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初代星が起こした超新星爆発の痕跡か?

Posted by moonrainbow on 07.2023 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
初代星が起こした超新星爆発の痕跡か? 超大型望遠鏡VLTの観測で発見

初代星が起こした超新星爆発の痕跡か?
様々な元素を含む遠方宇宙のガス雲のイメージ図

パリ天文台の博士課程学生Andrea Saccardiさんを筆頭とする研究チームは、初期の宇宙に存在していたガス雲に関する研究成果を発表しました

そのなかには宇宙最初の世代の星である「初代星(ファーストスター)」が超新星爆発を起こした後に残したとみられるガス雲も含まれており、初代星の超新星爆発の痕跡を初めて特定できたと研究チームは述べています

■初代星の超新星爆発後に予想される化学組成と一致するガス雲を発見

私たちの周辺には水分子を構成する水素と酸素をはじめ、地球の生命に欠かせない炭素や窒素、人類の文明活動に用いられている鉄・金・ウランなど、様々な元素が存在しています。しかし、今から約138億年前のビッグバンから始まったとされる宇宙の歴史の最初期には、水素・ヘリウム・ごくわずかなリチウムといった軽い元素しか存在していなかったと考えられています。

天文学で「金属」や「重元素」と総称される水素やヘリウムよりも重い元素のうち、鉄までの元素は恒星内部の核融合反応で、鉄よりも重い元素は超新星爆発などの激しい現象にともなって生成されたとみられています。生成された金属は恒星の星風や超新星爆発によって周囲に放出され、やがて新たな世代の星に受け継がれていくため、宇宙の金属量は恒星の世代交代が進むとともに増えていくことになります。生命や文明を支える多様な元素は、星々が長い時間をかけて生み出してきたものなのです。

その長い歴史を過去に向かって辿っていくと、今から135億年前頃に誕生したと考えられている最初の世代の星「初代星」(ファーストスター、種族IIIの星※)は、当時の宇宙に存在していた水素やヘリウムだけを材料に形成されたことになります。太陽数十個~数百個分の質量があったとみられる初代星はその内部で初めて金属を生成し、超新星爆発を起こした時に周囲へ金属を撒き散らしたはずです。

今回、研究チームが今から120億年前頃(赤方偏移z=3~4)に存在していた幾つものガス雲の化学組成を分析したところ、恒星の内部で生成される元素のうち炭素などは豊富に含むものの、鉄はほとんど含まないガス雲が3つ見つかりました。研究チームによると、一部の初代星が起こした超新星爆発はエネルギーが低く、星の外層に存在していた炭素・酸素・マグネシウムなどは放出されるものの、中心核(コア)に存在していた鉄はほとんど放出されない場合もあった可能性が過去の研究で指摘されていました。今回見つかった3つのガス雲の化学組成は、このような爆発で予想されるものに一致するといいます。

また、天の川銀河で見つかっている古い星のなかには、鉄に対する炭素の割合が高い「炭素過剰金属欠乏星」と呼ばれるものがあります。炭素過剰金属欠乏星は初代星が放出した物質から形成された“第2世代の星”である可能性が指摘されていましたが、今回研究チームが発見した3つのガス雲はまさにそのような物質に相当するといいます。

Saccardiさんは「史上初めて、初代星の爆発の科学的な痕跡を遠方宇宙のガス雲にて特定することができました」とコメント。また、研究に参加したフィレンツェ大学のStefania Salvadori准教授は「私たちの発見は初代星の性質を間接的に研究する新たな方法を開くとともに、天の川銀河の星の研究を完全に補完するものでもあります」とコメントしています


■ガス雲を通過してきたクエーサーの光を地上の望遠鏡で分析

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クエーサー(右上)を利用してガス雲(中央)の化学組成を調べる方法を示した図。虹色のバーで示されているのはクエーサーのスペクトル。ガス雲を通過した後のスペクトルには暗い吸収線が現れている

今回の研究では、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が運営するパラナル天文台(チリ)の「超大型望遠鏡(VLT)」に搭載されている多波長分光観測装置「X-shooter」によるクエーサー(Quasar)の観測データが利用されました。クエーサーは銀河中心部の狭い領域から強い電磁波を放射する活動銀河核(AGN)の一種で、活動銀河核のなかでも特に明るいタイプを指します。

クエーサーと地球の間にガス雲があると、クエーサーから放出された光の一部はガス雲に含まれている物質に吸収されます。天体のスペクトル(電磁波の波長ごとの強さ)を得る分光観測を行い、クエーサーのスペクトルに現れた吸収線(原子や分子が特定の波長の電磁波を吸収したことで生じる暗い線)を調べることで、ガス雲に含まれている金属の種類や量を知ることができるのです。

X-shooterのような分光観測装置は、現在ESOが建設を進めている口径39mの大型望遠鏡「欧州超大型望遠鏡(ELT)」にも搭載される予定です。研究に参加したイタリア国立天体物理学研究所(INAF)のValentina D’Odoricoさんは、今回見つかったようなガス雲をELTの分光観測装置でより多く、より詳しく調べることで「初代星の謎めいた性質を明らかにできるでしょう」と期待を寄せています。

※…スペクトルから判明する金属量をもとに、金属が多い若い星は「種族I」、金属が少ない古い星は「種族II」に分類されています。金属が少ない星は「金属欠乏星」、金属がほとんど含まれない星は「超金属欠乏星」とも呼ばれています。また、金属を含まない星、すなわち最初の世代の星は「種族III」に分類されていますが、まだ見つかったことはありません


Source
Image Credit: ESO/L. Calçada, M. Kornmesser, ESO/L. Calçada

2023年5月3日
sorae より

原始銀河団内の高温ガス

Posted by moonrainbow on 26.2023 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
原始銀河団内に予想外の高温ガスを発見

原始銀河団周辺の銀河間ガス
原始銀河団周辺の銀河間ガスの大規模加熱
シミュレーションデータを用いて可視化した、原始銀河団周辺の銀河間ガスの大規模加熱の様子(COSTCO-Iで観測されたシナリオに近いと考えられる)。(黄)数百万光年にわたって広がる巨大な高温ガスの塊。(青)原始銀河団の外側にある低温のガス。フィラメントのように原始銀河団周囲の高温のガスと他の構造をつないでいる。(ガス中の白い点)星から放出された光(提供:The THREE HUNDRED Collaboration)

110億前の宇宙で、当時としては高温な100万度以上のガスで満たされた原始銀河団が見つかった。初期宇宙で低温だった銀河間ガスが現在のように高温になるメカニズムの解明につながりそうだ

宇宙に存在する全原子のうち約90%は、銀河と銀河の間を満たすガスとして存在している。現在の宇宙では、こうした銀河間ガスは摂氏10万度から1000万度以上もあり、「中高温銀河間物質(warm-hot intergalactic medium; WHIM)」と呼ばれている。ところが、銀河における星形成が最盛期であった100億年以上前、銀河間ガスのほとんどは1万度以下という比較的低い温度だったことがわかっている。

そんななかで、宇宙が30億歳だったころに当たる約110億光年彼方の宇宙に、WHIMに匹敵する高温の銀河間ガス領域が見つかった。

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(カブリIPMU)のChenze Dongさんたちの研究チームは、2022年にろくぶんぎ座の方向に発見された「COSTCO-I」と呼ばれる原始銀河団の紫外線スペクトルデータを調べた。COSTCO-Iの総質量は太陽の400兆倍以上で、大きさは数百万光年に及ぶ。これほどのサイズであれば、原始銀河団は水素で満たされているはずだ。そしてその水素が比較的低温の中性水素ガスであれば、波長121.6nmの紫外線をよく吸収するため、紫外線スペクトルでその吸収が検出できる。

しかし、COSTCO-Iの位置に、中性水素ガスによる吸収は検出されなかった。「中性水素の吸収は、原始銀河団を探す一般的な探査方法の一つで、COSTCO-Iの近くにある他の原始銀河団は、その吸収シグナルを示しています。そのため、COSTCO-Iで吸収シグナルが見えないことは驚きでした」(Dongさん)


原始銀河団「COSTCO-I」
中性水素ガスによる吸収の比較
原始銀河団「COSTCO-I」周囲で観測された中性水素ガスによる吸収(上)と、コンピューターシミュレーションから予想される中性水素ガスの吸収の比較。(赤)吸収が強い領域、(青)弱い領域、(緑・黄)中間の領域、(黒い点)これまでにCOSTCO-I周囲で銀河が検出された場所。COSTCO-Iの位置(星印)では、観測された中性水素ガスの吸収が、その時代の宇宙の平均値とあまり変わらないことがわかる(提供:Dong et al., 2023)

COSTCO-1の銀河間ガスは100万度以上だと考えられ、当時の宇宙に一般的に存在した銀河間ガスと比べてはるかに高温だ。「もし、現在の銀河間ガスが、沸騰し泡立つ巨大な宇宙シチューであると考えるなら、COSTCO-Iは、おそらく、シチューがまだ冷たかった過去の時代の最初の泡です」(カブリIPMU Khee-Gan Leeさん)。

「WHIMの性質と起源の解明は、天体物理学上の謎の一つです。遠方宇宙において、銀河間ガスが加熱され、WHIMへ変化しだした領域を垣間見ることができれば、低温の銀河間ガスから現在の宇宙のような沸騰した銀河間ガスへ変化するメカニズムを明らかにすることができるでしょう。銀河間ガスが沸騰するメカニズムにはいくつかの可能性がありますが、私たちは、重力崩壊の際にガスが互いに衝突して加熱されるか、原始銀河団内の超大質量ブラックホールの巨大な電波ジェットがエネルギーを送り込んでいるのではないかと考えています」(Leeさん)。

銀河間ガスは、銀河における星形成の材料を供給するガスの貯蔵庫だ。しかし、高温のガスと低温のガスでは、銀河へのガスの流入のしやすさが異なる。遠方宇宙におけるWHIMの成長を直接研究できれば、銀河の形成・進化を維持するガスのライフサイクルについて、首尾一貫した描像を得られるだろう


2023年3月22日
AstroArtsより

「暗黒ビッグバン」

Posted by moonrainbow on 22.2023 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
ビッグバンは「2回」あった? 暗黒物質を生み出した「暗黒ビッグバン」が提唱される

普通の物質
【▲ 図1: 宇宙における普通の物質、暗黒物質、暗黒エネルギーの割合。暗黒物質は普通の物質の4倍以上も存在する(Credit: 彩恵りり)】

この宇宙に銀河が存在している以上、その回転速度は重力で恒星を引き留められる限界の速度よりも低いはずです。ところが銀河の回転速度を実際に調べてみると、恒星の数をもとに見積もった銀河の質量から推定される重力では、恒星を引き留めるの不可能なほどの高速で回転していることがわかっています。この観測データは、光 (可視光線) などの電磁波では観測することができず、重力を介してのみ間接的に存在を知ることができる「暗黒物質 (ダークマター、Dark matter)」の存在を示唆しています。暗黒物質は電磁波で観測できる普通の物質の4倍以上もの量があると算出されているにもかかわらず、その正体は現在でも不明です

暗黒物質という名前は、この物質が光では観測することができない、言ってみれば “暗い・暗黒の (dark)” 存在であることに由来します。暗黒物質の正体を探るには様々な角度からのデータを分析する必要があります。その1つは、宇宙誕生後に暗黒物質が生じたタイミングです。暗黒物質誕生の経緯や条件を探ることで、その正体を絞り込むことができるでしょう。

しかしその前に、私たちが観測することのできる「普通の物質」がいつ誕生したのか、という話から説明しましょう。この宇宙では誕生直後、インフレーションと呼ばれる非常に急激な膨張の時代があったと推定されています。インフレーションも原動力の詳細はわかっていませんが、インフレーションの力の源となる特殊な「場」 (※1) が存在したと推定されています。この「場」はインフレーションの時代が終わると急激に崩壊し、大量のエネルギーを放出します。この現象は一般的に「ビッグバン」と呼ばれています。放出されたエネルギーの一部は素粒子の形となり、私たちが知る物質へ変化したと考えられています (※2) 。その後、宇宙は膨張によって冷え続け、宇宙の誕生から約20分後には素粒子同士が結合して原子核の素となる陽子や中性子が生成され、約38万年後には原子核と電子が結合して原子が生成されたと考えられています。

※1…「場」とは、簡単に言えば、重力が働く範囲は重力場、磁力が働く範囲は磁場というように、何らかの種類の力が働く範囲のことを指します。

※2…厳密には、物質同士の相互作用の源となる放射も同時に生成されています。

では、暗黒物質はいつ誕生したのでしょうか。従来は、暗黒物質も普通の物質とともにビッグバンの時に生成されたと考えられていました。これは、ビッグバンのタイミング以外に、場が崩壊して大量の物質が生成されるようなイベントが知られていないためです。しかしその場合、暗黒物質の性質とは矛盾する結果が出るという問題があります。それは、暗黒物質が普通の物質とは相互作用しないからです。

普通の物質を構成する原子同士は、電磁波による電磁相互作用を介してお互いに結びついています。その一方、暗黒物質が電磁波で観測できないのは、電磁相互作用を全く(あるいはほとんど)しないためであると考えられています。ところが、ビッグバンで暗黒物質が普通の物質と同時に生成されたのだとすれば、暗黒物質と普通の物質との間にもタイミングを合わせるための何らかの相互作用が働いたことが示唆されます (※3) 。このような性質は、現在推定されている暗黒物質の性質とは矛盾しています。

※3…暗黒物質の発見の経緯の通り、暗黒物質と普通の物質は重力で相互作用します。しかし、重力相互作用は同じ距離での電磁相互作用と比べて40桁も小さいとみられる極めて弱い力であり、これが何らかの役割を果たしたとは考えられていません。

それに、普通の物質の何倍もある暗黒物質が生み出されるには、ビッグバンが起きた時にそれだけ大量の物質が生成される必要があります。これは、現在理論的に理解されているビッグバンとは大きく矛盾するプロセスです。この矛盾は、暗黒物質の生成や正体を探る上で大きな謎となっていました


従来の熱い
【▲ 図2: 従来の熱いビッグバン宇宙論 (左) と、今回提唱された暗黒ビッグバン宇宙論 (右) 。熱いビッグバン宇宙論では、ビッグバンは熱いビッグバン (Hot Big Bang) の1回しか起こらず、普通の物質と暗黒物質は同時に生成したと考えられる。これに対して暗黒ビッグバン宇宙論では、熱いビッグバンの後に暗黒ビッグバン (Dark Big Bang) が発生し、この時に暗黒物質が生成したと考えられる(Credit: Freese&Winkler)】

テキサス大学オースティン校のKatherine Freese氏とMartin Wolfgang Winkler氏は、暗黒物質は普通の物質と共に誕生したのではなく、普通の物質とは別の “ビッグバン” で生成されたという仮説を提唱しました。暗黒物質と普通の物質がそれぞれ別のビッグバンで生成されたとすれば、相互作用に関する矛盾は解決します。Freese氏らは、この暗黒物質に関するビッグバンを「暗黒ビッグバン (Dark Big Bang)」と呼んでおり、区別するために従来のビッグバンを「熱いビッグバン (Hot Big Bang)」と呼んでいます (※4) 。

※4…熱いビッグバンの時に物質と同時に放射が性質されたように、暗黒ビッグバンでは暗黒物質同士の相互作用の源となる暗黒放射が生成されたと考えられます


もしもインフレーション後
【▲ 図3: もしもインフレーション後に場の崩壊が全て起こった場合、場のエネルギーは真の最低状態に落ち込む (ΔV) 。これに対し、局所的な最低状態 (Vb) に落ち込んだ場合には、1回目のビッグバン (熱いビッグバン) で全ての場が崩壊しきらず、2回目のビッグバンが起こる可能性が残る。この局所的な最低状態が暗黒ビッグバンの原動力になったと考えられている。2つのビッグバンの期間の長さは、2つの谷の間にまたがる山の大きさ (ΔΦ) によって決まる(Credit: Freese&Winkler)】

では、暗黒ビッグバンはなぜ起こったのでしょうか?従来のビッグバン (熱いビッグバン) に対する考え方では、インフレーションの終了後に場が全て崩壊したと考えられていました。これに対して今回の仮説では、場の一部が熱いビッグバンの後にも崩壊せずに残り、それが後の時代における暗黒ビッグバンの原動力になった、と考えています。

しかし、暗黒ビッグバンに相当する現象は観測されていません。もしも暗黒ビッグバンが実際にあったとした場合、それは観測事実に矛盾しないタイミングだったはずです。Freese氏らは、暗黒ビッグバンのタイミングは宇宙誕生から約1か月後だったと推定しています。これは、1秒未満で様々なイベントが進行した熱いビッグバンと比較すれば、永遠と言えるほど長い期間の後に発生したことになります。

仮に暗黒ビッグバンが本当に起きていたとしても、それは電磁波で観測が不可能な、宇宙誕生から38万年後よりも前の時代の出来事です。それでは暗黒ビッグバンは観測不可能なのかというと、そうではありません。確かに、電磁波で観測する従来の望遠鏡では、暗黒ビッグバンを知ることは不可能です。しかし、暗黒ビッグバンでは大量の暗黒物質が生成されたことによる影響で、強い重力波が発生したと考えられます。もしもその重力波を直接観測することができれば、それは暗黒ビッグバンの観測的な証拠になるかもしれません。

ただし、そのような重力波があるとしても、その信号強度は非常に弱いため、実際に観測できるのはずっと先の話になると考えられます。そこでFreese氏らは、代わりにパルサーの連星の観測を提案しています。パルサーは非常に正確な周期で信号を発していますが、重力波の影響によりパルサーが直接揺さぶられることで、この信号にズレが生じると考えられます。そのような現象の観測例が増えれば、暗黒ビッグバンの証拠が見つかるかもしれません。

暗黒ビッグバンがあったのかどうかが確定すれば、謎の多い暗黒物質の正体について様々な情報が得られるかもしれません。これからの観測が待たれます


Katherine Freese & Martin Wolfgang Winkler. “Dark Matter and Gravity Waves from a Dark Big Bang”. (arXiv)
Joseph Howlett. “New Dark Matter Theory Says a ‘Dark Big Bang’ Created the Hidden Universe”. (Gizmodo)

2023-03-17
Soraeより

131億光年以上遠方の大質量銀河

Posted by moonrainbow on 26.2023 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
大質量銀河か、6天体発見 131億光年以上遠方 国際チーム

大質量銀河か、6天体発見
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測データから発見された大質量銀河とみられる6個の天体。138億年前の宇宙誕生から5億~7億年しかたっていない時期の姿を捉えた(NASA、ESAなど提供)

 地球から131億光年以上離れた遠い宇宙に、質量が非常に大きな銀河とみられる天体を6個発見したと、オーストラリアのスウィンバーン工科大などの国際研究チームが22日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。これらは138億年前の宇宙誕生から5億~7億年しかたっていない時期の天体で、予想外の大きさだという

 米欧などが2021年に打ち上げた高性能なジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の公開観測データから探し出した。今後の詳細な観測で銀河と確認されれば、宇宙誕生から間もない時期に銀河が大きく急成長していたことになる。研究チームは銀河形成の理論の見直しにつながると指摘している。

 これら6個の銀河候補は、含まれる星の質量が太陽の100億倍以上あると推定された。うち1個は1000億倍に達する可能性があり、地球が属す天の川銀河(銀河系)に匹敵する


2023年2月23日
時事通信より

最も遠い銀河「GLASS-z12(GHZ2)」

Posted by moonrainbow on 07.2023 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
天文学史上もっとも遠い銀河が発見される。宇宙最初期の銀河

もっとも遠い銀河

最も遠い銀河を発見
 
その銀河の光は136億年かけて地球までやってきた。最果ての銀河「GLASS-z12(GHZ2)」は、これまで発見された銀河の中で最遠かつ最古のものだ。

 チリのアルマ望遠鏡でこの銀河を調べたところ、その光がビッグバンからわずか3億6700万年後のものであることがわかったという。

 まだ宇宙最初の光が灯っており、まさに宇宙全体へ広がろうとしていた時期のことだ。

 これによってジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測が裏付けられた。これは宇宙黎明期にあった元素の起源を知る重要なヒントになるそうだ


天文学史上最も遠い、宇宙最初期の銀河
 
最果ての銀河「GLASS-z12(GHZ2)」は、昨年7月に稼働から間もないジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)によって発見された。

 遠方から届く光は、電磁波の波長がドップラー効果により長くなり、宇宙の膨張の影響で、波長が赤へ偏って見える。これを「赤方偏移」という。

 これをヒントにGLASS-z12の距離を推測すると、ビッグバンからほんの3億5000万年しか経っていない、宇宙黎明期の銀河だろうと考えられた。

 だが、赤方偏移だけでは銀河の年齢の決定的証拠にはならない。それが本当に正しいのか確信するには、「スペクトル線」というもっと直接的な証拠が欲しい。

 そこで、名古屋大学のトム・バックス氏や国立天文台のジョージ・ザバラ氏らは、チリにあるアルマ望遠鏡でGLASS-z12を観測してみることにした


もっとも遠い銀河1

アルマ望遠鏡が検出したスペクトルを分析した結果、GLASS-z12はビッグバンからほんの3億6700万年後に誕生しただろうことがわかった/NASA/ESA/CSA/T. Treu, UCLA/NAOJ/T. Bakx, Nagoya U
酸素の特有のスペクトル線で銀河の距離を算出
 研究チームが探したのは酸素のスペクトル線だ。

 酸素に光が進入すると特定の波長を放出し、酸素特有の明るい線を残す。これが銀河の距離を知る決定的な手がかりなのだ。

 また酸素は比較的短時間で作られるので、初期宇宙の銀河を知る手がかりとしてよく使われるものだ。

 そしてアルマ望遠鏡の観測では、確かにGLASS-z12の近くで酸素のスペクトル線が見つかった。その分析によると、GLASS-z12が誕生したのはビッグバンからほんの3億6700万年後のことだと考えられるという。

 奇妙なことに、アルマ望遠鏡がとらえた酸素の痕跡と、JWSTがとらえたものは、わずかに位置がズレていたそうだ。

 バックス氏によると、このズレのために当初アルマ望遠鏡の観測結果の正しさが疑われたが、詳しく検証したところ、それが確かなものであることがわかったとのことだ

 位置がズレている原因は、激しい爆発などによって、銀河から大量のガスが吹き飛ばされたからではと考えられている


もっとも遠い銀河2

宇宙黎明期の星の進化を知るヒント

 もう1つ明らかになったのは、この銀河では水素やヘリウムよりも重い元素が比較的早く作られていたただろうことだ。

 まだ星が誕生していないごく最初の宇宙は、ほとんどが水素と少量のヘリウムでできていた。だがやがて星が形成されると、高温・高密度の核で原子がぶつかり合い、もっと重たい元素が作られた。

 ただしそうした元素は星に閉じ込められており、宇宙に広まるようになったのは、星が寿命を終え、超新星爆発を起こしてからのことだと考えられている。

 ところが、誕生間もない宇宙にすでに酸素があったのだ。この事実は、宇宙に初めて星が誕生した時期や、その後の進化について知る新しいヒントになることだろう。

 今回、JWSTが見つけた宇宙で一番遠く古い銀河の存在が、アルマ望遠鏡によって裏付けられた。

 研究チームによれば、2つの望遠鏡を組み合わせることで、誕生まもない宇宙にもっと近づけるだろうとのことだ。

 この研究は学術誌『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』(2022年12月23日付)に掲載された


2023年01月30日
カラパイアより
 

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