赤色巨星「ケプラー56」

Posted by moonrainbow on 30.2013 赤色巨星   0 comments   0 trackback
赤色巨星「ケプラー56」でホットジュピターでなくても、傾いた軌道を持つ系外惑星

約3000光年彼方の赤色巨星「ケプラー56」の周囲にある惑星が、中心星の赤道面に対して45度も傾いた軌道を回っていることがわかりました。ホットジュピター(中心星のそばの巨大ガス惑星)のない惑星系では貴重な発見です

中心星ケプラー56と周囲の惑星軌道
中心星ケプラー56と周囲の惑星軌道。(提供:NASA GSFC/Ames/D Huber)

NASAが、はくちょう座の方向約3000光年彼方の赤色巨星「ケプラー56」の赤道面に対して周囲の2つの惑星の公転面が45度も傾いていることを発見しました

研究チームでは、NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」のデータから、中心星表面の複数箇所における明るさの変動を分析し、地球からの観測方向に対してその自転軸が45度も傾いていることをつきとめました。2つの惑星は、地球から見て手前を通過(トランジット)しながら公転しています。つまり、これらの惑星の公転面は中心星の自転軸に対して45度傾いているということになります

惑星は中心星をとりまく塵やガスの円盤の中から生まれるので、中心星の赤道面と惑星の公転面は揃っているのが自然です。この太陽系でも、惑星は太陽の赤道から7度以内の範囲を公転しています

ではなぜ、ケプラー56の惑星の軌道は傾いているのか。コンピュータシミュレーションから、中心星からはるか遠くを周回する、木星の3倍以上の重さを持つ巨大惑星の重力の影響と考えられます。この第3の惑星はケック天文台の観測で実際に見つかっています

こうした傾いた軌道が、ホットジュピター(つぶれた楕円軌道を持ち、極端に中心星の近くを回る巨大ガス惑星)以外の系外惑星で見られるのは初めてのことです

ホットジュピターはしばしば中心星の赤道面から傾いた軌道を持っています。ほかの天体との“重力の押し合いへし合い”で形成されたなどの説がありますが、確かなことは不明のままです。傾いた軌道がホットジュピターだけではないことを示した今回の成果は、これらの謎を精査する重要な一歩となるかもしれません

2013年10月24日
Astro Artsより

赤色巨星からの噴出現象

Posted by moonrainbow on 16.2012 赤色巨星   0 comments   0 trackback
赤色巨星からの謎の赤外線現象を発見

JAXA宇宙科学研究所の研究者が、通常では説明できない不思議な性質を持つ赤外線源を発見しました。赤色巨星からの突発的なガスや塵の噴出現象と見られています。およそ50億年後には太陽にも同様のことが起きるかもしれません

発見された赤外線源
画像左上のオレンジ色の光が今回見つかった赤外線源です。1983年の赤外線データを表す青色が天体の箇所にないことから、1983年以降に明るくなったものであることがうかがえられます。(提供:NASA/JPL-Caltech)

JAXAは、NASAの赤外線天文衛星「WISE」が2010年に観測したデータから、一つの奇妙な赤外線源を見つけました。

「WISE J180956.27-330500.2」と名付けられたこの天体を、異なる時期に異なる波長で観測を行った複数の赤外線データで追うと、1997年~2001年の観測(赤外線天体リスト「2MASS」)では短い波長の赤外線を強く放ち、2010年の「WISE」の観測では短い波長で暗く長い波長で明るくなっていることがわかったのです。その他「IRAS」(1983年観測)や「あかり」(2006年~2007年観測)のデータと合わせると、どうやらこの天体は、1983年から2000年前後までの間に赤外線で急激に明るくなり、その後ゆっくりと暗くなっていること、しかも単に暗くなるだけでなく、温度が下がっているらしいことがうかがえます(注)

この現象に関して、研究グループの立てた仮説は次のようなものです。今からおよそ15年前の1990年代終盤に、この星から大量の塵とガスが宇宙空間に放出されました。放出された直後の塵はまだ暖かく、2MASSでも観測された短い波長の赤外線で輝いていました。やがて塵が星から遠ざかるにつれ温度が下がり、WISEなどで観測された長い波長の赤外線を放つように変わってきたのです

放出された塵の量はおよそ地球1つ分で、さらにその100倍以上のガスも同時に放出されたと考えられます

太陽と同じぐらいの質量の星は、その一生の最終段階で膨張して「赤色巨星」となります。このとき星の内部では、炭素と酸素からなる核の周りをヘリウムと水素の層が取り巻いています。水素の核融合で作られ徐々にたまったヘリウムが、数万年に一回、瞬間的に燃えることがあるという理論的な予測があります。この激しいヘリウムの燃焼のエネルギーによって、大量のガスや塵が短期間に星から宇宙空間に放出されるというのです

過去にこのような「突発的質量放出」が起きた証拠がいくつか知られており、「あかり」による詳細な研究が進められています。しかし、実際の噴出直後の様子を十0数年の間にわたってリアルタイムでとらえることができた例は今回が初めてとなります。

年老いた星からのガスや塵の放出は、次世代の星や惑星、ひいては生命を作る材料を供給する、宇宙の営みの重要な一過程です。この天体の素性についてさらに研究が行われ、われわれの太陽の行く末についてもより詳しい予測が出来るようになるかもしれません。


:「赤外線の波長と物質の温度」 低温の物体ほど波長の長い電磁波を放射します。

2012年4月27日
Astro Artsより

赤色巨星の塵

Posted by moonrainbow on 20.2011 赤色巨星   2 comments   0 trackback
「あかり」が赤色巨星の塵の詳細観測に成功

日本の赤外線天文衛星「あかり」が、赤色巨星が塵を放出する過程を詳細に観測することに成功しました
宇宙空間にどのように元素が放出されているかを知る重要な手がかりとなります。

うみへび座U星1
「あかり」の遠赤外線サーベイヤーによるうみへび座U星のダストシェルの様子。(提供:ISAS/JAXA)

ポンプ座U星1
「あかり」の近・中間赤外線カメラによるポンプ座U星の暖かいダストシェルの様子。中央の黒い丸は中心星に近い部分の明るい光を隠しています。(提供:ISAS/JAXA)

国立天文台、東京大学などの研究者からなる研究グループは、JAXAが2006年に打ち上げた赤外線天文衛星「あかり」を用いて「うみへび座U星」と「ポンプ座U星」と呼ばれる赤色巨星の観測を行いました

赤色巨星は太陽のような星が年老いた時に徐々に膨張してできる巨星であり、ガスや塵を放出して惑星状星雲が形成されます。このガスや塵を放出する質量放出は恒星進化の最後の段階だと言われています。しかし、質量放出の過程がどのようになっているのかはよくわかっていなかったのです

「あかり」は広い波長領域と高い空間分解能、高い検出能力を生かして、赤色巨星が質量を放出しているところを詳細に観測しました。

うみへび座U星の観測から、放出された塵はきれいな球状に広がり、非常に薄い球殻を成していることがわかりました。これは質量放出が等方的に短期間に集中して行われたことを示しており、わずか1000年ほどの間に地球約30個分の質量の塵とその100倍ほどのガスが放出されたと考えられています。この質量放出の原因は熱核融合反応の暴走の可能性が高いと考えられます。また、塵の広がり(ダストシェル)が中心星に対して偏っていることから、質量放出の初期段階から物質が周囲の星間物質に吹き流されていることもわかりました

ポンプ座U星では、ダストシェルの観測としては世界で初めて中間赤外線で画像を取得することに成功しました。ここでも丸いダストシェルが確認できましたが、遠赤外線の観測結果とあわせて解析したところ、このダストシェルはおよそ50度ほど温度の異なる2層に分かれることがわかったのです。ガスに富んでいる層とダストに富んでいる層で層構造を成し、そこに含まれる固体粒子のサイズも異なっていると考えられます

2011年3月25日
Astro Artsより
 

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