重力レンズ効果を受けた赤外線で極めて明るく輝く銀河を発見

Posted by moonrainbow on 14.2017 重力レンズ   0 comments   0 trackback
赤外線で太陽の100兆倍も明るく輝く銀河

重力レンズ効果を受け変形して見える銀河の赤外線画像
重力レンズ効果を受け変形して見える銀河の赤外線画像(提供:NASA, ESA, and J. Lowenthal (Smith College))

重力レンズ効果を受けて拡大された、赤外線で非常に明るく輝く銀河の姿がハッブル宇宙望遠鏡でとらえられました。赤外線での明るさは太陽の10兆倍から100兆倍にも達します

重力レンズ効果では、銀河や銀河団といった大質量の天体がレンズの役割を果たし、その背後にある遠方の天体の姿を拡大して見せてくれます。この効果を利用すると、遠い銀河を詳細に調べることが可能になります。

米・スミス・カレッジのJames Lowenthalさんたちの研究チームはハッブル宇宙望遠鏡などによる観測で、こうした重力レンズ効果を受けた赤外線で極めて明るく輝く銀河を発見しました

発見された銀河はいずれも、80億年前から115億年前の間という宇宙の歴史の中で激しい星生成が行われていた時代に存在しています。年間に1万個以上という暴走的なペースで星生成を行っており、それによって大量の塵も作られます。塵が銀河を取り囲んでしまうため可視光線では暗く見えなくなってしまうが、赤外線では太陽の10兆倍から100兆倍、天の川銀河の1万倍という猛烈な明るさで輝いています

Lowenthalさんたちによれば、赤外線で明るいこのような銀河は宇宙に数十個程度しかなく、「重力レンズ効果の大当たりを引き当てた」ようだ。「超高光度で大質量のスターバースト(爆発的星生成)銀河はとても珍しい存在です。重力レンズ効果のおかげで、100光年未満という(遠方の銀河に対して)非常に小さいスケールの特徴まで見ることができます。モンスターと呼ぶにふさわしいこれらの銀河が何からエネルギーを得ているのかを理解したいと思っています」(Lowenthalさん)

これらの銀河の星生成率は天の川銀河の5000倍から1万倍にもなるが、銀河が星生成に利用しているガスの量は天の川銀河に含まれている量と同程度と考えられています。並外れた星生成のエネルギー源は何なのでしょうか

一つの考え方として、これらの銀河が近傍宇宙に見られる「超高光度赤外線銀河(ultra-luminous infrared galaxies; ULIRGs)」の、より明るく遠いところにある「いとこ」に相当するような天体だという可能性です。ULIRGsは塵に包まれた大質量のスターバースト銀河で、その星生成は渦巻銀河同士の合体で激化するが、同様のプロセスが今回の観測対象にも当てはまるのではないかというわけです。しかし、大きい銀河同士の合体が起こるのはもっと後の時代であることがコンピュータシミュレーションで示され、この可能性は小さそうです

別のアイディアとして、星の材料となるガスが大量に遠方銀河に流れ込むという考え方があります。「初期宇宙は密度が高かったため、ガスが銀河に降り注いでいたのかもしれません。あるいは、未知の経路からガスが供給されていたのかもしれません。銀河がどのようにガスを得ていたのかは、理論物理学者が奮闘している問題なのです」(Lowenthalさん)

2017年6月8日
AstroArtsより

「QSO B0218+357」からの届く光の時間差

Posted by moonrainbow on 14.2016 重力レンズ   0 comments   0 trackback
重力レンズが見せたガンマ線フレアのリプレイ

QSO B0218_357から放たれた光子が地球に届くまでの概念図
QSO B0218+357から放たれた光子が地球に届くまでの概念図。光は途中の銀河B0218+357Gによる重力レンズ効果を受け、長い経路を通ったものは11日差で観測される(提供:NASA/ESA; AGN image credits: NASA E/PO - Sonoma State University, Aurore Simonnet))

70億年前にクエーサーから放射されたガンマ線が、重力レンズ効果を受けて2つの異なる経路を通ったことによって、11日差で2回観測されました。このクエーサーは観測史上最も遠い超高エネルギーガンマ線源だという事です

アインシュタインの一般相対性理論によれば、大質量の天体の重力がレンズのような働きをすることで、そのレンズ源の向こうにある天体の像がゆがんだり明るく見えたりします。この重力レンズ効果によって、遠方にある非常に暗い天体も見ることができるようになるのです

さらに、レンズ中の異なる経路を通った光はある時間差で地球に届くので、その光の明るさが変われば、同じ変光が繰り返して見えることになります

観測史上最遠となる高エネルギーガンマ線源の発見も、地球とガンマ線源との間にある巨大銀河による重力レンズ効果のおかげで可能となったものです

さんかく座の方向に位置する「QSO B0218+357」は、活動的な銀河中心の超大質量ブラックホールから強い放射が見られる「ブレーザー」と呼ばれる種類の天体(クエーサーの一種)だ。このブレーザーで70億年以上前に巨大爆発が起こり、非常に高エネルギーのガンマ線フレアが発生しました

放射されたガンマ線は発生から10億年以上後に、ブレーザーと地球との間に位置する別の銀河「B0218+357G」を通過し、2014年7月14日に地球に届いてNASAのガンマ線天文衛星「フェルミ」で観測されました。ガンマ線アウトバースト検出の報告を受け、遠方宇宙で起こった爆発的現象を観測しようと世界中の多くの望遠鏡が即座にブレーザーへと向けられた。ラパルマ天文台のMAGIC望遠鏡もこの天体を観測しようとしたが、あいにくこの夜は満月でした

しかし、2012年にフェルミや電波望遠鏡で行われていた観測により、このブレーザーからの光のうち長い経路を通り重力レンズ効果を受けたものが11日後に地球に届くことがわかっていました。つまり、同じブレーザーからのガンマ線フレアを再観測できるチャンスがあることになるのです

果たして11日後、MAGIC望遠鏡をQSO B0218+357に向けたところ、予測通り非常に高エネルギーのガンマ線フレアが観測され、QSO B0218+357が観測史上最も遠い高エネルギーガンマ線源であることが確かめられたのです

2016年11月9日
Astro Artsより

重力レンズ天体「ホルスの目」

Posted by moonrainbow on 01.2016 重力レンズ   0 comments   0 trackback
古代エジプトの神の目に似た、珍しい重力レンズ天体

ホルスの目
ホルスの目。明るいオレンジの天体がレンズ源となった手前の銀河で、赤っぽいリングと青っぽいリングがそれぞれ背景にある重力レンズ効果を受けた銀河(提供:国立天文台) .

すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHSCが撮影したデータの中から、2つの遠方銀河が手前にある別の銀河によって同時に重力レンズ効果を受けているという、極めて珍しい重力レンズ天体が発見されました。見た目もユニークな天体で、古代エジプトの神聖なる神の目にちなみ「ホルスの目」と名付けられました

遠くの銀河から来る光が、その手前にある別の銀河によって大きく曲げられる現象は「重力レンズ効果」と呼ばれており、背景の銀河は形がゆがんだり増光して見えたりします。重力レンズ効果が起こるのは稀なことで、通常は手前の銀河によって背景にある銀河1つだけに効果が見られるものであり、複数の背景銀河がレンズ効果を受けることは極めて珍しいです

国立天文台の田中賢幸さんたちの研究グループが、すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ「HSC(Hyper Suprime-Cam、ハイパー・シュプリーム・カム)」のデータを調べていたところ、この珍しい「複数の背景銀河が重力レンズ効果を受けているもの」と思われる天体が見つかりました

画像には複数の点に加え、完全なアインシュタインリングや円弧状の天体(いずれも重力レンズ効果に特徴的な像)が見られます。さらに中心には重力レンズを引き起こしている銀河もあって、これらがうまく並んで切れ長の「目」のような形をなしています。古代エジプトの神聖なる神の目に似ていることから、研究チームではこの天体を「ホルスの目」と名付けました

「ホルスの目」の画像を詳しく調べると、異なる色をした2つのリング状・円弧状の天体であることがわかりました。これは重力レンズ効果を受けた背景銀河が、1つではなく2つあることを強く示唆しています

過去の観測から、重力レンズ効果を引き起こしている手前の銀河までの距離は70億光年(赤方偏移z=0.795)であることが知られています。チリのマゼラン望遠鏡を用いて背景天体の距離を測定したところ、それぞれ90億光年(z=1.30)、105億光年(z=1.99)であることがわかりました。さらに興味深いことに、遠いほうの銀河ではわずかに異なる2つの赤方偏移が得られています。「もしかしたらこの銀河は、衝突合体の過程にある銀河のペアなのかもしれません」(国立天文台 Kenneth Wonさん)。

今後HSCの観測で、「ホルスの目」のような複数天体の重力レンズ天体がさらに10個ぐらい見つかることが期待されています。こうした天体は、銀河の基本物理や過去数十億年にわたりどのように宇宙が膨張してきたのを探る手掛かりとなる。夜空に浮かぶ「太古の目」は、宇宙の歴史を紐解くのに一役買っています

2016年7月28日
Astro Artsより

アルマ+重力レンズ=視力13000 

Posted by moonrainbow on 15.2015 重力レンズ   0 comments   0 trackback
117億光年先の銀河「SDP.81」もはっきりと

本研究成果の模式図
本研究成果の模式図(提供:アルマ望遠鏡の画像:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/C. Collao (ALMA)、地球の画像:気象庁) .

アルマ望遠鏡の観測結果とそれをもとに作られた重力レンズ効果モデルから、117億光年彼方にあるモンスター銀河の内部構造や、その手前にある銀河の超大質量ブラックホールの存在などが明らかになりました

うみへび座の方向117億光年彼方の「SDP.81」は爆発的に恒星を生み出している銀河で、その手前に位置する距離34億光年の銀河が生み出す重力レンズ効果により、リング状に引き伸ばされた姿を見せています。2015年2月には、アルマ望遠鏡による高解像度での観測画像が公開されました。(参照:アストロアーツニュース:「117億光年彼方の銀河が見せるアインシュタインリング」)

田村陽一さんら東京大学と国立天文台の研究グループは、SDP.81のリング状の姿をもっとも精緻に再現できる重力レンズ効果モデルを世界に先がけて作り上げました。SDP.81周辺の重力場の歪みを高精度で補正した、いわば重力レンズの乱視矯正を独自にとりいれることで、銀河の内部構造の詳細が明らかになり、さらに重力レンズ効果を引き起こしている手前の銀河に超大質量ブラックホールが存在することが世界で初めて示されたのです

モンスター銀河SDP.81
モンスター銀河SDP.81。(左から)ハッブル宇宙望遠鏡撮影、ALMA撮影、ALMA撮影データと重力レンズ効果モデルを元にして再現した銀河の像。(提供:ALMA (NRAO/ESO/NAOJ)/Y. Tamura (The University of Tokyo)/Mark Swinbank (Durham University))

まず、重力によって引き伸ばされて見える「アインシュタインリング」の複雑な微細構造から、銀河内部のおよそ5000光年の楕円状の領域に、幅200~500光年の塵の雲が複数分布していることがわかりました。塵の雲は巨大分子雲とみられ、天の川銀河や近傍の銀河に見られるものと同じようなサイズですが、これほど遠方の銀河の内部がここまで詳しくわかったのは初めてのことです

また、銀河の中心像がきわめて暗いことから、手前の銀河の中心に太陽質量の3億倍以上におよぶ超大質量ブラックホールが存在するらしいこともわかっています

世界最高水準の解像度と感度を誇るアルマ望遠鏡と重力レンズを組み合わせることで、人間の視力に換算して13,000というきわめて高い解像度が達成されました。今後これを活かして、モンスター銀河の形成や超大質量ブラックホールの成長過程がさらに明らかになるでしょう

2015年6月11日
Astro Artsより
 

プロフィール

moonrainbow

Author:moonrainbow
昔、"地球の旅人"の頃




服と鞄と雑貨の販売をしています

カテゴリ

カレンダー

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード