銀河「A2744_YD4」

Posted by moonrainbow on 16.2017 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
132億光年彼方の銀河「A2744_YD4」に酸素と塵を検出

ハッブル宇宙望遠鏡で観測された銀河団エイベル2744
銀河A2744_YD4.。ハッブル宇宙望遠鏡で観測された銀河団エイベル2744。画像中左上に銀河A2744_YD4の位置と拡大図を示す。(赤)アルマ望遠鏡によって観測された塵からの電波(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), NASA, ESA, ESO and D. Coe (STScI)/J. Merten (Heidelberg/Bologna))

アルマ望遠鏡の観測により、132億光年彼方の銀河「A2744_YD4」で、酸素と塵が放つ電波が検出されました。酸素と塵が発見された銀河の最遠方記録を約1億光年更新する成果であり、宇宙で最初の星が誕生していた時代に迫る成果です

宇宙で最初の星や銀河は、138億年前のビッグバンから数億年後に誕生したと考えられています。ビッグバン直後の宇宙には、水素とヘリウム、ごく微量のリチウムだけが存在しており、星内部の元素合成によって炭素や酸素、鉄などの重い元素が作られていきました

こうした重元素が、宇宙の歴史のいつごろからどのようなペースで銀河に蓄積されてきたのかを調べることで、宇宙最初期の星の誕生史と銀河の進化のようすを理解することが可能となり、ひいては私たちのルーツを探ることにもつながります

英・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのNicolas Laporteさんたちの研究チームは、ちょうこくしつ座の銀河「A2744_YD4」をアルマ望遠鏡で観測しました。この銀河は銀河団「エイベル2744」の方向にあり、銀河団の重力レンズ効果によって増光されているおかげで銀河の光や電波を詳しく分析するのに適しています

観測の結果、銀河中の塵と酸素が発する電波が検出されました。さらに、酸素が発する電波を詳細に分析し、A2744_YD4までの距離が132億光年であることを突き止めました。ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡「VLT」による追加観測でも距離が確認され、この銀河が確かに132億光年先に存在していることがわかったのです。この距離は、塵や酸素が検出された銀河としては従来の記録を1億光年更新する最遠方記録となります

観測された塵からの電波をもとに計算すると、A2744_YD4に含まれる塵の総質量が太陽の600万倍、星の総質量が太陽の20億倍となります。さらに、1年間で太陽20個分に相当するガスが星になっていることもわかりました。A2744_YD4における星の誕生が天の川銀河と比べておよそ10倍活発であることを示しています

塵は、星の内部で作られた元素が星の死によってばら撒かれる過程で作られる。このため、星の誕生のペース(すなわち、星の死によって塵が作られるペース)と観測された塵の総量とを比較すれば、塵が蓄積するのに必要な時間を求めることができます。観測結果によれば、A2744_YD4ではその時間は約2億年と計算されました。つまり、現在から134億年前に活発な星形成活動が始まったということを示しています。宇宙全体の歴史から見れば2億年というのはわずかな時間であるため、今回の成果は宇宙で最初の星や銀河の「スイッチが入った」時期に迫る大きな手がかりといえます

「銀河A2744_YD4は、単にアルマ望遠鏡で観測された最も遠い天体、ということにとどまりません。非常に大量の塵を検出できたことは、星の死によってまきちらされた塵による「汚染」がこの銀河の中ではすでに進んでいることを示しているのです。同様の観測を進めることで、宇宙初期の星の誕生をたどり、銀河における重元素増加の開始時期をさらに昔までさかのぼることができるでしょう」(Laporteさん)

2017年3月9日
Astro Artsより

宇宙創生のシナリオ

Posted by moonrainbow on 25.2017 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
さらに謎が深まった宇宙リチウム問題

宇宙における反応と今回測定した逆反応の説明図
宇宙における反応と今回測定した逆反応の説明図(提供:京都大学)

ビッグバンによる元素合成で起こる反応の一つについて確率が測定され、従来の推定値よりもずっと小さいことが明らかになりました。「宇宙リチウム問題」解決策の見直しが必要とされます

宇宙は約138億年前に起こった「ビッグバン」で誕生したと考えられています。宇宙開闢の約10秒後から20分後にかけて「ビッグバン元素合成」が起こり、水素、ヘリウム、リチウムなどの軽い元素が生成されました。こうした宇宙初期における軽元素の生成量について、観測による推定値とビッグバン元素合成の計算による予測値を比較することは、宇宙創生のシナリオを明らかにするうえで極めて重要な知見をもたらします

水素とヘリウムの同位体については、生成量の観測推定値と理論予測値がよく一致しています。しかし、リチウム同位体の一つであるリチウム7(7Li)については、観測推定値が理論予測値の約3分の1しかないという重大な不一致が知られています。この不一致は「宇宙リチウム問題」と呼ばれ、ビッグバン理論に残された深刻な問題として世界中の研究者の関心を集めています

7Liはベリリウム7(7Be)が崩壊して生成されたと考えられており、この7Beの生成量そのものを小さくしたり、7Beから7Li以外へ変わる反応を大きくしたりして、結果的に7Liの生成量を小さくする説明が試みられてきました。後者については、7Be+n→4He+4He反応(ベリリウム7と中性子から2個のヘリウム4ができる反応)が高い確率で起こるという仮説が考えられてきましたが、7Beと中性子が短寿命の不安定核であるため、その確率の測定は容易ではなかったのです

京都大学の川畑貴裕さんたちの研究グループは、逆反応である4He+4He→7Be+n反応の断面積(反応を起こす確率を表す量)を測定するという手法を用いて、7Be+n→4He+4He反応の断面積を決定することに成功しました。そして、この断面積が、これまでビッグバン元素合成の理論計算に広く用いられていた推定値より約10倍も小さい値であることを示したのです

今回の結果から、7Liの観測推定値が小さいことに対する説明として、宇宙初期における「中性子が7Beに衝突し2つの4Heに分解する反応」の寄与は非常に小さいことが明らかになりました。「宇宙リチウム問題」の有力な解決策が否定され、ビッグバン元素合成の謎はさらに深まってしまったのです

「学部生の卒業研究として実施したこの研究が、世界的に注目を集める成果として結実したことを嬉しく思います。残念ながら『宇宙リチウム問題』を解決するには至りませんでしたが、原子核反応率の見直しや標準ビッグバン模型を超える新しい物理の探索など、宇宙リチウム問題へのさらなる研究を動機づけることになると思います」(川畑さん).

2017年2月15日
Astro Artsより

126億光年彼方の宇宙

Posted by moonrainbow on 18.2016 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
126億光年彼方の宇宙で成長中の小さな銀河

126億光年彼方の宇宙
54個の銀河のうち、2個の小さな銀河が衝突しているように見える例(提供:愛媛大学、以下同).

126億光年彼方の宇宙にある若い銀河の形を詳細に観測し、コンピュータシミュレーションの結果と合わせて調べたところ、1個に見える銀河のいくつかは実際には2個以上の小さな銀河の集まりと考えても説明できることが明らかになりました。初期宇宙で小さな銀河が衝突して星を活発に形成し、大きな銀河へと育っていく途上を見ているものと思われます

誕生から138億年が経過した現在の宇宙には、天の川銀河のような巨大銀河がたくさん存在しています。しかし、宇宙誕生直後からこのような巨大銀河があったわけではないのです。銀河の種(冷たいガス雲)ができたのは宇宙年齢が2億歳から3億歳の頃で、大きさは現在の銀河の100分の1程度、質量は100万分の1程度でした。その中で、宇宙の「一番星」が生まれた時が銀河の誕生です。その後、小さな銀河の種は周囲にあった同様の種と合体し成長してきたと考えられていますが、これまで銀河の成長の様子を詳しく見ることはできていなかったのです

愛媛大学などの研究者からなるチームは、すばる望遠鏡の主焦点カメラSuprime-Camを使って126億光年彼方の銀河を多数発見し、その形をハッブル宇宙望遠鏡(HST)で詳細に調べました。すると、54個の銀河のうち8個は、2個の小さな銀河が衝突しているように見えることがわかりました

さらに、残る46個の若い銀河には少し細長い形をしているものが多いことに気づき、これらはHSTでも分解できないほど小さい2個の銀河同士が近づいているものではないかと考えてコンピュータシミュレーションを行いました。すると、シミュレーションの結果と観測結果が見事に一致しました。この結果は、2個の小さな銀河が近づいていたために1個の銀河に見えていたという解釈を支持するものです。また、1個に見えるものは銀河同士の距離が近いため、銀河衝突の影響で星形成が活発である可能性が高いはずと予測されますが、これも観測から予測どおりであることが明らかになったのです

126億光年彼方の宇宙1
1個の細長い銀河に見える例

これまでにも若い銀河の形はHSTで調べられてきましたが、1個に写っているものは1個の銀河であると断定して解析が進められてきました。しかし今回の研究から、HSTでも分解できないくらい小さな2個以上の銀河が衝突しつつある姿が見えてきたのです。既存の世界最高レベルの望遠鏡をもってしても到達できない観測分野については、口径30m望遠鏡(TMT)やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による新たな深宇宙探査が待たれるところです

2016年3月10日
Astro Artsより

銀河「GN-z11」

Posted by moonrainbow on 06.2016 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
「過去最も遠くて古い銀河」をハッブル望遠鏡が発見

過去最も遠くて古い銀河

今も膨張を続ける宇宙。その宇宙の果てには、宇宙が生まれたばかりの頃にできた星や銀河が存在しています。そしてその宇宙の果てを見つめるNASAハッブル宇宙望遠鏡が、これまでで最も遠く、最も古い銀河を発見しました
 
この「GN-z11」と名付けられた銀河は、地球から134億光年も遠い場所に存在します。場所は北斗七星を含む、おおぐま座の方角です。宇宙がビッグバンによってできたのが約138億年前ですから、この銀河はビッグバンから4億年後に誕生したことになります
 
今回の発見を行ったのは、イェール大学で天文学を研究しているPascal Oesch氏のチーム。Oesch氏はハッブルの分光写真機を利用している際に、偶然に通常の銀河の約20倍もの早さで星を生成している銀河を発見しました。そして銀河の光の波長を分析した結果、GN-z11が134億光年もの遠くに存在していることを発見しました
 
なお、過去に発見された最も古い銀河は132億光年の場所で発見されました。同じくイェール大学のPieter van Dokkum氏は、「この記録はジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の運用開始まで破られることはないだろう」と語っています
 
このジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は赤外線を観測することで、ビッグバンなど宇宙の始まりを解き明かすことが期待されています。同宇宙望遠鏡の打ち上げ時期は2018年。今回の発見も素晴らしいですが、今後もますます宇宙の果てが解き明かされてゆくことでしょう
 
Image Credit: NASA/ESA

Hubble Team Breaks Cosmic Distance Record



2016/03/04
Soraeより

宇宙で一番最初に誕生した重元素?

Posted by moonrainbow on 17.2016 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
遠方のガス雲に見えたかもしれない第一世代の星の痕跡(RAS

宇宙で最初に誕生した星のシミュレーションのスナップショット
宇宙で最初に誕生した星のシミュレーションのスナップショット。どのようにしてガス雲が重元素で満たされたのかを再現している(提供:Britton Smith, John Wise, Brian O'Shea, Michael Norman, and Sadegh Khochfar) .

重元素の割合が非常に小さいガス雲が遠方宇宙に見つかりました。宇宙で一番最初に誕生した第一世代の星の内部で作られた重元素の痕跡をとらえたものかもしれません

ヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)による観測から、宇宙で一番最初に誕生した星の痕跡を含むと思われる古いガス雲が発見されました。ガス雲はビッグバンから約18億年しか経っていない遠方宇宙にあり、重元素(炭素や酸素、鉄など)の割合が太陽の1000分の1以下と非常に小さいのです

「重元素はビッグバンでは作られず、その後に誕生した星の内部で作られます。反対に、宇宙で一番最初の星は重元素を含まない新鮮なガスから作られたもので、現在私たちの近傍の宇宙に見られる星(重元素を含むガスから誕生した星)とは性質が大きく異なります」(豪・スインバーン工科大学 Neil Crightonさん)。

第一世代の星(種族IIIの星とも呼ばれる)は誕生してすぐに超新星爆発を起こし、重元素を周囲にばらまきました。周囲のガスには第一世代の星の痕跡が残ることになりますが、その中の重元素の割合は大きくないはずです。これまでに見つかってきたガス雲の重元素率は高く、第一世代より後に作られた星からの元素が含まれていたのでしょう。「今回発見したガス雲は、第一世代の星に由来する重元素だけを含むと考えた場合に想定される極めて低い重元素率を示した、初の例なのです」(豪・スインバーン工科大学 Michael Murphyさん)。

「今回発見したガス雲では、炭素とケイ素の割合を計測できました。しかし、その数値は決定的なものとは言えず、後の世代の星による可能性も残っています。もっと多くの元素を検出できる、新たなガス雲を発見する必要があります。それらを調べることによって初めて、宇宙で最初に誕生した星による独特のパターンを検証することができるでしょう」(米・セント・マイケルズ大学 John O'Mearaさん)。

2016年1月13日
Astro Artsより
 

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