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恒星「フォーマルハウト」

Posted by moonrainbow on 20.2023 天の川   0 comments   0 trackback
「王家の星」の周囲に小惑星帯と惑星系が存在か ウェッブ撮影画像が示唆

「王家の星」の周囲
ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えたフォーマルハウトを囲むデブリの輪(NASA, ESA, CSA, A. Gáspár (University of Arizona). Image processing: A. Pagan (STScI))

太陽系からわずか25光年の距離にある明るい恒星「フォーマルハウト」を捉えたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の最新画像から、この恒星が太陽系と非常によく似た小惑星帯と惑星系を持っている可能性が示された

フォーマルハウトは4億4000万年前に生まれた恒星。夜空で最も明るい星の一つであり、南天星座である「南の魚座」(Piscis Austrinus)で最も明るい星だ。南半球のほか、北半球の赤道地帯からも見える。

占星術で「Royal Stars」(王家の星々)と呼ばれる4つの星のうちの一つで、「Watcher of the South」(南半球の番人)としても知られている。残る3つの「王家の星」は、おうし座のアルデバラン、しし座のレグルス、さそり座のアンタレスだ。

8日に科学誌ネイチャー・アストロノミーに掲載された最新画像には、フォーマルハウトを囲む2つのベルトが写っている。これらのベルトは、太陽系のアステロイド・ベルト(小惑星帯)およびカイパー・ベルトに似ている可能性がある。

研究チームはさらに、非常に高い感度を持つJWSTを利用した観測で、複雑かつ活動中の可能性がある惑星系の証拠も発見した。

フォーマルハウトは周囲に小さな岩石からなる円盤があることが以前から知られており、天体同士が衝突した結果形成されたものと考えられていた。こうした円盤は、惑星が形成される場所となると考えられている。

2008年には、ハッブル宇宙望遠鏡がフォーマルハウトを撮影した画像から、惑星「フォーマルハウトb」が発見された。こうした方法で太陽系外惑星が見つかったのは初めてのことだった。フォーマルハウトbの大きさは、木星のおよそ3倍だ。

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した可視光画像には、ちりとデブリからなる赤い輪がフォーマルハウトbを取り囲み、周回しているところが写っている。フォーマルハウトbの中心星からの距離は、冥王星と太陽との間の距離の3倍あり、ハッブルが撮影した赤い輪は太陽系のカイパーベルトに相当するものとなる。

カイパーベルトは、太陽を周回する氷状の小天体からなる輪だ。NASAによると、海王星の軌道の外に広がっており、太陽からの距離は地球のおよそ30~55倍。

研究チームは今回の観測で、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の中赤外線機器を使用して、以前から知られていたこの赤い輪に加え、太陽系の小惑星帯に似た幅の狭い中間位置のベルトを新たに発見した。研究チームは、このベルトが、画像には写っていない惑星群の重力によって保護されている可能性を考えている。

2つのベルトの間に惑星が存在するかどうかは、まだわかっていない。

研究チームはさらに、一連の画像の中から、外側の輪の中にある大きなちりの雲も見つけた。チームはこれを「Great Dust Cloud」と名付け、衝突によって作られた可能性があるとみている。

いずれにせよ、研究チームは、フォーマルハウトが非常に活発な惑星系に囲まれている可能性があると考えている


2023年5月12日
Forbesより

天の川銀河中心部にある謎の天体「X7」の正体

Posted by moonrainbow on 18.2023 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河中心部にある謎の天体「X7」の正体に迫る

天の川銀河中心部の画像。
【▲ 図1: 天の川銀河中心部の画像。超大質量ブラックホール「いて座A*」のすぐ近くにある数多くの天体の中でも、X7は特徴的な細長い形をしている(Credit: Anna Ciurlo/UCLA)】

天の川銀河の中心部は、極めて物質密度の高い領域です。そこには「いて座A* (エースター) 」と呼ばれる超大質量ブラックホールがあり、その周辺を多数の天体が高速で公転しています

いて座A*を公転する天体の大部分は恒星ですが、他にも惑星質量の数十倍程度という小さなガスや塵の塊もいくつか見つかっており、これらは「G天体 (G object)」と称されています。G天体の起源は調査が進められていますが、恒星同士の相互作用がその源ではないかと推定されています。天体同士の距離が短い銀河中心部では恒星同士が頻繁に接近や衝突していると考えられており、G天体は恒星同士の衝突過程で生じたガスの塊ではないかというわけです。ガスはその内側からの光を遮るため、仮にG天体の内部に恒星があるとしても、見つけることはできないと考えられています。この他にも、G天体の内部に恒星は存在せず、赤色巨星とコンパクト星の衝突で弾き出されたガスの塊だとする説もあります

しかしながら、天の川銀河の中心部では恒星でもG天体でもない天体が見つかっています。「X7」と呼ばれているこの天体は、2002年に初めて画像化されました。

X7は一見するとG天体に似ています。推定質量は地球の約50倍で、他のG天体のように細長い軌道を持ち、2036年にいて座A*から4800億kmまで最接近すると考えられています。この距離はいて座A*からあまりにも近く、X7は最終的にいて座A*に吸い込まれてしまうと予想されていることから、ブラックホールに物質が吸い込まれる様子を “リアルタイム” で観測できる可能性があるとして注目されています


X7の形状変化
【▲ 図2: X7の形状変化。恒星であるS0-14と比較すればわかる通り、X7は細長い形状をしており、時間が経つほどその形状が急激に変化していることが分かる(Credit: Anna Ciurlo/UCLA)】

ただ、発見から約20年が経って連続的な観測データが揃ってくると、X7がG天体とは異なる性質を持つことが判明しました。例えば、G天体はいて座A*への最接近時に形状が引き延ばされるものの、それでもほとんど点のような大きさをしています。一方、X7は最接近のはるか前から引き延ばされていて全体がほぼ同じ明るさを示す線状の物体として識別されます。このため、X7の正体はどのようなものであるのかが議論の対象になっていました。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAnna Ciurlo氏らの研究チームは、謎の天体X7の正体を探りました。X7の正体にはいくつかの手掛かりがあります。例えば、X7の公転周期は約165年ですが、最接近時にいて座A*に吸い込まれてしまうことから、形成された時期は200年前未満だと推測されます。また、2020年に取得された画像からは、X7が断片化している可能性が示されていました。


今回の研究では、以下の可能性は低いと推定できました。まず、推定されるX7の軌道は、銀河中心部にある巨大なガスの塊や、いて座A*を公転する恒星とは交差しないため、これらが起源の可能性を低くします。次に、恒星になる前のガスの塊である可能性は、X7の観測値や物理モデルとは適合しません。また、X7の独特の形状はいて座A*の潮汐力だけで十分説明可能で、いて座A*からの強力な放射や磁場の影響は低いとみられることから、電荷を持たない普通の粒子状物質……つまりG天体で推定されているようなガスや塵の塊である可能性を強くします


X7とG3の軌道
【▲ 図3: X7とG3の軌道。その軌道は非常に類似していることが明らかにされ、恐らくは共通の起源を持つことが今回の研究で推定されました(Credit: Anna Ciurlo/UCLA)】

そして重大な手掛かりとして、X7は「G3」と名付けられているG天体のひとつと軌道が似ていることが明らかになりました。このことから、X7とG3は共通の起源を持つと推測されます。しかし、その一方でX7とG3は特徴が異なるため、細かな性質は異なると考えられます。

Ciurlo氏は他の可能性を除外した上で、X7とG3の起源は恒星の衝突ではないかと推定しました。この場合、G3にはガスに包まれて見えない恒星があると推定されます。一方、X7は衝突時にはじき出されたガスの塊であり、その内部に天体は存在しないと推定されます。こうしたガスの塊の中身の違いが、他のG天体とは異なるX7の性質の源であると推定されます。

今回の研究では、X7の正体と起源をある程度まで推定できたものの、決定的とは言えません。X7の正体を探るには、2036年の最接近時を含めた継続的な観測が必要となります。その時には、X7はいて座A*の潮汐力によって更に劇的な形状に変化することが予測されます。X7の正体は、今後のさらなる観測で判明するかもしれません


2023-03-09
Soraeより

天の川銀河 に隠された銀河

Posted by moonrainbow on 25.2022 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河の “裏側” に隠された銀河を発見

天の川銀河1
【▲ 参考画像:天の川銀河(Credit: NASA/Serge Brunier )】

夜空に輝く美しい天の川は、天文学にとっては時に邪魔な存在でもあります。天の川は、太陽系が属している天の川銀河 (銀河系) を構成する円盤状の構造「銀河面」を、内側から横向きに観ているものです。ここには天の川銀河に属する無数の星々の他に、ガスや塵などが大量に存在するため、遠くにある星の光が遮断されてしまいます。また、ある星が地球の近くにある暗い星なのか、それとも地球から遠くにある明るい星なのか、という単純なことでさえも計測が難しくなることもあります。このような天球上の場所を「銀河面吸収帯 (ZoA, Zone of Avoidance)」と呼びます

ただし、銀河面で見通しが効かないのは可視光線で観測を行う場合の話であり、他の波長では状況が違うこともあります。近赤外線や電波による天体観測が行われるようになってからは、銀河面吸収帯の多くの領域が見通せるようになりました。

それでもなお、銀河の中心部に存在する「銀河バルジ」は攻略が困難でした。物質が高密度で集中しているこの領域は、近赤外線でも観測が難しいことで知られています。このため、天球全体のうち約10%は、天の川銀河の背後を見通せない未知の領域として残されていました。

サンファン国立大学、リオグランデ・ド・スル大学、アンドレス・ベーリョ国立大学などの国際研究チームは、銀河バルジに隠された未知の領域を観測する「VVVサーベイ」の成果を公表しました。観測領域がとても広いため、今回の観測では空間的な分布を考慮して5つの銀河候補天体に的を絞り、その周辺部に何があるのかが調査されました


58個の銀河候補天体
【▲ 図1: 今回発見された58個の銀河候補天体が右側に一覧化されている。番号が振られている5個の天体は、この領域を観測するために最初に決定された銀河候補天体(Credit: Galdeano, et.al.)】

その結果、先述の5つの銀河候補天体を含む、58個の銀河候補天体が見つかりました。平均的な赤方偏移の値から、これらの銀河のいくつかは約30億光年先にあると推定されています。これは過去の観測結果や、銀河の分布に関する理論的な推定と一致します。

また、 “宇宙はどこを切り取っても同じような構造が続いている” とする「宇宙原理」の観点からも、理にかなっている結果です。従来は観測が困難だった領域にも何らかの大規模構造があったことは予想通りだと言えますが、「予想通り存在すること」を発見したことこそが今回の成果における重要なポイントであるとも言えます


58個の銀河候補天体1
【▲ 図2: 58個の銀河候補天体の赤方偏移の値。計測できたもののいくつかを平均すると、赤方偏移の値が0.225となり、これは銀河候補天体が地球から30億光年離れた位置にあることを意味している。(Credit: Galdeano, et.al.)】

ただし、 今回発見された銀河候補天体のいくつかには、観測値の不確かさが大きいという問題もあります。また研究チームは、今回発見された銀河候補天体が重力的に結合した銀河団を形成していると推定していますが、今のところそれを決定する強い証拠はありません。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡など、他の赤外線望遠鏡による観測で、これら銀河候補天体の詳細が明らかになるかもしれません

Source

Daniela Galdeano, et.al. “Unveiling a new structure behind the Milky Way”. (arXiv)

2022-11-20
Soraeより

宇宙線を妨げる謎の障壁

Posted by moonrainbow on 16.2022 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河の中心に「宇宙線を通さない謎の障壁」がある可能性が指摘される

宇宙線を妨げる謎の障壁

さまざまな星が浮かぶ宇宙空間には、中性子線やX線などの宇宙線が飛び交っています。この宇宙線は天の川銀河の中心部から大量に発せられていことが知られているのですが、銀河の中心部には「宇宙線を妨げる謎の障壁」が存在する可能性が、調査により突き止められました

我々人類も生息している天の川銀河の中心部には、強力な宇宙線を発するブラックホールが存在すると考えられています。これに関し、銀河のどの部分から宇宙線が発せられるのかを突き止めようと、中国科学院の天文学者Xiaoyuan Huang氏が率いる研究チームはフェルミガンマ線宇宙望遠鏡から得られるデータを使用して研究を行いました。

研究チームの計算により、銀河の中心部が間違いなく宇宙線を発していることや、粒子加速器の役割を果たしていることなどが確認されたほか、「中心部の宇宙線の密度が周りよりも低い」ということが確認されたとのこと


宇宙線を妨げる謎の障壁1

研究チームによると、銀河の中心には水素ガス等でできた分子雲が浮かんでおり、分子雲内部の宇宙線の密度が周りに発せられた宇宙線の密度よりも低くなっているとのこと。このことから、研究チームは「宇宙線が分子雲を通過することを妨げる、何らかの障壁が存在する可能性がある」と推測しています。

宇宙線の乱れは太陽が発する太陽風でも見られることから、同様の現象である銀河風がこの障壁の正体なのではと研究チームは推測。中心部をモデル化したもので銀河風を考慮し再計算したところ、観測値と同様の結果を得られたとのことです。研究チームは、銀河風以外に分子雲自体が障壁となっている可能性や、電磁流体力学特有の乱流などが考えられると述べています


宇宙線を妨げる謎の障壁2


天の川銀河中心で光速の30%で回るガス塊

Posted by moonrainbow on 05.2022 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河中心で光速の30%で回るガス塊

熱いガス塊
ガス塊の位置と軌道
超大質量ブラックホール「いて座A*」の静止画に、アルマ望遠鏡のデータから予測される熱いガス塊の位置とその軌道を示した図(提供:EHT Collaboration, ESO/M. Kornmesser (Acknowledgment: M. Wielgus))

天の川銀河中心の超大質量ブラックホール「いて座A*」の周りを光速の30%という猛スピードで回るガスの塊があり、それがX線などで観測されるフレアの発生源となっていることがわかった

アルマ望遠鏡は2017年4月に、世界の8つの電波望遠鏡をつないだ「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」の一部として、天の川銀河の中心に存在する超大質量ブラックホール「いて座A*」を観測した。その成果としてブラックホールシャドウの姿がとらえられた一方、アルマ望遠鏡単独の観測データからも驚くべき情報が得られた。

「おそらく、私たちが見ているのは、いて座A*の周りを回る熱いガスの塊です。その軌道の大きさは水星と同程度ですが、わずか70分でぐるりと一周します。そのためにはすさまじい速度、光速の30%が必要です!」。こう語るのはEHTコラボレーションの一員で独・マックスプランク電波天文学研究所のMaciek Wielgusさん。Wielgusさんが率いる研究チームは、アルマ望遠鏡がとらえた電波の偏光(波の振動面が特定の向きに偏る傾向)とその時間変動を分析した。偏光は強力な磁場によって発生するので、その観測からは、いて座A*周囲の磁場やその中で動く物体の情報が得られる。

アルマ望遠鏡による観測の一部は、いて座A*がX線で急激に明るくなる「フレア」を起こした直後に行われている。このとき赤外線でもフレアが観測され、その発生源が光速の30%で公転する熱いガス塊内の磁気相互作用だとする研究結果が発表されており、今回の電波による観測はこれを裏付けた。

「おそらく、赤外線の波長で検出されたホットスポットは、同じ物理現象の一部です。赤外線を発するホットスポットが冷えると、さらに長い波長(電波)で見えるようになり、アルマ望遠鏡やEHTで観測できるわけです」(オランダ・ラドバウド大学 Jesse Vosさん)

今後研究チームは、軌道上のガスの塊をEHTで直接観測し、ブラックホールにどこまでも迫ってより多くを知りたいと意気込んでいる。「いつの日かきっと、いて座A*で何が起こっているかを『知っている』と自信を持って言える日が来るでしょう」(Wielgusさん)


2022年9月30日
AstroArtsより
 

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