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超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」を周回する恒星「S0-2」

Posted by moonrainbow on 10.2019 天の川   0 comments   0 trackback
すばる望遠鏡が超大質量ブラックホールを利用した一般相対性理論の検証に貢献

恒星「S0-2」の想像図
超大質量ブラックホール「いて座A*」を周回する恒星「S0-2」の想像図

国立天文台ハワイ観測所は2019年7月25日、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のAndrea Ghez氏らによる一般相対性理論の検証を目的とした研究に「すばる望遠鏡」が用いられたことを発表しました。研究内容は論文にまとめられ、同日付でサイエンス誌に掲載されています

Ghez氏らの研究チームは一般相対性理論を検証するために、天の川銀河の中心に存在が確実視されている超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」を周回する恒星「S0-2」(S2とも)を観測し、その光の波長を調べることに挑戦しました

太陽よりも重く明るいB型の恒星であるS0-2は、いて座A*の至近距離を彗星のような楕円軌道を描きつつ16年かけて周回しています。最も接近するときの距離はわずか120天文単位(1天文単位は地球から太陽までの距離に由来)ほどで、その動きはいて座A*の質量が太陽のおよそ400万倍であると推定する際にも利用されました

アルバート・アインシュタインの一般相対性理論によると、ブラックホールの近くを通過する電磁波は、強大な重力によって波長が伸ばされてしまいます。可視光線(人の目に見える光)の場合はより赤に近い色合いに変化することから、こうした現象は「赤方偏移(redshift)」と呼ばれます(なお、赤方偏移は「天体が地球から遠ざかる方向に運動する」ときにも生じます)

そこで注目されたのが、いて座A*に接近するS0-2です。光の速さで17時間しかかからない距離にまで接近するS0-2ともなれば、赤方偏移の影響はより強いものとなるはず。S0-2が発した光の波長を分析すれば、一般相対性理論を検証できるのではないかと考えられたのです

今回Ghez氏らは、2018年3月から9月までの期間にS0-2がいて座A*に最接近するのに合わせて、ハワイの「ケック望遠鏡」、「ジェミニ北望遠鏡」、そしてすばる望遠鏡を使ってS0-2を観測。1995年から続けてきた観測データとあわせて赤方偏移を分析したところ、一般相対性理論を証明する結果が得られたのです

なお、超大質量ブラックホールを周回する恒星を使った一般相対性理論の検証は、S0-2だけでは終わりません。Ghez氏が注目している別の恒星「S0-102」は、いて座A*をS0-2よりも短い11年半ほどで周回しています。今後はこうした恒星の観測を通じて一般相対性理論の検証が続けられることになるでしょう

Image Credit: NICOLLE R. FULLER, NATIONAL SCIENCE FOUNDATION

2019/7/29
Soraeより

100億年前に天の川銀河と銀河「ガイア・エンケラドス」が衝突

Posted by moonrainbow on 04.2019 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河は100億年前に別の銀河「ガイア・エンケラドス」を吸収していた

100億年前の若き天の川銀河に衝突
100億年前の若き天の川銀河に衝突するガイア・エンケラドス(左)と、現在の天の川銀河(右)の想像図(画像内の表記はスペイン語)

カナリア諸島にあるカナリア天体物理研究所(IAC)は2019年7月22日、天の川銀河初期の歴史に迫った同研究所のCarme Gallart氏らによる研究内容を紹介しました。研究結果は論文にまとめられ、Nature Astronomyから同日付で発表されています

2018年11月、オランダ・フローニンゲン大学のAmina Helmi氏らによる「100億年前に天の川銀河と別の銀河が衝突した」とする研究結果が発表されました。欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ガイア」の観測データを使って天の川銀河の恒星の動きを調べたところ、100億年前の天の川銀河に小さな銀河が衝突した歴史が明らかになったのです。天の川銀河に衝突し吸収された小さな銀河は、研究チームによって「Gaia-Enceladus(ガイア・エンケラドス)」と命名されました

この昨年発表された研究では、銀河の円盤部を球状に取り囲む「ハロー」に存在する恒星のうち3万個の青い恒星が示した独特な動きから、100億年前の衝突が割り出されました。今回のGallart氏らの研究チームもガイアの観測データを使っていますが、ハローに存在する恒星の動きだけでなく、明るさ、色、それに恒星が発した光を分析することで得られる金属元素の比率も詳しく調べられています

研究の結果、天の川銀河のハローには100億歳以上の恒星がたしかに存在していることが判明しただけでなく、青い恒星とその他の恒星では金属元素の比率が異なることもわかりました。金属元素の比率の違いは生まれた場所が異なることを示唆するため、天の川銀河のハローには「同じ時代に宇宙の別々の場所で生まれた2種類の恒星が存在する」ことになります。この事実から、恒星の運動によって明らかになった100億年前の銀河衝突が裏付けられたのです

なお、100億年前に天の川銀河と衝突したガイア・エンケラドスのサイズは大小マゼラン雲と同程度、現在の天の川銀河の10分の1くらいだったと見られています

ただ、当時は天の川銀河自体も今より小さかったため、ガイア・エンケラドスとの比率は4対1程度でしかなく、衝突は大きな変化をもたらしました。双方の銀河が抱えていたガスが合体後の円盤部に落ち着き、およそ60億年前までは星形成活動の活発な時期が続いたと見られています

Early days of the Milky Way



Image Credit: Gabriel Pérez Díaz, SMM (IAC).

2019/7/29
Soraeより

天の川銀河中心の棒状構造

Posted by moonrainbow on 24.2019 天の川   0 comments   0 trackback
1億5000万個もの恒星の位置を調べて浮かび上がった”天の川銀河中心の棒状構造”

天の川銀河

欧州宇宙機関(ESA)は2019年7月16日、宇宙望遠鏡「ガイア」が観測した多数の恒星の位置情報をもとに天の川銀河の中心構造を捉えることに成功したとする、バルセロナ大学のFriedrich Anders氏らによる研究成果を発表しました
天の川銀河の想像図に再解析された「ガイア」の観測データを重ね合わせたもの

恒星が集まった渦巻腕と呼ばれる構造を持つ銀河を「渦巻銀河」と呼びますが、天の川銀河はそのなかでも「棒渦巻銀河」に分類されます。中心部分に棒状の構造を持つことから棒渦巻銀河と呼ばれるのですが、天の川銀河の外に出ることは今の人類にはできないため、実際にどのような構造をしているのか直接見ることはできません

今回、Anders氏はAnna Queiroz氏とともに開発したプログラムを使い、ガイア宇宙望遠鏡による観測データを解析しました。ガイアは天体の位置や運動について調べるアストロメトリ(位置天文学)に特化した宇宙望遠鏡で、2018年にはガイアが観測した17億にも及ぶ天体の位置情報を元にした、高精細な銀河系の全天画像が公開されています

全天画像
ガイアの観測データから作成された全天画像(Credit: ESA/Gaia/DPAC)

ガイアのデータと他の手段で観測された可視光線や赤外線のデータをあわせて解析した結果、およそ1億5000万個の恒星までの距離をより正確に割り出すことが可能となり、天の川銀河の中心部分で棒状に分布する恒星の様子を立体的に描き出すことに成功したのです

こちらは、今回その位置が調べられた1億5000万個の恒星の分布を示した画像。黄色やオレンジの部分ほど星の密度が高いことを意味します(ESAの公式YouTubeアカウントで公開されている動画より)。太陽系は放射状に広がって見える分布の中心部分、ひときわ密度が高いところに位置します

天の川銀河の中心部分
中央の斜めに見える棒状構造が天の川銀河の中心部分(YouTubeに公開されている動画より)

太陽系に近いほど観測しやすいので位置が判明している恒星の数も膨大ですが、画像の中央には恒星が棒のようにまとまっている部分があり、太陽系から同じくらい離れた他の領域よりも明らかに密度が高くなっている様子が見て取れます。これこそが、天の川銀河の中心に存在する棒状の構造を示しているのです

ガイアは現在も観測を続けていて、2021年にはより多くの天体に対する観測結果が公開されることになっています。銀河の正確な構造を把握できるようになることで、外から観測できない天の川銀河がどのように形成され進化してきたのか、その歴史を明かす糸口になることが期待されています

Revealing the galactic bar



Image Credit: ESA/Gaia/DPAC, A. Khalatyan(AIP) & StarHorse team(データ)/NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (SSC/Caltech)(天の川銀河のマップ)

2019/7/17
Soraeより

天の川銀河を取り囲むハローの半径が約52万光年

Posted by moonrainbow on 04.2019 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河の最遠端が見えてきた

天の川銀河の概念図
今回の研究から明らかになった天の川銀河の概念図

すばる望遠鏡による広域観測データから、天の川銀河の円盤部分を取り囲むハローの半径が約52万光年と見積もられました

私たちが住む天の川銀河は大きく分けて、「天の川」にあたる銀河の円盤部と、それを取り囲むハローと呼ばれる広大な領域から構成されています。円盤には年齢が数十億歳と比較的若い星が1000億個ほど分布しています。一方のハローには、年齢が120億年前後の最長老の星が約10億個と、主にこうした老齢の星からなる球状星団が150個ほど存在しています

つまり、ハローには天の川銀河の形成初期に生まれた星があり、形成当初の銀河は現在に比べてとても大きな状態だったことになります。これは天の川銀河が初期に多くの小銀河の合体を経て形成され、その痕跡が年齢の古い星の広がった分布として残っているからです

ハローがどこまで広がっているのかを調べることは、天の川銀河の形成の歴史を知る手がかりとなります。そのためには、ハロー全体に広がり、ハローの端にあっても同定できるような明るい目印となる星を使うと便利です。そのようなものの一つとして、青色水平分枝星と呼ばれるタイプの星があり、これまでにもハローの地図作りに利用されてきました。青色水平分枝星は、太陽よりも軽く年齢が古く進化が進んだ天体で、絶対等級が明るく星の色に関係なくほぼ一定であり、星の色等級図中で水平な分布を示すことからこの名前で呼ばれています

東北大学の福島徹也さんたちの研究チームでは、すばる望遠鏡の超広視野焦点カメラ「HSC(Hyper Suprime-Cam)」で取得されたデータの解析から、ハローにおける青色水平分枝星の大域的な分布を解明しました。ハローの端にあって見かけ上暗く、しかも数も少ない星を発見するためには、大口径のすばる望遠鏡と広視野のHSCの組み合わせは非常に適したものです

研究チームでは、青色水平分枝星と他の点源天体とを区別するためのプログラムを開発し、これによって約120万光年の距離まで星の性質を詳しく調べられるようになりました。従来の地図作りでは32万光年くらいまでしか到達できていなかったため、4倍遠くまで分析できるようになったことになります

研究の結果、青色水平分枝星の数密度は銀河中心から遠ざかるにつれて減少する傾向が見られ、半径約52万光年(銀河中心から太陽系までの距離の約20倍)あたりで数密度が激減していることが明らかになりました。このあたりがハローの境界となっている可能性が高いと考えられます

天の川銀河の円盤部分を取り囲むハローの半径
天の川銀河のハローにおける青色水平分枝星の数密度分布。赤い実線が今回得られた青色水平分枝星の分布。他の色の線は先行研究の結果。こと座RR型変光星(ハローなどの古い恒星系に存在する典型的な変光星)も類似研究でよく利用されるタイプの天体(提供:東北大学、以下同)

共同研究者の千葉柾司さん(東北大学)は、このようなハローの分布は、銀河形成の初期に矮小銀河が合体を繰り返し壊されながら天の川銀河が形成される過程を反映したものだと指摘しています。今回明らかにされたハローの空間的な大きさは、天の川銀河を包むダークマターの広がり(「ダークハロー」とも呼ばれる領域)に匹敵しており、銀河が矮小銀河を含む小さなダークハローの合体によって形成される過程を理解する上で大変重要な要素になります

天の川銀河の近傍に位置するアンドロメダ座大銀河では、中心から約53万8000光年の距離までハロー領域が広がっていることが確認されています。アンドロメダ座大銀河のハローと天の川銀河のハローは様々な面で違っており、両銀河がそれぞれ異なる合体史を経て形成されたことを反映していると考えられています

今回の研究成果は、すばる望遠鏡による広域観測サーベイの途中段階のデータから得られたものだ。今後、さらに多数の青色水平分枝星がハローに検出されることでハローの地図が精密化され、天の川銀河の形成史に関する重要なヒントが得られることが期待されます

2019年6月26日
AstroArtsより

天の川銀河の中心の超大質量ブラックホールを取り囲むガス

Posted by moonrainbow on 16.2019 天の川   0 comments   0 trackback
アルマ望遠鏡が天の川銀河のブラックホールを取り囲む”リング状のガスの流れ”を初観測

天の川銀河中心の超大質量ブラックホールをリング状に取り囲むガスを描いた想像図
天の川銀河中心の超大質量ブラックホール「いて座A*」をリング状に取り囲むガスを描いた想像図

アメリカ国立電波天文台は2019年6月5日、プリンストン高等研究所に所属するElena Murchikova氏らのチームによる南米チリの「アルマ望遠鏡」を使った観測で、天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」を取り囲む冷たいガスがリング状の構造を形作っている様子を初めて捉えることに成功したと発表しました

いて座A*は地球からおよそ2万6000光年離れており、質量は太陽の約400万倍。その周囲は、いて座A*の強大な重力に引かれてさまよう恒星やガスで混沌としています。地球から観測しようとすると恒星や星間物質などが集まる銀河円盤に沿って見通さざるをえないため、いて座A*とその周辺の様子はまだはっきりとは把握されていません

ブラックホールに引き寄せられたガスや塵などの物質は、その周囲に降着円盤と呼ばれる構造を形成します。いて座A*もブラックホールなので降着円盤を伴っていると予想されますが、熱いガス(摂氏およそ1000万度)が放つX線を利用した従来の観測ではいて座A*から0.1光年程度の距離までにしか迫ることができず、ガスが球状に広がるところまでしか捉えられていませんでした

今回のアルマ望遠鏡を使った観測では、冷たいガスから放たれた弱い電波をキャッチすることで、いて座A*からおよそ0.01光年の距離まで迫り、その周囲を冷たいガスがリング状に回転しながら取り囲んでいる様子を捉えることに成功しました

画像は、いて座A*周辺に存在する冷たいガスをアルマ望遠鏡が捉えたもの。冷たいとはいっても、ガスの温度は太陽の表面温度よりも高い摂氏およそ1万度に達しています

中央の白い十字が、いて座A*の場所を示しています。色はガスの動きを表していて、青いガスは地球に向かうように、赤いガスは地球から遠ざかるように動いています。画像に向かって、いて座A*の右下のガスは手前側へ、左上は向こう側へ動いていることから、冷たいガスがいて座A*を中心に回転運動している様子がわかるというわけです

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アルマ望遠鏡が捉えた、いて座A*周辺に広がるガスのリング状の構造(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), E.M. Murchikova; NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello)

地球に最も近い超大質量ブラックホールでありながら、まだまだ謎の多いいて座A*。Murchikova氏は、ガスがいて座A*に付着していく様子を引き続き観測していくとコメントしています

Image credit: NRAO/AUI/NSF; S. Dagnello

2019/6/7
Soraeより
 

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