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天の川銀河 に隠された銀河

Posted by moonrainbow on 25.2022 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河の “裏側” に隠された銀河を発見

天の川銀河1
【▲ 参考画像:天の川銀河(Credit: NASA/Serge Brunier )】

夜空に輝く美しい天の川は、天文学にとっては時に邪魔な存在でもあります。天の川は、太陽系が属している天の川銀河 (銀河系) を構成する円盤状の構造「銀河面」を、内側から横向きに観ているものです。ここには天の川銀河に属する無数の星々の他に、ガスや塵などが大量に存在するため、遠くにある星の光が遮断されてしまいます。また、ある星が地球の近くにある暗い星なのか、それとも地球から遠くにある明るい星なのか、という単純なことでさえも計測が難しくなることもあります。このような天球上の場所を「銀河面吸収帯 (ZoA, Zone of Avoidance)」と呼びます

ただし、銀河面で見通しが効かないのは可視光線で観測を行う場合の話であり、他の波長では状況が違うこともあります。近赤外線や電波による天体観測が行われるようになってからは、銀河面吸収帯の多くの領域が見通せるようになりました。

それでもなお、銀河の中心部に存在する「銀河バルジ」は攻略が困難でした。物質が高密度で集中しているこの領域は、近赤外線でも観測が難しいことで知られています。このため、天球全体のうち約10%は、天の川銀河の背後を見通せない未知の領域として残されていました。

サンファン国立大学、リオグランデ・ド・スル大学、アンドレス・ベーリョ国立大学などの国際研究チームは、銀河バルジに隠された未知の領域を観測する「VVVサーベイ」の成果を公表しました。観測領域がとても広いため、今回の観測では空間的な分布を考慮して5つの銀河候補天体に的を絞り、その周辺部に何があるのかが調査されました


58個の銀河候補天体
【▲ 図1: 今回発見された58個の銀河候補天体が右側に一覧化されている。番号が振られている5個の天体は、この領域を観測するために最初に決定された銀河候補天体(Credit: Galdeano, et.al.)】

その結果、先述の5つの銀河候補天体を含む、58個の銀河候補天体が見つかりました。平均的な赤方偏移の値から、これらの銀河のいくつかは約30億光年先にあると推定されています。これは過去の観測結果や、銀河の分布に関する理論的な推定と一致します。

また、 “宇宙はどこを切り取っても同じような構造が続いている” とする「宇宙原理」の観点からも、理にかなっている結果です。従来は観測が困難だった領域にも何らかの大規模構造があったことは予想通りだと言えますが、「予想通り存在すること」を発見したことこそが今回の成果における重要なポイントであるとも言えます


58個の銀河候補天体1
【▲ 図2: 58個の銀河候補天体の赤方偏移の値。計測できたもののいくつかを平均すると、赤方偏移の値が0.225となり、これは銀河候補天体が地球から30億光年離れた位置にあることを意味している。(Credit: Galdeano, et.al.)】

ただし、 今回発見された銀河候補天体のいくつかには、観測値の不確かさが大きいという問題もあります。また研究チームは、今回発見された銀河候補天体が重力的に結合した銀河団を形成していると推定していますが、今のところそれを決定する強い証拠はありません。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡など、他の赤外線望遠鏡による観測で、これら銀河候補天体の詳細が明らかになるかもしれません

Source

Daniela Galdeano, et.al. “Unveiling a new structure behind the Milky Way”. (arXiv)

2022-11-20
Soraeより

宇宙線を妨げる謎の障壁

Posted by moonrainbow on 16.2022 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河の中心に「宇宙線を通さない謎の障壁」がある可能性が指摘される

宇宙線を妨げる謎の障壁

さまざまな星が浮かぶ宇宙空間には、中性子線やX線などの宇宙線が飛び交っています。この宇宙線は天の川銀河の中心部から大量に発せられていことが知られているのですが、銀河の中心部には「宇宙線を妨げる謎の障壁」が存在する可能性が、調査により突き止められました

我々人類も生息している天の川銀河の中心部には、強力な宇宙線を発するブラックホールが存在すると考えられています。これに関し、銀河のどの部分から宇宙線が発せられるのかを突き止めようと、中国科学院の天文学者Xiaoyuan Huang氏が率いる研究チームはフェルミガンマ線宇宙望遠鏡から得られるデータを使用して研究を行いました。

研究チームの計算により、銀河の中心部が間違いなく宇宙線を発していることや、粒子加速器の役割を果たしていることなどが確認されたほか、「中心部の宇宙線の密度が周りよりも低い」ということが確認されたとのこと


宇宙線を妨げる謎の障壁1

研究チームによると、銀河の中心には水素ガス等でできた分子雲が浮かんでおり、分子雲内部の宇宙線の密度が周りに発せられた宇宙線の密度よりも低くなっているとのこと。このことから、研究チームは「宇宙線が分子雲を通過することを妨げる、何らかの障壁が存在する可能性がある」と推測しています。

宇宙線の乱れは太陽が発する太陽風でも見られることから、同様の現象である銀河風がこの障壁の正体なのではと研究チームは推測。中心部をモデル化したもので銀河風を考慮し再計算したところ、観測値と同様の結果を得られたとのことです。研究チームは、銀河風以外に分子雲自体が障壁となっている可能性や、電磁流体力学特有の乱流などが考えられると述べています


宇宙線を妨げる謎の障壁2


天の川銀河中心で光速の30%で回るガス塊

Posted by moonrainbow on 05.2022 天の川   0 comments   0 trackback
天の川銀河中心で光速の30%で回るガス塊

熱いガス塊
ガス塊の位置と軌道
超大質量ブラックホール「いて座A*」の静止画に、アルマ望遠鏡のデータから予測される熱いガス塊の位置とその軌道を示した図(提供:EHT Collaboration, ESO/M. Kornmesser (Acknowledgment: M. Wielgus))

天の川銀河中心の超大質量ブラックホール「いて座A*」の周りを光速の30%という猛スピードで回るガスの塊があり、それがX線などで観測されるフレアの発生源となっていることがわかった

アルマ望遠鏡は2017年4月に、世界の8つの電波望遠鏡をつないだ「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」の一部として、天の川銀河の中心に存在する超大質量ブラックホール「いて座A*」を観測した。その成果としてブラックホールシャドウの姿がとらえられた一方、アルマ望遠鏡単独の観測データからも驚くべき情報が得られた。

「おそらく、私たちが見ているのは、いて座A*の周りを回る熱いガスの塊です。その軌道の大きさは水星と同程度ですが、わずか70分でぐるりと一周します。そのためにはすさまじい速度、光速の30%が必要です!」。こう語るのはEHTコラボレーションの一員で独・マックスプランク電波天文学研究所のMaciek Wielgusさん。Wielgusさんが率いる研究チームは、アルマ望遠鏡がとらえた電波の偏光(波の振動面が特定の向きに偏る傾向)とその時間変動を分析した。偏光は強力な磁場によって発生するので、その観測からは、いて座A*周囲の磁場やその中で動く物体の情報が得られる。

アルマ望遠鏡による観測の一部は、いて座A*がX線で急激に明るくなる「フレア」を起こした直後に行われている。このとき赤外線でもフレアが観測され、その発生源が光速の30%で公転する熱いガス塊内の磁気相互作用だとする研究結果が発表されており、今回の電波による観測はこれを裏付けた。

「おそらく、赤外線の波長で検出されたホットスポットは、同じ物理現象の一部です。赤外線を発するホットスポットが冷えると、さらに長い波長(電波)で見えるようになり、アルマ望遠鏡やEHTで観測できるわけです」(オランダ・ラドバウド大学 Jesse Vosさん)

今後研究チームは、軌道上のガスの塊をEHTで直接観測し、ブラックホールにどこまでも迫ってより多くを知りたいと意気込んでいる。「いつの日かきっと、いて座A*で何が起こっているかを『知っている』と自信を持って言える日が来るでしょう」(Wielgusさん)


2022年9月30日
AstroArtsより

天の川銀河の棒構造

Posted by moonrainbow on 19.2022 天の川   0 comments   0 trackback
星形成の運命を決めた天の川銀河の棒構造

天の川銀河の構造
天の川銀河の構造を極方向から見た図。円盤の中心部に星が細長く集まる「棒状構造」があり、棒の両端付近から渦巻腕が伸びている。棒状構造の中心には「中心核バルジ」と呼ばれる、さらに星が集中する領域がある(提供:国立天文台)

天の川銀河に棒状構造ができることで、星形成が進む領域と止まる領域が生じることがシミュレーションで明らかになった。天の川銀河の歴史を解明する新たな成果だ

私たちが住む天の川銀河は、中心部の星々が細長い楕円体状に分布する「棒状構造」を持った棒渦巻銀河であることが観測からわかっている。この棒状構造は、天の川銀河の広い範囲で星やガスの運動に影響を与えているはずだ。

近年、位置天文衛星「ガイア」などによって天の川銀河の一つ一つの星々の位置と運動が精密に観測されるようになり、棒状構造の大きさや回転速度が明らかになってきた。しかし、天の川銀河の歴史の中で棒状構造がいつごろ生まれ、どのような変化を経てきたのかは全くわかっていない。その大きな理由は、棒状構造の“歴史の痕跡”が現在の天の川銀河にどう残されるのかがわからないためだ。

国立天文台の馬場淳一さんたちの国際研究チームは、国立天文台の天文学専用スーパーコンピューター「アテルイII」を使い、星やガス雲どうしに働く重力だけでなく、星形成や超新星爆発で銀河物質が加熱される効果なども盛り込んだ銀河進化のシミュレーションプログラム「ASURA」を用いて、天の川銀河の3次元重力多体・流体シミュレーションを行った。この計算によって、棒状構造の誕生や進化が銀河の星形成や星の年齢分布にどう影響を与えるのかを調べた。

馬場さんたちのシミュレーションの結果、天の川銀河に棒状構造ができるとすぐに、回転の勢いを失った大量の星間ガスが銀河中心のごく狭い領域に流れ込み、爆発的に新たな星形成が起こることがわかった。また、普通の銀河バルジ(円盤銀河の中心部のふくらみ)よりずっと小さな「中心核バルジ」ができることや、棒状構造の部分ではガスが失われ星形成活動が急激にストップすることも明らかになった。

つまり、棒状構造ができることで、銀河内部の場所ごとに星形成の活発さが違ってくるようなのだ。

さらに、銀河内を公転する星々が棒状構造と周期的に出会うことで軌道が大きく変化する「軌道共鳴」が起こり、銀河円盤から垂直な方向に星が散乱されて、棒状構造の断面が「ピーナッツ形」になることも示された


天の川銀河の進化
天の川銀河の構造の進化

「アテルイII」のシミュレーションで得られた天の川銀河の進化。それぞれ、(上)銀河面を円盤方向から見た星の分布、(中)銀河内の星(オレンジ)とガス(黒)の分布、(下)銀河内の星形成の活発さ(赤い部分ほど星形成が活発)を示す。左から右に銀河の年齢ごとの様子を示している。銀河の誕生から約15億年後に棒状構造ができ始めると、中心核バルジの部分にガスが集まり、星形成が活発になる。一方、棒状構造のガスは徐々に失われ、35億年後には棒の部分ではほとんど星が作られなくなる。棒状構造を真横から見ると次第にピーナッツ形になっていく。画像クリックで表示拡大(提供:馬場淳一)

ピーナッツ形の星の分布は実際に天の川銀河の観測で見つかっているが、これまでは星々の速度差が大きいために一種の不安定性が生じて、棒状構造が「へ」の字型に“たわむ”のだと考えられてきた。今回の研究は、棒状構造による軌道共鳴でピーナッツ形分布ができるという新たなメカニズムを示唆するものだ。

もし、天の川銀河に棒構造が生まれることで爆発的星形成が起こる領域と星形成が止まる領域ができるのであれば、星々の年齢構成も銀河内の場所によって違ってくるはずだ。こうした年齢分布の違いを観測で明らかにできれば、天の川銀河に棒構造がいつ形成されたかを推定できるかもしれない。

今回の結果を観測で裏付けるためには、天の川銀河の星々の位置と運動を、より遠距離まで、より精密に知る必要がある。天の川銀河の中心部や銀河面から離れた領域は「ガイア」である程度の観測が可能だが、中心核バルジの領域は星間物質が濃く存在するために可視光線が強く吸収され、見通すことが難しい。こうした領域の星の分布を明らかにするには、星間物質を透過できる赤外線で世界初のアストロメトリー観測を行う日本の位置天文衛星「JASMINE」(2028年打ち上げ予定)が大いに役立つと期待される


スーパーコンピュータが見つけた天の川銀河の変動史を知る鍵


アテルイIIを用いた今回のシミュレーション結果(提供:国立天文台天文シミュレーションプロジェクト)

2022年9月16日
AstroArtsより

天の川銀河の中心から広がる巨大泡構造「フェルミバブル」

Posted by moonrainbow on 16.2022 天の川   0 comments   0 trackback
フェルミバブルで最も明るいガンマ線源、実は奥の矮小楕円銀河だった

フェルミバブル
フェルミバブルといて座矮小楕円銀河の想像図。いて座矮小楕円銀河(左下の緑の球)はフェルミバブル(銀河の上下の紫)を通して地球から観測されている(提供:Kavli IPMU)

天の川銀河の中心から広がる巨大泡構造「フェルミバブル」で一番明るい部分のガンマ線は、天の川銀河ではなく、奥のいて座矮小楕円銀河内のミリ秒パルサーに由来することがわかった

2010年、NASAのガンマ線天文衛星「フェルミ」による観測で、天の川銀河の中心から上下におよそ5万光年にわたって広がる巨大な泡構造「フェルミバブル」が発見された。このフェルミバブルは、かつて天の川銀河中心部で起こった何らかの爆発的現象に由来するように見えるが、発生源はわかっていない。さらに解釈が難しいのは、フェルミバブルの中に存在する下部構造だ。

その中でも南側にある「コクーン」(cocoon)と呼ばれるスポットは、フェルミバブルの中で最もガンマ線で明るく見える。この構造は、天の川銀河の超大質量ブラックホール「いて座A*」が過去に暴発した名残ではないかという説もあった。だが、オーストラリア国立大学のRoland M. Crockerさんたちの研究チームがフェルミのデータを解析した結果によると、このガンマ線はフェルミバブルのものではなく、その奥にある「いて座矮小楕円銀河」が発したものだという


天の川銀河を公転する衛星銀河の一つであるいて座矮小楕円銀河は、過去に天の川銀河の円盤を通過した際に星の材料となる星間ガスの大部分を失っており、多くの星は細長い流れとなって引きはがされている。もはや新たに星は形成されていないため、恒星の活動や、短命の恒星が起こす超新星爆発でガンマ線が放出されているとは考えられない。

この銀河から放射されるガンマ線の起源の候補として、暗黒物質粒子の対消滅が考えられる。暗黒物質の正体は未解明だが、ほとんど相互作用を起こさない粒子だという仮説がある。その場合、暗黒物質の粒子同士が衝突すると対消滅してガンマ線を放出する。この対消滅が原因であれば、いて座矮小楕円銀河を取り巻く暗黒物質の分布に沿ってガンマ線が観測されるはずだ。

ところが実際には、ガンマ線が強く発せられている領域は銀河の星の分布に沿っていた。これは、ガンマ線の起源が、1~10ミリ秒の周期で高速自転する中性子星・ミリ秒パルサーの活動であることを示唆する結果だ。ミリ秒パルサーの極度な回転エネルギーによって放出された電子が宇宙マイクロ波背景放射の低エネルギー光子と衝突すると、高エネルギーのガンマ線が生成され、これが観測されているのだという


ヨーロッパ宇宙機関
フェルミバブルといて座矮小楕円銀河
ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星「ガイア」が観測した「こと座RR型変光星」のマップ(赤)に、フェルミバブルのガンマ線放射をとらえた画像(青)を重ねたもの。こと座RR型変光星の分布が示すいて座矮小楕円銀河の形と方向が、フェルミバブルの南側にあるガンマ線の明るい下部構造「フェルミバブルのコクーン」の形と完全に一致している(提供:Crocker, Macias, Mackey, Krumholz, Ando, Horiuchi et al. (2022))

いて座矮小楕円銀河の星は、水素とヘリウム以外の重元素に乏しいことがわかっている。このような環境では、質量あたりのミリ秒パルサーの数が多くなると予想されている。同銀河のガンマ線光度はそうした理論や他の星集団の観測結果とも矛盾しないものであり、約650個のミリ秒パルサーによるものと推測された

2022年9月12日
AstroArtsより
 

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