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「PSR J0740+6620」(「MSP J0740+6620」)と呼ばれるパルサー

Posted by moonrainbow on 27.2019 中性子星   0 comments   0 trackback
ぎりぎりブラックホール未満?観測史上で一番重い中性子星を発見

中性子星の想像図
中性子星の想像図(Credit: Mark Garlick/University of Warwick)

アメリカのグリーンバンク天文台は2019年9月16日、観測史上最も重い中性子星を発見したとするThankful Cromartie氏らの研究成果を発表しました。研究内容は論文にまとめられ、同日付でNature Astornomyに掲載されています

■太陽2個分の質量が直径30kmの球体に凝縮

研究対象となったのは「PSR J0740+6620」(または「MSP J0740+6620」)と呼ばれるパルサーで、白色矮星と連星を形成しています。パルサーとは、恒星の超新星爆発によって誕生した高密度の天体である中性子星のうち、電波、光(赤外線や紫外線も含む)、X線といった電磁波がパルス状に観測される天体を指す言葉です。

PSR J0740+6620の自転周期は、わずか2.89ミリ秒しかありません。1秒あたりの自転回数は約346回に達します。このように自転周期がミリ秒(1000分の1秒)台と極めて短いパルサーは、特にミリ秒パルサーとして区別されています。

今回Cromartie氏らの研究チームは、グリーンバンク天文台に設置されている直径100mの電波望遠鏡を使った観測データなどを用いて、PSR J0740+6620の質量を測定することに挑戦しました。その方法は、規則正しく地球に届くパルサーの電波に現れる、わずかな変化を検出するというものです。

連星のペアである白色矮星がパルサーの手前を横切ると、白色矮星の重力がもたらす相対論的効果によって、パルサーの電波が地球に届くまでの時間にわずかな遅れが生じます。これは「シャピロ遅延」と呼ばれる現象で、白色矮星に限らず太陽など他の天体でも生じます。

今回の観測では1000万分の1秒台という非常にわずかな遅れから、まずは白色矮星の質量が求められました。連星を構成するもう片方のペアであるパルサーの質量は、この白色矮星の質量をもとに導き出すことができます。

観測と分析の結果、白色矮星の質量は太陽の重さの約26パーセントと判明しました。そしてペアを成すパルサーは、直径わずか30kmほどのサイズで太陽およそ2.17個分の重さを持つことがわかったのです。

皇居を中心に直径30kmの円を描くと、東京都の23区がおおむねそのなかにおさまります。PSR J0740+6620は、それほどのサイズに太陽2個分以上の質量が凝縮されているのです


シャピロ遅延を利用した観測のイメージ図
シャピロ遅延を利用した観測のイメージ図。2.89ミリ秒ごとに繰り返し届くパルサーの電波に生じた遅れをもとに質量を算出する

■ブラックホールになってしまう限界はどこ?

パルサーを含む中性子星の性質には、超流体が流れているともされる内部の様子をはじめ、未解明の部分が数多くあります。そのひとつが、ブラックホールとの境界です。

中性子星は自身の質量がもたらす強烈な重力と、構成する物質がもたらす斥力のバランスによって形を保っています。伴星から物質を奪ったり他の天体と合体したりするなどして中性子星の質量が増えると、どこかの時点で重力に逆らいきれずブラックホールになると考えられていますが、その限界となる質量がどれくらいなのか、正確な値はわかっていません。

発表では、重力波検出器「LIGO」などによる中性子星どうしの合体にともなう重力波の観測によって、限界の質量についての研究にも進展があったとしています。今回判明した太陽2.17個分という重さは、LIGOを用いた研究が示唆する限界の質量にきわめて近いとみられています。観測された質量の最高記録が更新されたことで、謎めいた中性子星の理解が深まることが期待されています


Credit: BSaxton, NRAO/AUI/NSF

2019/9/18
Soraeより

中性子星からジェットが噴き出している

Posted by moonrainbow on 14.2018 中性子星   0 comments   0 trackback
従来の理解に反する、強い磁場を持つ中性子星からのジェット

ジェットのイラスト
中性子星周囲の磁力線、降着円盤、外へ向かって放出されるジェットのイラスト(提供:ICRAR/Universiteit van Amsterdam)

電波望遠鏡VLAによる観測で、強い磁場を持つ中性子星からジェットが噴き出していることが確かめられました。従来はこのような天体からジェットは放出されないと考えられており、新たな種類のメカニズムが働いている可能性があります

2017年10月、NASAの天文衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト」がX線で突然明るくなった天体「Swift J0243.6+6124」(以後Sw J0243)をカシオペヤ座の方向に発見しました。その正体は、大質量の星が一生の最期に起こした超新星爆発のあとに残った、高密度の天体である中性子星です。Sw J0243は太陽よりも質量が大きい星と連星系をなしており、その伴星から引き込んだ物質によって、Sw J0243の周囲には回転する降着円盤が形成されています

オランダ・アムステルダム大学のJakob van den Eijndenさんたちの研究チームは、米・国立科学財団のカール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群VLAを使ってSw J0243を2018年1月まで継続観測しました。そして、日数が経つにつれてX線と電波の放射が弱くなっていったことや電波放射の特徴から、この電波が高速のジェットによって放射されているものであると確信しました

降着円盤を持つ中性子星では、光速に近い速度まで加速されたジェットが円盤の垂直方向(中性子星の両極方向)に放射されます。ただし、Sw J0243のように非常に強力な磁場を持つ中性子星の場合は、その磁場の影響でジェットの形成が妨げられると考えられてきました。「Sw J0243におけるジェットの発見は、長年のアイディアとは相反するものです」(van den Eijndenさん)

このような現象が見られる理由として、研究チームでは、降着円盤内におけるジェットの発生領域が中性子星から離れており、磁場の影響が弱いという可能性を挙げています

別の可能性として、ジェットを加速するエネルギーが中性子星の自転によってもたらされているというアイディアも考えられています。「自転によってエネルギーを獲得するというアイディアでは、ゆっくり自転する中性子星からのジェットはかなり弱いものとなると予測されています。これはまさに、Sw J0243に見られるものと一致しています」(アムステルダム大学 Nathalie Degenaarさん)。今後もし同種の天体が見つかれば、中性子星の自転でジェットが形成されるという説を確かめられるかもしれません

また、Sw J0243からのジェットの発見は、同様に強い磁場を持つ「超高輝度X線パルサー」と呼ばれるカテゴリーの天体もジェットを放射する可能性も示唆しています。「今回の発見は、強い磁場を持つ天体におけるジェットの形成に関する考えを改める必要性を示しただけでなく、エキサイティングで新しい研究分野の幕を開くものでもあります」(Degenaarさん)

2018年10月3日
AstroArtsより

中性子星の限界質量

Posted by moonrainbow on 30.2018 中性子星   0 comments   0 trackback
自転していない中性子星の限界質量

パルサー(高速で自転する中性子星)の想像図
近くの星から物質を引き込むパルサーの想像図。パルサー(高速で自転する中性子星)の想像図。他の星と連星を形成していると、パルサーがその星の物質を引き付けてパルサーの周囲に円盤が形成される。パルサーの強力な磁場が青く図示されている(提供:NASA)

中性子星の質量はほとんどが太陽質量の1.4倍前後ですが、なかには太陽の2倍以上の質量を持つものも見つかっています。最新の研究によると、自転していない中性子星の限界質量は太陽の2.16倍になるという事です

大質量星が超新星爆発を起こした後にできる中性子星は、半径10数kmほどの球体に太陽ほどの質量が詰まった超高密度天体です。質量が大きくなりすぎると重力でつぶれてブラックホールになってしまうため、どこまでも重くなることはできず、ほとんどの場合その質量は太陽の1.4倍前後です。しかし一部には質量の大きな中性子星も発見されており、たとえばおうし座方向に位置するパルサー(高速で自転する中性子星)「PSR J0348+0432」の質量は太陽の2.01倍と見積もられています

では、中性子星の質量の上限はどのくらいだろうか。独・フランクフルト大学のLuciano Rezzollaさんたちがこのたび発表した研究成果によると、自転していない中性子星の最大質量は太陽の2.16倍だということです

Rezzollaさんたちは以前の研究で、自転する中性子星とその質量の上限の間にシンプルな関係を見出していました。また、自転する中性子星と自転しない中性子星について、それぞれの質量の上限には普遍的な関係が存在するという理論を導き出していました。この理論に、2017年8月に検出された中性子星同士の連星の合体に伴う重力波の観測データと、中性子星合体に伴う電磁波放射現象「キロノバ」の観測データを組み合わせることで、星の内部構造を表す状態方程式に依ることなく質量の上限が明らかにされました

「理論研究の素晴らしさは、予測できるという点にあります。しかし、理論には不確実性があり、それを小さくするためには実験が必要です。数百万光年彼方で起こった中性子星同士の合体と私たちの理論研究との組み合わせにより、これまでに様々な推測がなされてきた謎を解くことができたのは、とても注目すべき成果といえるでしょう」(Rezzollaさん)

2018年1月22日
AstroArtsより

重力波観測から導かれた中性子星の半径

Posted by moonrainbow on 12.2017 中性子星   0 comments   0 trackback
重力波観測から導かれた中性子星の半径

2つの中性子星の合体を再現するシミュレーション
2つの中性子星の合体を再現するシミュレーション。(上)合体後にブラックホールが作られる場合(下)合体後も安定した星として存在する場合(提供:HITS / Andreas Bauswein)

2017年8月にとらえられた重力波GW170817の観測データに基づくシミュレーションによって、中性子星の半径について精密な下限値が導かれました

非常に重い星が一生を終えるとその中心核は自らの重力で収縮し、超新星爆発を引き起こします。星の外層の物質が周囲に放出され、爆発の後に残されるのが、超高密度の天体、中性子星です。中性子星の質量は太陽より少し重い程度ですが、半径はわずか数十kmしかなく、その内部は非常に狭い体積に大きな質量が詰め込まれた極限的な状態にあります

研究者たちは中性子星の内部の状態を数十年にわたって調べており、とくにその半径を正確に決めるという問題に関心を持ってきました。半径がどのような値になるかは高密度物質の未知の性質によって変わってくるためです。しかし、中性子星の内部構造はいまだ完全には理解されておらず、そのサイズや構造については天体物理学だけでなく原子核物理学や素粒子物理学の分野でも強い関心が持たれています

2017年8月17日、重力波検出器LIGOとVirgoによって、2つの中性子星の合体で生じた重力波(GW170817)が初めて観測されました。中性子星同士が衝突すると2つの星は互いの周りを公転して最終的には合体し、合体前の質量の合計にほぼ等しい1つの星になります。この現象で重力波が放出されますが、その波形は合体した星の質量を反映した特徴を持っているため、重力波の波形の観測から合体前の天体の質量を正確に求めることができます。これはいわば、水面に石を投げたときに生じる波紋のようなものです。石が重いほど波が高くなるので、その高さから石の重さを求めることができます

こうして重力波の波形から、合体前の中性子星連星の質量が合計で太陽の2.74倍と求められました。この観測結果に基づき、独・ハイデルベルク理論研究所(HITS)のAndreas Bausweinさんたちの研究チームはこれまでで最も精密な中性子星の半径の下限値を求めました

Bausweinさんたちは中性子星の内部構造として提案されている様々なモデルや内部物質の状態方程式を用いて、合体後の星がすぐに重力収縮で潰れてブラックホールになる場合と潰れずにしばらく安定して存在する場合の2通りのシナリオについてシミュレーションを行い、計算結果がGW170817のデータと合うかどうかを調べました

合体後の星がすぐに重力収縮を起こす場合、光はあまり強く放出されないが、実際のGW170817の観測では明るい残光が様々な望遠鏡でとらえられています。つまり、重力収縮に至るようなモデルや条件はGW170817の観測結果と矛盾するということです。観測データをよく再現するような中性子星のモデルを調べた結果、中性子星の半径の下限が10.7kmと求められました

今回の推定値や計算結果から、高密度物質の性質を詳しく理解できるようになるでしょう。今回の下限値を満たすような中性子星のモデルはいくつも存在しているが、今後の観測研究によってさらに改良されると期待される。「より多くの中性子星合体が近いうちに観測され、そのデータから物質の内部構造についてさらに多くのことが明らかになるでしょう」(Bauswein さん)

2017年12月8日
AstroArtsより

中性子星の後は?

Posted by moonrainbow on 24.2017 中性子星   0 comments   0 trackback
星の死のあとに再び誕生する惑星

左上へと移動するゲミンガ(黒丸内)
左上へと移動するゲミンガ(黒丸内)。点線は衝撃波面と、ゲミンガが通った跡。0.45mmの赤外線波長で観測した擬似カラー画像(提供:Jane Greaves / JCMT / EAO)

系外惑星は中性子星の周りにも発見されていますが、中性子星がどのようにして惑星形成に必要な物質を獲得するのかに関する研究成果が発表されました

25年前に初めて発見された系外惑星は、太陽のような普通の恒星の周りではなく中性子星の周りを回るものでした。中性子星とは太陽の何倍も質量の大きな星が起こす大爆発(超新星爆発)のあとに残る、小さく超高密度の天体です。 中性子星の周りを回る惑星は驚くほど珍しい存在です。超新星爆発によってもともと星の周りに存在していた惑星は破壊されるはずで、爆発後に残った中性子星は新たな惑星形成のために必要な物質を獲得する必要があるからです

英・カーディフ大学のJane Greavesさんとイギリス天文学技術センターのWayne Hollandさんは、中性子星が物質を獲得する方法を見つけ出したと考えています。「研究のターゲットにしたのは、ふたご座の方向800光年の距離に位置する『ゲミンガ・パルサー(Geminga pulsar、ジェミンガ)』です。この中性子星の周りには1997年に1つの惑星の存在が提唱されましたが、その後に否定されています」(Greavesさん)

Greavesさんたちが米・ハワイのサブミリ波観測装置ジェームズ・クラーク・マックスウェル電波望遠鏡(JCMT)を使ってゲミンガを観測したところ、パルサーの周囲にアーク(弧状構造)がとらえられました。「このアークは衝撃波面でしょう。ゲミンガが超音速で天の川銀河内を移動することで発生した衝撃波に物質が巻き込まれ、一部の固体粒子がパルサーに向かって流れていくと考えています」(Greavesさん)

計算から、ゲミンガに捕まった恒星間粒子の質量は地球の数倍以上になることが示されました。つまり、惑星を形成するにはじゅうぶんな量ということになります。「取得した画像は非常にぼんやりしているので、より詳細な情報を取得するためアルマ望遠鏡による観測を計画しています。パルサーの周りを回る粒子が見えることを大いに期待しています」(Greavesさん)

観測でゲミンガの物質獲得モデルが正しいと確認できれば、さらに他の似たようなパルサーを調べ、こうした風変わりな環境で起こる惑星形成に関する考え方の検証が進められます。その結果次第では、惑星の誕生はありふれた現象だとする見解がさらに補強されることになるでしょう

2017年7月12日
AstroArtsより
 

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