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暗黒星雲「おおかみ座3(Lupus 3)」

Posted by moonrainbow on 23.2023 星雲   0 comments   0 trackback
暗黒星雲で生まれた青い星が照らし出す反射星雲の輝き

反射星雲の輝き
南天のおおかみ座の方角にある暗黒星雲「おおかみ座3」と、その中心にある2つの青い星「HR 5999」「HR 6000」によって照らし出された反射星雲「バーンズ149」

星と星の間に広がる「星間空間」は何もない真空ではなく、そこには星間ガスや星間塵が存在しています。星間物質と総称されるこれらのガスや塵は均一に分布しているのではなく、周囲と比べて高密度な領域は「暗黒星雲」と呼ばれています

その名が示すように、人間が知覚できる可視光では暗黒星雲そのものは見えませんが、その背後にある恒星などの光を遮ることで、黒い雲のように浮かび上がって見えているのです。可視光よりも波長の長い赤外線や電波を利用した観測で、暗黒星雲には様々な分子が含まれていることがわかっています。そのため、暗黒星雲は「分子雲」とも呼ばれています。

南天の「おおかみ座」の方角、約500光年先にある暗黒星雲「おおかみ座3(Lupus 3)」です

おおかみ座3の中心では2つの青い星(「HR 5999」と「HR 6000」)が輝いています。この2つの星がガスと塵を明るく照らし出している青色の部分は反射星雲「バーンズ 149(Bernes 149)」と呼ばれており、おおかみ座3とともに壮大な眺望を作り出しています。「反射星雲」とは、その名の通り自ら光を発しているのではなく、恒星の光を反射して輝く星雲です。

おおかみ座3に含まれる物質(分子)は、新たな星を生み出す材料となります。HR 5999とHR 6000もおおかみ座3の中で誕生し、成長しました。2つの星は年齢がまだ100万歳と若く、太陽のような主系列星の前段階にあたる「おうし座T型星」と呼ばれる種類の前主系列星です。その明るさにもかかわらず、2つの星はまだ太陽のように核融合エネルギーでは輝いておらず、自らの重力で収縮し加熱することで輝いています。

おうし座T型星が形成される過程では、放出された強力な星風がガスや塵を吹き飛ばします。バーンズ 149は、その残留物から作り出されたのです。このように、おおかみ座3は活発な星形成領域であり、原始星など星形成に関する知見を提供しています。

この画像は、NOIRLab(米国立光学赤外線天文学研究所)所属のセロ・トロロ汎米天文台にあるビクター M. ブランコ4メートル望遠鏡に設置された広視野カメラ「ダークエネルギーカメラ(Dark Energy Camera:DECam)」で撮影されました。

おおかみ座3は分子雲の複合体を構成する少なくとも9つの暗黒星雲の1つであり、満月24個分の視直径に相当する範囲に広がっているとのこと。DECamの広い視野とブランコ4メートル望遠鏡の集光能力を組み合わせることで、おおかみ座3の鮮明で高解像度の画像が取得されました


Source
Image Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA/ T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab); Processing: D. de Martin & M. Zamani (NSF’s NOIRLab)

2023年6月12日
sorae より

小マゼラン雲にホットコアを初検出

Posted by moonrainbow on 24.2023 星雲   0 comments   0 trackback
小マゼラン雲にホットコアを初検出

小マゼラン雲で発見された
小マゼラン雲の2つのホットコア
小マゼラン雲で発見された2つのホットコア。各パネル内は、原始星周囲のダスト(星間塵)、二酸化硫黄分子、メタノール分子からの電波放射をとらえた画像。背景はヨーロッパ宇宙機関の赤外線天文衛星「ハーシェル」による小マゼラン雲の赤外線画像(提供:新潟大学リリース)

重元素量の少ない小マゼラン雲内で、原始星を繭のように包む暖かい「ホットコア」が初めて見つかった。昔の宇宙における物質進化や星形成過程の多様性の解明につながると期待される発見だ


冷たく巨大なガスの塊の中で原始星(赤ちゃん星)が誕生すると、星は周囲のガスや塵を暖めはじめる。その原始星を繭のように包む暖かいガス雲は「ホットコア」と呼ばれ、そこでは水や複雑な有機分子を含む様々な分子が見つかっている。

重元素(ヘリウムよりも重い元素)が少なく初期の宇宙に似た環境にあるホットコアを調べれば、昔の宇宙における星形成の物理過程や星形成に伴う物質の化学進化を理解する手がかりが得られるはずだ。そうした環境の一つが、私たちから約19万光年の距離にある矮小銀河「小マゼラン雲」である。小マゼラン雲は太陽系近傍と比べて炭素や酸素などの存在量が約10~20%と少なく、その環境は今から約100億年前の宇宙によく似ている。しかし、これまで小マゼラン雲内でホットコアは見つかっていなかった。

新潟大学の下西隆さんたちの研究チームは、小マゼラン雲などに存在する大質量の原始星をアルマ望遠鏡を用いて系統的に観測するプロジェクト「MAGOS(MAGellanic Outflow and chemistry Survey)」を実施してきた。そのなかで、高密度のガスに取り囲まれている可能性が示唆された2つの原始星について、MAGOSとアルマ望遠鏡のアーカイブデータを組み合わせて、周囲のガスの性質を調べた。

その結果、一酸化炭素、メタノール、二酸化硫黄など多くの分子や分子イオンのスペクトル線が検出され、これらの原始星の周囲にホットコアが存在していることが明らかになった。

今回発見されたホットコアではどちらも、メタノール分子は比較的低温で広がった領域に由来していて、高温でコンパクトなホットコアからの寄与は非常に小さい。これまでに知られている、重元素量が通常の環境ではホットコアがメタノールの輝線で検出されてきたこととは大きく異なる結果だ。また、小マゼラン雲ではメタノールではなく、二酸化硫黄の分子輝線がホットコア領域の検出に有効であることも示された


ホットコア「S07」
ホットコアの二酸化硫黄とメタノールの分子輝線の積分強度の比較
ホットコア「S07」の二酸化硫黄(SO2)(左)とメタノール(CH3OH)(右)の分子輝線の積分強度の比較。二酸化硫黄の分子輝線のほうがコンパクトかつ高温で、ホットコアを効果的に追跡している様子がわかる(提供:Shimonishi et al. 2023)

これらの結果は、宇宙の様々な年代、環境における星間物質の化学進化が普遍的かどうかを知るうえで重要な成果となる。星や惑星の形成と進化、さらには惑星へ取り込まれ得る生命材料物質の多様性の究明にもつながるだろう

2023年5月15日
AstroArtsより

輝線星雲「Gum 10」

Posted by moonrainbow on 09.2023 星雲   0 comments   0 trackback
宇宙に広がる緋色の領域 超大型望遠鏡VLTが撮影したHII領域

宇宙に広がる緋色の領域 
輝線星雲「Gum 10」の一部分

こちらは南天の「とも座」(艫座)の方向にある輝線星雲「Gum 10」の一部を捉えた画像です。横方向の範囲は満月の視直径の約4分の1に相当します(視野は7.04×7.09分角)。赤く染まった星雲を背景に、数多くの青い星々が輝いています

夕暮れ時の空に広がる雲のようなGum 10の赤色は、電離した水素ガスから放射された赤い光によるものです。このような領域は「HII(エイチツー)領域」と呼ばれています。HII領域の水素ガスは高温の青い星から放射された強力な紫外線によって電離しています。

また、裂け目のように広がっている暗い部分は、星雲のなかでも塵が豊富な領域です。塵には可視光線(特に青い光)を吸収・散乱させる性質があり、向こう側からの光がブロックされることで、地球では塵の濃い部分が暗く見えているのです。

冒頭の画像はチリのパラナル天文台にある「超大型望遠鏡(VLT)」に搭載されている観測装置「FORS2」を使用し、科学観測の合間に魅力的な天体の写真を撮影・公開するヨーロッパ南天天文台(ESO)の「Cosmic Gems(宇宙の宝石)」プログラムのもとで取得・作成されたもので、ESOから2023年5月1日付で公開されています


Source
Image Credit: ESO

2023年5月6日
sorae より

ほ座パルサー星雲

Posted by moonrainbow on 12.2023 星雲   0 comments   0 trackback
ほ座パルサー星雲のX線偏光は、かに星雲の2倍以上

ほ座パルサーとパルサー星雲
ほ座パルサーとパルサー星雲。IXPE、X線天文衛星「チャンドラ」、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データを合成した擬似カラー画像(提供:NASA/CXC/SAO/IXPE)

ほ座パルサー星雲のX線偏光を観測したところ、かに星雲と比べて偏光度が平均で2倍以上もあるなど、極限的な強さであることが明らかになった

太陽よりもはるかに重い恒星が一生の最期に超新星爆発を起こすと、その爆発の中心部に中性子星が形成されることがある。中性子星は密度が地球の数百兆倍、磁場が地球の約1兆倍もある天体で、その多くは超高速で自転している。地球から観測すると非常に短い周期で明滅する規則的な信号がとらえられるため、パルサーとも呼ばれる。パルサーから勢いよく放出された荷電粒子は周囲の超新星残骸にぶつかり、X線など非常に高いエネルギーの電磁波を放出する。そのためパルサーの周りには、X線を放出する「パルサー星雲」と呼ばれるものがよく観測される。

パルサー星雲のX線は、荷電粒子が残骸中の磁場と絡み合うことで放出されると考えられている。しかし、その磁場がどのようにしてできたのか、また磁場がどの程度そろっているのかなど、詳しいことはわかっていなかった。磁場の情報を知る強力な手段となるのは、その領域から放出される電磁波の偏光、すなわち波の振動が特定の方向に偏っている度合いを観測することだ。これまでX線の偏光が測定されたパルサー星雲は、おうし座のM1(かに星雲)だけで、星雲全体の平均的な偏光度は20%程度だった。

今回、中国・広西大学のFei Xieさんたちの研究チームは、2021年12月に打ち上げられたNASAとイタリア宇宙機関のX線偏光観測衛星「IXPE(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)」を用いて、ほ座超新星残骸(Gum 16)を観測した。残骸の中心に位置するパルサーが超新星爆発とともに生まれたのは約1万1000年前と比較的新しく、パルサー星雲からは強いX線やガンマ線が放出されている。

当初、ほ座パルサー星雲の偏光度もかに星雲と同程度だと予想されていた。しかしIXPEによる観測の結果、偏光度は平均で45%と、かに星雲の2倍以上であることがわかった。さらに、領域を絞った場合には60%を超える領域がある。これは、荷電粒子と磁場の相互作用で生じる電磁波の偏光度としては、理論上許される最大値に近い。

この結果から、ほ座パルサー星雲内の磁場は極めて均一で、ほとんど乱れなく粒子が加速されていると推測される。しかし、そのような高度に秩序だった磁場は、不安定な流れや乱流が粒子の加速に重要な役割を果たすという理論モデルによる予測に反している。

今後IXPEは他のパルサー星雲も観測する予定で、ほ座超新星残骸のパルサー星雲に見られるそろった磁場の起源について研究が進められる予定だ


ほ座パルサーとパルサー星雲1
ほ座超新星残骸とパルサー星雲
(左)ほ座パルサー星雲を形成した超新星爆発の残骸。(右)ほ座パルサー星雲と磁場の様子。画像クリックで拡大表示(提供:(左)Digitized Sky Survey, ESA/ESO/NASA FITS Liberator, Color Composite: Davide De Martin (Skyfactory)、(右)NASA/CXC/Univ of Toronto/M.Durant et al.)

2023年1月6日
AstroArtsより

暗黒星雲「CB 130-3」

Posted by moonrainbow on 18.2022 星雲   0 comments   0 trackback
星を生み出す幻想的な分子雲コア暗黒星雲「CB 130-3」をハッブルが撮影

暗黒星雲「CB 130-3」
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した暗黒星雲「CB 130-3」(Credit: ESA/Hubble, NASA & STScI, C. Britt, T. Huard, A. Pagan)】

こちらは「へび座」の方向にある暗黒星雲「CB 130-3」です。CB 130-3はガスや塵が集まっている低温の分子雲のなかでも特に高密度な部分である分子雲コアとして知られています。オレンジの分子雲コアを背景の青白い雲や輝く星々が取り囲む様子からは幻想的な印象を受けます

分子雲コアでは高密度のガスや塵が自らの重力で収縮し、星の赤ちゃんと言える原始星が誕生すると考えられています。やがて成長した原始星の中心では水素の核融合反応が起こるようになり、恒星としての生涯が始まります。画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、CB 130-3の奥深くにも恒星に成長しつつある小さな星が潜んでいるといいます。

背景の星々は密度が低い周辺部分では雲を透かして見えていますが、物質が高い密度で集まっている部分へ向かうにつれて隠されていき、濃い赤に見えるCB 130-3の中央付近ではすっかり見えなくなっています。ESAによれば、分子雲は星を暗く見せるだけでなく色も赤っぽく変化させています。天文学者はこの色の変化を利用して分子雲の密度を分析し、分子雲の内部構造に関する知見を得ることができるといいます。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」を使って取得された画像(814nm、1.25μm、1.6μmのフィルターを使用)をもとに作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚としてESAから2022年11月14日付で公開されています


Clouded Vision



Image Credit: ESA/Hubble, NASA & STScI, C. Britt, T. Huard, A. Pagan
ESA/Hubble - Clouded Vision

2022-11-15
Soraeより
 

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