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天の川銀河中心の分子雲

Posted by moonrainbow on 01.2023 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河中心の分子雲の距離と速度を精密計測

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天の川銀河中心の分子雲領域
天の川銀河の中心部を取り囲む分子雲領域の概念図。高密度な分子雲が軌道に沿って並び、一部の分子雲では非常に活発な星形成活動が起こっている(提供:国立天文台)

電波観測プロジェクトVERAにより、天の川銀河中心の巨大分子雲「いて座B2」の距離や移動速度が正確に観測された

天の川銀河は中心近くに棒状の構造を持つ棒渦巻銀河と考えられている。銀河の内側では棒構造の影響で複雑な動きが見られ、中心から約300光年の位置には、都市圏を取り囲む環状線のように高密度な分子雲が集中する領域が存在することが知られている。

分子雲の3次元的な位置関係や運動については電波や赤外線、X線などの観測を通して研究されてきたが、まだ定説は得られていない。この課題に対して、VLBI観測の高い空間分解能を活かした距離決定(年周視差の測定)と3次元速度の決定(固有運動の測定)が重要な役割を果たすと考えられている。

国立天文台水沢VLBI観測所の酒井大裕さんたちの研究チームは国立天文台のVERA電波望遠鏡を使って、分子雲「いて座B2」の位置と速度を精密に測定した。いて座B2は銀河中心の超大質量ブラックホールから約300光年離れたところにあり、新しい星が大量に生まれている場所だ。

酒井さんたちはVERAの特徴である「2ビーム観測」により、いて座B2から放たれている水メーザーのモニター観測を行ってメーザー源の位置を求めた。2ビーム観測では、位置の精密計測で最も大きな誤差を生み出す地上大気による「天体のふらつき」が補正され、天体位置を精密に測定できる


観測の結果、いて座B2までの距離は約2万4000(-5,500/+10,000)光年、銀河中心ブラックホールに対して秒速約140kmの速度で動いていることが示された。先行研究で提唱されていた距離や運動と矛盾しない値であり、今回の直接的な測定が先行研究の裏付けともなる

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観測結果。(a)2014年から2016年までの、いて座B2の水メーザーの位置の変化。(b)東西・南北方向の位置変化を時間に対して示したもの。(c)位置変化から年周視差による成分のみを抽出したもの(提供:Sakai et al. 2023)

今後はVERAに東アジアの電波望遠鏡を加えた東アジアVLBI観測網を用いて、さらに高感度な観測を行い、いて座B2以外の分子雲に対しても3次元位置と速度が測定できるようになる見通しだ。銀河中心の分子雲がどのように動いているかを把握することで、超大質量ブラックホールに物質が運ばれるメカニズムが明らかになると期待される

2023年9月26日
AstroArtsより

銀河M77の中心領域

Posted by moonrainbow on 29.2023 天の川   0 comments   0 trackback
銀河中心ブラックホールのジェットが抑制する星形成

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M77(撮影:田中俊成さん。画像クリックで天体写真ギャラリーのページへ)

アルマ望遠鏡がくじら座の銀河M77の中心領域を観測し、分子ガスのアウトフローを発見した。超大質量ブラックホールから噴き出すジェットに起因するものとみられ、銀河中心で新たな星の誕生が抑制されている可能性を示唆している

活動銀河核と呼ばれる天体では、銀河中心に存在する超大質量ブラックホールから莫大なエネルギーが放射されている。このブラックホールの活動が周囲の星間物質に及ぼす影響、とくに新しい星々の誕生を加速するのか抑制するのかを知ることは、銀河の進化過程を理解するうえで非常に重要だ。

活動銀河核は中心部が濃いガスや塵に埋もれていることが多く、可視光線や赤外線での観測が困難だ。電波による観測も、これまでは解像度が足りず、分子ガスの分布や銀河核の中心付近の構造まではわかっていなかった。

日本大学(研究時)の斉藤俊貴さん、名古屋大学の中島拓助さんを中心とする研究チームは、高い空間分解能を持つアルマ望遠鏡を用いて、約5140万光年と比較的近傍に位置する活動銀河核であるくじら座の銀河M77(NGC 1068)の中心核付近を観測した


斉藤さんたちは、検出される全ての分子ごとに分布を描き出す「イメージング・ラインサーベイ」を行い、分子ガスの二次元分布図を作成した。その結果、銀河中心にある直径650光年ほどの核周円盤と呼ばれる構造と、その外側の半径3300光年ほどにある爆発的に星が生まれているリング状のガス雲が明瞭に分解してとらえられた。核周円盤については、その内部構造まではっきりととらえられている。

詳しく解析したところ、核周円盤と外側のリング状のガス雲とでは、強力なX線や紫外線の照射を受けた領域で観測されやすいシアンラジカル(CN)分子や、強い衝撃波を受けたガス雲で観測されやすい一酸化ケイ素(SiO)分子の存在量に違いが見られた。これは、ブラックホールが核周円盤へ影響を及ぼし、衝撃波を伴うような力学的な機構によって分子ガスが高温に加熱されていることを示唆する結果と考えられる。機械学習により、円盤とリング状のガス雲とでは、分子ガスの分布の構造として全く別の領域として分類されることもわかった。

円盤の画像には2方向に向かって伸びる構造が見られ、その方向は先行研究で明らかにされている、超大質量ブラックホールから噴き出す双極のジェットの向きと一致している。このことから、構造は双極のアウトフローと考えられる。ジェットやアウトフローが周囲のガスと衝突して作り出された衝撃波は分子の組成に影響を及ぼすが、アウトフロー部では一般的な銀河でよく見られるような基本的な分子(一酸化炭素やメタノールなど)は破壊されていて少なく、特殊な分子(シアンラジカル、エチニルラジカル、シアン化水素の異性体など)が増えていた。核周円盤が超大質量ブラックホールから噴き出すジェットやアウトフローの強い影響下にあり、その影響が核周円盤からずっと外側の領域まで広がっていることを示す結果である


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銀河中心部の分子の分布
M77中心部の様々な分子の分布。(黄)シアン化水素の同位体(H13CN)/(赤)シアンラジカル(CN)/(青)一酸化炭素の同位体(13CO)。H13CNは活動銀河核の中心部のみに集中し、13COは主に周辺を取りまくリング状のガス雲に分布している。CNは中心部とリング状のガス雲の両方だけでなく、中心から北東(左上)と南西に向かって伸びた構造をしており、ブラックホールのジェットに起因する構造と考えられる(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), NASA/ESA Hubble Space Telescope, T. Nakajima et al.)

こうしたジェットやアウトフローの領域は、激しい衝撃波や、紫外線やX線といった強い放射を伴っている。そのため、星を形成する素となる分子が破壊され、星の誕生が抑制されてしまうはずだ。今回の研究成果は、銀河中心にある超大質量ブラックホールが、その母体となる銀河の成長を遅らせている可能性があることを化学的な観点から示した初の観測例である。

「アルマ望遠鏡の高感度かつ高分解能な性能と機械学習により、ジェットに起因する分子ガスアウトフローの検出とその化学的性質の解明に至りました。銀河中心の超大質量ブラックホールの活動が銀河の成長を抑制している描像が明らかになったことは大きな発見です」(斉藤さん)


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銀河中心の模式図
銀河中心ブラックホールからの双極ジェット、銀河円盤の位置関係と、それに起因する分子ガスのアウトフローの模式図(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), T. Saito et al.)

2023年9月25日
AstroArtsより

天の川銀河の中心から無数に伸びる謎の糸

Posted by moonrainbow on 15.2023 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河の中心から無数に伸びる謎の糸。超大質量ブラックホールによって作られた可能性

フィラメン

天の川銀河の中心から伸びる無数の謎の糸状の構造体
 
米ノースウェスタン大学の天体物理学者ファルハド・ユセフ・ザデ氏が銀河の中心を調べていたところ、糸状のものが無数に伸びていることを発見した。

 宇宙に糸状の構造「フィラメント」があることは以前から知られており、かつて中心から縦に垂れ下がるフィラメントが見つかっている。

 だが、今回のものは水平方向へ放射状に広がる珍しいものだったのだ。

 このフィラメントをたどると、天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール「いて座A*」の存在が浮かび上がってくる。これらの謎のフィラメントはブラックホールから作り出された可能性があるという


天の川銀河の中心から無数に伸びる謎の糸、フィラメント
 
今回、天の川の中心部で新たに発見されたフィラメント(ひも状の構造)は、これまで発見されてきたものとは異なっていた。

 今回のフィラメントは、南アフリカにあるMeerKAT電波望遠鏡の観測データから発見された。

 ユセフ・ザデ氏らがその縦長フィラメントを見やすくするためにデータを整理したところ、期せずして浮かび上がってきたのだ


フィラメント
天の川銀河の中心で観測された無数のフィラメント状構造 / image credit:Farhad Yusef-Zadeh/Northwestern University

 宇宙のフィラメント自体は、目新しいものではなく、ユセフ・ザデ氏らは、1980年代にも銀河中心から垂れ下がる長さ150光年のひものような磁気構造を1000本も観察している。

 だが、それはこれまでとは違うものだった。数百ものフィラメントが、縦に垂れ下がるのではなく、銀河の面に対して水平に伸びてたのだ。

 それぞれの長さは5~10光年と短く、線というよりは点線を思わせるものだった。

 どのフィラメントも磁気を帯びているが、縦長のものが粒子を光速近くまで加速しているのに対し、横長のものは熱放射を出しているようだ。

 また縦長フィラメントが銀河の中心をかこむように平行に並んでいるのに対して、横長フィラメントは銀河中心の片側から放射状に広がっている


 その根本は天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール「いて座A*」を向いており、これとの関連性をにおわせている

フィラメント1
横長フィラメントは超大質量ブラックホール「いて座A*」から放射状に広がっている / image credit:Farhad Yusef-Zadeh/Northwe

大質量ブラックホールによって作られた可能性

 いて座A*が貪欲に物質を飲み込むとき、周囲から噴出するジェットによって放射状の流出が生じる。横長フィラメントはこれによって作られたと考えられている。

 ブラックホールの巨大な重力は、その周囲にある物質を引き寄せ、飲み込んでしまう。

 だがそこに落下する物質すべてが事象の地平面の向こうに行ってしまうわけではない。その一部は、磁力線に沿って加速され、光速に近い超スピードのジェットとなって宇宙に放出される。

 そして今回の放射状に広がる横長フィラメントは、こうしていて座A*から流出する物質の圧力(ラム圧)によって形成された可能性があるという。
(ブラックホールの)数百万年前の活動である種の流出が生じました。これによって形成された違いないと考えています。おそらく流出した物質とその近くの物体との相互作用によってできたのでしょう(ユセフ・ザデ氏)
 横長フィラメントの範囲と位置からは、原因となった活動はおよそ600万年前に起きただろうことが推測されている


フィラメント2
いて座A*から噴出するジェットの流出によって形成されたと考えられている / image credit:Farhad Yusef-Zadeh/Northwestern

謎に包まれた天の川銀河中心部
 
天体観測技術が進歩するにつれて、天の川の中心ではこれまで知られていなかった構造が浮かび上がってきている。

 つまりは、そこで一体何が起きているのか、天文学者はまだ理解しきれていないということだ。

 ユセフ・ザデ氏も「私たちの仕事は決して完全ではありません」とそのことを認めている。だからこそ、これからも観測を続け、さらにくわしく分析を重ねる必要があるのだそうだ。

 この研究は『The Astrophysical Journal Letters』(2023年6月2日付)で発表された


2023年06月06日
カラパイアより

恒星「フォーマルハウト」

Posted by moonrainbow on 20.2023 天の川   0 comments   0 trackback
「王家の星」の周囲に小惑星帯と惑星系が存在か ウェッブ撮影画像が示唆

「王家の星」の周囲
ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えたフォーマルハウトを囲むデブリの輪(NASA, ESA, CSA, A. Gáspár (University of Arizona). Image processing: A. Pagan (STScI))

太陽系からわずか25光年の距離にある明るい恒星「フォーマルハウト」を捉えたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の最新画像から、この恒星が太陽系と非常によく似た小惑星帯と惑星系を持っている可能性が示された

フォーマルハウトは4億4000万年前に生まれた恒星。夜空で最も明るい星の一つであり、南天星座である「南の魚座」(Piscis Austrinus)で最も明るい星だ。南半球のほか、北半球の赤道地帯からも見える。

占星術で「Royal Stars」(王家の星々)と呼ばれる4つの星のうちの一つで、「Watcher of the South」(南半球の番人)としても知られている。残る3つの「王家の星」は、おうし座のアルデバラン、しし座のレグルス、さそり座のアンタレスだ。

8日に科学誌ネイチャー・アストロノミーに掲載された最新画像には、フォーマルハウトを囲む2つのベルトが写っている。これらのベルトは、太陽系のアステロイド・ベルト(小惑星帯)およびカイパー・ベルトに似ている可能性がある。

研究チームはさらに、非常に高い感度を持つJWSTを利用した観測で、複雑かつ活動中の可能性がある惑星系の証拠も発見した。

フォーマルハウトは周囲に小さな岩石からなる円盤があることが以前から知られており、天体同士が衝突した結果形成されたものと考えられていた。こうした円盤は、惑星が形成される場所となると考えられている。

2008年には、ハッブル宇宙望遠鏡がフォーマルハウトを撮影した画像から、惑星「フォーマルハウトb」が発見された。こうした方法で太陽系外惑星が見つかったのは初めてのことだった。フォーマルハウトbの大きさは、木星のおよそ3倍だ。

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した可視光画像には、ちりとデブリからなる赤い輪がフォーマルハウトbを取り囲み、周回しているところが写っている。フォーマルハウトbの中心星からの距離は、冥王星と太陽との間の距離の3倍あり、ハッブルが撮影した赤い輪は太陽系のカイパーベルトに相当するものとなる。

カイパーベルトは、太陽を周回する氷状の小天体からなる輪だ。NASAによると、海王星の軌道の外に広がっており、太陽からの距離は地球のおよそ30~55倍。

研究チームは今回の観測で、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の中赤外線機器を使用して、以前から知られていたこの赤い輪に加え、太陽系の小惑星帯に似た幅の狭い中間位置のベルトを新たに発見した。研究チームは、このベルトが、画像には写っていない惑星群の重力によって保護されている可能性を考えている。

2つのベルトの間に惑星が存在するかどうかは、まだわかっていない。

研究チームはさらに、一連の画像の中から、外側の輪の中にある大きなちりの雲も見つけた。チームはこれを「Great Dust Cloud」と名付け、衝突によって作られた可能性があるとみている。

いずれにせよ、研究チームは、フォーマルハウトが非常に活発な惑星系に囲まれている可能性があると考えている


2023年5月12日
Forbesより

天の川銀河中心部にある謎の天体「X7」の正体

Posted by moonrainbow on 18.2023 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河中心部にある謎の天体「X7」の正体に迫る

天の川銀河中心部の画像。
【▲ 図1: 天の川銀河中心部の画像。超大質量ブラックホール「いて座A*」のすぐ近くにある数多くの天体の中でも、X7は特徴的な細長い形をしている(Credit: Anna Ciurlo/UCLA)】

天の川銀河の中心部は、極めて物質密度の高い領域です。そこには「いて座A* (エースター) 」と呼ばれる超大質量ブラックホールがあり、その周辺を多数の天体が高速で公転しています

いて座A*を公転する天体の大部分は恒星ですが、他にも惑星質量の数十倍程度という小さなガスや塵の塊もいくつか見つかっており、これらは「G天体 (G object)」と称されています。G天体の起源は調査が進められていますが、恒星同士の相互作用がその源ではないかと推定されています。天体同士の距離が短い銀河中心部では恒星同士が頻繁に接近や衝突していると考えられており、G天体は恒星同士の衝突過程で生じたガスの塊ではないかというわけです。ガスはその内側からの光を遮るため、仮にG天体の内部に恒星があるとしても、見つけることはできないと考えられています。この他にも、G天体の内部に恒星は存在せず、赤色巨星とコンパクト星の衝突で弾き出されたガスの塊だとする説もあります

しかしながら、天の川銀河の中心部では恒星でもG天体でもない天体が見つかっています。「X7」と呼ばれているこの天体は、2002年に初めて画像化されました。

X7は一見するとG天体に似ています。推定質量は地球の約50倍で、他のG天体のように細長い軌道を持ち、2036年にいて座A*から4800億kmまで最接近すると考えられています。この距離はいて座A*からあまりにも近く、X7は最終的にいて座A*に吸い込まれてしまうと予想されていることから、ブラックホールに物質が吸い込まれる様子を “リアルタイム” で観測できる可能性があるとして注目されています


X7の形状変化
【▲ 図2: X7の形状変化。恒星であるS0-14と比較すればわかる通り、X7は細長い形状をしており、時間が経つほどその形状が急激に変化していることが分かる(Credit: Anna Ciurlo/UCLA)】

ただ、発見から約20年が経って連続的な観測データが揃ってくると、X7がG天体とは異なる性質を持つことが判明しました。例えば、G天体はいて座A*への最接近時に形状が引き延ばされるものの、それでもほとんど点のような大きさをしています。一方、X7は最接近のはるか前から引き延ばされていて全体がほぼ同じ明るさを示す線状の物体として識別されます。このため、X7の正体はどのようなものであるのかが議論の対象になっていました。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAnna Ciurlo氏らの研究チームは、謎の天体X7の正体を探りました。X7の正体にはいくつかの手掛かりがあります。例えば、X7の公転周期は約165年ですが、最接近時にいて座A*に吸い込まれてしまうことから、形成された時期は200年前未満だと推測されます。また、2020年に取得された画像からは、X7が断片化している可能性が示されていました。


今回の研究では、以下の可能性は低いと推定できました。まず、推定されるX7の軌道は、銀河中心部にある巨大なガスの塊や、いて座A*を公転する恒星とは交差しないため、これらが起源の可能性を低くします。次に、恒星になる前のガスの塊である可能性は、X7の観測値や物理モデルとは適合しません。また、X7の独特の形状はいて座A*の潮汐力だけで十分説明可能で、いて座A*からの強力な放射や磁場の影響は低いとみられることから、電荷を持たない普通の粒子状物質……つまりG天体で推定されているようなガスや塵の塊である可能性を強くします


X7とG3の軌道
【▲ 図3: X7とG3の軌道。その軌道は非常に類似していることが明らかにされ、恐らくは共通の起源を持つことが今回の研究で推定されました(Credit: Anna Ciurlo/UCLA)】

そして重大な手掛かりとして、X7は「G3」と名付けられているG天体のひとつと軌道が似ていることが明らかになりました。このことから、X7とG3は共通の起源を持つと推測されます。しかし、その一方でX7とG3は特徴が異なるため、細かな性質は異なると考えられます。

Ciurlo氏は他の可能性を除外した上で、X7とG3の起源は恒星の衝突ではないかと推定しました。この場合、G3にはガスに包まれて見えない恒星があると推定されます。一方、X7は衝突時にはじき出されたガスの塊であり、その内部に天体は存在しないと推定されます。こうしたガスの塊の中身の違いが、他のG天体とは異なるX7の性質の源であると推定されます。

今回の研究では、X7の正体と起源をある程度まで推定できたものの、決定的とは言えません。X7の正体を探るには、2036年の最接近時を含めた継続的な観測が必要となります。その時には、X7はいて座A*の潮汐力によって更に劇的な形状に変化することが予測されます。X7の正体は、今後のさらなる観測で判明するかもしれません


2023-03-09
Soraeより
 

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