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暗黒流動

Posted by moonrainbow on 01.2012 暗黒流動   4 comments   0 trackback
Ia型超新星のデータを分析して暗黒流動の存在を否定

赤いガスの球体
 宇宙に浮かぶ赤いガスの球体。近傍銀河で爆発したIa型超新星の残骸です。

 宇宙の外側にある観測不能な未知の構造が引き起こすと考えられている「暗黒流動(ダークフロー)」ですが、カナダ、ウォータールー大学の研究チームが、その存在に疑問を投げかけました。物質が同一方向に移動する不可解な動きを、超新星と既存の物理法則を用いて再検証しました

 2008年、アメリカ、メリーランド州にあるNASAゴダード宇宙飛行センターの天体物理学者アレキサンダー・カシリンスキー氏らは、数百個の銀河団を測定し、観測可能な宇宙で、あらゆる物質が時速320万キロで同一方向に流れる暗黒流動を発見しました。既知の宇宙の先でも同様だと考えられています

 この発見は、全宇宙質量の分布状況からは説明がつかなかったのです。そこで同チームは、ビッグバン直後に物質の塊が既知の宇宙の外に押し出され、その引力が宇宙を牽引している可能性があると考えました

 2010年、同チームは2つ目の研究成果を発表しました。前回の2倍の数の銀河団を追跡調査した結果、暗黒流動は以前の報告よりもさらに遠く、地球から25億光年以上離れた宇宙まで及ぶ説を提唱したのです

「正しいとすれば、暗黒流動は宇宙の概念を根本から覆す」とカシリンスキー氏は言います。既知の宇宙の外側に大質量の構造が存在すれば、私たちの住む宇宙が“多世界宇宙(multiverse)”というさらに大きな宇宙の一部であることの裏付けになるからです

◆やはり他に宇宙はなかった?

 銀河団ではなく超新星を分析したウォータールー大学の研究でも、同一方向に流れる物質の動きが検出されましたが、超新星のデータからは、この物質は地球から約2億4000万光年先をわずか時速90万キロほどで移動していることが示されたのです。「ビッグバン理論の標準モデルから予想される値よりもわずかに速いのですが、宇宙の標準的な方程式と一貫しており、その差はたいした問題ではない」と研究責任者のスティーブン・ターンブル氏は説明しています

 この流れの発生要因は宇宙の外からの力ではないというのです。宇宙内に存在する1個の巨大な超銀河団、複数の超銀河団からなる集合体、あるいは、まだ観測されていないが識別可能な物体などの引力に影響されていると説明できると言うのです

そうであれば、この流動は“暗黒(ダーク)”ではないのです。既存のモデルでは説明できない論点を示す場合、物理学では暗黒という言葉を良く使います。

◆超新星が暗黒流動に光を照らす

 カシリンスキー氏による暗黒流動の研究では、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)のわずかな温度変化の観測によって銀河団の動きをとらえました。CMBはビッグバンのわずか38万年後に放射されたマイクロ波とみられており、現在も宇宙を飛び交っています。

 CMBは、銀河団内部のガスを通過すると温度が上がります。同チームはこの温度変化を観測して、銀河団の移動方向と速度を追跡したのです。

 一方、ターンブル氏はIa型超新星に焦点を当てました。Ia型超新星はどれも明るさがほぼ同じなので、宇宙の異なる場所にある物質の速度を測る指標「標準光源」として利用されています。

 ターンブル氏の研究チームは、245個のIa型超新星のデータを分析し、半径約2億4000万光年の仮想球内における物質の集団運動を導き出しました。「ある一定方向に動く時速は、89万6000キロでした。ただし、上下に時速27万4000キロの幅がある」とターンブル氏は述べています。

 この発見に対してNASAのカシリンスキー氏は、「動きの幅など、私たちの理論と矛盾する重要な点がいくつかあります。今後検証して1~2年以内にはっきりさせたい」と語っています

 一方、ターンブル氏は、「測定の対象である銀河団と超新星は規模が異なるため、両方の結果は両立しにくいだろう。しかし、可能性はゼロではない」と話しています。

 この研究成果は、2011年12月にWebサイト「arXiv.org」に投稿されており、「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」誌でも掲載される予定です。

Image courtesy ESA/NASA

National Geographic Newsより
January 23, 2012

暗黒流動

Posted by moonrainbow on 24.2012 暗黒流動   2 comments   0 trackback
暗黒流動を“宇宙の外側”の証拠を発見

暗黒流動
“暗黒流動”という未知の流れの中に漂うかみのけ座銀河団

 宇宙には「暗黒流動(ダークフロー)」という壮大な運動原理が働いているとする理論があります。宇宙の外側に存在する観測不能な未知の構造が引き起こしているという考えですが、その裏付けとなる新研究が発表されました

 まず2008年に、科学者たちが「数百個の銀河団が時速360万キロで同方向に流れている」という発見を報告しまた

 この不可解な動き、暗黒流動は、宇宙の質量分布に関する現在のモデルでは説明がつ来ません。そこで研究チームは「銀河団は既知の宇宙の外側にある物質の重力によって、強く引き寄せられている」という理論を唱えましたが、これには疑問の声も上がっていました。

 今回、同じチームが、この暗黒流動の影響が以前の報告よりもさらに遠く、地球から25億光年以上離れた宇宙まで及んでいることを発見しました

 さらに2年分の有効データの精査を続け、前回の2倍の数の銀河団を追跡調査した結果、暗黒流動の存在と、それが同一方向の流れであることを確認しました。確固たる一貫性のある流れでした

 今回の発見は、「ビッグバン直後に、物質の塊が既知の宇宙の外に押し出された」という理論の新たな裏付けとなります。これが正しいとすれば、私たちの住む宇宙は“多世界宇宙(multiverse)”というさらに大きな宇宙の一部ということになります

 暗黒流動の存在に初めて気づいたのは、銀河団内部のガスと宇宙マイクロ波背景放射(CMB)との相互作用を研究しているときでした。CMBはビッグバンのわずか38万年後に放射されたマイクロ波とみられており、現在も宇宙を飛び交っています。

 ウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機(WMAP)のデータから、CMBが銀河団内部のガスを通過するときの微小な温度変化を観測できます。

 この通過時に銀河団内部のガスによってCMBの光は散乱します。地球の大気によって光が散乱し星がきらめいて見えるのと似ていますが、銀河団はCMBと相対的に移動しているため、散乱した光はドップラー効果でさらに歪められます。この歪みがWMAPデータで温度変化として現れるため、これを調べれば銀河団の移動方向と速度を解明できるというわけです

個々の銀河団ごとに温度変化を識別するのが非常に難しいため、前回の研究では銀河団700個が限界でした。

 今回は約1400個の銀河団の集団的な動きを基にしています。より多くの銀河団でも暗黒流動を確認できたことで、理論への自信をさらに深めました。

 また、分析方法を検証するために、特定の銀河団が放つX線の明るさと、WMAPデータの温度変化との比較も行いました。 内部のガスが高温なより明るい銀河団ほど、CMBへ与える影響も大きくなると予想されましたが、分析の結果その仮説も裏付けられました

 暗黒流動は観測可能な宇宙の全領域、つまり約470億光年の彼方にまで広がっていると推測しています。これが正しければ、「既知の地平を越えたところに存在する物質に、銀河団が引き与せられている」ということになります

Photograph courtesy Misti Mountain Observatory

National Geographic Newsより
March 23, 2010

宇宙の大きさ(4)

Posted by moonrainbow on 01.2010 暗黒流動   4 comments   0 trackback
暗黒流動?
宇宙論を覆すかもしれない“暗黒流動”とは

“暗黒流動”を観測、宇宙論を覆す?
 38億光年のかなたに存在する通称「弾丸銀河団」。

2008年10月に発表された研究によると、弾丸銀河団を含め数百の銀河団が謎の「暗黒流動」によって移動していることが発見されたという

 研究チームは「暗黒流動は、既知の宇宙の外側にある未知の物質の塊によって引き起こされており、私たちの住む宇宙全体がその物質に引き寄せされている」と説明する
既知の宇宙を越えた先になにがあるとしても、それは私たちが知っているものとは異なるようだ

 最新の研究によると、私たちの住む宇宙の外側に、未知の見えない“なにか”が存在しており、磁石のようにこの宇宙を強く引き寄せているという

 既知の宇宙に存在するあらゆるものが、この巨大な物質の塊に向かって時速320万キロ以上の速度で疾走しているという。研究チームはこの動きのことを「暗黒流動(ダークフロー)」と名付けている

 研究チームのリーダーで、アメリカのメリーランド州にあるNASAゴダード宇宙飛行センターの天体物理学者アレキサンダー・カシリンスキー氏は、「宇宙外物質が存在するとすれば、私たちの宇宙は“もっと大きな存在”、多世界宇宙(multiverse)の一部ということになる。宇宙の外部は、それがどんなものであったとしても、私たちの知っている宇宙とは大きく異なるだろう」と話す。

 この学説が正しければ、今日の物理法則は書き換えを迫られる可能性がある
現在の物理学モデルでは、既知つまり観測可能な宇宙は、ビッグバン以降に光が到達できる距離まで広がったもので、残りの4次元時空(空間の3次元プラス時間)と本質的に同じ性質を持つと考えられている

 暗黒流動(ダークフロー)という名称は、まだ説明されていない天体物理現象の暗黒エネルギー(ダークエネルギー)や暗黒物質(ダークマター)をふまえて付けられた。新しく発見された流動は、宇宙の膨張では説明が付かず、直接の関係を持たないという。ただし、研究チームでは、暗黒流動と宇宙の膨張という2つのタイプの運動は同時に発生したものだと考えている

 頭の痛くなるような概念を分かりやすく理解するために、カシリンスキー氏は次のように説明する。
「まず、広大な海原の真ん中に浮いて漂っている状況をイメージする。視界の及ぶ範囲では、海は波もなく穏やかで、どの方向を向いても同じに見える。この時、人は水平線を越えた先も同じ状態が続いていると想像するだろう。天文学者も宇宙についてそのように考えている」。

 カシリンスキー氏は続ける。「しかし、海の中で微かだが一貫している流れを発見したとする。すると、視界に入るものとは別のものが水平線の先に存在すると推論するはずだ。そこには、山から流れる川や峡谷があり、水を押したり引いたりしているに違いない。宇宙の話に戻れば、今回発見された運動は、140億光年以上先にある現在の宇宙の地平線をはるかに越えた場所に位置するなんらかの“構造”によって引き起こされていると考えられる」。

 研究チームは、物理学を打ち壊すために今回の調査を行ったのではなく、昔からある「遠く離れた銀河ほど運動速度が遅く見える」という考えを確認しようとしただけであった。

 この運動は、NASAのウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機(WMAP)から得られるデータによって検出可能だ。NASAによると、WMAPは全天に存在する宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の温度などの特質を計測することにより、初期宇宙の状態を明らかにする。宇宙マイクロ波背景放射は、この宇宙の誕生からおよそ38万年後に放出されたと考えられている。

 宇宙マイクロ波背景放射は、銀河団の高温ガスの影響を受け、さらに宇宙マイクロ波背景放射と銀河団の移動速度にずれがある場合には電子散乱の“摩擦”により温度が上がる。この温度変動は非常に微妙なため、研究チームは700以上の銀河団を調査した。

 結果は驚くべきもので、すべての銀河団が一様に時速約320万キロで同一方向に移動していたことが判明した。カシリンスキー氏は「この暗黒流動が検出されたのは銀河団だけであったが、既知の宇宙のあらゆる構造に当てはまると考えられる」と話す。

 説明のつかない流動を説明するため、研究チームは昔からある「ビッグバン直後の急速なインフレーションにより、物質の塊が既知の宇宙を越えて押し飛ばされた」という学説に依拠することにした。

「宇宙外物質が巨大な質量を持つなら、私たちの宇宙にある物質はそれに引き寄せられる。観測可能な宇宙の地平線全体にわたって検出された銀河団の流動は、そのために起きているのだろう」とカシリンスキー氏は話す。

 ただし、今回の研究に対しては、プリンストン大学のデイビッド・スパーゲル氏をはじめさまざまな専門家が疑問を呈しており、カシリンスキー氏も研究継続の必要性を認めている。

National Geographic News
November 5, 2008

 

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