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宇宙誕生5億~7億年後に急増した銀河の酸素

Posted by moonrainbow on 15.2023 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
宇宙誕生5億~7億年後に急増 銀河の酸素、星形成解明の手掛かり 国立天文台と東大

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ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が近赤外線で観測した133億~131億光年先の銀河(NASA、ESA、CSA、中島王彦氏ら提供)

 宇宙誕生から5億~7億年後に銀河の星間ガスに含まれる酸素が急増したことがジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測データで分かったと、国立天文台と東京大の研究チームが10日までに発表した。宇宙が約138億年前に誕生した際は水素とヘリウム、微量のリチウムしかなく、恒星が形成されて内部で核融合が起きることにより、炭素や窒素、酸素など、鉄までの重い元素ができたと考えられている

 こうした元素は恒星が寿命を迎えて超新星爆発などを起こすと、星間に放出される。水が存在する岩石質の惑星が形成されるのに必要で、宇宙で最初の生命がいつごろ誕生したのかを探る上でも重要な観測だという。

 東大宇宙線研究所の大内正己教授は「酸素の急増がこんなに早い時代だったのは驚いた。炭素や窒素など、他の元素も調べれば、どの程度の質量の星がどれぐらいあったか分かる」と話した。

 宇宙が膨張を続けているため、水素や酸素が放つ光は非常に遠い距離を長年かけて地球付近に届く頃には、波長が長くなって近赤外線になる。これまでは観測技術の限界により、宇宙誕生から20億年近く経過した約120億光年先の銀河までしか観測できず、その頃は既に酸素が豊富にあった。

 大内教授や国立天文台の中島王彦特任助教らは、2021年末に打ち上げられた高性能なJWSTが133億光年先までの銀河を近赤外線で観測したデータを解析。その結果、宇宙誕生から5億~7億年後に当たる133億~131億光年先の銀河6個では酸素が水素に比べて異常に少ないことを発見し、この時期に酸素が急増したと結論付けた


2023年11月10日
時事通信より

120億年前の初期宇宙で衝突合体中の赤ちゃん銀河

Posted by moonrainbow on 06.2023 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
120億年前の初期宇宙で衝突合体中の赤ちゃん銀河

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発見された「赤ちゃん銀河」のペア。手前の銀河団の重力レンズ効果により、ペアが二重像として観測されている。また、重力レンズ効果で本来の15倍も明るく見えている(提供:Marcin Sawicki, Yoshihisa Asada,and the CANUCS collaboration)

120億年前の初期宇宙で2つの赤ちゃん銀河が衝突合体する様子が、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって観測された

誕生してから間もない、現在から見ればはるか昔の宇宙には、作られたばかりの銀河が多数存在したと考えられる。こうした「赤ちゃん銀河」は遠くて暗いため観測が困難であり、銀河が初期宇宙でどのように成長進化を遂げたのかはよくわかっていない。

大規模国際観測プロジェクト「CAnadian NIRISS Unbiased Cluster Survey」(CANUCS)では、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)と重力レンズ効果を組み合わせた観測により赤ちゃん銀河の様子を調べて、銀河の宇宙論的進化の様子を明らかにしようとしている。初期宇宙の天体からの光は宇宙膨張に伴う赤方偏移によって波長が伸びるため、発せられた可視光線は赤外線として観測される。JWSTはこの赤外線での観測に高い能力を発揮し、優れた解像度や感度で銀河をとらえることが可能だ。さらに、遠方天体からの光が、地球から見てその手前に存在する銀河や銀河団の重力によって本来よりも明るく観測される「重力レンズ効果」を利用すると、いっそう詳しく銀河の様子を調べることができるのだ。

京都大学の浅田喜久さんたちはCANUCSプロジェクトの観測で、エリダヌス座方向に広がる銀河団「MACS J0417.5-1154」の背後の領域を調査し、およそ120億年前(宇宙誕生から約10億年未満)の時代に存在する2つの銀河が衝突している様子を発見した。どちらの銀河も天の川銀河の1万分の1以下という超低質量で、形成されて間もない天体と考えられている。

また、2つの赤ちゃん銀河では活発な星形成が進んでいることも明らかになった。銀河衝突によって星形成活動が誘発されているとみられる。研究チームでは、これらの銀河の進化の大部分が衝突で進むと予想しており、両銀河が合体して1つになると星質量が元の銀河の4倍以上になると推測している。

「銀河同士の衝突とそれに伴う活発な星形成活動が、銀河進化の初期段階において重要な成長メカニズムである可能性が観測から示唆されました。このような遠方にある超低質量銀河の進化の解明はJWSTが目指す一大科学目標の一つであり、今回の成果は今後のJWSTによる観測的研究の先駆けとなります」(浅田さん)


2023年10月5日
AstroArtsより

銀河「MACS0416_Y1」

Posted by moonrainbow on 26.2023 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
132億年前の銀河の暗黒星雲と巨大空洞

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銀河「MACS0416_Y1」。(赤)塵が発する電波で、暗黒星雲に相当。(緑)酸素が発する電波で、散光星雲に相当。(青)ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた恒星の分布。(左)3つのデータを重ねた姿、(右)暗黒星雲のみの分布。画像の一辺はおよそ1万5000光年(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Y. Tamura et al., NASA/ESA Hubble Space Telescope)

ビッグバンからわずか6億年後の宇宙に存在した銀河で、暗黒星雲と散光星雲の分布がとらえられた。巨大な星団が誕生し、相次ぐ超新星爆発で巨大な空洞が形成されている可能性がある

エリダヌス座の方向約132億光年の距離にある銀河「MACS0416_Y1」からは、大量の塵や酸素の存在を示す電波が検出されている。塵も酸素も、恒星内部の核融合反応で作られ恒星の死に伴いまき散らされたと考えられる。それらが138億年前のビッグバンからわずか6億年程度の宇宙で見つかったのは驚くべきことだった。

ただし、過去の観測では塵と酸素の分布が正確にわかっていなかった。塵は星の材料となる暗黒星雲の位置を示し、酸素からの電波は散光星雲、すなわち生まれた星が周囲のガスを輝かせている領域を示す。それぞれの分布を調べれば、MACS0416_Y1で星がどのように生まれているかを知る手がかりとなるはずだ。

MACS0416_Y1の塵と酸素を発見した名古屋大学の田村陽一さんたちの研究チームは、その際の観測に用いたアルマ望遠鏡の性能をさらに引き出し、同銀河をより詳しく調べようと試みた。アルマ望遠鏡のアンテナを直径3.4kmの望遠鏡に相当する解像度が得られるように配置し、28時間に及ぶ長時間の観測を行うことで、遠方銀河の観測としてはこれまでよりはるかに高い解像度と感度を実現している


得られた画像からは、塵と酸素、つまり暗黒星雲と散光星雲が、お互いを避けるように入り組んで分布していることがわかる。これは、暗黒星雲の内部で誕生した星々が、周りのガスを輝かせて散光星雲に変えている様子を見ているのだと考えられる。また、ガスは時速20万kmにも達する乱気流となっていて、巨大な星団の誕生を促している可能性がある。

塵の分布だけに注目すると、中央に直径およそ1000光年にも及ぶ巨大な空洞が存在する。他の銀河では、相次ぐ超新星爆発による衝撃で「スーパーバブル」と呼ばれる巨大な空洞が形成されている例が知られているが、MACS0416_Y1で見つかったのも、巨大な星団の中で短命な星が次々と超新星爆発を起こしたことで生まれたスーパーバブルかもしれない。

「今回の観測性能は、東京から見た富士山の山頂にいる、3cm離れた2匹のホタルの放つ光のさらに50分の1という非常に弱い光をとらえ、かつその2匹のホタルを区別できるほどの高い感度と解像度に対応します。本研究の成果は、アルマ望遠鏡の究極の性能を引き出すことで、宇宙早期の銀河の成り立ちや星々の生死、そして宇宙の物質循環の理解につながった意義深いものです」(筑波大学 橋本拓也さん)


2023年7月20日
AstroArtsより

ビッグバン直後、時間は現在より「5倍」遅く流れていた

Posted by moonrainbow on 16.2023 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
ビッグバン直後、時間は現在より「5倍」遅く流れていた

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Getty Images

宇宙誕生から10億年間、時間は今より5倍遅く流れていたとNature Astronomyに7月3日に掲載された最新研究で明らかになった

アインシュタインの一般相対性理論の重要な予測が正しいことを証明するこの発見は、天文学者が宇宙の彼方を観察するとき、彼らは宇宙が「若かった頃を見ている」だけではなかったことを示した。見ていたのは「スローモーションで動く」宇宙だった。

138億年前にビッグバンによって誕生したと考えられているこの宇宙は、それ以来、膨張を続けている。しかし、膨張スピードは一定ではない。年を経るにつれ、時間の流れが速くなっていると、研究は述べている


■宇宙における時間の遅れ

宇宙におけるこの時間の遅れは、190個のクエーサーの研究から導かれた。クエーサーとは、非常に明るい超大質量ブラックホールで、はるか彼方、つまり古代宇宙の銀河の中心にある。

クエーサーは、宇宙が現在の10分の1の年齢のときからの時間の経過を計る時計として用いられてきた。ブレークスルーは、異なる波長の光を使ってクエーサーを研究することで、その「刻み」を標準化できたことだ。

「もしあなたがこの幼い宇宙にいたなら、1秒は1秒のように感じるでしょう【略】しかし、120億年以上未来にいる私たちの立場からは、当時の時間はノロノロに見えます」と、主著者でシドニー大学物理学部およびシドニー天文学研究所教授のGeraint Lewisはいう


■膨張する宇宙

「アインシュタインのおかげで、私たちは時間と空間が絡み合っていること、そしてビッグバン以降、宇宙が膨張し続けていることを知っています」と彼は付け加えた。「この宇宙の膨張が意味しているのは、私たちが観測する初期の宇宙は、現代よりはるかに遅く時間が流れているように見えるはずだということです」

これまで天文学者は超新星を時計として使うことで時間の遅れを測定してきたが、それでできるのは宇宙年齢の半分まで遡った時代の時間の遅れを証明することだけだった。宇宙の初期に存在した超新星を見ることは困難だからだ。

「超新星が一閃の光のように振る舞って観測が容易なのに対して、クエーサーはもっと複雑で、進行中の花火大会のようです」とLewisはいう。「私たちがやったのは、この花火大会を解明し、クエーサーが初期宇宙の時間を測定する基準に使えることを示したことです」


2023年7月10日
Forbes JAPAN

原始星系「HH(ハービッグ・ハロー)211」

Posted by moonrainbow on 15.2023 宇宙の誕生   0 comments   0 trackback
生まれたての星をくるむ、3枚重ねのパンケーキ状構

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HH 211系の円盤。原始星の位置は赤で示されている。(a)アルマの撮影データから得られた円盤のマップ。右上は同スケールの天王星軌道。(b)ハイパスフィルターを適用して3本の線状構造を強調。(c)観測結果を再現した、3層構造の円盤モデル。青いほど温度が低く、赤いほど高い。(d)真上から見た円盤モデル。渦状構造が見える(提供:Lee et al.)

生まれて間もない原始星系の円盤をアルマ望遠鏡で観測した結果、3層からなるパンケーキのような構造や、円盤から中心星へ物質を供給する役割を果たす渦巻構造の腕らしきものが見つかった

星の材料となるガスが収縮して原始星が誕生するとき、周りに集まった物質は円盤を形成する。この円盤は、原始星に物質を供給して成長を促進するとともに、やがて原始惑星系円盤へ進化し、惑星形成の現場となると考えられる。

ペルセウス座の方向約1000光年の距離に位置する原始星系「HH(ハービッグ・ハロー)211」は、誕生してから3万5000年ほどしか経っていないと推定される。台湾中央研究院天文及天文物理研究所の李景輝さんたちの研究チームは、解像度・感度ともに非常に高いアルマ望遠鏡を用いて、その円盤に含まれる塵が放出する電波を観測した。

HH 211の円盤は、地球から見てちょうど真横を向いている。円盤の半径は太陽~天王星間の距離(約30億km)ほどしかなく、とても小さい。一方で円盤の厚みはかなりのもので、まだ十分な塵が赤道面に沈殿していないことがわかる。惑星の形成が始まるには、塵が円盤面に集まって厚みは薄く、密度は高くなることが不可欠だ。

興味深いのは、横から見た円盤に3本の明るい線状構造が見えることだ。円盤は3層に重ねられたパンケーキのような構造となっているとみられる。とくに真ん中の層は円盤の回転軸に対して非対称な形をしていることから、渦巻構造が形成されていることが示唆される。渦巻構造の腕は、より進化した原始星の円盤でも観測例があり、円盤の物質が中心星へ落下する過程に関わっていると考えられる。

「まだ進化の最初の段階にあるHH 211の円盤をとらえ、円盤を構成する塵の広がりを詳しく調べることができてたいへんワクワクします。今回の観測の結果から、生まれて間もない原始星周辺の円盤の姿を明らかにできました。今回とらえられた円盤の赤道面部分の渦巻構造の腕は、円盤物質が中心の星に落ち込み、中心星が進化して行くプロセスにおいてとても重要な意味を持つものと考えます。渦巻構造の腕が形成され、円盤物質が内側の中心星へ持ち込まれることが今まで他の研究から予測されていたからです。観測された渦は塊状になっているように見受けられますので、ここから惑星の形成が始まる可能性もあります」(李さん)。


2023年7月10日
AstroArtsより

 

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