中性子星の限界質量

Posted by moonrainbow on 30.2018 中性子星   0 comments   0 trackback
自転していない中性子星の限界質量

パルサー(高速で自転する中性子星)の想像図
近くの星から物質を引き込むパルサーの想像図。パルサー(高速で自転する中性子星)の想像図。他の星と連星を形成していると、パルサーがその星の物質を引き付けてパルサーの周囲に円盤が形成される。パルサーの強力な磁場が青く図示されている(提供:NASA)

中性子星の質量はほとんどが太陽質量の1.4倍前後ですが、なかには太陽の2倍以上の質量を持つものも見つかっています。最新の研究によると、自転していない中性子星の限界質量は太陽の2.16倍になるという事です

大質量星が超新星爆発を起こした後にできる中性子星は、半径10数kmほどの球体に太陽ほどの質量が詰まった超高密度天体です。質量が大きくなりすぎると重力でつぶれてブラックホールになってしまうため、どこまでも重くなることはできず、ほとんどの場合その質量は太陽の1.4倍前後です。しかし一部には質量の大きな中性子星も発見されており、たとえばおうし座方向に位置するパルサー(高速で自転する中性子星)「PSR J0348+0432」の質量は太陽の2.01倍と見積もられています

では、中性子星の質量の上限はどのくらいだろうか。独・フランクフルト大学のLuciano Rezzollaさんたちがこのたび発表した研究成果によると、自転していない中性子星の最大質量は太陽の2.16倍だということです

Rezzollaさんたちは以前の研究で、自転する中性子星とその質量の上限の間にシンプルな関係を見出していました。また、自転する中性子星と自転しない中性子星について、それぞれの質量の上限には普遍的な関係が存在するという理論を導き出していました。この理論に、2017年8月に検出された中性子星同士の連星の合体に伴う重力波の観測データと、中性子星合体に伴う電磁波放射現象「キロノバ」の観測データを組み合わせることで、星の内部構造を表す状態方程式に依ることなく質量の上限が明らかにされました

「理論研究の素晴らしさは、予測できるという点にあります。しかし、理論には不確実性があり、それを小さくするためには実験が必要です。数百万光年彼方で起こった中性子星同士の合体と私たちの理論研究との組み合わせにより、これまでに様々な推測がなされてきた謎を解くことができたのは、とても注目すべき成果といえるでしょう」(Rezzollaさん)

2018年1月22日
AstroArtsより

重力波観測から導かれた中性子星の半径

Posted by moonrainbow on 12.2017 中性子星   0 comments   0 trackback
重力波観測から導かれた中性子星の半径

2つの中性子星の合体を再現するシミュレーション
2つの中性子星の合体を再現するシミュレーション。(上)合体後にブラックホールが作られる場合(下)合体後も安定した星として存在する場合(提供:HITS / Andreas Bauswein)

2017年8月にとらえられた重力波GW170817の観測データに基づくシミュレーションによって、中性子星の半径について精密な下限値が導かれました

非常に重い星が一生を終えるとその中心核は自らの重力で収縮し、超新星爆発を引き起こします。星の外層の物質が周囲に放出され、爆発の後に残されるのが、超高密度の天体、中性子星です。中性子星の質量は太陽より少し重い程度ですが、半径はわずか数十kmしかなく、その内部は非常に狭い体積に大きな質量が詰め込まれた極限的な状態にあります

研究者たちは中性子星の内部の状態を数十年にわたって調べており、とくにその半径を正確に決めるという問題に関心を持ってきました。半径がどのような値になるかは高密度物質の未知の性質によって変わってくるためです。しかし、中性子星の内部構造はいまだ完全には理解されておらず、そのサイズや構造については天体物理学だけでなく原子核物理学や素粒子物理学の分野でも強い関心が持たれています

2017年8月17日、重力波検出器LIGOとVirgoによって、2つの中性子星の合体で生じた重力波(GW170817)が初めて観測されました。中性子星同士が衝突すると2つの星は互いの周りを公転して最終的には合体し、合体前の質量の合計にほぼ等しい1つの星になります。この現象で重力波が放出されますが、その波形は合体した星の質量を反映した特徴を持っているため、重力波の波形の観測から合体前の天体の質量を正確に求めることができます。これはいわば、水面に石を投げたときに生じる波紋のようなものです。石が重いほど波が高くなるので、その高さから石の重さを求めることができます

こうして重力波の波形から、合体前の中性子星連星の質量が合計で太陽の2.74倍と求められました。この観測結果に基づき、独・ハイデルベルク理論研究所(HITS)のAndreas Bausweinさんたちの研究チームはこれまでで最も精密な中性子星の半径の下限値を求めました

Bausweinさんたちは中性子星の内部構造として提案されている様々なモデルや内部物質の状態方程式を用いて、合体後の星がすぐに重力収縮で潰れてブラックホールになる場合と潰れずにしばらく安定して存在する場合の2通りのシナリオについてシミュレーションを行い、計算結果がGW170817のデータと合うかどうかを調べました

合体後の星がすぐに重力収縮を起こす場合、光はあまり強く放出されないが、実際のGW170817の観測では明るい残光が様々な望遠鏡でとらえられています。つまり、重力収縮に至るようなモデルや条件はGW170817の観測結果と矛盾するということです。観測データをよく再現するような中性子星のモデルを調べた結果、中性子星の半径の下限が10.7kmと求められました

今回の推定値や計算結果から、高密度物質の性質を詳しく理解できるようになるでしょう。今回の下限値を満たすような中性子星のモデルはいくつも存在しているが、今後の観測研究によってさらに改良されると期待される。「より多くの中性子星合体が近いうちに観測され、そのデータから物質の内部構造についてさらに多くのことが明らかになるでしょう」(Bauswein さん)

2017年12月8日
AstroArtsより

中性子星の後は?

Posted by moonrainbow on 24.2017 中性子星   0 comments   0 trackback
星の死のあとに再び誕生する惑星

左上へと移動するゲミンガ(黒丸内)
左上へと移動するゲミンガ(黒丸内)。点線は衝撃波面と、ゲミンガが通った跡。0.45mmの赤外線波長で観測した擬似カラー画像(提供:Jane Greaves / JCMT / EAO)

系外惑星は中性子星の周りにも発見されていますが、中性子星がどのようにして惑星形成に必要な物質を獲得するのかに関する研究成果が発表されました

25年前に初めて発見された系外惑星は、太陽のような普通の恒星の周りではなく中性子星の周りを回るものでした。中性子星とは太陽の何倍も質量の大きな星が起こす大爆発(超新星爆発)のあとに残る、小さく超高密度の天体です。 中性子星の周りを回る惑星は驚くほど珍しい存在です。超新星爆発によってもともと星の周りに存在していた惑星は破壊されるはずで、爆発後に残った中性子星は新たな惑星形成のために必要な物質を獲得する必要があるからです

英・カーディフ大学のJane Greavesさんとイギリス天文学技術センターのWayne Hollandさんは、中性子星が物質を獲得する方法を見つけ出したと考えています。「研究のターゲットにしたのは、ふたご座の方向800光年の距離に位置する『ゲミンガ・パルサー(Geminga pulsar、ジェミンガ)』です。この中性子星の周りには1997年に1つの惑星の存在が提唱されましたが、その後に否定されています」(Greavesさん)

Greavesさんたちが米・ハワイのサブミリ波観測装置ジェームズ・クラーク・マックスウェル電波望遠鏡(JCMT)を使ってゲミンガを観測したところ、パルサーの周囲にアーク(弧状構造)がとらえられました。「このアークは衝撃波面でしょう。ゲミンガが超音速で天の川銀河内を移動することで発生した衝撃波に物質が巻き込まれ、一部の固体粒子がパルサーに向かって流れていくと考えています」(Greavesさん)

計算から、ゲミンガに捕まった恒星間粒子の質量は地球の数倍以上になることが示されました。つまり、惑星を形成するにはじゅうぶんな量ということになります。「取得した画像は非常にぼんやりしているので、より詳細な情報を取得するためアルマ望遠鏡による観測を計画しています。パルサーの周りを回る粒子が見えることを大いに期待しています」(Greavesさん)

観測でゲミンガの物質獲得モデルが正しいと確認できれば、さらに他の似たようなパルサーを調べ、こうした風変わりな環境で起こる惑星形成に関する考え方の検証が進められます。その結果次第では、惑星の誕生はありふれた現象だとする見解がさらに補強されることになるでしょう

2017年7月12日
AstroArtsより

中性子星からのニュートリノが超新星爆発を引き起こすという理論

Posted by moonrainbow on 12.2017 中性子星   0 comments   0 trackback
超新星残骸「カシオペヤ座A」をモデルで再現、ニュートリノ駆動の爆発を支持

超新星残骸「カシオペヤ座A」
超新星残骸「カシオペヤ座A」。(青)放射性チタン44Tiの分布、(白と赤)鉄の分布、(黄色×印)爆発の中心、(白色×と矢印)中性子星の現在の位置と移動方向(提供:Macmillan Publishers Ltd: Nature; from Grefenstette et al., Nature 506, 339 (2014); Fe distribution courtesy of U. Hwang.)

超新星残骸「カシオペヤ座A」の物質の空間分布や量、膨張速度などがコンピューターシミュレーションで再現されました。中性子星からのニュートリノが超新星爆発を引き起こすという理論を支持するものです

大質量星は超新星爆発を起こして一生を終えます。超新星爆発にはいくつかの種類があるが、ほぼ鉄でできた恒星の中心核の質量が太陽の約1.5倍に達し重力崩壊を起こして爆発するというタイプでは、超高密度の中性子星があとに残されます。その際に莫大なエネルギーが解放され、大部分はニュートリノとして放射されます

ニュートリノは典型的な超新星爆発に必要とされる100倍以上ものエネルギーを運ぶので、超新星爆発を引き起こす役割を担っているという理論的な予測があります。高温の中性子星の内部からニュートリノが漏れ出すと、その一部が周囲のガスに吸収されてガスの温度が上昇し、ガスの運動が激しくなって超新星爆発が始まるというものです

超新星爆発では星の外層とともに、星内部の核融合反応で作られた重元素や、爆発時の高温環境下で生じた放射性チタン、放射性ニッケルといった新しい元素が吹き飛ばされます。この時、ニュートリノで加熱されたガスの動きが激しいため爆発波は非球状に伝わり、超新星残骸は広範囲にわたって非対称形になります

理化学研究所のAnnop Wongwathanaratさんたちの研究チームは、コンピューターシミュレーションで超新星残骸「カシオペヤ座A」の物質の分布などを再現し、ニュートリノ駆動による超新星爆発の理論を検証しました。カシオペヤ座Aは1万1000光年彼方にあり、1680年ごろに光が地球に届いたと考えられている(しかし超新星の観測記録はない)天体です。距離が近く発生からあまり時間が経っていないおかげで詳細な観測が可能であり、理論モデルとの比較にも適しています

爆発の非対称性は、中性子星が反動によって中心から動いたり、爆発が強かったほうでより多くの物質が熱せられチタンやニッケルなどが多く生成されたりする(そちら側に多く分布する)ことに現れる。Wongwathanaratさんたちは数年前に3次元シミュレーションでこれらを予測していたが、カシオペヤ座Aの最新観測で予測が確認されました

さらに、物質の分布だけでなく、モデルで再現された元素の量やガスの膨張速度、中性子星の速度もカシオペヤ座Aに見られるものと驚くほど一致していました。「カシオペヤ座Aがニュートリノによって引き起こされた超新星爆発の残骸である可能性を強く裏付けています」(独・マックスプランク研究所 Hans-Thomas Jankaさん)

とはいえ、カシオペヤ座Aという一例だけで大質量星の超新星爆発がニュートリノからのエネルギーで引き起こされるというには不十分です。研究チームでは今後、多くの若い超新星残骸の詳しく分析し、この理論予測を確かめる予定です

2017年6月28日
AstroArtsより

2つの異なる中性子星「ケスチーベン79」と「3XMM J185246.6+003317」

Posted by moonrainbow on 11.2014 中性子星   0 comments   0 trackback
超新星残骸「ケスチーベン79」の近くに見つかったマグネター「3XMM J185246.6+003317」

欧州のX線天文衛星「XMMニュートン」が超新星残骸をとらえた画像に、ひじょうに強力な磁場を持つ中性子星「マグネター(magnetar)」が発見されました。1枚の画像中に2つの中性子星が写し出されています

超新星残骸「ケスチーベン79」(上)とマグネター「3XMM J185246.6+003317」(下)
超新星残骸「ケスチーベン79」(上)とマグネター「3XMM J185246.6+003317」(下)。(提供:ESA/XMM-Newton/Ping Zhou, Nanjing University, China)

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のX線天文衛星「XMMニュートン」が撮影した画像に、2つの異なる中性子星が写っていました

画像中大きな部分を占めている泡状構造は「ケスチーベン79(Kesteven 79) 」と呼ばれる超新星残骸で、わし座の方向に位置しています。超新星残骸中の高温ガスの特徴と天体の大きさから、ケスチーベン79の年齢は5000~7000歳と計算されています。天体から地球までの距離2万3000光年を光が伝わる時間を考慮すると、超新星爆発が起こったのは約3万年前と考えられており、その爆発で弱い磁場を持つ中性子星(ケスチーベン79の中央の青い点)が残されたのです

その下には青い斑点状に見える天体が存在します。これはマグネターに分類される、ひじょうに強力な磁場を持つ中性子星「3XMM J185246.6+003317」です。超新星残骸中の中性子星は比較的若いですが、マグネターの年齢は百万歳ほどとみられています。つまりその年齢差から、ケスチーベン79を形成した爆発からマグネターが形成された可能性はないことがわかります

3XMM J185246.6+003317は、2008年と2009年に取得された画像を調べることにより2013年に発見されたものです。発見後、同じ空域をとらえた2008年以前の画像を調べたところ、マグネターの形跡はまったく見られなかったのです。そのため、マグネターが放出した爆発的なX線は、磁場構造における劇的な変化によるものではないかと考えられています

2014年9月3日
Astro Artより
 

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