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宇宙太陽光発電システム

Posted by moonrainbow on 20.2023 宇宙太陽光発電   1 comments   0 trackback
イギリスで検討中の宇宙太陽光発電システム 多くの課題を乗り越えられるか

太陽発電衛星
【▲イギリスで開発中の太陽発電衛星からマイクロ波で電力を送るイメージ図(Credit: International Electric Company)】

宇宙空間から電力を送る「宇宙太陽光発電システム」の新しいコンセプト「CASSIOPeiA(Constant Aperture, Solid-State, Integrated, Orbital Phased Array)」の検討がイギリスで進行中です。宇宙太陽光発電システムは、実現すれば24時間365日電力を生成・供給できる可能性を秘めています

宇宙で発電した電気をマイクロ波で地上に送電する「宇宙太陽光発電システム」
「CASSIOPeiA」計画の背景には、持続可能な発電方法の追求があります。イギリスは2021年に、カーボンニュートラル(※)を2050年までに実現する「ネット・ゼロ(Net-Zero)戦略」を打ち出しました。かつてイギリスでビジネス・エネルギー・産業戦略大臣を務めたGreg Clark氏は、少なくとも30〜40ギガワットの電力を持続可能かつ出力の制御が可能(dispatchable)な発電方式に頼る必要があるという談話を、2019年にタイムズ紙で発表しています。

※…温室効果ガスの排出量と森林などによる吸収量の差をゼロにすること

ネット・ゼロ戦略の推進にあたって期待されている発電方法の1つが、宇宙太陽光発電システム(Space Solar Power System: SSPS)です。宇宙太陽光発電システムとは、宇宙環境下で太陽光発電を行ない、得られた電気をマイクロ波に変換して地球に送電する仕組みのこと。宇宙太陽光発電システムというアイディア自体は、アメリカ航空宇宙局(NASA)とエネルギー省(DoE)によって提案され、1970年代のエネルギー危機を発端に大規模な研究が行なわれました。

1979年にNASAが公表した報告書では、5km×10kmのソーラーパネルで発電した5ギガワットの電力をマイクロ波に変換し、直径1kmのアンテナから送電することが想定されています。しかし、「CASSIOPeiA」のコンセプトを発案したIan Cash氏は、これほどの規模の人工物を静止軌道へ打ち上げるには現在の打ち上げ技術をもってしても総額約1.15兆ドルもの費用(ファルコン9もしくはファルコンヘビーの打ち上げ費用をもとに試算)がかかると主張しています


宇宙太陽光発電システムの模式図
【▲NASAが発案した宇宙太陽光発電システムの模式図(Credit: Ian Cash)】

「CASSIOPeiA」のコンセプトも、基本的な仕組みはNASAによるSSPSのアイディアとほぼ変わらないものの、太陽光を効率良く集める無駄のないデザインが意識されています。NASAのSSPSと比較すると、CASSIOPeiAの1ギガワットあたりの打ち上げコストは46倍効率が良い50億ドル(当時スペースXが開発中のBFR=ビッグ・ファルコン・ロケットによる打ち上げを想定、2018年11月に現在のスターシップに改名)だといいます

CASSIOPeiAの仕組みを示した模式図
【▲CASSIOPeiAの仕組みを示した模式図(Credit: IOP Publishing)】

宇宙太陽光発電システムの課題

それでもなお、宇宙太陽光発電システムの実用化にはクリアしなければならない問題があるようです。人工衛星の巨大化に伴うコストの上昇は不可避であり、実証実験でさえ構造物の幅は数マイルにも及ぶため、完成までにはスターシップを約300回打ち上げる必要があるといいます。

加えて、電気をマイクロ波に変換して地球に送電する方法は、現状では非常に効率が悪いといいます。マイクロ波は地球の大気を通過する際にエネルギーを失いますが、同プロジェクトに参加するAirbus Blue SkyのJean-Dominique Coste氏によると、技術実証で使用したシステムの効率はわずか5%ほどだったといいます。

実用化する上では、この効率を少なくとも20%に高めなければ意味がないといいます。

2043年の完全運用を目指す
これらのハードルを乗り越えて宇宙太陽光発電が実現すれば、天候の悪く太陽光発電に向かないイギリスと違って、24時間365日発電することが可能です。

「CASSIOPeiA」計画を進めるSpace Energy Initiativeは、2039年に2ギガワットを発電できる「太陽発電衛星(Solar Power Satellite: SPS)」のプロトタイプを打ち上げ、2043年に完全な運用を目指すとしています


Source

Image Credit: International Electric Company

2023-02-13
Soraeより

中国の宇宙太陽光発電システム

Posted by moonrainbow on 10.2021 宇宙太陽光発電   0 comments   0 trackback
中国が宇宙太陽光発電システム建設のために、約900トンの超重量級ロケットを利用

中国のロケット「嫦娥5号」
【▲ 2000年11月に打ち上げた中国のロケット「嫦娥5号」(Credit: CNSA)】

中国が静止軌道上に太陽光発電システムを建設するために新しい超重量級のロケットを利用するという計画を、ロケットの開発関係者が言及しました。2030年に打ち上げ予定の「長征9号」は現在中国が開発中で、重量約878トン、全長約57メートルもある超重量級のロケットです。同ロケットの積載量は高度約2,000kmの地球低軌道(LEO)だと140~150トン、月遷移軌道(TLI)に投入する場合には50~53トンまで積載可能だといいます。2020年11月に中国が打ち上げた月面探査機「嫦娥5号」の約8.2トンと比較すると、破格の規模であることがわかります

長征シリーズのチーフデザイナー竜楽豪氏によると、長征9号は「宇宙太陽光発電システム」の建設に利用される予定です。多くの人工衛星や国際宇宙ステーション(ISS)などでは電力を得るために太陽光発電システムが利用されていますが、発電した電気をマイクロ波に変換した上で地上へ伝送し、再び電気に変換して利用する宇宙太陽光発電システムは、いわば「宇宙に建設された太陽光発電所」と言えるシステムです。

宇宙空間に太陽光発電システムを設置するメリットとして、発電量が天候や季節の影響をほとんど受けないことなどが挙げられます。宇宙太陽光発電システムのアイディアは米国のPeter Glaser氏によって1968年に提唱され、近年では米国や日本などが建設を計画しています


太陽光発電システムの想像図
【▲ 宇宙空間に設置された太陽光発電システムの想像図(Credit: Mafic Studios, Inc.)】

中国では2008年に宇宙太陽光発電システムの建設計画がリストアップされ、中国空間技術研究院(CAST)が2019年にテストを開始しました。2022年には小規模な発電テストを実施し、2030年頃にはメガワット規模まで発電量を上げるといいます。

ギガワット規模の商用太陽光発電システムは2050年までに実現するとされていますが、総重量約1万トンのシステムを組み立てるためには100機以上の長征9号が必要だとしています


Image Credit: CNSA

2021-07-05
Soraeより

「宇宙太陽光発電(SSPS)」の実現性を確認

Posted by moonrainbow on 01.2017 宇宙太陽光発電   2 comments   0 trackback
JAXAが上空からのレーザー送電実験に成功 

Solar Orbital Power
Solar Orbital Power (Image Courtesy www.nasa.com)


 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、「宇宙太陽光発電」における人工衛星-地上間のエネルギー伝送を模擬し、高さ約200メートルのタワー上から地上のターゲットに高出力レーザー光を正確に照射する実験に世界で初めて成功しました。誘導レーザーやミラーを使って光線を制御する方式の「実現性を確認した」としています。宇宙発電は、いよいよ地上のエネルギー問題解決に向けて動き出すのでしょうか?

 無限に空間があり、晴天率100%の宇宙空間に発電所を作るという「宇宙太陽光発電(SSPS)」のアイデアは、1968年にNASA(米航空宇宙局)のピーター・グレイザー博士によって最初に提案され、地球温暖化問題が深刻化した90年代ごろから実用の検討も本格化しました

 人工衛星などにすでに太陽光パネルが搭載されているため、宇宙から地上にエネルギーを伝送する技術を組み合わせればシステムができあがります。伝送方法として有望視される一つがレーザー光ですが、光線は宇宙空間や大気上空ではほぼ直進するものの、地上から数十メートルの高さまでは地面からの熱の影響で進行方向などに大きい乱れが生じます

 これまで、地上-地上間でのレーザー送電実験は行われてきましたが、乱れが大きく実際の想定とは条件がかけ離れていました。今回、JAXAは2016年5月から6月にかけて、日立製作所所有のエレベーター研究棟(茨城県ひたちなか市、高さ213メートル)を利用し、宇宙-地上間に近い条件で、初の現実的なレーザー送電実験を行いました

■高度3万6000キロから数メートルの誤差

 宇宙の発電所は、各国のBS(衛星放送)衛星や通信衛星などが設置されている、赤道の上空約3万6000キロにある静止軌道に置くのが現実的です。この軌道の衛星は地球の自転と同調して動くため、地上から見ると常に一定方向に止まって見えるというメリットがあります

 レーザー光は、周囲の住宅や航空機などに対する影響を防ぐため、地上に数メートルの誤差で送り届けることが求められます。しかし、3万6000キロ離れた人工衛星とは、光や電波でも片道0・12秒かかり、リモートコントロールなどでの制御は難しいのです。このためJAXAは、まず地上の受光装置側から誘導用のレーザー光を人工衛星に照射。人工衛星側からは、その光に重なるように誘導レーザーを逆向けに照射し、さらに重ねるように送電用の高出力レーザーを照射する方式を採用し、実現性を検証しました

 今回の約200メートルの高さからの実験では、直径1ミリの円の中に光を通し続ける精度で制御することに成功。3万6000キロ上空からだと直径18メートルに相当し、設定目標(7・2メートル)よりも2・5倍ブレが大きかったが方式の妥当性は確認できたとしています

 JAXAは、2015年には電波(周波数2・45ギガヘルツ帯のマイクロ波)による地上-地上での送電にも成功しています。マイクロ波は送受信設備が大きくなるものの、雲も通過するため地上の受光施設は1カ所で済みます。一方、レーザーは晴れている必要があるので複数カ所を使うなどそれぞれに長所短所があり、技術開発は2本立てで進められています

■気になるコスト

 さて、宇宙発電には原発何基分のポテンシャルがあるのか

 地上で行われている太陽光発電から想定してみたい。地上での太陽光発電の例を挙げると、豊田通商と東京電力の合弁会社「ユーラスエナジーホールディングス」は青森県六ケ所村で、東京ドーム約50個分に相当する2・53平方キロメートルの土地に約51万枚の太陽光パネルを設置しています。総出力は11万5000キロワット(交流)です

 標準の原子力発電所(100万キロワット)0・1基分に相当しますが、地上では夜もあり、さらに曇りや雨の日もあります。一般に、地上での稼働率は10分の1程度とみられるため、六ケ所村のパネルが宇宙にあれば、ちょうど出力は、ざっと原発1基分となる計算です

 さらに、ここからレーザー送電による効率がかかってきます。今回の実験装置の地上部だけで光電変換率は21・3%だった。将来、35%にまで上げるとしているが、単純にそれを掛け合わせると、発電量は原発2分の1~3分の1程度に下がるとみられます

 さて、気になる設置コストはどうなるか。土地こそ不要だが、発電所をロケットで打ち上げるための輸送費が莫大です。現在の主力ロケット「H2A」は、静止軌道の一歩手前の静止トランスファー軌道まで4トンを打ち上げられるが、1回当たり約100億円かかっている。約51万枚の太陽電池パネルを運ぶには、現状ではH2A数千回分に上るとみられ、非現実的です

 逆に宇宙では地上に設置するようなしっかりした骨組みは不要になるかもしれません。落下傘のように広げられる高分子フィルムで作るなど「減量」の可能性もあります。設置の想定時期は2030年以降ですが、エネルギー問題を取り巻く状況も含めて実現に向けて不確定要素の大きい「遠大」な計画です

 一方で、遠大な科学技術計画には、数々の困難を乗り越え、研究着手から50年以上たって念願の着工にこぎ着けたリニアモーターカーなどの成功例もあります。そこで、JAXAは宇宙太陽光発電について最終目標を目指しながらも、階段の途中で技術を社会還元しながら上っていく「踊り場効果」という概念を打ち出しています。今回の実験結果については、ドローンに遠隔でエネルギーを供給して、長期間継続飛行させる技術としての展開を目指します

■レーザーが鳥に当たれば焼き鳥になる?

 レーザー光が鳥に当たると焼き鳥になる-。こうまことしやかに噂されているが実際にはどうだろうか。

 JAXAによると、レーザーのエネルギー密度は、安全のため、人に当たっても皮膚に影響がない程度に設計する見通しです。当然ながら航空機が通っても機体には影響はないです。ただし、目に直撃すると網膜などに損傷を受ける可能性があるので、地上の受電エリアはもちろん、レーザーの通り道は航空機の搭乗者の目への配慮から立ち入り禁止とすることになりそうです

産経新聞
2016年12月11日

「宇宙太陽光発電」の最新7動向

Posted by moonrainbow on 22.2015 宇宙太陽光発電   0 comments   0 trackback
三菱重工はワイヤレス送電に成功

宇宙太陽光発電

NASAに投じられる予算は減りましたが、宇宙開発の分野ではなお多くのイノベーションが期待されています。中でも宇宙空間でのソーラー発電については、活発に研究が行われています

その実現には数十億ドルの費用と新たなテクノロジーの開発が必要で、時間もかかりますが、想像するだけでもワクワクする話であることは間違いないのです。この分野の最新の試みを以下に紹介します

1. 三菱重工の取り組み
日本では、宇宙で発電した電力を地球に送電する技術開発プロジェクトが続けられています。三菱重工は2015年3月、10キロワットの電力をマイクロ波に変換して、約500メートル離れた受信機に送る地上実験に成功しました。しかし同社は発電効率については公表していません

2. 宇宙からの送電システム開発
米海軍研究試験所の宇宙船エンジニアであるポール・ジャッフェ博士は、宇宙で太陽光を吸収し地上に送るモジュールを開発しました。「サンドイッチモジュール」と名付けられたその機器は、上面で太陽光を吸収し、電子部品が中央部分で無線周波数に変換する。最後に下面のアンテナで地球に送り、電気に変換される仕組みです

3. 宇宙で使う次世代太陽電池を研究
米アーカンソー大学の研究者たちは、宇宙で使う太陽光発電技術の開発をNASAと共同で進めています。プレスリリースによると、新材料は太陽電池の効率を45%向上させるほか、製造コストを軽減でき、放射能への耐久度も上がるそうです。

4. 中国は発電ステーション構想
中国人科学者たちは今年初め、宇宙にソーラー発電ステーションを建設する構想を公表。2050年の完成を目指しています。彼らは太陽エネルギーを24時間地球に送り続けるシステムを計画していますが、パネルの軽量化やコスト、そして建設のための輸送手段が大きな課題です

5. 米国エネルギー省の取り組み
米エネルギー省は宇宙ソーラー発電のアイディアに特化したウェブサイトを開設し、宇宙空間に太陽光発電装置を設置するというコンセプトを紹介しています。いささかSFチックではあるが、可能性はあります。宇宙には太陽光を遮る雲も空気も夜もないのだから、太陽光を全て利用できます

6. スタンフォード大が開発のパネル冷却技術
太陽光発電においては、ソーラーパネルが熱を吸収するほど発電効率は低くなる。スタンフォード大学の研究者たちは、太陽電池の上に重ねた薄いシリカの層で太陽光を反射し、宇宙に放出する技術を設計しました。これによって太陽電池は冷却され、発電効率が上昇します。研究者によるとこの技術で吸収装置を最大で華氏23度、冷却する効果が確認されたそうです。

7. NASAの“宇宙ソーラー工場”構想
NASAは1970年代からエネルギー危機を視野に入れ、宇宙にソーラー工場を建設する計画を立てていました。壮大な夢は今も実現されていませんが、NASAが今後、宇宙でのクリーンテック推進に何らかの役割を果たすという期待は大きいです

Forbesより
2015年11月14日

宇宙太陽光発電で未来の生活は変わる

Posted by moonrainbow on 28.2013 宇宙太陽光発電   2 comments   0 trackback
宇宙太陽光発電から無線ネットワークで家電製品が使える!?

宇宙太陽光発電3
宇宙太陽光発電

IEEEは、宇宙開発技術が家電製品の進歩にますます大きな役割を担うことになると発表しました。注目されている技術は、無線電力技術、リモートセンシング技術、音声制御技術の3つです

現在、宇宙太陽光エネルギーから発電した電力を地球上のエネルギーネットワークに流通させる技術が開発されています。同時に、宇宙太陽光発電を無線ネットワークを通じて電子製品に伝送できる技術も開発されていますので、これらが実現すれば物理的なコードを使って電源コンセントにプラグをさす必要はなくなります

宇宙太陽光発電とは、宇宙空間上で太陽光発電を行い、その電力を地上に送る発電方法である。これを利用した発電システムは宇宙太陽光発電システム(Space Solar Power System)と呼ばれ、SSPSと表記されます

リモートセンシングは、地球上から惑星探査機を制御する技術です。地球―火星間などの遠大な距離での実用に耐えうるよう、正確性が求められています。この技術はすでに人口四肢の制作に応用され、自分の手足のような感覚を持ち、体の一部であるかのように機能させることができるようになっているそうです

音声制御技術は、宇宙旅行の最大のネック、宇宙船内の物資コストを削減するのに効果があります。音声制御技術の開発が進めば、家電製品の設計方法に大きな変化がもたらされます。システムがユーザービリティを追求したものになるとのことです。2050年までには、宇宙旅行はごくありふれたものになっているでしょう

japan.internet.comより
2013年6月29日

・・・安部さん、もっと科学を勉強して下さい!・・・

清水建設(株)のグリーンフロート計画でも、宇宙太陽光発電をエネルギー源としています

赤道洋上に浮かぶ空中都市 - GREEN FLOAT/清水建設構想

 

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