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天の川(銀河系)の中心部

Posted by moonrainbow on 04.2019 天の川   0 comments   0 trackback
電波望遠鏡で描き出す銀河系の中心部

銀河系の中心

私たちの銀河系の中心部では何が起きているのでしょうか?

地球から銀河系の中心を可視光で見ようとしても、星間塵(宇宙塵、宇宙空間にある微粒子)が光を遮ってしまうため観測は困難です。しかし電波のように他の波長の光を使うと観測することができ、さらにその活動的な様子も見えてきます。

この画像は南アフリカに完成した電波望遠鏡「MeerKAT」が観測した電波画像です。MeerKATでは直径13.5メートルのアンテナ64台を連携させ(アレイと呼びます)、天体から来る電波をキャッチしています。この画像がカバーする範囲を地球から観測すると、夜空に満月を4個ほど並べたくらいの大きさに相当。電波が強いところを明るい色で表現していますが、詳しく見るとさまざまな形・強弱があることがわかります。この領域には過去に他の望遠鏡でも観測した天体がありますが、MeerKATアレイによりそれらも含めて非常に詳細・鮮明に映し出されているのです。

よく知られている天体は画像中で「Sgr A(いて座A)」などとして示されています(「Sgr」はいて座(Sagittarius)のことで、私たちの銀河系の中心はいて座の方向にあるため、このような名前がついています)。画像中心の右側に示された「Sgr A」は銀河系の中心にある超大質量ブラックホールを宿しています。その他、中央から左側にかけて弧を描いた「アーク(Arc)」と呼ばれる構造や多数のフィラメントのようなものが見えますが、それらの電波源についてはまだよくわかっていません。

MeerKATが目指す観測対象は他にもあり、はるか昔(宇宙の年齢が若いころ)に放出された中性水素からの電波放射や、遠く離れた天体から短時間に電波が放射される「高速電波バースト」も含まれています。これからの成果が楽しみです


Image: MeerKAT, SARAO

2019/10/27
Soraeより

天の川銀河のガス

Posted by moonrainbow on 24.2019 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河ではガス支出よりも収入が多い

ガスの出入りの観測の概念図
天の川銀河におけるガスの出入りの観測の概念図。クエーサーの光が銀河円盤から遠ざかるガスの中を通るとスペクトル中の吸収線が赤い方向にずれ、銀河円盤に近づくガスの中を通ると吸収線が青いほうにずれる。画像クリックで表示拡大(提供:NASA, ESA, and D. Player (STScI))

天の川銀河から出ていくガスの量と入ってくるガスの量のバランスは釣り合っておらず、入ってくるほうが多いことが、ハッブル宇宙望遠鏡による10年間の観測データから明らかにされました

天の川銀河では超新星爆発や激しい恒星風によって、ガスが銀河円盤から銀河を取り囲むハローへと出ていく。そのガスは銀河円盤へと戻ってきて、新しい星の材料となる。こうしたガスのリサイクルは数十億年以上にわたって繰り返されてきました。

米・宇宙望遠鏡科学研究所のAndrew Foxさんたちの研究チームは、このリサイクルの仕組み全体を理解する目的で、ハッブル宇宙望遠鏡が10年間で取得した紫外線観測データを分析しました。

ガス雲そのものを観測することはできないが、はるか遠方のクエーサーからやってくる光がガス雲を通過すると、光のスペクトル中に吸収線という特徴が表れます。銀河円盤から遠ざかるガス雲を通り抜けた光の場合、吸収線の波長は赤いほうにずれ、反対に銀河円盤へと近づくガス雲を通り抜けた場合は波長は青いほうにずれる。この情報を手掛かりとして、Foxさんたちはガス雲の存在とその動きを調べました。

その結果、天の川銀河におけるガス雲は、出ていく量よりも入ってくる量のほうが多いことが明らかになりました。「バランスが取れているという結果が得られると予測していたのですが、支出よりも収入のほうが多いようです」(Foxさん)。

入ってくる量のほうが多い原因はわかっていないが、銀河間空間からガスがやってきているのかもしれません。あるいは、天の川銀河の周辺に存在する矮小銀河からガスを奪っている可能性もあります。また、今回の研究は銀河全体を対象としているが温度の低いガスしか見ておらず、温度が高いガスのことを考慮する必要もあるかもしれないのです。

「天の川銀河を詳しく調べることは、宇宙に存在する他の銀河を理解するための基礎になります。今回私たちは、天の川銀河が想像以上に複雑なことを認識しました」(独・ポツダム大学 Philipp Richterさん)


2019年10月18日
AstroArtsより

超高速度星「PG 1610+062

Posted by moonrainbow on 17.2019 天の川   0 comments   0 trackback
銀河を高速で駆け抜ける”超高速度星”は未発見の天体が弾き出した?

天の川銀河のハローにある超高速度星「PG 1610_062」の想像図
天の川銀河のハローにある超高速度星「PG 1610+062」の想像図

ハワイのマウナケア山にあるW.M.ケック天文台は2019年9月9日、超高速度星「PG 1610+062」の起源に迫ったAndreas Irrgang氏らの研究成果を紹介しました。研究結果は論文にまとめられ、8月6日付でAstronomy and Astrophysicsに掲載されています

■超高速度星は銀河中心のブラックホールが撃ち出している?

近年、他の恒星と比べて非常に速く運動する超高速度星(Hyper Velocity Stars:HVS)が幾つか見つかっています。1秒間に数百kmという高速で移動することになった原因として考えられているのが、天の川銀河の中心に存在が確実視されている超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」です。

過去の研究におけるシミュレーションでは、太陽の400万倍もの重さを持った超大質量ブラックホールに連星が近付くと、片方の恒星がブラックホールに破壊され飲み込まれてしまういっぽうで、もう片方の恒星はエネルギーを得て加速されます。こうして生き残った恒星はブラックホールの重力を逃れるだけでなく、銀河系を脱出できるほどの高速を獲得する可能性が示されました


実際に超高速度星が見つかるとともに、超大質量ブラックホールの存在もより確かになっていきます。「超高速度星は超大質量ブラックホールに飲み込まれた連星の生き残り」という仮説は、他に超高速度星をうまく説明できる仮説がなかったこともあり、自然と受け容れられていきました

■PG 1610+062が出発した場所は銀河の中心部ではなかった

天の川銀河を飛び出すPG 1610_062のイメージ図
天の川銀河を飛び出すPG 1610+062のイメージ図

今回Irrgang氏らの研究チームは、W.M.ケック天文台のケック望遠鏡や、アストロメトリ(位置天文学)に特化した欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ガイア」の観測データを使い、天の川銀河のハロー(銀河円盤を球状に取り囲む銀河の一番外側の構造)にあるPG 1610+062を詳しく調べましました。

かつてPG 1610+062は太陽の半分の質量を持つ、ハローではよく見られる古い恒星と考えられていました。ところが、ケック望遠鏡の観測データを分析したところ、実際の質量はその10倍ほど(太陽の4~5倍)もある、若くて青いB型の恒星であることがわかりました。さらに、ガイアの観測データを分析したところ、PG 1610+062は秒速510~590kmで放出された超高速度星であることも判明します。

問題は、その出発地点でした。現在の移動速度や方向からPG 1610+062が放出されたのが天の川銀河のどこだったのかを遡って調べた結果、いて座A*があるとされる銀河中心部ではなく、そこから離れた円盤部にある渦状腕のひとつ(いて・りゅうこつ腕付近)だったのです。

つまり、これまでの定説に反して、PG 1610+062は超大質量ブラックホール以外の何かによって加速を受けたことになります。連星の片方が超新星爆発を起こすことで高速移動を始める恒星もありますが、ここまで加速させることはできません


■原因は中間質量ブラックホールだった?

さまざまな可能性を検討した末に研究チームが導き出したのは、未発見の「中間質量ブラックホール」との相互作用によって弾き出されたとする結論でした。中間質量ブラックホールとは、超新星爆発で誕生する恒星ほどの重さの「恒星質量ブラックホール」と、銀河中心にあるような「超大質量ブラックホール」の中間にあたる質量を持ったブラックホールです。

中間質量ブラックホールは渦状腕にある若い星団などに存在するとみられていますが、いまだ検出には至っていません。しかし、中間質量ブラックホールの存在を仮定しない限り、渦状腕から秒速550km前後の速度でPG 1610+062が放り出されるとは考えられないといいます。

超高速度星によって中間質量ブラックホールの存在を間接的に示した今回の研究成果。Irrgang氏によると、天の川銀河内に存在が予想されるこの中間質量ブラックホールを巡り、「発見するための競争がすでに始まっている」とのことです


Image Credit: A. IRRGANG, FAU

2019/9/10
Soraeより

超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」を周回する恒星「S0-2」

Posted by moonrainbow on 10.2019 天の川   0 comments   0 trackback
すばる望遠鏡が超大質量ブラックホールを利用した一般相対性理論の検証に貢献

恒星「S0-2」の想像図
超大質量ブラックホール「いて座A*」を周回する恒星「S0-2」の想像図

国立天文台ハワイ観測所は2019年7月25日、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のAndrea Ghez氏らによる一般相対性理論の検証を目的とした研究に「すばる望遠鏡」が用いられたことを発表しました。研究内容は論文にまとめられ、同日付でサイエンス誌に掲載されています

Ghez氏らの研究チームは一般相対性理論を検証するために、天の川銀河の中心に存在が確実視されている超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」を周回する恒星「S0-2」(S2とも)を観測し、その光の波長を調べることに挑戦しました

太陽よりも重く明るいB型の恒星であるS0-2は、いて座A*の至近距離を彗星のような楕円軌道を描きつつ16年かけて周回しています。最も接近するときの距離はわずか120天文単位(1天文単位は地球から太陽までの距離に由来)ほどで、その動きはいて座A*の質量が太陽のおよそ400万倍であると推定する際にも利用されました

アルバート・アインシュタインの一般相対性理論によると、ブラックホールの近くを通過する電磁波は、強大な重力によって波長が伸ばされてしまいます。可視光線(人の目に見える光)の場合はより赤に近い色合いに変化することから、こうした現象は「赤方偏移(redshift)」と呼ばれます(なお、赤方偏移は「天体が地球から遠ざかる方向に運動する」ときにも生じます)

そこで注目されたのが、いて座A*に接近するS0-2です。光の速さで17時間しかかからない距離にまで接近するS0-2ともなれば、赤方偏移の影響はより強いものとなるはず。S0-2が発した光の波長を分析すれば、一般相対性理論を検証できるのではないかと考えられたのです

今回Ghez氏らは、2018年3月から9月までの期間にS0-2がいて座A*に最接近するのに合わせて、ハワイの「ケック望遠鏡」、「ジェミニ北望遠鏡」、そしてすばる望遠鏡を使ってS0-2を観測。1995年から続けてきた観測データとあわせて赤方偏移を分析したところ、一般相対性理論を証明する結果が得られたのです

なお、超大質量ブラックホールを周回する恒星を使った一般相対性理論の検証は、S0-2だけでは終わりません。Ghez氏が注目している別の恒星「S0-102」は、いて座A*をS0-2よりも短い11年半ほどで周回しています。今後はこうした恒星の観測を通じて一般相対性理論の検証が続けられることになるでしょう

Image Credit: NICOLLE R. FULLER, NATIONAL SCIENCE FOUNDATION

2019/7/29
Soraeより

100億年前に天の川銀河と銀河「ガイア・エンケラドス」が衝突

Posted by moonrainbow on 04.2019 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河は100億年前に別の銀河「ガイア・エンケラドス」を吸収していた

100億年前の若き天の川銀河に衝突
100億年前の若き天の川銀河に衝突するガイア・エンケラドス(左)と、現在の天の川銀河(右)の想像図(画像内の表記はスペイン語)

カナリア諸島にあるカナリア天体物理研究所(IAC)は2019年7月22日、天の川銀河初期の歴史に迫った同研究所のCarme Gallart氏らによる研究内容を紹介しました。研究結果は論文にまとめられ、Nature Astronomyから同日付で発表されています

2018年11月、オランダ・フローニンゲン大学のAmina Helmi氏らによる「100億年前に天の川銀河と別の銀河が衝突した」とする研究結果が発表されました。欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ガイア」の観測データを使って天の川銀河の恒星の動きを調べたところ、100億年前の天の川銀河に小さな銀河が衝突した歴史が明らかになったのです。天の川銀河に衝突し吸収された小さな銀河は、研究チームによって「Gaia-Enceladus(ガイア・エンケラドス)」と命名されました

この昨年発表された研究では、銀河の円盤部を球状に取り囲む「ハロー」に存在する恒星のうち3万個の青い恒星が示した独特な動きから、100億年前の衝突が割り出されました。今回のGallart氏らの研究チームもガイアの観測データを使っていますが、ハローに存在する恒星の動きだけでなく、明るさ、色、それに恒星が発した光を分析することで得られる金属元素の比率も詳しく調べられています

研究の結果、天の川銀河のハローには100億歳以上の恒星がたしかに存在していることが判明しただけでなく、青い恒星とその他の恒星では金属元素の比率が異なることもわかりました。金属元素の比率の違いは生まれた場所が異なることを示唆するため、天の川銀河のハローには「同じ時代に宇宙の別々の場所で生まれた2種類の恒星が存在する」ことになります。この事実から、恒星の運動によって明らかになった100億年前の銀河衝突が裏付けられたのです

なお、100億年前に天の川銀河と衝突したガイア・エンケラドスのサイズは大小マゼラン雲と同程度、現在の天の川銀河の10分の1くらいだったと見られています

ただ、当時は天の川銀河自体も今より小さかったため、ガイア・エンケラドスとの比率は4対1程度でしかなく、衝突は大きな変化をもたらしました。双方の銀河が抱えていたガスが合体後の円盤部に落ち着き、およそ60億年前までは星形成活動の活発な時期が続いたと見られています

Early days of the Milky Way



Image Credit: Gabriel Pérez Díaz, SMM (IAC).

2019/7/29
Soraeより
 

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