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ほ座パルサー星雲

Posted by moonrainbow on 12.2023 星雲   0 comments   0 trackback
ほ座パルサー星雲のX線偏光は、かに星雲の2倍以上

ほ座パルサーとパルサー星雲
ほ座パルサーとパルサー星雲。IXPE、X線天文衛星「チャンドラ」、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データを合成した擬似カラー画像(提供:NASA/CXC/SAO/IXPE)

ほ座パルサー星雲のX線偏光を観測したところ、かに星雲と比べて偏光度が平均で2倍以上もあるなど、極限的な強さであることが明らかになった

太陽よりもはるかに重い恒星が一生の最期に超新星爆発を起こすと、その爆発の中心部に中性子星が形成されることがある。中性子星は密度が地球の数百兆倍、磁場が地球の約1兆倍もある天体で、その多くは超高速で自転している。地球から観測すると非常に短い周期で明滅する規則的な信号がとらえられるため、パルサーとも呼ばれる。パルサーから勢いよく放出された荷電粒子は周囲の超新星残骸にぶつかり、X線など非常に高いエネルギーの電磁波を放出する。そのためパルサーの周りには、X線を放出する「パルサー星雲」と呼ばれるものがよく観測される。

パルサー星雲のX線は、荷電粒子が残骸中の磁場と絡み合うことで放出されると考えられている。しかし、その磁場がどのようにしてできたのか、また磁場がどの程度そろっているのかなど、詳しいことはわかっていなかった。磁場の情報を知る強力な手段となるのは、その領域から放出される電磁波の偏光、すなわち波の振動が特定の方向に偏っている度合いを観測することだ。これまでX線の偏光が測定されたパルサー星雲は、おうし座のM1(かに星雲)だけで、星雲全体の平均的な偏光度は20%程度だった。

今回、中国・広西大学のFei Xieさんたちの研究チームは、2021年12月に打ち上げられたNASAとイタリア宇宙機関のX線偏光観測衛星「IXPE(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)」を用いて、ほ座超新星残骸(Gum 16)を観測した。残骸の中心に位置するパルサーが超新星爆発とともに生まれたのは約1万1000年前と比較的新しく、パルサー星雲からは強いX線やガンマ線が放出されている。

当初、ほ座パルサー星雲の偏光度もかに星雲と同程度だと予想されていた。しかしIXPEによる観測の結果、偏光度は平均で45%と、かに星雲の2倍以上であることがわかった。さらに、領域を絞った場合には60%を超える領域がある。これは、荷電粒子と磁場の相互作用で生じる電磁波の偏光度としては、理論上許される最大値に近い。

この結果から、ほ座パルサー星雲内の磁場は極めて均一で、ほとんど乱れなく粒子が加速されていると推測される。しかし、そのような高度に秩序だった磁場は、不安定な流れや乱流が粒子の加速に重要な役割を果たすという理論モデルによる予測に反している。

今後IXPEは他のパルサー星雲も観測する予定で、ほ座超新星残骸のパルサー星雲に見られるそろった磁場の起源について研究が進められる予定だ


ほ座パルサーとパルサー星雲1
ほ座超新星残骸とパルサー星雲
(左)ほ座パルサー星雲を形成した超新星爆発の残骸。(右)ほ座パルサー星雲と磁場の様子。画像クリックで拡大表示(提供:(左)Digitized Sky Survey, ESA/ESO/NASA FITS Liberator, Color Composite: Davide De Martin (Skyfactory)、(右)NASA/CXC/Univ of Toronto/M.Durant et al.)

2023年1月6日
AstroArtsより

暗黒星雲「CB 130-3」

Posted by moonrainbow on 18.2022 星雲   0 comments   0 trackback
星を生み出す幻想的な分子雲コア暗黒星雲「CB 130-3」をハッブルが撮影

暗黒星雲「CB 130-3」
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した暗黒星雲「CB 130-3」(Credit: ESA/Hubble, NASA & STScI, C. Britt, T. Huard, A. Pagan)】

こちらは「へび座」の方向にある暗黒星雲「CB 130-3」です。CB 130-3はガスや塵が集まっている低温の分子雲のなかでも特に高密度な部分である分子雲コアとして知られています。オレンジの分子雲コアを背景の青白い雲や輝く星々が取り囲む様子からは幻想的な印象を受けます

分子雲コアでは高密度のガスや塵が自らの重力で収縮し、星の赤ちゃんと言える原始星が誕生すると考えられています。やがて成長した原始星の中心では水素の核融合反応が起こるようになり、恒星としての生涯が始まります。画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、CB 130-3の奥深くにも恒星に成長しつつある小さな星が潜んでいるといいます。

背景の星々は密度が低い周辺部分では雲を透かして見えていますが、物質が高い密度で集まっている部分へ向かうにつれて隠されていき、濃い赤に見えるCB 130-3の中央付近ではすっかり見えなくなっています。ESAによれば、分子雲は星を暗く見せるだけでなく色も赤っぽく変化させています。天文学者はこの色の変化を利用して分子雲の密度を分析し、分子雲の内部構造に関する知見を得ることができるといいます。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」を使って取得された画像(814nm、1.25μm、1.6μmのフィルターを使用)をもとに作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚としてESAから2022年11月14日付で公開されています


Clouded Vision



Image Credit: ESA/Hubble, NASA & STScI, C. Britt, T. Huard, A. Pagan
ESA/Hubble - Clouded Vision

2022-11-15
Soraeより

反射星雲「NGC 1999」

Posted by moonrainbow on 01.2022 星雲   0 comments   0 trackback
鍵穴のような形の暗い空洞、ハッブルが撮影した反射星雲「NGC 1999」

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オリオン座の反射星雲「NGC 1999」

こちらは、約1350光年先にある「オリオン座」の反射星雲「NGC 1999」です。反射星雲とは、ガスや塵の集まりである分子雲が恒星の光を反射することで輝いて見える星雲のこと。電離したガスの光で輝く輝線星雲とは異なるタイプの星雲です

NGC 1999の場合は、中央付近に写っている若い星「オリオン座V380星(V380 Orionis)」からの光が反射されています。欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 1999を構成するガスや塵は、オリオン座V380星の形成時に余った物質だといいます。

注目は、NGC 1999の中央付近に見える暗い部分です。ESAはその形から「Cosmic Keyhole(宇宙の鍵穴)」と表現しています。

2000年に「ハッブル」宇宙望遠鏡によって撮影されたNGC 1999の画像が公開された当時、この部分は「ボック・グロビュール(Bok globule)」だと考えられていました。ボック・グロビュールはHII領域に見られる暗黒星雲で、ガスや塵などが高い密度で集まった比較的小さな分子雲です。塵を含む高密度の分子雲が可視光線を遮ったことで、このように暗く見えているのではないかと思われたのです。

ところがその後、ESAが運用していた「ハーシェル」宇宙望遠鏡を使って赤外線の波長でNGC 1999を観測したところ、この部分は見た目通りの空洞であることが2010年に明らかになりました。NGC 1999の空洞は、この領域で誕生した若い星からのジェットや放射によって形成された可能性があるようです。

冒頭の画像はかつてハッブル宇宙望遠鏡に搭載されていた「広域惑星カメラ2(WFPC2)」と、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が運営するパラナル天文台(チリ)の「VLTサーベイ望遠鏡(VST)」に搭載されている広角カメラ「OmegaCAM」を使って取得された画像(可視光線のフィルター合計6種類を使用)をもとに作成されたもので、ESAからハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として2022年10月24日付で公開されています


Image Credit: ESA/Hubble & NASA, K. Noll

2022年10月27日
sorae より

輝線星雲「NGC 248」

Posted by moonrainbow on 25.2022 星雲   0 comments   0 trackback
華やかに輝く小マゼラン雲の“星のゆりかご” ハッブル宇宙望遠鏡の画像を振り返る

華やかに輝く小マゼラン雲
小マゼラン雲の輝線星雲「NGC 248」

こちらは南天の「きょしちょう座(巨嘴鳥座)」の方向約20万光年先にある輝線星雲「NGC 248」です。輝線星雲とは、若く高温な大質量星から放射された紫外線によって電離した水素ガスが赤い光を放っている領域で、HII(エイチツー)領域とも呼ばれています。HII領域はガスと塵を材料に星が形成される星形成領域でもあり、新たな星が誕生する現場であることから「星のゆりかご」と呼ばれることもあります

NGC 248は天の川銀河の伴銀河(衛星銀河)のひとつ「小マゼラン雲」(小マゼラン銀河とも)にあり、イギリスの天文学者ジョン・ハーシェルによって1834年に発見されました。画像を公開したアメリカの宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)によると、NGC 248の長さは約60光年で、幅は約20光年。実際には2つの星雲ですが、地球からは1つに見える位置関係にあるといいます。

この画像は「SMIDGE」(Small Magellanic Cloud Investigation of Dust and Gas Evolution)と呼ばれる観測プロジェクトの一環として、「ハッブル」宇宙望遠鏡を使って取得されたものです。カリフォルニア大学サンディエゴ校の天文学者Karin Sandstromさん率いるSMIDGEサーベイは、塵のもとになる重元素(ここでは水素やヘリウムよりも重い元素のこと)の供給が大幅に少ない銀河における、塵の違いを理解するために実施されました。初期の宇宙では現在よりも重元素の占める割合が低かったため、重元素が少ない小マゼラン雲のような銀河を観測することで、初期宇宙の塵についての理解を深めることができるのだといいます。「天の川銀河の歴史を理解するためにも重要なことです」(Sandstromさん)

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」を使って取得された画像(4種類のフィルターを使用)をもとに作成され、2016年12月20日に公開されていたもので、アメリカ航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡Twitter公式アカウントが2022年8月9日付で改めて紹介しています


Image Credit: NASA, ESA, STScI, K. Sandstrom (University of California, San Diego), and the SMIDGE team.
STScI - Festive Nebulas Light Up Milky Way Galaxy Satellite
ESA/Hubble - Festive nebulae light up Milky Way Galaxy satellite
@NASAHubble (Twitter)

2022年8月21日
sorae より

超新星残骸「W50」、別名「マナティ星雲

Posted by moonrainbow on 10.2022 星雲   0 comments   0 trackback
高エネルギー粒子が飛び出す“宇宙のマナティ” 欧米のX線望遠鏡などが観測

超新星残骸「W50」
【▲ X線・電波・可視光線で観測された超新星残骸「W50」、別名「マナティ星雲」(Credit: S. Safi-Harb et al (2022))】

こちらは「わし座」の方向約1万8000光年先にある超新星残骸「W50」です。その姿がマナティを連想させるとして、W50は「マナティ星雲(Manatee Nebula)」の別名でも呼ばれています。色は黄色・マゼンタ・シアンがX線(黄色は低エネルギー、マゼンタは中間のエネルギー、シアンは高エネルギーのX線を示す)、赤色が電波、緑色が可視光線に対応して着色されています

超新星残骸とは、重い恒星などによる超新星爆発が起きた後に観測される天体のこと。超新星爆発にともなって発生した衝撃波が周囲へ広がることでガスが加熱され、可視光線やX線といった電磁波が放射されていると考えられています。画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、現在観測されているマナティ星雲は、形成されてから約3万年が経っているとされています。冒頭の画像だけではわかりにくいのですが、地球から見たマナティ星雲の見かけの長さは満月4個分に相当します。

マナティ星雲の「お腹」のあたりを見ると、中心に1つの天体が写っているのがわかります。これはジェットをともなう降着円盤を持つ「マイクロクエーサー」(※)という種類の天体で、マナティ星雲にあるマイクロクエーサーは「SS 433」と呼ばれています。

※…遠方銀河の活動銀河核「クエーサー」に似ていることから、その小型版として「マイクロクエーサー」と呼ばれている

SS 433の正体はブラックホール連星(ブラックホールを含む連星)だと考えられていて、殻状に広がったガスを突き抜ける粒子のジェットが降着円盤から双方向に噴出することで、両側に突出したマナティ星雲の構造を形成しているとみられています。SS 433のジェットの速度は光速の約4分の1に達するようです。

ESAによれば2018年、メキシコの高高度水チェレンコフガンマ線天文台(HAWC)が非常に高いエネルギーの粒子(数百TeV)を観測したことで、マナティ星雲は研究者の注目を集めたといいます。

高エネルギー粒子がマナティ星雲のどこで発生しているのかはわかっていませんでしたが、マニトバ大学のSamar Safi-Harbさんを筆頭とする研究チームは、マナティ星雲の東側(画像では左側)にある領域でその証拠が得られたと考えています。SS 433の左側に見えるシアンやマゼンタの明るい部分がその領域で、SS 433から100光年ほど離れた場所から始まり、約300光年にわたって広がっているといいます。Safi-Harbさんたちは、おそらくガス雲内部の衝撃波と磁場によって、東側に流れ込んだジェットの粒子が再加速されていると推測しています。

冒頭の画像は2022年7月4日付でESAから公開されました。天の川銀河内外の天体による物質の流出に関連した天体物理現象の「実験室」として、マナティ星雲は今後も観測が続けられるとのことです


マナティ星雲
【▲ 電波で観測されたマナティ星雲(上)と、休息するマナティ(下)(Credit: NRAO/AUI/NSF, K. Golap, M. Goss; NASAu2019s Wide Field Survey Explorer (WISE). Bottom: Image used with permission from Tracy Colson.)】

Image Credit: S. Safi-Harb et al (2022)

2022-07-07
Soraeより
 

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