重力波「GW 170817」のX線

Posted by moonrainbow on 15.2018 重力波   0 comments   0 trackback
増光がついに一段落した重力波源のX線

X線画像
合体後の中性子星と母銀河
XMMニュートンで撮影された、合体後の中性子星(中央左上)とその母銀河NGC 4993(中央右下)のX線画像(提供:ESA/XMM-Newton; P. D'Avanzo (INAF-Osservatorio Astronomico di Brera))

2017年8月に重力波「GW 170817」が検出されてから数か月が経ち、X線の残光がついに増光のピークを迎えたようです。今後は徐々に暗くなるとみられますが、その正体について新たな疑問も浮かんでいます

中性子星やブラックホール同士の合体のように、重い天体が加速度運動をするときに発生する時空の「さざ波」が重力波です。1908年にアインシュタインが重力波の存在を予言してから100年が経ち、現在では米国の「LIGO」や欧州重力観測所の「Virgo」といった地上の観測装置で重力波を検出できるようになりました

重力波が検出されると、地上の大型望遠鏡や宇宙空間の観測衛星によって、重力波源の対応天体を探す観測が電磁波のあらゆる波長で行われます。2015年から現在までに6件の重力波イベントが観測されていますが、このうち5件では電磁波での対応天体は見つからなかったのです。この5件はブラックホール同士の合体とみられていて、このタイプの現象は光を出さないのです

唯一の例外が2017年8月17日に検出された重力波「GW 170817」で、これは重力波源の位置でガンマ線が初めて観測されたケースです。重力波の検出からわずか2秒後に、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の天文衛星「インテグラル」とNASAのガンマ線天文衛星「フェルミ」がガンマ線の閃光をとらえたのです。重力波源とつながりがあると思われるガンマ線バーストが検出されたことから、この重力波が2つの中性子星の合体で発生したものであることがわかり、追観測を行うために世界規模の観測キャンペーンが実施されました

観測の結果、可視光線での残光は重力波検出から半日後に、X線や電波での残光は9日も経ってから検出されました。この時間差から、この中性子星の合体では細く絞られた2本の対称なジェットが発生し、そのジェットは両方とも地球には向いていなかったことが示唆されます

NASAのX線衛星「チャンドラ」は数か月にわたってX線残光の観測を続け、観測期間中X線が増光し続けていることを明らかにしました。一方ESAのX線衛星「XMMニュートン」は重力波検出直後の4か月間は観測ができなかったが、2017年12月29日に観測を始めたところ、X線の増光は止まっているようでした

XMMニュートンの観測は非常に良いタイミングで行われました。同月初めにチャンドラで得られた観測と比較することで、出現以来続いていたX線の増光がついに止まったことを初めて示したのです」(伊・国立天体物理学研究所 Paolo D'Avanzoさん)。

中性子星の合体で放出され加熱された物質は、周りの星間物質の中で徐々に減速されるため、X線の明るさは合体の数か月後にはピークに達すると予想されていました。しかし、今後の進化次第では、驚くべき発見がまだ待っているかもしれません

最初の観測から示唆されたように、もし今回の合体で地球に向いていないジェットが2本対称に作られたとすると、これからX線は急速に暗くなっていくと考えられます。しかし、今回の合体でジェットが作られず、ジェットよりずっとエネルギーの低い「火の玉」が球形に広がりつつあるというモデルの場合、X線残光は「ジェット」モデルよりもゆっくりと減光していくことになります

今後数か月の間に残光がどのようなふるまいを見せるのかを早く見たいです。減光の様子を見れば、これまでの解釈通り、外れた角度からガンマ線バーストのビームを見ているのか、それとも別の現象を目にしているのかがわかることでしょう」(D'Avanzoさん)

LIGOとVirgoの重力波検出器は、感度を向上させて2019年の初めから観測を再開する。一方ESAでは、より周波数の低い重力波を宇宙から観測する「LISA(レーザー干渉計宇宙アンテナ)」を2034年に打ち上げる計画です

2018年6月5日
AstroArtsより

重力波源「GW170817」

Posted by moonrainbow on 06.2018 重力波   0 comments   0 trackback
連星中性子星の衝突・合体現象から届く明るいX線残光

重力波源「GW170817」と銀河NGC 4993
「チャンドラ」がX線で観測した重力波源「GW170817」と銀河NGC 4993。(左)2017年8月と9月、(右)2017年12月(提供:NASA/CXC/McGill University/J. Ruan et al.)

2017年8月に検出された重力波源「GW170817」が4か月後にもX線で明るい様子が観測されました

うみへび座の方向1億3800万光年彼方の銀河「NGC 4993」で発生した重力波「GW170817」は、2017年8月にアメリカの重力波出器「Advanced LIGO」が最初に検出し、その後欧州重力波観測所の重力波検出器「Advanced Virgo」、そして地上と宇宙の約70もの観測施設や観測衛星によって確認されました。GW170817は従来観測されてきた様々な電磁波と重力波の両方で観測された初の現象となり、天文学の新たな時代の扉を開きました

GW170817は中性子星同士の衝突・合体で発生したものですが、NASAのX線天文衛星「チャンドラ」によるGW170817の残光観測から、この際に生じたガンマ線バーストは、最初に考えられていたよりも複雑なプロセスによって発生したものらしいことが示唆されました。「通常、ショート・ガンマ線バーストを観測すると、発生したジェット放射が周囲の物質にぶつかって短時間だけ明るくなり、すぐに暗くなります。しかしGW170817の場合は違っていて、明らかに単純なものではありません」(カナダ・マギル大学 Daryl Haggardさん)

チャンドラによる観測データは、中性子星同士の合体の残骸に関する複雑なモデルで説明できるかもしれません。一つの可能性として、合体によって発生したジェットが周囲にあるガスの残骸を衝撃加熱し、ジェットの周囲に高温の繭のような構造が作られ、それがX線や電波の波長で何か月にもわたって輝くと考えられています

電波観測では残光が秋の間もずっと明るいことが確かめられていたのだが、GW170817の方向が太陽に近かった期間は、可視光線やX線では観測できていなかったのです。2017年12月になってようやくX線観測が行われ、電波と同様に残光が明るいことが確認されたのです。「12月の初めにGW170817が観測できるようになったとき、私たちはこのチャンスに飛びつきました。思った通り、残光はX線でも電波と同様に明るかったのです」(マギル大学 John Ruanさん)

「この中性子星同士の合体は、これまでに見たこともないものです。研究者たちにとっては、楽しみが続く贈り物のようなものです」(マギル大学 Melania Nynkaさん)

2018年1月24日
AstroArtsより

重力波「GW170608」の観測に成功

Posted by moonrainbow on 19.2017 重力波   0 comments   0 trackback
重力波「GW170608」新たに観測

重力波「GW170608」

米国のLIGOや欧州のVirgoなどの研究所が競うようにして観測に成功している「重力波」。そして新たに、LIGOが2017年6月8日に重力波「GW170608」の観測に成功したと発表しました
 
LIGOの発表によれば、この重力波はルイジアナとワシントンの2つの施設で観測されました。この重力波は2つのブラックホールの合体によって発生したもので、LIGOによる5回目の観測となります。これまで、重力波は6回観測されてきました
 
そして今回の重力波は、これまでのブラックホール同士の合体としては最も軽量級だったという特徴があります。2つのブラックホールの質量は太陽の7倍と12倍。そして衝突の結果、太陽質量の18倍のブラックホールが誕生しました。また、この合体は地球からは約10億光年先で発生したようです
 
このように米欧で観測と研究が進められる重力波。一方、日本は岐阜県飛騨市の重力波観測施設「KAGRA」が本格稼働を目指しており、今後に期待がかかります
 
Image Credit: LIGO/Caltech/MIT/Sonoma State (Aurore Simonnet)

2017/11/17
Soraeより

重力波天体「GW 170817」で日本観測チームも重力波天体観測

Posted by moonrainbow on 18.2017 重力波   0 comments   0 trackback
日本観測チームも重力波天体の光を初観測 

重力波天体
 
2017年10月16日(現地時間)に発表された5回目の重力波観測ですが、2017年8月17日に観測された重力波の発生時には日本の重力波追跡観測チーム「J-GEM」も追跡観測を実施。そして、重力波天体の放つ光を初観測しています
 
今回アメリカのLIGOと欧州のVirgo(どちらも重力波研究所)が観測した重力波天体「GW 170817」は、中性子星同士の合体で発生したもの。これまでのブラックホールの合体とは異なり、地上からの可視光での観測も可能だったのです
 
そしてJ-GEMに所属するすばる望遠鏡や、名古屋大学と鹿児島大学が運用する南アフリカのIRSF望遠鏡を利用し、GW 170817を観測。これが高密度の天体が合体する際の大規模爆発現象「キロノバ」だと確信し、さらに鉄より重い元素を合成する過程の「r プロセス」を伴うキロノバ放射の理論予測とよく一致していたのです
 
このr プロセスでは、金やプラチナ、レアアースなどの元素の合成が予測されていました。すばる望遠鏡のリリースによれば、今回の観測をシミュレーションしたところ地球質量の1万倍のレアアースのようなr プロセス元素が生成されていたそうです。以前は超新星爆発で生成されると考えられていた重元素ですが、中性子星の合体によるr プロセスで重元素が誕生するとすれば、重元素の起源に迫る大きな一歩になると、すばる望遠鏡のリリースはまとめています
 
Image Credit: 国立天文台

2017/10/17
Soraeより

中性子星合体(neutron stars colliding)による重力波

Posted by moonrainbow on 17.2017 重力波   0 comments   0 trackback
「中性子星(Neutron Stars)合体による重力波」初観測に成功 

中性子星同士の衝突による重力波

米国のLIGOと欧州のVirgo(それぞれ重力波研究所)は2017年10月16日(現地時間)、2017年8月17日に重力波を観測していたと発表しました。さらに、今回の重力波は初めて中性子星同士の衝突による重力波を観測したものとなります
 
これまで重力波は4回観測されていましたが、それらはすべてブラックホールの合体が原因となり発生したものでした。しかし今回の中性子同士の衝突は巨大な火の玉を生み、地上の望遠鏡からも観測することができたのです
 
今回の重力波は地球から1億3000万光年離れた場所で発生。それぞれの中性子星は太陽質量の1.1倍と1.6倍の重さとなり、お互いの周りを高速で回転した後に衝突したものと考えられています
 
さらに今回の観測では、8月の観測時にLIGOとVirgoが世界の観測機関に警告を発したことで全世界の天文台が観測を行い、重力波の発生を追加確認。さらに観測からは、「金」などの重い元素の誕生も観測されています
 
前述の追加確認には日本の国立天文台なども参加しており、観測結果を発表しています

Jets and Debris from a Neutron Star Collision 



Image Credit: NSF LIGO Sonoma State University / A. Simonnet

2017/10/17
Soraeより
 

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