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赤色超巨星アンタレス

Posted by moonrainbow on 23.2020 赤色巨星   0 comments   0 trackback
赤色超巨星アンタレスの大気をアルマ望遠鏡とVLAが観測

アンタレスとその周辺
アルマ望遠鏡(ALMA、枠内)とカール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA、背景)によって観測されたアンタレスとその周辺。アルマ望遠鏡はアンタレスの彩層を、VLAはアンタレスから吹き出したガスの広がりを捉えており、右側に広がるガスの中にはアンタレスの伴星が位置する(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), E. O’Gorman; NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello)

2019年から2020年にかけての減光が話題になったオリオン座の「ベテルギウス」は有名な赤色超巨星ですが、神話においてオリオンとつながりのあるさそり座の「アンタレス」も赤色超巨星です。今回、北米と南米の電波望遠鏡によって、アンタレスの大気が詳細に観測されています。

■厚みのある彩層と伴星の影響を受けるガスの広がりが明らかに

およそ550光年先にあるアンタレス(※)は可視光で見たときの直径が太陽のおよそ700倍で、太陽系で例えれば火星の軌道を軽く飲み込んでしまうほどの赤色超巨星とされています。Eamon O’Gorman(イーモン・オゴーマン)氏(ダブリン高等研究所)らの研究グループはチリの「アルマ望遠鏡」とアメリカの「カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)」を使い、アンタレスの彩層や流れ出す恒星風を観測しました。

※…アンタレスは連星であるため、正確には主星の「アンタレスA」

アルマ望遠鏡による観測では、アンタレスの彩層が星の中心から半径にして2.5倍のところまで広がっていることが明らかになりました。恒星の表面(光球)のすぐ外側にある彩層は、星の内部から湧き上がる対流によって生じる磁場や衝撃波によって加熱されている領域です。太陽の彩層は半径の200分の1程度の厚さしかなく、アンタレスの彩層がいかに大きく広がっているかがわかります。

また、アンタレスの彩層の温度は過去の可視光や赤外線による観測での推測値よりも低く、最大でも摂氏3500度ほどであることもわかったといいます。これは太陽の彩層における摂氏約2万度という温度よりもずっと低く、オゴーマン氏は「恒星としてはぬるい温度」と表現しています


アンタレスの大気を示した模式図
アンタレスの大気を示した模式図。アルマ望遠鏡は下部彩層(左から2番目~3番目の白丸に挟まれた範囲)と上部彩層(同3番目~4番目)、VLAは恒星風が流れ出す領域(同4番目~5番目)を観測した。左から1番目~2番目の白丸を結んだ長さがアンタレスの半径に相当(Credit: NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello)

いっぽうVLAによる観測では、恒星風として吹き出したガスがアンタレスの伴星(アンタレスB)の重力による影響も受けながら、アンタレスの12倍もの範囲にまで広がっている様子が捉えられました。発表では、恒星風には星の内部で作られたさまざまな元素が含まれており、そのなかには生命にとって欠かせない元素もあることから、赤色超巨星から拡散するガスの様子を知ることは生命の材料を研究する上でも重要なことだとしています。

なお、アンタレスはその大きさの割に太陽系に近いことから、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」によってその表面が詳細に観測されています。ESOによると、アンタレスは誕生時に太陽の15倍の質量があったとみられるものの、現在までに太陽3個分の質量を失ったとされています


アンタレス
超大型望遠鏡(VLT)を構成する4つの望遠鏡を連動させる「VLT干渉計(VLTI)」によって赤外線で観測されたアンタレス。2017年8月23日に公開されたもの(Credit: ESO/K. Ohnaka)

Image Credit: AIP/J. Fohlmeister

2020-06-18
Soraeより

赤色超巨星「ベテルギウス」は連星が合体してできた星?

Posted by moonrainbow on 22.2020 赤色巨星   0 comments   0 trackback
ベテルギウス、連星が合体して誕生した星なのかもしれない

ベテルギウス
2019年12月にヨーロッパ南天天文台の「超大型望遠鏡(VLT)」によって撮影されたベテルギウス(Credit: ESO/M. Montargès et al.)

オリオン座の1等星ベテルギウスは、今後10万年以内に超新星爆発が観測されると考えられている赤色超巨星です。2019年から2020年にかけての急速な減光が注目を集めましたが、現在私たちが見ているベテルギウスは連星が合体してできた星なのではないかとする研究成果が発表されています

■過去数十万年のどこかで伴星を飲み込んでいた可能性

Manos Chatzopoulos氏(ルイジアナ州立大学)らの研究チームは、ベテルギウスはもともと連星であり、過去数十万年のどこかの時点で伴星と合体した可能性を指摘しています。Chatzopoulos氏らの論文は現在プレプリントサーバーのarXivにて公開されています。

研究チームによると、太陽の15~17倍の質量があった主星が晩年を迎えて赤色超巨星になり始めた頃、太陽と同程度~4倍ほどの質量(主星に対して7~25パーセント)があった伴星が巨大化した主星の外層に入り込み、潮汐破壊されつつ取り込まれた可能性がシミュレーションによって示されたといいます。

主星と伴星が一つになった星(ベテルギウス)の自転速度は合体によって加速されたとみられており、これは現在観測されているベテルギウス表面の自転速度(秒速およそ5km)とも一致するといいます。研究チームでは、高速で自転する巨星や超巨星は同様のプロセスを経て形成されたと考えており、恒星の合体は宇宙において一般的な出来事であるとしています。

また、ベテルギウスは秒速およそ30kmで星間空間を移動しており、かつて属していたアソシエーション(星団ほどには密集していない恒星のグループ)から何らかの原因で飛び出した可能性が指摘されています。研究チームでは、アソシエーションから飛び出してしまうほどの影響を受けても連星が散り散りになることなく維持される場合があるとしており、連星の合体というシナリオはベテルギウスの移動速度と自転速度の両方を説明できると考えています。

ただし別の可能性として、ベテルギウスはかつて存在していた連星のうち伴星のほうであり、より大きな主星が超新星爆発を起こしたことでアソシエーションから飛び出したことも考えられるといいます。この場合、爆発前の主星から流れ込んだガスが降着したことで、ベテルギウスの自転速度が加速されたと考えられます。「連星の合体」と「連星の崩壊」のどちらが正しいのかを知るにはさらなる研究が必要だと研究チームは言及しています


ベテルギウスとその周辺の赤外線画像
欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ハーシェル」が撮影したベテルギウスとその周辺の赤外線画像。ベテルギウスの移動方向には弧状のバウショックが広がっている(Credit: ESA / Herschel / PACS / L. Decin et al.)

Image Credit: ESO/M. Montargès et al.

2020-05-18
Soraeより

赤色巨星から中性子星がX線を放射

Posted by moonrainbow on 22.2018 赤色巨星   0 comments   0 trackback
赤色巨星からの風で生き返った中性子星

赤色巨星からの風によって中性子星に物質が降り注ぐ様子のイラスト
赤色巨星からの風によって中性子星に物質が降り注ぐ様子のイラスト(提供:ESA、以下同)

大質量星の「死骸」である中性子星が赤色巨星とペアになっている連星系で、赤色巨星から吹き付ける風によって中性子星がX線を放射し始めるという珍しい現象がとらえられました

2017年8月13日、ヨーロッパ宇宙機関の天文衛星「インテグラル」が、天の川銀河中心部の方向(へびつかい座の領域内)でX線の閃光を検出しました

このX線の発生源を突き止めるため、その後数週間にわたっていくつもの天体望遠鏡や人工衛星によって追観測が行われました。その結果、この現象は中性子星と赤色巨星からなる連星で起こったもので、強い磁場を持ちゆっくりと自転する中性子星に、隣の赤色巨星から物質が流れ込み始めたことによってX線が発生したらしいことが明らかになりました

質量が太陽の1〜8倍の星は、一生の終わりが近づくと赤色巨星へと進化します。すると、星の外層は半径数百万kmに膨張し、塵やガスが秒速数百kmという比較的低速で中心星から放出されます

一方、質量が太陽の25倍~30倍もある大質量星は、核融合の燃料を急速に使い果たして超新星爆発を起こし、その爆発後に強い磁場を持つ中性子星を残すことがあります。中性子星は直径10kmほどの大きさに太陽1.5個分ほどの質量が詰め込まれており、宇宙で最も密度の高い天体の一つです

質量に応じた星の進化を示すイラスト
質量に応じた星の進化を示すイラスト。

2つの恒星が互いに回り合う「連星」はごくありふれた存在ですが、近年になって、中性子星と赤色巨星が相互作用する新たなタイプの連星系が見つかっています。このような連星は「共生X線連星」と呼ばれ、これまでに10組ほどしか発見されていないのです

「インテグラルは、共生X線連星という珍しい連星系が活動を始める貴重な一瞬をとらえました。十分に濃くて低速の風が赤色巨星から放出されることで、『星の死骸』である中性子星に物質が供給され、高エネルギーのX線を放射するようになったのです」(スイス・ジュネーヴ大学 Enrico Bozzoさん)

ヨーロッパ宇宙機関の宇宙望遠鏡「XMMニュートン」とNASAのX線天文衛星「NuSTAR」による観測から、この中性子星は約2時間周期で自転していることが示されました。中性子星は毎秒数回もの自転速度に達することもあるが、それに比べて今回の中性子星の自転は非常に遅い。また、共生X線連星の中性子星としては初となる磁場の観測も行われ、驚くほど磁場が強いことも明らかになりました

中性子星の磁場は時間とともに衰えると考えられているため、磁場が強いということはその中性子星が若いことを示しています。一方の赤色巨星ははるかに年老いていて、この2つの天体は、ともに成長してきた連星としては奇妙なカップルといえます

「不可解な連星系です。この中性子星の磁場は時間が経ってもあまり衰えない性質を持っているのかもしれませんし、あるいは実際に、この中性子星が赤色巨星より後に生まれたのかもしれません。もしそうなら、この中性子星は大質量星の超新星爆発という典型的なプロセスで作られたものではなくて、もともと白色矮星だったものに隣の赤色巨星から長期間にわたって物質が降り積もることで重力崩壊して中性子星になった可能性も考えられます」(Bozzoさん)

若い中性子星と年老いた赤色巨星からなる連星系では、赤色巨星からの風が中性子星に降り積もるようになり、これによって中性子星の自転速度が遅くなってX線の放射が起こると考えられます

「インテグラルによる過去15年間の観測では、この天体からのX線は検出されていませんでした。つまり私たちは今回、この天体でX線の放射が初めて始まった瞬間を目撃したと考えています。このX線放射は、たまたま一時的に赤色巨星からの物質放出が長く続いて発生しただけかもしれません。これまでのところ目立った変化は起こっていませんが、赤色巨星からの風が止まった場合にどんな振る舞いが見られるか、今後も観測を続ける予定です」(ヨーロッパ宇宙機関インテグラル・プロジェクトサイエンティスト Erik Kuulkersさん)

2018年3月12日
AstroArtsより

赤色超巨星「アンタレス」

Posted by moonrainbow on 06.2017 赤色巨星   0 comments   0 trackback
表面と大気が詳細に観測された赤色超巨星「アンタレス」

VLTIがとらえたアンタレス
VLTIがとらえたアンタレス(提供:ESO/K. Ohnaka、以下同)

ヨーロッパ南天天文台のVLT干渉計で赤色超巨星「アンタレス」が詳細にとらえられました。太陽以外の恒星で大気中の物質の速度分布図が作成されたのは初めてのことです

夏の宵空に見えるさそり座の、心臓の位置に赤く輝く1等星「アンタレス」は、一生の終わりを迎えつつある低温の赤色超巨星です。質量は太陽の12倍、大きさは太陽直径の700倍ほどもあると考えられています

チリ・カトリカ・デル・ノルテ大学の大仲圭一さんたちの研究チームは、チリ・パラナル天文台に設置されているヨーロッパ南天天文台のVLT干渉計(VLTI)を使ってアンタレスを観測し、表面の物質の動きを計測しました。VLTIは最大4基の望遠鏡を組み合わせて差し渡し最大200mに相当する仮想望遠鏡として機能し、単独の望遠鏡をはるかに超える高解像度を実現することができます

観測から、太陽以外の恒星の表面と大気をとらえたものとしては過去最高レベルの詳細な画像が得られました

さらに観測データを利用して、大気を構成しているガスの速度の違いや平均速度が領域ごとに計算され、アンタレス表面のガスの相対速度分布図が作られました。太陽以外の恒星でこの種の図が作成されたのは初めてのことです

アンタレス表面の物質の動きを示した図
アンタレス表面の物質の動きを示した図。赤は地球から遠ざかる方向の動き、青は近づく方向の動き(黒は観測ができなかった部分)

データから、予想以上に星から遠く離れた低密度ガスの乱流が発見された。この動きは対流によるものとは考えられず、拡がった大気中のガスの動きを説明するには未知の物理過程が必要ではないかと考えられています

「アンタレスのような星が進化の最後の段階で、どのように質量を急速に失っていくのかは、半世紀以上続いてきた長年の謎です。VLTIはアンタレスの拡がった大気中のガスの動きを直接計測できる唯一の観測装置で、今回の観測は問題を明らかにするための重要なステップです。次なる挑戦は、荒れ狂う大気の駆動源を解き明かすことです」(大仲さん)

「将来この観測技術が様々な種類の星に適用されれば、前例がないほどの詳細な星の表面と大気の研究が可能になるでしょう。私たちの研究は、恒星を対象とした天体物理学に新たな側面をもたらし、恒星観測のための新しい窓を開きました」(大仲さん)

アンタレスの想像図
アンタレスの想像図(提供:ESO/M. Kornmesser)

2017年8月29日
AstroArtsより

赤色巨星「ケプラー56」

Posted by moonrainbow on 30.2013 赤色巨星   0 comments   0 trackback
赤色巨星「ケプラー56」でホットジュピターでなくても、傾いた軌道を持つ系外惑星

約3000光年彼方の赤色巨星「ケプラー56」の周囲にある惑星が、中心星の赤道面に対して45度も傾いた軌道を回っていることがわかりました。ホットジュピター(中心星のそばの巨大ガス惑星)のない惑星系では貴重な発見です

中心星ケプラー56と周囲の惑星軌道
中心星ケプラー56と周囲の惑星軌道。(提供:NASA GSFC/Ames/D Huber)

NASAが、はくちょう座の方向約3000光年彼方の赤色巨星「ケプラー56」の赤道面に対して周囲の2つの惑星の公転面が45度も傾いていることを発見しました

研究チームでは、NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」のデータから、中心星表面の複数箇所における明るさの変動を分析し、地球からの観測方向に対してその自転軸が45度も傾いていることをつきとめました。2つの惑星は、地球から見て手前を通過(トランジット)しながら公転しています。つまり、これらの惑星の公転面は中心星の自転軸に対して45度傾いているということになります

惑星は中心星をとりまく塵やガスの円盤の中から生まれるので、中心星の赤道面と惑星の公転面は揃っているのが自然です。この太陽系でも、惑星は太陽の赤道から7度以内の範囲を公転しています

ではなぜ、ケプラー56の惑星の軌道は傾いているのか。コンピュータシミュレーションから、中心星からはるか遠くを周回する、木星の3倍以上の重さを持つ巨大惑星の重力の影響と考えられます。この第3の惑星はケック天文台の観測で実際に見つかっています

こうした傾いた軌道が、ホットジュピター(つぶれた楕円軌道を持ち、極端に中心星の近くを回る巨大ガス惑星)以外の系外惑星で見られるのは初めてのことです

ホットジュピターはしばしば中心星の赤道面から傾いた軌道を持っています。ほかの天体との“重力の押し合いへし合い”で形成されたなどの説がありますが、確かなことは不明のままです。傾いた軌道がホットジュピターだけではないことを示した今回の成果は、これらの謎を精査する重要な一歩となるかもしれません

2013年10月24日
Astro Artsより
 

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