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天の川銀河中心部の「複雑な磁場環境」

Posted by moonrainbow on 15.2024 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河中心部の「複雑な磁場環境」、最新地図で明らかに

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天の川銀河中心部の磁場の分布を示した最新画像。背景の三色画像はハーシェル宇宙天文台とMeerKAT電波望遠鏡のデータを使用(Villanova University/Paré, Karpovich, Chuss (PI))

銀河規模の磁場は長年、不明な点が多いままだ。だが、今回発表された天の川銀河(銀河系)最内部の最新地図を利用すれば、銀河系内の構造と星形成の制御において磁場が果たす役割について、より深い理解を得ることができる。この地図では、銀河系の中心に位置する超大質量ブラックホール、いて座A*からそれほど遠くない範囲に焦点を当てている

実際のところ、銀河の磁場によって星形成がどのように阻害される可能性があるかについては、これまで十分に理解されていない。

米ビラノバ大学が主導する国際研究チームは、米国航空宇宙局(NASA)とドイツ航空宇宙センター(DLR)が共同開発した飛行機搭載天文台SOFIA(遠赤外線天文学成層圏天文台)を用いて、塵(固体微粒子)が大量に存在する銀河系の内部領域を観測した。

NASAから一部資金提供を受けたこの研究では、2020~2021年に実施した9回の飛行で遠赤外線観測データを収集した。SOFIAはすでに2022年9月に運用を終了している。

研究チームを率いたビラノバ大物理学部の学部長のデービッド・チャスによると、銀河中心は銀河系の中で他に類を見ない領域で、他に比べて密度が高くて速度が大きく、そこで磁場によって行われていることは他の領域では見られないという。

今回の地図は、銀河中心部の塵の相における磁場のまったく新しい様相であり、動力学と磁場との間の複雑な相互作用を示していると、チャスは説明する。これにより、銀河中心の動力学に磁場がどのような影響を与えているかに関する新たな理解を得ることが可能になるという


■銀河中心分子雲帯(CMZ)内部の低温の化学

銀河中心分子雲帯(CMZ)の内部は、分子を形成できるほどの低温のため、さまざまな種類の分子も存在する。

探査はどのような方法で実行されたのか。

ビラノバ大によると、ボーイング747型航空機に口径2.5mの天体望遠鏡を搭載した、高度約1万4000mを飛行するSOFIAを主に用いて、銀河系中心部の磁場の地図を作成した。

観測プロジェクト「FIREPLACE(遠赤外線偏光による広範囲CMZ探査)」で作成されたこの地図は、SOFIAを用いて得られた過去最大規模のものだ。

南アフリカにあるMeerKAT低周波電波干渉計と欧州宇宙機関(ESA)のハーシェル宇宙天文台の多波長観測アーカイブデータを組み合わせて利用し、研究チームは銀河系最内部のこれまでで最も詳細な地図を作り上げた


銀河中心500光年以内の塵粒子が放つ遠赤外線を観測

この探査は当初、CMZ全体で赤外波長域の磁場にどのような違いがあるかという問題に取り組むために提案されたと、今回の研究をまとめた論文の執筆者らは指摘している。論文は天文学誌The Astrophysical Journal(APJ)に投稿された。

FIREPLACEは、銀河系の中心500光年以内にある低温の塵粒子から放射される遠赤外線を観測する。塵粒子はこの領域の磁場によって整列している。

観測では、磁場の強さと向きのデータ約6万5000個が得られたと、APJに投稿された論文の筆頭執筆者で、ビラノバ大天体物理学科の博士課程修了研究者のディラン・パレは、取材に応じた電子メールで語っている。

磁場の強さと向きに関する情報は、赤外光の偏光(光の振動面が偏っている)状態を測定することで得られると、チャスは説明した。

磁場は、どのように整列しているのだろうか。

パレによると、磁場は銀河面(銀河系円盤の中央部)に平行な方向と垂直な方向の2方向に選択的に整列している。この2つの方向は、銀河系中心部の異なる構造と結び付いているという。

平行方向は、この領域内の分子雲の分布に一致しているのに対し、垂直方向は、銀河系中心部の全域に見られる特異な糸状構造体の分布と一致している。今回の観測結果により、この領域の磁場が整列する仕組みに関する知見をはるかに向上させることができると、パレは指摘している


■磁場はなぜ重要なのか?

チャスによると、磁場は星形成にとって重要だが、星形成は非常に非効率的だ。

恒星は天の川銀河にある塵の雲が収縮して形成されるが、この過程は観測されるよりもはるかに速いペースで起こるはずだという。星形成がこれほど非効率的である原因の1つは磁場だと、チャスは指摘する。なぜなら、磁場が圧縮されると反発することで、星を形成する雲の収縮を妨げるように作用する可能性があるからだと、チャスは説明している。

今後の研究の展望についてはどうだろうか。

パレによると、今回のFIREPLACE観測における磁場の分布が、どのような物理的過程に基づいているかに関しては、まだ明らかになっていない。今後の研究では、この領域にあるさまざまな構造に磁場がどのように結び付いているかについて、さらに分析を進める予定だ。これにより、磁場が銀河系中心領域をどのように形作り、どのような影響を及ぼしてきたかに関する理解がさらに深まるに違いないと、パレは話している


2024年4月11日
Forbes JAPANより

天の川銀河に降る水素ガス雲

Posted by moonrainbow on 12.2024 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河に降る水素ガス雲は外からやって来た

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中速度雲の重元素量地図
今回得られた中速度雲の重元素量地図。全天の4分の1のエリアを描いたもの。太陽系周辺のガスの重元素量を1(黄緑)として、それより重元素が少ないガスは青、重元素が多いガスは赤で示している。丸印はこれまでに吸収線の観測から重元素量の測定が行われた箇所。今回の研究によって情報量が飛躍的に増えた

天の川銀河の円盤に落下しつつある水素ガス雲の重元素量が初めて全天で求められた。落下速度が遅い「中速度雲」の大半は、定説とは違い銀河外から来たガス雲のようだ

私たちが住む天の川銀河は、暗黒物質を除くと星と大量のガスで構成されていて、そのガスのほとんどは水素原子だ。電離していない「中性水素原子」は波長21cmの電波(21cm線)を放射するため、この電波を観測すると、中性水素ガスの量や視線方向の運動速度を知ることができる。

地球からの観測で見える天の川銀河の中性水素ガス雲は、ほとんどが銀河円盤とともに回転運動しているが、一部には銀河円盤の回転と全く違った運動をするガス雲もある。そのようなガス雲の多くは銀河ハローにあって、銀河円盤に向かってほぼ垂直に落ち込むような速度を持っている。銀河円盤に落下するガス雲のうち、速度が約30~100km/sのものは「中速度雲」、100km/s以上のものは「高速度雲」と呼ばれる。こうしたガス雲は、天の川銀河自体の進化にも深く関わっていると考えられるが、不明な点も多い


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天の川銀河の構造
銀河円盤を横から見た天の川銀河の模式図。直径約10万光年の銀河円盤に、太陽などの恒星や星間ガスが集中している。高速度雲・中速度雲の大半は、円盤外の銀河ハロー部分にあって、円盤に向かって落下しつつあると考えられている(提供:名古屋大学リリース、以下同)

中性水素ガス雲の起源を考える上で重要な情報の一つが、ガス雲にわずかに含まれる重元素(=水素・ヘリウム以外の元素)の量だ。重元素は星の内部の核融合反応や超新星爆発の過程でのみ作り出されるため、一般的には、天の川銀河の中を循環するガスは重元素が多く、銀河の外から飛来するガスは重元素をあまり含まない。

中速度雲と高速度雲の重元素量については、ガス雲を通して遠くの明るい銀河や恒星の光を観測し、そのスペクトルに生じる「吸収線」から量を見積もる研究が行われてきた。その結果、中速度雲の重元素量は太陽系周辺のガスとほぼ同程度だとされ、銀河円盤のガスが超新星爆発などで吹き飛ばされ、数千光年の高度から再び銀河面に落下しつつあるのが中速度雲だという「銀河系噴水モデル」が提唱されてきた。一方、高速度雲の重元素量は太陽系周辺の10分の1程度しかないため、高速度雲の正体は始原的なガスが天の川銀河の外部から降り積もりつつあるものだと考えられてきた。

ただし、こうした観測を行うにはガス雲の背景に「光源」となる明るい銀河や星がなければならないため、観測例は数十にとどまっていて、2000年以降はほとんど研究が進んでいない。

名古屋大学の早川貴敬さんと福井康雄さんは、2015年ごろからヨーロッパ宇宙機関の宇宙背景放射観測衛星「プランク」の研究チームに参加し、サブミリ波を放射する星間塵(ダスト)と21cm線を放射する中性水素原子の全天分布を比べることで、中性水素原子の量を精密に求める手法を開拓した。2人は今回、この手法を応用して天の川銀河の中速度雲と高速度雲の重元素量を調べた


川さんたちは「プランク」の観測で得られた2種類のサブミリ波のデータから、全天でのダストと中性水素の比率を表す精密な地図を作成した。ダストは重元素が主成分で、重元素が多い場所にはダストも多いと考えられるため、この比率をガス雲の「重元素:中性水素」の比と見なすことができる

分析の結果、中速度雲については「太陽系周辺のガスと重元素量がほぼ同じ」という定説をくつがえし、大半が重元素量の少ない始原的なガスであるらしいことがわかった。

この結果について、早川さんたちは、中速度雲も元々は銀河外起源の始原ガスであり、高速度雲が銀河円盤のガスと相互作用して減速し、混ざりつつある段階のものが「中速度雲」として見えているのだと考えている。この解釈の方が、中速度雲だけを「噴水モデル」で説明するよりも単純で、銀河の進化を統一的に説明できる。さらに、天の川銀河以外の銀河に付随するガス雲についても、同じように起源を説明できるかもしれないという


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ガス雲の重元素量
太陽系周囲のガス(a)、中速度雲(b)、高速度雲(c)の重元素量と存在確率。グラフが左に寄っているほど重元素が少ないガス雲が多いことを示す。中速度雲の重元素量が、「太陽系周囲のガスとほぼ同じ」というこれまでの定説よりも明らかに少ない

2024年3月7日
AstroArtsより

「天の川銀河」の外側の回転は遅い

Posted by moonrainbow on 17.2024 天の川   0 comments   0 trackback
「天の川銀河」の外側の回転は遅いと判明 中心部の暗黒物質は少ない可能性

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天の川銀河の想像図と地図

銀河の回転速度は重力の法則によって予測されるものとは異なることが知られており、「銀河の回転曲線問題」と呼ばれています。この問題は数多くの銀河で測定されていますが、観測上の困難さから、私たちが住んでいる「天の川銀河」での正確な測定はこれまで実現していませんでした

マサチューセッツ工科大学のXiaowei Ou氏などの研究チームは、12万個以上もの恒星のデータを下敷きに、3万個以上の恒星の移動速度を推定し、天の川銀河の回転速度を推定しました。その結果、銀河外縁部の回転速度が予想以上に遅いことが判明しました。この結果が正しい場合、天の川銀河の中心部には予想よりも少ない量しか「暗黒物質(ダークマター)」が含まれていないことになります

■宇宙論の主要な謎「銀河の回転曲線問題」とは

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銀河「M33」の回転曲線。理論的に予測される回転曲線 (点線) は、観測で示された回転曲線 (実線) とは大幅にずれています

ある重力源を中心として天体が公転する場合、その速度は重力源の強さと距離によって決まることは、1619年にヨハネス・ケプラーによって「ケプラーの第3法則」として示されています。例えば太陽系の場合、水星は約47km/sで公転していますが、地球は約30km/s、海王星は約5km/sと、太陽から遠ざかるに従ってどんどん遅くなっています。

これは銀河に対しても当てはまるはずです。銀河は多数の天体が集合し、ある程度の大きさを持っているため、中心部の太陽のみが重力源と見なせる太陽系ほど単純に計算はできませんが、それでも銀河内の各位置での重力の強さは計算できるため、ケプラーの第3法則を基本とした計算が可能となります。この重力の強さは、銀河の明るさを元に、恒星の質量を推定することで得られます


しかし、銀河の恒星の移動速度が観測できるようになった1930年代から1950年代になると、この予測と矛盾する結果が出てくるようになりました。ケプラーの第3法則で計算すると、恒星の移動速度は銀河の中心から離れれば離れるほど遅くなるはずです。しかし実際の観測では、中心付近と外縁部で移動速度がほぼ変化しないという結果が得られました。一部の銀河では、外側に向かうとむしろ移動速度が上昇するという例すら見つかりました。

理論で得られる回転速度のグラフと、実際の回転速度の測定結果のグラフが大幅に食い違うことから、これは「銀河の回転曲線問題」と呼ばれています。回転曲線問題は1970年代にはほぼ確定的な問題となり、現在でも宇宙論における主要な未解決問題の1つとなっています。この問題を解決するために提唱された説はいくつかありますが、最も広く信じられているのは「暗黒物質」の存在です。

回転曲線問題が生じるのは、銀河に含まれる重力源、つまり恒星の質量があまりにも少なすぎるためです。銀河の恒星は様々な波長の電磁波で観測されているため、おそらく見逃しはないはずです。ここで、電磁波では決して見えないものの質量を持つ物質が存在すると仮定すれば、理論と観測それぞれの矛盾は無くなります。この物質が暗黒物質と呼ばれるのは、電磁波では “暗い(ダーク)” ためです。

暗黒物質の存在は銀河の回転速度以外の観測方法でも証拠が見つかっているため、存在すること自体はほぼ間違いないのではないかとされています。一方で、暗黒物質が何でできているのかという正体を探る研究は、何十年も研究されているにも関わらずほとんど進展がありません。いずれにしても、回転速度を通じて銀河に含まれる暗黒物質の量や分布を推定することは、暗黒物質の正体を絞り込むことに繋がります


■「天の川銀河」の回転速度はよくわかっていない

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今回の研究で移動速度が調べられた3万3335個の恒星のプロット図。1つの矢印は、約1600光年の区域内に存在する恒星の移動速度と方向の平均値です

意外なことかもしれませんが、私たちが住んでいる「天の川銀河」の回転速度の測定は困難で、近年まであまり正確な値が測定されていませんでした。前述の通り、銀河の回転速度は恒星の移動速度を元に計算します。天の川銀河以外の銀河にある恒星の場合、地球から恒星までの距離は銀河までの距離とイコールであるため問題にはなりません。

しかし太陽系が属する天の川銀河の場合、恒星までの距離は地球に近いものから遠いものまで様々な値を取ります。地球は天の川銀河の中ほどに存在するため、銀河の外縁部に存在する恒星は地球からの距離も遠くなります。すると、見た目の位置変化がほとんど無くなるため、恒星の移動速度を測定することも難しくなるのです


このため、天の川銀河の回転速度の正確な測定は、恒星の位置や距離を極めて正確に観測し、しかもそのデータが多数揃うことで初めて実現します。今回のOu氏らの研究も、恒星の位置に関する多数の正確な測定データがあってこそ実現したものです。特に利用されたのは、ESA (欧州宇宙機関) が打ち上げた宇宙望遠鏡「ガイア」のデータです。ガイアは多数の恒星を一度に観測し、その正確な位置データを取得しています。今回の研究ではその他に「SDSS(スローン・デジタル・スカイサーベイ)」、「2MASS(2µm全天サーベイ)」、「WISE(広視野赤外線探査機)」の観測データも使用されました

■天の川銀河の外側は遅く回転していることが判明

結果の一部は驚くべきものでした。天の川銀河の回転曲線の大部分は他の銀河と一致しましたが、中心から約6万5000光年以上の外縁部で回転曲線の急速な低下が見られたためです。つまり、天の川銀河の最も外側にある恒星は、他の銀河の測定によって推定された回転曲線とは一致せず、より遅い速度で公転していることが判明したのです。

外縁部の恒星の移動速度を説明するために暗黒物質の存在を仮定した、という前章の説明からすると、これは逆の結果と言えます。つまり、外縁部の恒星の移動速度が遅いということは、その分だけ天の川銀河に含まれる暗黒物質の量が少ないということになります。Ou氏らのシミュレーションによれば、銀河の中心部の暗黒物質の量が従来の予測より少ないと仮定した場合、今回の観測結果を最もよく説明できました。

それを踏まえて再計算をすると、今回の研究では、暗黒物質を含む天の川銀河全体の質量(ビリアル質量)は太陽の1810億倍であると計算されました。これは従来の推定(一般化NFWプロファイル)である太陽の6940億倍に対して約4分の1という大幅に少ない値となります。

今回の結果は従来の研究と比べて大きな違いがあるため、Ou氏らもその取り扱いに困っています。天の川銀河は宇宙にある典型的なタイプの銀河であり、今回の結果は宇宙全体に適用可能なはずだと考えられているからです。今回示された通り銀河に含まれる暗黒物質が真に少ないのか、それとも研究手法に何らかの誤りがあっておかしな結果が導き出されたのか、あるいは修正ニュートン力学のような新たな重力理論の兆候であるのかは誰も分かっていません。Ou氏らは、今回の研究で天の川銀河の回転曲線を得ることが可能なことが示されたため、さらなる改善された計測結果や研究手法によって今回発生した矛盾が解消されるのではないかと期待しています


Source
Xiaowei Ou, et al. “The dark matter profile of the Milky Way inferred from its circular velocity curve”. (Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)
Jennifer Chu. “Study: Stars travel more slowly at Milky

2024年2月10日
sorae 宇宙へのポータルサイより

天の川銀河中心部を撮影

Posted by moonrainbow on 03.2024 天の川   0 comments   0 trackback
ジェームズ・ウェッブ望遠鏡、天の川銀河中心部を撮影…かつてないほど詳細に観測できるようになった(海外

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NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた天の川銀河の中心部。

NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が、天の川銀河中心部の見事な姿を捉えた

混沌としたこの領域は、50万個の星の光できらめき、色鮮やかだ。

JWSTの赤外線を捕捉する能力のおかげで、科学者は天の川銀河中心部をかつてないほど詳細に観測できるようになった。

アメリカ航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が、天の川銀河の混沌とした中心部の色鮮やかできらびやかな姿を、かつてないほど詳細に捉えた。これは宇宙の起源についてより深く理解するのに役立つだろう。

NASAは2023年11月20日、地球から約2万5000光年離れた天の川銀河の中心にある「いて座C」という星形成領域の驚くべき最新画像を公開した。

JWSTの赤外線を捕捉する能力のおかげで、科学者は天の川銀河中心部をかつてないほど詳細に観測できるようになった。

「ウェッブからの画像はすばらしく、そこから得られるサイエンスはさらにすばらしい」と、このプロジェクトの主任研究者であるサミュエル・クロウ(Samuel Crowe)はプレスリリースで述べている。

「大質量星は中心部で重元素を生成する工場だと言える。これについて理解を深めることは、宇宙の起源を学ぶようなものだ」

NASAのプレスリリースによると、この画像には50万個の星が写っている。その中心には形成途中の原始星の燃えるような星団があり、「赤外暗黒雲に囲まれ、焚き火のように光るアウトフロー(ガス流)」を放出している。

画像の青い部分は、電離水素の領域になっている。このような領域は通常、若い大質量星からの高エネルギー光子によって生じるとNASAは説明している。またここには、何の法則性もなく四方八方に伸びる針のような構造も見られる。

この領域はとてつもなく広大で、科学者らはさらなる研究が必要だと考えているという。

このプロジェクトの研究員ルーベン・フェドリアーニ(Rubén Fedriani)は「銀河系中心部は、混雑した騒がしい場所だ。荒れ狂う磁気を帯びたガス雲では、星が形成され、そこから周囲のガスに向けてアウトフローやジェット、放射線が放出され、影響を与える」とNASAのプレスリリースで述べている。

「ウェッブは、この極限的な環境に関する大量のデータを提供してくれた。我々はそれらの分析を始めたばかりだ」


2023年11月28日
BUSINESS INSIDER JAPANより

「S0-6」の謎

Posted by moonrainbow on 14.2023 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河中心の100億歳の星は別の銀河からやってきたか

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S0-6
すばる望遠鏡の補償光学装置(AO188)と近赤外線分光撮像装置(IRCS)で撮影された天の川銀河の中心領域。S0-6はいて座A*から約0.3秒角離れた位置にある(提供:宮城教育大学/国立天文台、以下同)

天の川銀河の中心にある恒星をすばる望遠鏡で観測したところ、この星の年齢が100億歳以上で、別の矮小銀河で誕生したものらしいことが明らかになった

天の川銀河の中心には太陽の400万倍の質量をもつ超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」が存在する。いて座A*が存在することやその質量は、銀河の中心近くにある星々の動きを30年にわたって観測した結果から確認されたものだ。この観測研究に対しては2020年のノーベル物理学賞が授与されている。

大質量ブラックホールの近くではとても強い重力がはたらいているため、星の材料となるガスや塵が集まることができず、星が形成されることはない。つまり、いて座A*の近くに星々が存在すること自体が大きな謎でもある


この謎を解決するため、宮城教育大学の西山正吾さんたちの研究チームは、いて座A*のすぐ近くにある星「S0-6」をすばる望遠鏡で観測した。S0-6は暗く、多くの星が混み合った領域にあるため、研究に必要なデータの収集には8年間をかけた計10回の観測を要した

最初に確認したのは、S0-6が見かけ上ではなく本当にいて座A*の近くにあるということだ。西山さんたちは2014年から2021年にかけてS0-6の運動を測定し、S0-6がいて座A*の強い重力を受けている、つまり実際にS0-6がいて座A*のすぐ近くにあることを確かめた。

研究チームは次に、S0-6の明るさや温度、星に含まれる鉄の量などを調べて、その観測値を理論的なモデル計算と比較した。その結果、S0-6が100億歳以上の老いた星であることがわかった。

最後に、S0-6に含まれる様々な元素の量が調べられた。星の内部で合成される元素の種類や、それらがどの時期にどれくらい作られるのかは銀河によって異なるので、元素の量を調べることで星の生まれ故郷がわかる。研究の結果、S0-6に含まれる元素の比は、天の川銀河の近くにある小マゼラン雲やいて座矮小銀河の星ととても似ていることが明らかになった。S0-6の生まれ故郷が、過去に天の川銀河の周りを回っていた矮小銀河である可能性が高いことを示す結果だ。「S0-6の生まれ故郷の銀河は天の川銀河に取り込まれ、S0-6は天の川銀河の中心にある大質量ブラックホールまで100億年以上の長い旅を経てきたのでしょう」(西山さん)


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S0-6と複数の領域の元素組成の比較図。S0-6は、天の川銀河の円盤部やバルジ部の星よりも、小マゼラン雲やいて座矮小銀河の星と似ている

一方、S0-6が天の川銀河で生まれた可能性もゼロではない。S0-6の特徴は、天の川銀河の中心から6000光年に広がる「バルジ」と呼ばれる構造にある、少し変わった星とも似ているからだ。「S0-6は、本当に天の川銀河の外で生まれたのか。仲間はいるのか、それとも一人旅だったのか。さらなる調査で、大質量ブラックホールの近くにある星の謎を解き明かしたいと思います」(西山さん)

2023年12月8日
AstroArtsより
 

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