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若い星のガス流と星周円盤の不透明さの関係

Posted by moonrainbow on 11.2019 宇宙   0 comments   0 trackback
若い星のガス流と星周円盤の不透明さの関係

原始星の進化の模式図
原始星の進化の模式図。ガス雲の中心で原始星が生まれると、これに向かって落ち込むガスの一部が原始惑星系円盤を作る。中心星に近いガスの一部は自転軸の方向にガス流として噴き出す。その後、円盤の中で微惑星ができ、これらが合体して惑星が作られ、星周円盤は消えてなくなる(提供:京都産業大学リリースより、以下同)

生まれたばかりの中質量星では、星周辺の物質の流れが星周円盤内側の不透明度に関係している可能性があることが分光観測から明らかになりました

恒星は分子雲が重力で収縮して生まれる。生まれて間もない原始星の周りには「原始惑星系円盤(星周円盤)」と呼ばれるガス円盤が取り巻き、円盤のガスは原始星に落ち込むとともに、一部は原始星の両極からガス流となって宇宙空間に放出される。やがて円盤の中で塵が集まって微惑星ができ、それらが合体して惑星へと成長する。円盤のガスの一部は惑星に取り込まれて巨大ガス惑星の大気となり、残りは散逸してなくなる。

こうした惑星形成のモデルは、太陽くらいの質量を持つ「小質量星」ではよく研究されているものの、細かい点はまだわからないことも多い。また、太陽より1.5~4倍ほど重い「中質量星」でも同じようにして惑星ができるのかどうかも謎だ


京都産業大学の安井千香子さんたちの研究チームは、同大学で開発された高分散分光器「WINERED(ワインレッド)」を同大学神山天文台の荒木望遠鏡(口径1.3m)に装着して、おうし座の星形成領域にある13個の中質量星を赤外線で分光観測した。これらの星々は150万歳ほどと非常に若く、水素の核融合反応が始まって一人前の星となる直前の段階(前主系列星)にあり、ほとんどの星がまだ星周円盤を持っている

安井さんたちはまず、観測対象として選んだ若い星々を3つの進化段階に分けた。対象星の近赤外線と中間赤外線のスペクトルを観測することで、その星が3つの段階のどこにあるかを見分けることができる。

フェーズ1:塵を含む不透明な円盤が中心星の近くまで分布している段階
フェーズ2:円盤の物質が内側から失われつつある段階
フェーズ3:円盤が完全に失われた段階
次に、この3段階の星々について、赤外線の波長域にある水素のスペクトル(パッシェンβ線、波長1282.2nm)とヘリウムのスペクトル(He I線、波長1083.0nm)を調べ、円盤や恒星周辺のガスがどのような運動をしているかを推定した。

その結果、星の進化段階によってガスの振る舞いは以下のように異なることが明らかになった。

フェーズ1:星の両極から噴き出すガス流(恒星風)が卓越し、星の磁場に沿って円盤から星へのガスの流入(磁場による質量降着)もみられる
フェーズ2:円盤の内側のガス流(円盤風)が卓越し、磁場による質量降着もみられる
フェーズ3:恒星風も円盤風も磁場による質量降着もない
このことから、ごく若い星では、恒星周辺での物質の流れと、星周円盤の内縁付近の物質の濃さ(不透明度)との間に何らかの関係があることが示唆される。前主系列星と星周円盤のこうした関係が明らかになったのは初めてのことだ


円盤と物質の流れの移り変わり

円盤進化に伴う質量流出プロセスの変化

若い星を取り巻く円盤と物質の流れの移り変わり。濃い灰色の部分がガスと塵を含む不透明な円盤を表し、薄い灰色の領域はガスのみからなるあまり濃くない円盤を表す。円盤の内側から物質が失われるとともに、物質の流れは恒星風が卓越する状態から円盤風が卓越する状態へと変わる

さらに、今回の安井さんたちの観測では、中質量の前主系列星の赤外線スペクトルから、黒点やフレアなどの彩層活動に由来するヘリウムの吸収線が初めて検出された。彩層活動が活発な恒星は、紫外線やX線といった高エネルギーの電磁波を強く放射するため、中質量星は若い段階から活動性が高く、仮にこれらの星の星周円盤で地球型惑星が形成されたとしても、生命にとっては過酷な環境になると予想される


2019年12月5日
AstroArtsより

ガンマ線バースト「GRB 190114C」

Posted by moonrainbow on 05.2019 宇宙   0 comments   0 trackback
観測史上最大のエネルギーで放射されたガンマ線バーストを観測

ガンマ線バースト「GRB 190114C」が発生した様子の想像図
大質量星の崩壊にともなってガンマ線バースト「GRB 190114C」が発生した様子の想像図(Credit: 東京大学宇宙線研究所/若林菜穂)

2019年1月、地球からおよそ45億光年離れた銀河で発生した「ガンマ線バースト」が観測されました。今回、この現象に関する複数の研究成果が一斉に公開されています

■ガンマ線バーストとしては観測史上最大のエネルギー

ガンマ線バーストとは、ほんの数秒間に太陽一生分のエネルギーが放出されるほどの、非常に激しい爆発とされています。観測できる時間が限られているため、未解明の部分が多い現象です。

東京大学、NASA、ESAなどの発表によると、2019年1月15日朝(日本時間)、ガンマ線バーストの観測を行っている「スウィフト」や「フェルミ」といった宇宙望遠鏡が、南天の「ろ座」の方向に強いX線を検出。そのおよそ1分後には大気チェレンコフ望遠鏡「MAGIC」によるガンマ線の観測が始まりました。

この「GRB 190114C」と呼ばれるガンマ線バーストの観測データを分析したところ、300GeV(ギガ電子ボルト)以上という高エネルギーのガンマ線が多数捉えられており、その一部は1TeV(テラ電子ボルト)に達していたことが明らかになりました。

これまでガンマ線バーストを由来とする高エネルギーガンマ線の観測記録は、2013年4月にフェルミ宇宙望遠鏡がキャッチした「GRB 130427A」の95GeVが最大でした。GRB 190114Cでは、この10倍以上の高エネルギーガンマ線が観測されたことになります。

また、エネルギーが300GeV以上のガンマ線に限っては、非常に高いエネルギーのガンマ線を放出していることで知られるおうし座の「かに星雲」より100倍近く明るく輝いていたことも判明しました


■ガンマ線バーストが生じる仕組みの解明につながるか

GRB 190114Cが生じた銀河の姿(右下)
「ハッブル」宇宙望遠鏡によって撮影された、GRB 190114Cが生じた銀河の姿(右下)(Credit: NASA, ESA, A. de Ugarte Postigo and A. J. Levan)

およそ45億光年離れた銀河の中心付近で起きた今回のガンマ線バーストは、太陽の100倍ほどの重さを持つ大質量星が崩壊してブラックホールになったとき、星の両極方向に放出されたプラズマジェットによって生じたものとみられています。

従来のガンマ線バーストに関する研究では、磁場のなかで螺旋を描きながら運動する光子が電磁波を放つ「シンクロトロン放射」によってガンマ線が生じると考えられており、これまでの最高記録だった95GeVというエネルギーも、シンクロトロン放射によって説明できるとされてきました。

ところが、今回観測された1TeVというエネルギーは、シンクロトロン放射で生じたとは考えにくい高エネルギーでした。観測データをもとに研究を行った各チームでは、高速で運動する電子が光子にエネルギーを与える「逆コンプトン散乱」など、シンクロトロン放射とは別の仕組みによって高エネルギーガンマ線が生じたものと考えています。

また、今回観測されたガンマ線バーストは天体が密集する銀河の中心領域で発生したことが「ハッブル」宇宙望遠鏡の観測によって判明しており、周囲の環境が高エネルギーガンマ線の発生に寄与した可能性も指摘されています。およそ40分という異例の長時間に渡り観測されたGRB 190114Cは、ガンマ線バーストの謎を解き明かすきっかけになるかもしれません


Image Credit: 東京大学宇宙線研究所/若林菜穂

2019/11/21
Soraeより

中性子星かブラックホールが誕生した瞬間?

Posted by moonrainbow on 02.2019 宇宙   0 comments   0 trackback
正体不明の爆発現象に迫る

AT2018cowの想像図
AT2018cowの想像図(Credit: 国立天文台)

2018年6月に観測された、正体不明の爆発現象「AT2018cow」。およそ2億光年先で発生したこの現象が超新星爆発によるものだったとする研究成果が発表されました

■超新星爆発か、それともブラックホールに恒星が引き裂かれたか

2018年6月16日、ハワイの小惑星地球衝突最終警報システム「ATLAS」が、ヘルクレス座の方向およそ2億光年先にある銀河「CGCG 137-068」において、一つの突発天体を発見しました。突発天体とは、超新星爆発のように光や電波、X線といった電磁波が突然強く観測される天体です。

ところが、AT2018cowという符号が付けられたこの現象は、一般的な超新星爆発より10倍も明るく輝いたうえに、予想よりも早く暗くなってしまったのです。X線による観測結果なども従来の理論とは異なる様子を示したことから、特異な超新星爆発によるものか、あるいはブラックホールに飲み込まれかけた恒星が潮汐力で破壊された瞬間を捉えた可能性が指摘されていました。

今回、黄麗錦氏(中原大学・台湾)、霜田治朗氏(東北大学)らの研究チームは、AT2018cowの発見から11日後および17日後に実施された「アルマ望遠鏡」の観測データを詳細に分析しました。その結果、超新星爆発によって中性子星やブラックホールが誕生したとすれば、AT2018cowの特異な観測結果をうまく説明できることが明らかになりました。

今回の研究成果に結びついた観測データは、1回目の観測結果をすぐに確認した上で2回目の観測条件を修正するという、スピーディーな対応によって取得されました。データの解析を担当した浦田裕次氏(中央大学)は、「謎の突発天体の変動を限られたデータからすばやく予想して次の計画を立てることは突発天体観測の醍醐味」とコメントしています


■同様の爆発が高エネルギー宇宙線を生み出した?

銀河CGCG 137-068の画像
可視光で撮影された銀河CGCG 137-068の画像に、アルマ望遠鏡(ALMA、赤)と、カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA、青)によるAT2018cowの観測結果を付記したもの(Credit: Sophia Dagnello, NRAO/AUI/NSF; R. Margutti, W.M. Keck Observatory; Ho, et al.)

研究チームは、AT2018cowのような特異な超新星爆発が、地球にも降り注いでいる宇宙線(宇宙空間を飛び交う陽子などの荷電粒子)を生み出す源になっている可能性を指摘しています。発見から100年以上になる宇宙線の起源は、今も明らかになっていません。

国立天文台の発表では、アルマ望遠鏡が観測する電波(ミリ波)と赤外線の中間にあたる電波(テラヘルツ波)を詳細に観測することができれば、こうした特異な超新星爆発と宇宙線の関係が検証できるとしており、今後のアルマ望遠鏡による同種の超新星爆発に対する観測に期待を寄せています。

天の川銀河の星々は各々の速度で移動していますが、他の星よりもずっと速く移動する「超高速度星」と呼ばれる星も幾つか見つかっています。今回、1秒間に1700kmという猛烈なスピードで天の川銀河から脱出しつつある超高速度星が見つかりました

...
Image: 国立天文台

2019-11-24
Soraeより

原始星「HH 111」

Posted by moonrainbow on 29.2019 宇宙   0 comments   0 trackback
宇宙の渦構造によって成長する生まれて約50万年の赤ちゃん星

原始星系「HH 111」の降着円盤
アルマ望遠鏡が撮影した原始星系「HH 111」の降着円盤(提供:ALMA(ESO / NAOJ / NRAO)/ Lee et al.)

1300光年彼方の赤ちゃん星を取り巻くガスと塵の円盤に、2つの渦巻き腕の構造が見つかりました。アルマ望遠鏡の高解像度観測によるこの発見は、赤ちゃん星の成長過程を理解するうえで重要な成果となります

オリオン座の方向約1300光年先に位置する原始星「HH 111」は、生まれて約50万年(太陽の1万分の1の年齢)の赤ちゃん星です。質量は太陽の約1.5倍で、その重力に引かれて落下してくるガスの一部が、磁場の力などによって星の近くから吹き上げられて、12光年もの長さに伸びる超音速のジェットを形成しています。

この原始星「HH 111」ではこれまでに、解像度120au(地球から太陽までの約120倍の距離を見分けられる)の観測によって半径160auの降着円盤が検出されていました。降着円盤とは、天体の重力で集められたガスや塵が天体の回りに形成する円盤構造のことです


台湾のChin-Fei Leeさんらの研究チームが今回、従来の8倍の解像度(16au離れたものを見分けられる)を持つアルマ望遠鏡を用いて観測したところ、この降着円盤に2つの渦巻き腕があることがわかりました。渦を巻く腕は、円盤に集積した塵粒子が出す熱放射によって輝いていました。

やや成長した若い星の周りの原始惑星系円盤で検出される渦は、円盤の中に作られた見えない原始惑星との相互作用によって形成されます。今回見つかった2つの渦巻き腕はそれとは異なり、周囲の分子雲から円盤へガスや塵が降着することによって引き起こされるものです


原始星系「HH 111」のジェットの光学画像
原始星系「HH 111」のジェット、降着円盤、渦巻き腕の画像
(上)ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した原始星系「HH 111」のジェットの光学画像(提供:Reipurth et al. 1999)(下)アルマ望遠鏡が検出した降着円盤。中央は円盤が正面を向くように回転させた画像、右は渦巻き腕構造を抽出強調した画像(提供:ALMA(ESO / NAOJ / NRAO)/ Lee et al.)

高い解像度を誇るアルマ望遠鏡を用いた観測によって、赤ちゃん星を取り巻く降着円盤で渦の検出が可能となりました。これにより、降着円盤を通したガスの移動メカニズムの研究が進展することが見込まれます。このような観測は原始星のみならず、活動銀河の中心にある超大質量ブラックホールなどの天体を取り巻く降着円盤についての洞察を深めることにもつながります

2019年11月22日
AstroArtsより

ガンマ線バーストの電波残光の偏光

Posted by moonrainbow on 25.2019 宇宙   0 comments   0 trackback
ガンマ線バーストの電波残光の偏光測定に初成功

ガンマ線バースト「GRB171205A」
今回の観測対象であるガンマ線バースト「GRB171205A」(提供:プレスリリースより)

アルマ望遠鏡によりガンマ線バーストの電波残光の偏光が初めて測定され、ガンマ線バーストの総エネルギーは従来の理論予測の約10倍大きいとみられることが示されました

2017年12月5日、NASAの天文衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト」が宇宙最大の爆発現象であるガンマ線バーストをコップ座の領域で検出しました。ガンマ線バーストの多くは100億光年程度の遠方で起こるが、この「GRB 171205A」は5億光年と比較的近傍のものであることが地上の超大型望遠鏡(VLT)の観測でわかりました。

台湾・中央大学の浦田裕次さん、東北大学の當真賢二さんたちの研究チームが米・ハワイ・マウナケアのサブミリ波干渉計(SMA)で観測を行ったところ、爆発の1.5日後にサブミリ波で残光が検出されました。さらに爆発5日後に行われたアルマ望遠鏡による観測で、電波残光の微弱な偏光も測定されました。ガンマ線バーストの残光の偏光は可視光線の波長域では検出されていたが、電波の波長域で検出に成功したのは今回が初めてです。

偏光の測定は非常に明るい光源でなければ不可能なため、ガンマ線バースト観測史上最も明るいサブミリ波残光を見せた「GRB 171205A」は最適な対象でした。この偏光観測では、残光を放射する衝撃波の詳しい状態、とくに高エネルギー電子の割合を見ることができるのが大きなメリットです。

これまでの理論モデルでは、すべての電子が高エネルギーになっていると想定されていたが、予想よりもはるかに微弱な偏光が検出されたことにより、高エネルギー電子の割合は約10%であることが示されました。ガンマ線バーストの爆発の総エネルギーは従来の推定より約10倍も大きいことを示唆する結果です。

「およそ10年前に電波偏光が微弱になる可能性を自分が理論予測し、それが今回実際に観測されたことに非常に興奮しました。これから他のガンマ線バーストの偏光も測定し、総エネルギーを慎重に推定していきたいです」(當真さん)。

今回の研究では複数の電波望遠鏡を連携させることで、観測・解析の手法も確立した。同様の観測を様々な種類のガンマ線バーストや類似した突発天体でも行うことで、ガンマ線バーストの理解だけでなくマルチメッセンジャー天文学の発展にもつながることが期待されます


2019年11月15日
AstroArtsより
 

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