ファビアンさんによれば、今回の研究成果から、高速回転する中性子星からの重力波の観測は、これまで考えられていたよりも、より難しいものと考えられるといいます。

日本が誇る重力波望遠鏡「KAGRA」などのこれからの進歩に期待が高まります


Image Credit: ESO / L. Calçada

2021-07-29
Soraeより

中性子星の大きさ

Posted by moonrainbow on 23.2021 中性子星   0 comments   0 trackback
中性子星の直径は従来の推定値よりも数km大きい可能性が示される

中性子星(右)とニューヨークのマンハッタン島
【▲ 中性子星(右)とニューヨークのマンハッタン島(中央)周辺のサイズ比較図。ここでは中性子星の直径が従来の推定値である約20kmと仮定されている(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)】

インディアナ大学ブルーミントン校のBrendan Reed氏らの研究グループは、高密度な天体である「中性子星」の直径について、従来の推定値よりも大きい可能性を示した研究成果を発表しました

中性子星とは、太陽と比べて8倍以上重い恒星が超新星爆発を起こした際に形成されると考えられている、中性子が主成分の高密度な天体です。その一部は「パルサー」(高速の自転にともない点滅するように周期的な電磁波が観測される中性子星の一種)や「マグネター」(典型的な中性子星と比べて最大1000倍も強力な磁場を持つ)としても知られています。

今回研究グループが推定値を算出した平均的な中性子星(質量は太陽の1.4倍)の直径は、26.5~28.5kmです。これは約20~24kmとされていた従来の推定と比べて数km大きく、体積はざっと2倍前後大きいことを意味します。発表では今回の成果について、中性子星のサイズに関する理論を再考する必要があるかもしれないと言及しています。

直径の算出には、アメリカのトーマス・ジェファーソン国立加速器施設で実施された、鉛(208Pb)の原子核における中性子スキンの精密な厚さの測定データが用いられました。中性子スキンとは、陽子よりも中性子のほうが多い原子核の表層にある、主に中性子だけでできた部分のこと。研究グループによると、鉛(208Pb)の中性子スキンの厚さは0.283±0.071フェムトメートル(1フェムトメートル=1兆分の1ミリメートル)とされています。

角砂糖1個分のサイズで数億トンもの質量があるという高密度な中性子星の内部を実験で再現することはできませんが、そのサイズや構造についてのヒントが得られる可能性があるとして、中性子スキンは研究者から注目されています。研究に参加したフロリダ州立大学のJorge Piekarewicz氏は「中性子星の性質についての知見が得られる実験室で可能なことは何でも役立ちます」とコメントしています。

なお、中性子星どうしの合体にともなう爆発現象「キロノバ」では、鉄よりも重い元素が生成される「r過程」と呼ばれるプロセスが引き起こされると考えられています。私たちが住む地球上の環境とはかけ離れた中性子星の世界ですが、文明活動と関わりの深い金などの元素を介して、人類と中性子星はつながっているとも言えるかもしれません


Image Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center

2021-05-17
Soraeより

中性子星「Swift J1818.0-1607」

Posted by moonrainbow on 14.2020 中性子星   0 comments   0 trackback
マグネターと電波パルサーをつなぐ中性子星

マグネターと磁力線の想像図
マグネターと磁力線の想像図(提供:Ryuunosuke Takeshige)

宇宙で最も強い磁場を持つ中性子星の一種「マグネター」であると同時に、中性子星の大半を占める「電波パルサー」の特徴も示す天体が見つかった

大質量の恒星がその一生を終えて超新星爆発を起こすと、ブラックホールや中性子星といったコンパクトな高密度天体が残る。標準的なサイズの中性子星の場合、太陽質量の1.4倍ほどの物質が半径約12kmに押し込められており、周辺は強い磁場を帯びている。

これまでに、天の川銀河を中心に2800天体ほどの中性子星が見つかっており、特徴によって区別できる複数の「種族」に分けられている。その種族の中で最も磁場が強い天体は「マグネター」と呼ばれ、その表面磁場は100億~1000億(1010-11)テスラにも達する。これは地球の地磁気(50マイクロテスラ=5×10-5テスラ程度)の1000兆倍という途方もない強さであり、マグネターは宇宙で最強の磁石星といえる


その強い磁場のため、マグネターでは光子が2つに分裂したり、真空にもかかわらず偏光に応じて屈折率が変化したりする(真空の複屈折)など、地上では観測できない現象が起こっていると考えられている。このように興味深く、天文学上の重要な研究対象でありながら、これまでに知られているマグネターの数は20天体ほどしかなかった。

2020年3月12日、NASAのガンマ線バースト観測衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト」が、いて座の方向に継続時間10ミリ秒ほどのX線バースト現象を検出し、その位置に「Swift J1818.0-1607(以下、Swift J1818)」が発見された。

理化学研究所のHu Chin-Pingさんたちの研究グループは国際宇宙ステーションに搭載された中性子星観測装置「NICER」を用いて、X線バーストの検出から4時間後にSwift J1818の追跡観測を開始し、X線が1.36秒周期で変化していることを発見した。その後の継続観測で周期変化率も測定し、情報を組み合わせることで表面磁場の強さを270億(2.7×1010)テスラと見積もり、Swift J1818が1.36秒周期で自転するマグネターであることを突き止めた。1.36秒という自転周期は、これまでに知られている古典的なマグネターの中で最も速いものだ。

中性子星の大多数を占める「電波パルサー」は周期1秒前後の高速な自転に伴って周期的な電波パルスを放出するが、一般にマグネターが電波パルスを出すことは稀だ。今回のSwift J1818は電波の信号も検出される珍しい天体であり、電波でも同様の周期性が確認された。

その後もSwift J1818のX線のスペクトルやパルス周期をモニタリング観測したところ、X線で増光を始めてから8日後と14日後に、自転の周期が急激に変化する「グリッチ」と呼ばれる現象が検出された。グリッチは中性子星の内部状態が変化することで発生すると考えられており、マグネターの内部を理解する上で重要な観測データとなる。また、2回のグリッチの強さは、既知のマグネターのグリッチの中でも強く、発生間隔も短いことから、Swift J1818の活動性が高い時期に観測されたものと考えられている。50日間の観測で、Swift J1818のX線は50%ほど減少した


Swift J1818 のX線フラックスと自転周期
Swift J1818 のX線フラックスと自転周期、および周期変化率の変化のグラフ。上段はX線フラックス、中段は自転周期、下段は周期変化率の変化を示す。左から1つ目と2つ目の青破線は、8日後と14日後に観測された自転周期の急激な変化(グリッチ)に対応(提供:理化学研究所リリース、以下同)

HuさんたちはSwift J1818の年齢を420歳と推定している。これは中性子星の中でも極めて若い部類だ。また、回転エネルギーの減少率はマグネターとしては大きく、むしろ電波パルサーに似通っている。自転速度の速さと併せて考えれば、Swift J1818はマグネターとして振る舞いつつも、電波パルサーの特徴をも備えている天体といえる。今後中性子星の進化を理解する上で、異なる種族同士を結びつける鍵となりそうだ

回転エネルギー減少率とX線光度の比較
様々な中性子星の種族の、回転エネルギー減少率とX線光度の比較。(黄)既知のマグネター、(緑)古典的な回転駆動型パルサー、(青)回転駆動型パルサーの中でマグネターのようなX線バーストを示した2天体(PSR J1846-0258、PSR J1119-6127)、(赤)今回の研究対象であるSwift J1818

2020年10月9日
AstroArtsより
 

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