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「自由浮遊惑星」が新たに見つかる

Posted by moonrainbow on 09.2022 浮遊惑星   0 comments   0 trackback
星を公転していない「自由浮遊惑星」少なくとも70個が新たに見つかる

「自由浮遊惑星」の想像図
【▲「自由浮遊惑星」の想像図。背景には太陽系に比較的近い星形成領域「へびつかい座ロー分子雲」が描かれている(Credit: ESO/M. Kornmesser)】

ボルドー天体物理学研究所/ウィーン大学の天文学者Núria Miret-Roigさんを筆頭とする研究グループは、恒星を公転していない惑星質量の天体「自由浮遊惑星」(英:free-floating planet、rogue planet。浮遊惑星、はぐれ惑星とも)を新たに複数発見したとする研究成果を発表しました。今回見つかった自由浮遊惑星とみられる天体の数は少なく見積もっても70個、多ければ170個に上るといい、研究グループは自由浮遊惑星の起源や特徴を理解する上で重要なステップになったとしています

■自由浮遊惑星を多数発見、起源の謎に迫る手がかりとなるか

私たちが住む地球をはじめとした惑星は、恒星などの周囲を公転する天体です。太陽系では現在8つの惑星が知られていますが、太陽以外の天体を公転する太陽系外惑星もすでに4800個以上が見つかっています。惑星の質量の上限は木星の13~15倍程度とされていて、これより重くて恒星ではない天体(質量が木星の75~80倍程度以下)は褐色矮星と呼ばれています。

ところが、近年では恒星などを公転していない惑星質量の天体が発見されるようになりました。このような天体は「自由浮遊惑星」などと呼ばれています。研究グループによると、自由浮遊惑星は恒星の周囲で形成された後に何らかの原因(他の惑星との相互作用など)で惑星系から放り出されてしまった惑星ではないかと考えられているものの、恒星を生み出すには質量が少なかった星間雲(宇宙空間に存在するガスや塵の高密度な集まり)から形成された……つまり一度も恒星を公転することがなかった天体である可能性もあるといい、起源がはっきりしていないといいます


自由浮遊惑星の候補天体の位置を示した図
【▲今回検出された自由浮遊惑星の候補天体の位置を示した図。本文で触れているように、検出された天体が自由浮遊惑星であるかどうかは年齢に左右されるが、ここでは幅がある推定年齢のうち中程度の年齢だった場合の候補115個の位置が示されている(Credit: ESO/N. Risinger (skysurvey.org))】

研究グループは今回、チリのパラナル天文台にあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」、国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」、欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「Gaia(ガイア)」などで取得された観測データ約20年分を参照し、さそり座とへびつかい座にまたがる太陽系に比較的近い星形成領域で自由浮遊惑星を捜索しました。その結果、冒頭でも触れたように少なくとも70個、多ければ170個の自由浮遊惑星が見つかったといいます。Miret-Roigさんは「これほどの数が見つかったことにワクワクしました」と語ります。

自由浮遊惑星はそもそも発見することが難しい天体です。恒星を公転する系外惑星の場合、恒星の光を反射した系外惑星を直接撮像できる場合がありますし、直接撮像が無理でも惑星が恒星の手前を横切って光の一部をさえぎったり(トランジット法)、公転する惑星が恒星を揺さぶったり(視線速度法、ドップラーシフト法)する様子を恒星の観測を通して捉えることで、間接的にその存在を検出することも可能です(系外惑星の検出方法については以下の関連記事もご参照下さい)。

しかし、自由浮遊惑星は宇宙を孤独に漂っているので、主星である恒星の光を頼ることができません。過去の研究では、移動する自由浮遊惑星が恒星と地球の間に偶然入り込んだ時に生じる「重力マイクロレンズ」(※)効果なども利用してその存在が検出されてきました。今回の研究では、可視光線と赤外線を利用して取得された膨大な観測データをもとに、およそ2600万個もの天体の位置・明るさ・動きについての情報をまとめ、そのなかから非常に暗い天体である自由浮遊惑星を見つけ出すことに成功しています。

※…遠くにある恒星(光源)と地球の間を別の天体(レンズ天体)が通過する際に、光源を発した光の進む向きがレンズ天体の重力の影響を受けて曲がることで、時間とともに光源の明るさが変化する現象


パラナル天文台
【▲パラナル天文台の「VLTサーベイ望遠鏡」と「VISTA望遠鏡」の観測データをもとに作成された画像。画像中央に写る小さな赤い点が自由浮遊惑星の発した光(赤外線)とされる(Credit: ESO/Miret-Roig et al.)】

ただし、今回の方法で見つかった自由浮遊惑星の数は、その年齢に左右されます。発表によると、自由浮遊惑星は形成されてから時間が経つにつれて温度が下がり、明るさは暗くなります。また、質量が小さいものほど温度が下がりやすく、大きいものほど下がりにくくなります。ある明るさで検出された自由浮遊惑星について考えると、年齢が新しければ質量は小さく、年齢が古ければ質量は大きいという関係が成り立つことになります。

今回、研究グループは自由浮遊惑星の明るさを分析することはできたものの、質量についての情報はありませんでした。観測データから見つかった自由浮遊惑星とみられる天体のうち比較的明るいものについては、年齢が古い場合には質量が「惑星」の範囲(ここでは木星の13倍まで)を超えている可能性があるといいます


検出された自由浮遊惑星はどれも同じような時期に形成されたと考えられていますが、推定される形成時期には不確かさがあります。そのため、今回見つかった自由浮遊惑星の数は推定年齢が最も古ければ70個、最も新しければ170個といったように、幅を持たせた数になっているわけです。

また、前述のように自由浮遊惑星はその起源がまだ明らかではありませんが、今回検出された自由浮遊惑星の数は星間雲から形成されたと考えるには多すぎるといい、恒星の周囲で形成された後に惑星系から放り出された惑星が多くを占める可能性を研究グループは指摘しています。

研究に参加したボルドー天体物理学研究所の天文学者Hervé Bouyさんによれば、自由浮遊惑星の数は天の川銀河だけでも数十億個に達する可能性があるといいます。研究グループは、今回検出された自由浮遊惑星がその起源を理解する上で手がかりになることを期待するとともに、ESOが建設を進めている次世代の大型望遠鏡「欧州超大型望遠鏡(ELT)」や、新型宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」による自由浮遊惑星の観測にも期待を寄せています


Image Credit: ESO/M. Kornmesser

2021-12-25
Soraeより

自由浮遊惑星に生命の存在

Posted by moonrainbow on 29.2021 浮遊惑星   0 comments   0 trackback
自由浮遊惑星に生命が存在する可能性を探る 最新研究を紹

自由浮遊惑星の想像図
【▲ 自由浮遊惑星の想像図(Credit: A. Stelter / Wikimedia Commons)】

アメリカのフロリダ工科大学は10月、自由浮遊惑星に生命が存在する可能性を研究しているフロリダ工科大学の宇宙生物学者マナスヴィ・リンガムさんの最新の研究内容を紹介する記事を公開しました。今回はこの記事を元に自由浮遊惑星に生命が存在する可能性について最新の研究成果をご紹介していきたいと思います

まず、自由浮遊惑星とはどの恒星系にも属さない惑星です。暗く冷たい宇宙空間を孤独に旅しています。名古屋大学などの研究チームによる推定によれば、私達の天の川銀河内だけでも4000億個ほどもの自由浮遊惑星が存在すると推定されています。

では、このような自由浮遊惑星に生命が存在する可能性はあるのでしょうか?

リンガムさんによれば「ある」といいます。

まず、地球のように海を持つ惑星が恒星系の外に放り出されたとします。すると、宇宙空間は極寒ですので、やはり海の表面は凍り付いてしまいますが、その下は液体の状態が維持される可能性があるといいます。なぜなら、表面の氷が断熱材として働くと共に、惑星のコアに含まれる放射性物質が自然崩壊することで熱が発生するためです。

リンガムさんによれば、自由浮遊惑星が惑星が形成されてから間もなく恒星系から放り出された場合にはこの可能性はより高まるといいます。惑星が形成されてから間もなくはコアにおける地熱活動がより盛んなためです。

また、もし自由浮遊惑星が衛星を持っていれば、その衛星の内部では潮汐加熱によって熱が発生する可能性もあるようです。

しかし、仮に氷の下に液体の海が存在するとしても、生命はどこからエネルギーを得ることができるのでしょうか?

リンガムさんによると、その方法の1つとしてクエーサー(活動銀河核)からの電磁波が考えられるといいます。

ほとんどの銀河の中心には超大質量ブラックホールが潜んでいますが、この超大質量ブラックホールに物質が呑み込まれていくときには、物質は渦を巻きながら呑み込まれていきます。この渦巻状の円盤が「降着円盤」です。

降着円盤内は、呑み込まれていく物質同士の摩擦によって熱が発生し、非常に高温になります。そのため、X線、可視光線から電波までさまざまな電磁波で光り輝きます。これがクエーサーの正体です。

自由浮遊惑星がクエーサーがある銀河の中心から1000光年未満ほどの範囲内にあれば、このクエーサーからの電磁波を使って、光合成をおこない、生命を維持することができる可能性があるといいます。

ところで、実は、地球上の微生物については、生存に太陽の光を必要とする微生物よりも、生存に太陽の光を必要としない微生物の方が多いことが解っています。

研究の次の段階として、リンガムさんは、このように生存に太陽の光を必要としない微生物について分析するなどして、微生物が低温、低圧力などどのような極限状況まで生き延びることができるのか、確かめていきたいとしています。

もしかしたら、そのうち「太陽系に迷い込んできた自由浮遊惑星で生命が発見された」なんて夢のような話が現実になるかもしれませんね!


Image Credit: A. Stelter / Wikimedia Commons

2021-10-24
Soraeより

自由浮遊惑星の発見

Posted by moonrainbow on 12.2020 浮遊惑星   0 comments   0 trackback
重力マイクロレンズ現象を利用して新しい自由浮遊惑星の候補を発見

重力マイクロレンズ現象の想像図
自由浮遊惑星による重力マイクロレンズ現象の想像図(Credit: Jan Skowron / Astronomical Observatory, University of Warsaw.)

プシェメク・ムロズ博士などからなる光学重力レンズ実験(OGLE)の研究チームは2020年10月29日、重力マイクロレンズ現象を使って、新たな自由浮遊惑星の候補を発見したとする論文を発表しました。この自由浮遊惑星の候補の質量は、火星~地球程度で、これまで重力マイクロレンズ現象を使って発見された天体のなかでも、最も小さいものの一つになります

自由浮遊惑星とは、どの恒星系にも属さずに、宇宙空間を放浪している惑星をいいます。その数は意外に多く、名古屋大学の研究チームの推定によれば、私達の天の川銀河だけでも数千億個の自由浮遊惑星が存在するのではないかと考えられています。

このような自由浮遊惑星は、非常に暗いために観測が難しく、重力マイクロレンズ現象を利用した特殊な方法で探査されています


アインシュタインの一般相対性理論によれば、大きな質量を持つ天体の近くでは、空間が曲げられ、光の進路が曲げられます。その結果、大きな質量を持つ天体の近くを通る光りが、あたかもレンズによって集光されたかのように、明るさを増す現象が起こることがあります。これが重力マイクロレンズ現象です。重力レンズ現象の一種になります。

研究チームは、自由浮遊惑星が地球と恒星の間を横切ったときに発生したこの重力マイクロレンズ現象を観測・分析することによって、今回の新しい自由浮遊惑星の候補を発見しました。

重力マイクロレンズ現象による増光の時間の長さは自由浮遊惑星の質量に関係しています。そのため、研究チームは、あわせて、その自由浮遊惑星の候補の質量を推定することもできました。その質量は火星~地球程度の質量だと考えられるといいます。

研究チームは、このように質量が小さな自由浮遊惑星について、重力マイクロレンズ現象を使って、さらに探査を続けていきたいとしています


Image Credit: Jan Skowron / Astronomical Observatory, University of Warsaw.

2020-11-01
Soraeより

自由浮遊惑星でも表面に液体が保たれる可能性がある

Posted by moonrainbow on 10.2020 浮遊惑星   0 comments   0 trackback
恒星がない自由浮遊惑星でも表面に液体を保持できる可能性

自由浮遊惑星でも表面に液体が保たれる

液体の水が保たれる条件を満たした天体は、地球外で生命が存在し得る場所として注目されています。恒星から受け取るエネルギーが適度なハビタブルゾーンに位置する太陽系外惑星が特に注目されていますが、恒星を周回していない自由浮遊惑星でも表面に液体が保たれる可能性を示した研究成果が発表されています

■豊富な放射性元素の崩壊熱で温められる

Manasvi Lingam氏(フロリダ工科大学)とAbraham Loeb氏(ハーバード大学)は、主星から遠すぎてハビタブルゾーンから外れている系外惑星や、惑星として形成された後に何らかの理由で恒星から離れてしまった「自由浮遊惑星」のような天体において、溶媒として知られる水、アンモニア、エタンが液体の状態で保たれる可能性を検討しました。自由浮遊惑星は天の川銀河だけでもかなりの数が存在するとみられていますが、恒星を周回していないことから検出が難しい天体です。

恒星から受け取るエネルギーがきわめて少ないか、そもそも受け取ることができない天体におけるエネルギー源として両氏が注目したのは、放射性元素の崩壊熱でした。原子力発電や核兵器などに使われる放射性元素は地球の地殻やマントルにも含まれており、崩壊するときに放出されたエネルギーは最終的に熱となります。両氏の研究では、地球と同じ質量で表面が1気圧の天体を仮定した場合、放射性元素の量が地球の100倍であれば摂氏マイナス140度ほどの表面温度が長期間維持され、表面に液体のエタンが数億年以上保持される可能性が示されました。

また、地球の10倍の質量で放射性元素の量が地球の1000倍であれば、表面温度が摂氏30度ほどに落ち着き、表面に液体の水が同程度の期間保たれる可能性があることも示されています。こうした天体では強い放射線にさらされることになりますが、両氏は放射線に耐性を示す細菌デイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans)を例に、強い放射線のもとでも生命が存在できる可能性に言及しています。

両氏は、星々が密集している天の川銀河の中心付近では鉄より重い元素が生成される「r過程」を引き起こす中性子星どうしの合体(キロノバ)が比較的発生しやすく、研究で検討されたウラン238やトリウム232といった放射性元素を多く含む惑星が形成される可能性も高まると考えています。

なお、両氏によると、来年打ち上げが予定されているNASAの「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡であれば、このような天体が放つ赤外線を検出できる可能性があるとのことです


Image Credit: Guillem Anglada-Escude – IEEC/Science-wave, using SpaceEngine.org.

2020-04-03
Soraeより

浮遊惑星「SIMP J01365663+0933473」

Posted by moonrainbow on 17.2018 浮遊惑星   0 comments   0 trackback
20光年先に恒星を周回せずに漂流している「浮遊惑星」が存在

[SIMP J01365663+0933473」のイメージ図
「SIMP J01365663+0933473」のイメージ図/Chuck Carter/NRAO/AUI/NSF

地球から20光年離れた宇宙空間に、恒星を周回せずに宇宙空間を漂う「浮遊惑星」とみられる天体が存在すると学術誌「アストロフィジカルジャーナル・サプリメントシリーズ」にこのほど、論文が発表されました。この天体の磁場を分析した結果としています

天体の名称は「SIMP J01365663+0933473」。質量は太陽系最大の惑星である木星の12.7倍で、磁場の強さも木星の200倍以上です

表面温度は815度を超えます。ただこれは、約5500度に達する太陽の表面温度に比べれば「寒冷」と言えます

太陽系外に存在するこうした天体の磁場を電波望遠鏡で検知・測定したのは今回が初めてです。米ニューメキシコ州にあるカール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群の観測所を使って突き止めました

この天体は惑星以外には、褐色矮星(わいせい)である可能性も指摘されてきました

褐色矮星は通常、惑星としては質量が大きすぎるものの、恒星のエネルギー源となる水素核融合のプロセスを維持できるほどの質量がない天体とみなされています。理論的には1960年代から存在が予想されていましたが、95年に初めて発見されました

論文の著者であるアリゾナ州立大学のメロディー・カオ氏は今回の星について、惑星と褐色矮星のちょうど境界に位置づけられる天体との見方を示しています

この天体が2016年に他の4つの褐色矮星と一緒に見つかった際、その年齢は今回の測定よりも古く、質量もより大きいとみられていました

しかし科学者のチームが昨年、実際には若い恒星群の一部であり、質量も当初の想定より小さいことを発見。質量を特定した上で、自由浮遊惑星の可能性があると突き止めたのです

2018年8月8日
CNNより
 

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