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最大数の重力波を観測

Posted by moonrainbow on 14.2021 重力波   0 comments   0 trackback
数十億年の彼方から届く「重力波の津波」、記録的な観測

近接するブラックホールの想像図
近接するブラックホールの想像図

宇宙で起きた大規模な衝突から生じた重力波が、数十億年の旅を経て地球に到達した。国際天文学研究チームはこのほど、2015年にこの現象が発見されて以来、最大数の重力波を観測したと発表した

重力波は19年11月~20年3月に35回観測された。重力波は主に、2つのブラックホールの合体によって発生するが、まれに起きる高密度の中性子星とブラックホールの衝突によって発生することもある。

15~16年に重力波が観測されのはわずか3回のみ。これで15~20年の観測回数は合計90回になった。

重力波は米国の重力波望遠鏡LIGOとイタリアのバーゴを使って観測し、8日に研究結果が発表された。

重力波の観測は、恒星の生命サイクルや、死んだ恒星がブラックホールや中性子星になる仕組みの解明に役立てることができる。宇宙空間に生じる時空の波は、アルベルト・アインシュタインが1916年の一般相対性理論の中で予測していた。

論文共著者でオーストラリア国立大学教授のスーザン・スコット氏は、今回観測された重力波を「津波」と形容、「宇宙の進化の謎を解く研究における大きな前進」と位置付ける。

「重力波の観測は新時代に入った。発見が増えたことで、宇宙全体で恒星の生と死に関する多くの情報が明らかになっている」「こうした連星の中のブラックホールの質量や回転を観察すれば、そうした連星がどう集まってきたのかが解明できる」とスコット氏は解説する。

2022年後半から始まる次回の観測には、LIGOとバーゴに加えて日本の重力波望遠鏡「KAGRA」も参加する予定


2021年11月10日:
CNN.より

ブラックホール同士の合体から重力波を発生

Posted by moonrainbow on 27.2020 重力波   0 comments   0 trackback
重力波観測で最大規模 ブラックホール合体 米欧チーム

ブラックホール同士が合体

ブラックホール同士が合体し、重力波を発生するシミュレーション。2019年5月に捉えた重力波の場合、合体後のブラックホールの質量は観測史上最大で、太陽の142倍とみられる(SXSコラボレーションなど提供)

 地球から約70億光年離れた所でブラックホール同士が合体し、放出されたとみられる重力波が2019年5月に観測された。米欧の研究チームがデータを精査し、2020年9月19日までに発表した。合体後のブラックホールの質量は太陽の142倍に上り、2015年にブラックホール合体による重力波を初めて検出して以来、最も大きい。最も遠い場所から届いた重力波でもあるという

 この重力波は2019年5月21日、米国にある観測装置「LIGO(ライゴ)」とイタリアにある同「Virgo(バーゴ)」で捉えられた。太陽質量の85倍と65倍のブラックホールが合体し、8倍分のエネルギーを重力波として放出。142倍のブラックホールが残ったとみられる。 

 ブラックホールは大きな恒星が寿命を迎えてできると考えられている。しかし、地球がある銀河系(天の川銀河)を含め、銀河の中心には超巨大ブラックホールがあり、大きさのギャップが激しい。今回の観測で、その中間レベルのブラックホールが存在する確証が得られた。恒星からできたブラックホールが合体を重ね、段階的に大きくなる可能性があるという


2020年9月19日
時事通信より

謎の重力波源

Posted by moonrainbow on 03.2020 重力波   0 comments   0 trackback
最重量の中性子星?最軽量のブラックホール?

天体のイメージイラスト
GW190814のイメージイラスト
重力波「GW190814」を発生させた天体のイメージイラスト。太陽質量の23倍のブラックホール(左)と2.6倍の天体(右)の合体現象であることがわかったが、軽い方の天体は中性子星かブラックホール、どちらだとしても記録破りの結果だ(提供:LIGO/Caltech/MIT/R. Hurt (IPAC))

太陽質量の23倍と2.6倍という高密度天体の合体による重力波が検出された。後者の質量は中性子星にもブラックホールにも当てはまらず、正体が注目される

太陽の約8倍より重い恒星は、一生の最期に自らの重力で崩壊して超新星爆発を起こし、あとには超高密度の小さな天体が残される。元の星がかなり重い場合にはブラックホール、やや軽い場合には中性子星が残されると考えられている。

中性子星はほぼ中性子だけでできた直径数十kmの天体で、原子核を形づくる陽子・中性子に働くのと同じ「核力」が星自体の強い重力を支えている。だが、あまりにも重い中性子星は核力でも重力を支えることができず、つぶれてブラックホールになってしまう。中性子星でいられる上限質量を明らかにすることは天体物理学の重要な問題だが、まだよくわかっていない。様々な理論から、おおよそ太陽質量の2.1~2.5倍までとされており、実際の観測では2.1倍前後の中性子星がこれまでに複数見つかっている。

一方で、「最も軽いブラックホール」にも未解明の謎がある。超新星爆発の後に残される「星の芯」の質量が太陽の2.1~2.5倍より重ければ中性子星ではなくブラックホールになるはずだが、実際に観測されている軽いブラックホールは太陽の約5倍までで、これより軽いものはなぜか一つも見つかっていないのだ。

つまり、質量が太陽の2.5~5倍の範囲は、中性子星は理論的に存在できず、ブラックホールもなぜか観測されない「空白域」になっている。研究者はこの領域をコンパクト天体の「質量ギャップ」と呼んでいる。

2019年8月14日に米国の「LIGO」とヨーロッパの「Virgo」がとらえた重力波「GW190814」は、その波形から、地球から約8億光年の距離で、太陽質量の23倍と2.6倍の天体が合体して約25太陽質量のブラックホールになった現象であることが明らかになった。23太陽質量の天体はブラックホールだと考えられるが、2.6太陽質量の天体の方は、観測史上初めて「空白域」を埋める質量を持った天体ということになる。

「この天体が最も重い中性子星なのか、それとも最も軽いブラックホールなのかはわかりませんが、いずれにしてもこれまでの記録を塗り替えるものです」(米・ノースウェスタン大学 Vicky Kalogeraさん)。

「今回の発見によって、中性子星とブラックホールの説明は変わるでしょう。実際には質量ギャップなど存在せず、観測能力の限界のせいで見つからなかっただけかもしれません。時間が経って、より多くの観測結果が積み上がれば答が出るでしょう」(米・ウィスコンシン大学ミルウォーキー校 Patrick Bradyさん)


LIGOとVirgoでGW190814が検出されると直ちにアラートが出され、各地の地上望遠鏡や軌道上の観測衛星によってこの現象の残光観測が行われたが、残光はとらえられなかった。これまでに重力波イベントの残光観測に成功したのは2017年の「GW170817」が唯一の例で、この現象は2個の中性子星の合体だった(参照:「連星中性子星の合体からの重力波を初検出、電磁波で重力波源を初観測」)。

今回、GW190814の追観測で残光がとらえられなかった理由はいくつか考えられる。GW190814はGW170817に比べて距離が6倍も遠いため、残光が暗すぎて観測できなかったのかもしれない。また、もし軽い方の天体もブラックホールだったとすれば、ブラックホール同士の合体になるため光は全く出ない。一方、軽い方の天体が中性子星だったとすると、9倍も重いブラックホールに一気に丸飲みされ、光が放射されなかったのかもしれない


「GW190814」の重力波
「GW190814」の重力波を再現するシミュレーションのスナップショット画像。質量比が9.2:1でともに自転していない2個のブラックホールが合体したとすると、観測された波形をよく再現できる。2天体の質量比が大きいと、放出される重力波信号の「倍音」成分が強くなる(提供:N. Fischer, S. Ossokine, H. Pfeiffer, A. Buonanno (Max Planck Institute for Gravitational Physics), Simulating eXtreme Spacetimes (SXS) Collaboration)

「今回の現象は、コンパクト天体の連星の全く新しいグループの姿を初めて垣間見たものです。この成果は始まりにすぎないという点で実にエキサイティングです。検出器の感度が向上すればこうした信号をもっと多く観測することができ、中性子星やブラックホールの質量や数を正確に決めることができるようになるでしょう」(英・カーディフ大学 Charlie Hoyさん)

中性子星とブラックホールの一覧
LIGOによって検出された天体の質量チャート
これまでに観測で質量が求められた中性子星とブラックホールの一覧(縦軸の単位は太陽質量)。青で描かれているのがLIGO/Virgoの重力波観測で質量が求められたブラックホール。中央が今回の「GW190814」で、23太陽質量のブラックホールと2.6太陽質量の謎の天体の合体で25太陽質量のブラックホールができた。紫は光や電波などの電磁波観測で質量が決まったブラックホールで、黄色は同じく電磁波観測で質量が決まった中性子星、オレンジ色はLIGO/Virgoの重力波観測で質量が決まった中性子星を表す(提供:LIGO-Virgo/Frank Elavsky & Aaron Geller (Northwestern))

2020年6月26日
AstroArtsより

重力波「GW 170817」のX線

Posted by moonrainbow on 15.2018 重力波   0 comments   0 trackback
増光がついに一段落した重力波源のX線

X線画像
合体後の中性子星と母銀河
XMMニュートンで撮影された、合体後の中性子星(中央左上)とその母銀河NGC 4993(中央右下)のX線画像(提供:ESA/XMM-Newton; P. D'Avanzo (INAF-Osservatorio Astronomico di Brera))

2017年8月に重力波「GW 170817」が検出されてから数か月が経ち、X線の残光がついに増光のピークを迎えたようです。今後は徐々に暗くなるとみられますが、その正体について新たな疑問も浮かんでいます

中性子星やブラックホール同士の合体のように、重い天体が加速度運動をするときに発生する時空の「さざ波」が重力波です。1908年にアインシュタインが重力波の存在を予言してから100年が経ち、現在では米国の「LIGO」や欧州重力観測所の「Virgo」といった地上の観測装置で重力波を検出できるようになりました

重力波が検出されると、地上の大型望遠鏡や宇宙空間の観測衛星によって、重力波源の対応天体を探す観測が電磁波のあらゆる波長で行われます。2015年から現在までに6件の重力波イベントが観測されていますが、このうち5件では電磁波での対応天体は見つからなかったのです。この5件はブラックホール同士の合体とみられていて、このタイプの現象は光を出さないのです

唯一の例外が2017年8月17日に検出された重力波「GW 170817」で、これは重力波源の位置でガンマ線が初めて観測されたケースです。重力波の検出からわずか2秒後に、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の天文衛星「インテグラル」とNASAのガンマ線天文衛星「フェルミ」がガンマ線の閃光をとらえたのです。重力波源とつながりがあると思われるガンマ線バーストが検出されたことから、この重力波が2つの中性子星の合体で発生したものであることがわかり、追観測を行うために世界規模の観測キャンペーンが実施されました

観測の結果、可視光線での残光は重力波検出から半日後に、X線や電波での残光は9日も経ってから検出されました。この時間差から、この中性子星の合体では細く絞られた2本の対称なジェットが発生し、そのジェットは両方とも地球には向いていなかったことが示唆されます

NASAのX線衛星「チャンドラ」は数か月にわたってX線残光の観測を続け、観測期間中X線が増光し続けていることを明らかにしました。一方ESAのX線衛星「XMMニュートン」は重力波検出直後の4か月間は観測ができなかったが、2017年12月29日に観測を始めたところ、X線の増光は止まっているようでした

XMMニュートンの観測は非常に良いタイミングで行われました。同月初めにチャンドラで得られた観測と比較することで、出現以来続いていたX線の増光がついに止まったことを初めて示したのです」(伊・国立天体物理学研究所 Paolo D'Avanzoさん)。

中性子星の合体で放出され加熱された物質は、周りの星間物質の中で徐々に減速されるため、X線の明るさは合体の数か月後にはピークに達すると予想されていました。しかし、今後の進化次第では、驚くべき発見がまだ待っているかもしれません

最初の観測から示唆されたように、もし今回の合体で地球に向いていないジェットが2本対称に作られたとすると、これからX線は急速に暗くなっていくと考えられます。しかし、今回の合体でジェットが作られず、ジェットよりずっとエネルギーの低い「火の玉」が球形に広がりつつあるというモデルの場合、X線残光は「ジェット」モデルよりもゆっくりと減光していくことになります

今後数か月の間に残光がどのようなふるまいを見せるのかを早く見たいです。減光の様子を見れば、これまでの解釈通り、外れた角度からガンマ線バーストのビームを見ているのか、それとも別の現象を目にしているのかがわかることでしょう」(D'Avanzoさん)

LIGOとVirgoの重力波検出器は、感度を向上させて2019年の初めから観測を再開する。一方ESAでは、より周波数の低い重力波を宇宙から観測する「LISA(レーザー干渉計宇宙アンテナ)」を2034年に打ち上げる計画です

2018年6月5日
AstroArtsより

重力波源「GW170817」

Posted by moonrainbow on 06.2018 重力波   0 comments   0 trackback
連星中性子星の衝突・合体現象から届く明るいX線残光

重力波源「GW170817」と銀河NGC 4993
「チャンドラ」がX線で観測した重力波源「GW170817」と銀河NGC 4993。(左)2017年8月と9月、(右)2017年12月(提供:NASA/CXC/McGill University/J. Ruan et al.)

2017年8月に検出された重力波源「GW170817」が4か月後にもX線で明るい様子が観測されました

うみへび座の方向1億3800万光年彼方の銀河「NGC 4993」で発生した重力波「GW170817」は、2017年8月にアメリカの重力波出器「Advanced LIGO」が最初に検出し、その後欧州重力波観測所の重力波検出器「Advanced Virgo」、そして地上と宇宙の約70もの観測施設や観測衛星によって確認されました。GW170817は従来観測されてきた様々な電磁波と重力波の両方で観測された初の現象となり、天文学の新たな時代の扉を開きました

GW170817は中性子星同士の衝突・合体で発生したものですが、NASAのX線天文衛星「チャンドラ」によるGW170817の残光観測から、この際に生じたガンマ線バーストは、最初に考えられていたよりも複雑なプロセスによって発生したものらしいことが示唆されました。「通常、ショート・ガンマ線バーストを観測すると、発生したジェット放射が周囲の物質にぶつかって短時間だけ明るくなり、すぐに暗くなります。しかしGW170817の場合は違っていて、明らかに単純なものではありません」(カナダ・マギル大学 Daryl Haggardさん)

チャンドラによる観測データは、中性子星同士の合体の残骸に関する複雑なモデルで説明できるかもしれません。一つの可能性として、合体によって発生したジェットが周囲にあるガスの残骸を衝撃加熱し、ジェットの周囲に高温の繭のような構造が作られ、それがX線や電波の波長で何か月にもわたって輝くと考えられています

電波観測では残光が秋の間もずっと明るいことが確かめられていたのだが、GW170817の方向が太陽に近かった期間は、可視光線やX線では観測できていなかったのです。2017年12月になってようやくX線観測が行われ、電波と同様に残光が明るいことが確認されたのです。「12月の初めにGW170817が観測できるようになったとき、私たちはこのチャンスに飛びつきました。思った通り、残光はX線でも電波と同様に明るかったのです」(マギル大学 John Ruanさん)

「この中性子星同士の合体は、これまでに見たこともないものです。研究者たちにとっては、楽しみが続く贈り物のようなものです」(マギル大学 Melania Nynkaさん)

2018年1月24日
AstroArtsより
 

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