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星団「ピスミス 24(Pismis 24)」

Posted by moonrainbow on 08.2023 星団   0 comments   0 trackback
星団と星雲の協演。耳で聴く「ピスミス 24」NASAが公開

ピスミス 24
【▲ 「ピスミス 24」は散光星雲「NGC 6357」の中に存在している(Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA; T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), J. Miller (Gemini Observatory/NSF’s NOIRLab), M. Zamani & D. de Martin (NSF’s NOIRLab))】

「ピスミス 24(Pismis 24)」は、地球から約8000光年先の「さそり座」に位置する散光星雲「NGC 6357」の中にある星団です。この美しい星団を「音」に変換して40秒ほどの短い動画にまとめた作品を、アメリカ航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙飛行センターが公開しています

まずはその音をお楽しみ下さい

Data Sonification: Pismis 24



このように非言語音を使って画像などの情報を伝える手法は「ソニフィケーション」(可聴化)と呼ばれています。「ピスミス 24」の可聴化では、星団と星雲のデータから作成された「音」が、画像の上から下に向かってスキャンするように再生されます。

ゴダード宇宙飛行センターによると、星団の星々はクラシックギターを再現した音色で、星雲は環境音のような連続した音で再生されます。どちらも明るいほど音量が大きく、かつピッチ(音高)が高くなる仕組みです。また、画像の赤色は低音域、緑色は中音域、青色は高音域にそれぞれ割り当てられているといいます。

可聴化されたピスミス24の音色に耳を傾けてみると、星団を示すクラシックギターの音色が活動的な前半と、神秘的な星雲の音色が響く後半のコントラストが絶妙です。作曲されたメロディではありませんが、天体の美しさと合わせて一層感動的な作品に仕上がっています


Image Credit: NASA、ESA、Jesús Maíz Apellániz (Instituto de Astrofísica de Andalucía, Spain)、Acknowledgment:Davide De Martin (ESA/Hubble); Sonification:SYSTEM Sounds (M. Russo, A. Santaguida)

2022-12-03
Soraeより

散開星団「NGC 346」

Posted by moonrainbow on 18.2022 星団   0 comments   0 trackback
20万光年先の星形成領域で中心へ向かう星々とガスのらせん運動

散開星団「NGC 346」
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した散開星団「NGC 346」(Credit: NASA, ESA, A. James (STScI))】

こちらは南天の「きょしちょう座」(巨嘴鳥座)にある散開星団「NGC 346」とその周辺の様子です。NGC 346は、地球から約20万光年離れた天の川銀河の伴銀河(衛星銀河)のひとつ「小マゼラン雲」(SMC:Small Magellanic Cloud、小マゼラン銀河とも)にあります

星団を包むように取り囲んでいるのは、ガスや塵を材料に新たな星が生み出されている星形成領域です。この領域は星団と同じNGC 346や、あるいは「N66」と研究者から呼ばれています。画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、星形成領域としてのNGC 346は直径150光年で、質量は太陽5万個分に相当します。この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡に搭載されている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」を使って取得された画像(可視光線と近赤外線のフィルター合計2種類を使用)をもとに作成されました。

画像の上半分に注目すると、ガスと塵でできたアーチ状の構造があることがわかります。星形成領域NGC 346はその不思議な外形に加えて、星々が急速に形成されていることから、研究者から注目を集めてきたといいます。

ハッブル宇宙望遠鏡や「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡を運用する宇宙望遠鏡科学研究所(STScI、アメリカ)のElena Sabbiさんを筆頭とする研究チームと、Peter Zeidlerさんを筆頭とする研究チームは、星形成領域NGC 346の挙動を解き明かすことに挑みました。Sabbiさんたちは11年に渡るハッブル宇宙望遠鏡の観測データを利用して、NGC 346の星々の動きを測定。また、Zeidlerさんたちはヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」に搭載されている広視野面分光観測装置「MUSE」による観測データを利用して、ガスの立体的な動きを測定しました


星とガスのらせん運動
【▲ NGC 346における星とガスのらせん運動を示した図(Credit: NASA, ESA, A. James (STScI))】

両チームによる分析の結果、NGC 346では星々とガスが「らせん」を描きながら内側へ向けて移動していることが明らかになったといいます。らせん状の動きについてZeidlerさんは「星々やより多くの星の形成を促すガスが中心に向かって移動する上で、最も効率的な方法です」とコメントしています。

最初期の宇宙に存在していた元素の大半は水素とヘリウムで、重元素(水素やヘリウムよりも重い元素全般)は恒星内部の核融合反応や超新星爆発などによって生成されてきたと考えられています。ESAによれば、小マゼラン雲の化学組成は天の川銀河と比べて重元素が少なくよりシンプルであり、小マゼラン雲における星形成を理解することは、初期の宇宙における星形成を理解することにつながります。「星は宇宙を形作る機械です。星がなければ生命も成り立ちませんが、私たちはまだ星の形成を完全には理解していません」(Sabbiさん)

今回の研究成果は、2022年で打ち上げから32周年を迎えたハッブル宇宙望遠鏡の長期間に渡る観測データに支えられています。研究チームは、NGC 346に存在する小質量星の動きを捉えて大質量星と比較し、NGC 346の挙動全体を理解するために、ウェッブ宇宙望遠鏡による観測に期待を寄せています


Hubble Spots Spiraling Stars



Image Credit: NASA, ESA, A. James (STScI)

2022-09-13
Soraeより

散開星団「NGC 346」

Posted by moonrainbow on 07.2022 星団   0 comments   0 trackback
小マゼラン雲の大半の大質量星が散らばる星団

小マゼラン雲の大半の大質量星が散らばる星団
散開星団「NGC 346」

画像中央の輝く星々は南天の「きょしちょう座(巨嘴鳥座:Tucana)」にある散開星団「NGC 346」です。散開星団とは、数十~数百個の恒星がまばらに緩く集まっている天体を言います

NGC 346は、約21万光年先の不規則銀河「小マゼラン雲」に位置しており、力強い輝きを放っている短命な大質量星が散らばっています。アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、小マゼラン雲にある青く高温な大質量星全体のうち、その半分以上にあたる数十個がNGC 346に存在しているといいます。一方で、NGC 346には大質量星以外にも、太陽質量の半分ほどの恒星も含まれているようです。

画像の多くを占めるピンク(赤)の箇所は、ガスや塵でできたHII領域(えいちつーりょういき)という新しい星が誕生する星形成領域で「N66」と呼ばれています。N66は、NGC 346を包む様な形をしており、中心付近には色が薄い空洞の様な箇所があります。これは、若く高温の大質量星による放射によって吹き飛ばされて作られたと考えられています。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡のデータから作成された疑似カラーの画像で、NASAの今日の一枚「Young Stars of NGC 346」として2022年5月13日付で紹介されました


・Image Credit: NASA, ESA - acknowledgement: Antonella Nota (ESA/STScI) et al.

2022年6月2日
Soraeより

球状星団「NGC 6558」

Posted by moonrainbow on 22.2022 星団   0 comments   0 trackback
重力で結ばれた美しき星々の集い。ハッブルが撮影した”いて座”の球状星団

球状星団「NGC 6558」
【▲ 球状星団「NGC 6558」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Cohen)】

こちらは「いて座」の方向約2万3000光年先にある球状星団「NGC 6558」です。球状星団とは、数万~数百万個の恒星が互いの重力に引き寄せられて密集している天体のこと。数え切れない星々が青、赤、白と様々な色で輝く宝石箱のようなその様子は、渦巻く銀河とはまた違った美しさを感じさせます

天文学者にとって、美しき球状星団には別の魅力があります。画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によれば、球状星団を構成する様々な星々はほぼ同時期に形成されたものであり、誕生当時の化学組成はどれもみな同じだったと考えられています。同じ条件下で形成された異なる星々がどのように進化していくのかを調べ、理論を検証する上で、球状星団は天然の実験室として助けになるのだといいます。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡に搭載されている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」使って取得された画像(可視光線と近赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として2022年5月16日付で公開されています。ESAによると、ハッブル宇宙望遠鏡は天の川銀河の内側にある球状星団を調査する研究の一環として、NGC 6558の観測を実施したとのことです


画像の一部を拡大した
▲ 冒頭の画像の一部を拡大したもの。無数の星々が視野を埋め尽くしている(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Cohen)】

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Cohen

2022-05-18
Soraeより

ヒヤデス星団

Posted by moonrainbow on 05.2021 星団   0 comments   0 trackback
見えざる巨大構造がヒヤデス星団を崩した

ヒヤデス星団とアルデバラン
ヒヤデス星団とアルデバラン(左)、火星(中央)、プレアデス星団(右)。おうし座の1等星アルデバランの近くにV字形に並んでいる星々がヒヤデス星団(撮影:北極老人星さん)。画像クリックで天体写真ギャラリーのページへ

おうし座のヒヤデス星団からはぐれた星が数千光年離れたところまで散らばっていることが示され、散乱の過程で質量が太陽の約1000万倍ある未知の塊と作用している可能性が示唆された。

恒星の大集団である銀河は、しばしば他の銀河からの重力で変形し、ときには引っ張られて細長くなる。似たようなことはもっと小さなスケール、すなわち銀河の内部にある星団でも起こっているかもしれない。ただ、星団から散らばった星は、周りの無関係な星に紛れてしまうので、星団が引きちぎられる様子をとらえて分析するのは銀河に比べて難しい。

それでも、恒星の位置と移動速度を一つずつ正確に調べることで、星団からはぐれた星とそうでない星をより分けることができるはずだ。このような分析には、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の位置天文衛星「ガイア」が全天を観測して得た、天の川銀河内の恒星10億個以上のデータが役に立つ。

ESAのTereza Jerabkovaさんたちの研究チームは、距離約153光年と太陽系に最も近い散開星団である、おうし座のヒヤデス星団に注目した。ヒヤデスは牡牛の顔の部分にあたり、V字形に星が並ぶ様子が肉眼や双眼鏡でも見やすいが、望遠鏡でとらえられる暗い星も含めると、直径およそ60光年の範囲に数百の恒星が集まっている。Jerabkovaさんたちはその外へ散ってしまった星を探した


ヒヤデスのような散開星団はほぼ同時期に同じ星間雲から生まれた星の集団なので、誕生した時点ではほぼ一様に、同じ方向へ運動していると予想できる。だが星団内の星同士に働く重力により、一部の星は端へ移動し、そこで外部からの重力を受けて引きずり出される。これらの効果によって、星団全体の進行方向とその逆方向に2つのトレイル(尾)が形成されるはずだ。

研究チームはこのプロセスをコンピューターシミュレーションで再現し、予想されたトレイルの位置とガイアのデータを比べることで、ヒヤデスからはぐれた星を探した。ヒヤデスのトレイルをたどる研究はこれが初めてではないが、従来は単純にヒヤデス星団と同じ速度で運動している恒星を探すことでトレイルをたどっていた。だがヒヤデスは誕生してから6~7億年も経過しているので、大昔に星団からはぐれた恒星の動きは変化している。Jerabkovaさんたちは計算によってこれらの星も拾うことに成功し、数千光年にまで伸びた2本のトレイルを構成する数千個の星を検出した


数百個の星々
ヒヤデス星団に元々属していた数百個の星の広がり
ガイアのデータから示された、ヒヤデス星団に元々属していた数百個の星々(ピンク)の広がり。星団中心部から左斜め下と右斜め上へトレイルが伸びている(提供:ESA/Gaia/DPAC, CC BY-SA 3.0 IGO; acknowledgement: S. Jordan/T. Sagrista)

詳しく調べたところ、星団の前方にあるトレイルに比べると、後ろのトレイルに含まれる星の方が少ない。理論上はどちらのトレイルにも同じ数の星があるはずなので、ヒヤデス星団はただ自然に崩れ続けたのではなく、何か劇的な作用があったと予想される。

Jerabkovaさんたちはシミュレーションを重ね。太陽の約1000万倍の質量を含む塊がトレイルにぶつかれば、この結果を再現できることを示した。しかし近傍には、これほどの大質量を持つガス雲や星団は知られていない


Evolution of Hyades star cluster from ~ 650 million years ago until now



ヒヤデス星団の6.5億年前から現在までの進化を追ったシミュレーション動画。終盤(17秒ごろ)に太陽質量の1000万倍の構造(灰色の丸)が星団に接近して尾と衝突し、片方の尾の星が破壊されたとみられる(提供:Jerabkova et al., A&A, 2021)

もし、この塊が将来の観測でも検出できなければ、その正体はダークマターの「サブハロー」かもしれないとJerabkovaさんは考えている。天の川銀河には円盤面を包む球状の「ハロー」と呼ばれる構造があり、そこには光学的に観測可能な天体の質量を上回るダークマターが存在することが知られているが、サブハローとはより小さなスケールでダークマターが集まった領域だ。

星団のトレイルをたどることで、天の川銀河の見えざる構造を可視化できるかもしれないとJerabkovaさんたちは期待している


2021年3月29日
AstroArtsより
 

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