水が存在する新型の小惑星を発見(NASA)
水が存在する小惑星を発見 火星と木星の間にある小惑星帯で、水をたっぷり含んだ新しいタイプの小惑星を発見したそうだ。
ハワイにあるマウナケア天文台から観測されたそれらの小惑星は、やはり水が豊富にあると考えられる準惑星「ケレス」によく似ている。
『Nature Astronomy』(2023年2月20日付)に掲載された研究によると、新しい小惑星の起源は冥王星よりも外側にあるらしいが、じつは地球の海の形成とも深く関わっている可能性があるという。
それらの理解を深めることは、小惑星帯や太陽系そのものの成り立ちと進化を理解することにもつながるそうだ。
準惑星「ケレス」によく似た小惑星を発見 地球の海はどうやって誕生したのか? その起源についてはっきりしたことはまだわかっていない。
今から45億年前、産声を上げようとしていた地球は、「原始太陽系星雲」から揮発性のガスをたっぷりと吸収した。それはやがて初期の地球をおおっていたマグマの海や火山活動によって噴出し、雨となり地上に降り注いだ。
だが、水の起源はもっと遠くにある可能性もある。太陽系外縁部にあった氷の彗星や小惑星が、豊富な水を地球に運んでくれたのかもしれないのだ。
今回発見された小さな複数の小惑星は、その裏付けかもしれない。それらは太陽から遠く離れた氷の惑星によく見られる、多孔質で原始的な特徴を備えている。
そして奇妙なことに準惑星「ケレス」にもよく似ているのだ。
水が豊富な小惑星を発見! 火星と木星の間の小惑星帯にある新しい区分の小惑星は、準惑星ケレスにそっくり。それが地球に水を運んだ可能性は非常に高いと考えられる
海がある準惑星「ケレス」
小惑星帯で最大の天体であるケレスは、かつては小惑星に分類されていた。だが冥王星が惑星から準惑星に降格された2006年、ケレスは小惑星から準惑星に昇格した。
そんなケレスの氷の層の下に海があるだろうことが判明したのは、2015年のこと。NASAの探査機「ドーン」によって、クレーターの中にある白っぽく明るいものが確認された。
その正体は「炭酸ナトリウム」が混ざった一種の塩水だ。水源は数百キロの地下に存在する海で、小惑星の衝突で氷の層が溶けたか、亀裂が生じるかして、氷の火山から染み出したのだと考えられている。
小惑星帯の外側には大きく暗い小惑星のグループが存在する。それらはケレスと性質がよく似ており、歴史を共有している。太陽系の形成から150万~350万年後に降着し、その起源は太陽系外縁にある / image credit:@NatureAstronomy
そんなケレス型の小惑星は小惑星帯の外側のごく狭い領域にしか見られない。そのことは、それらが太陽系外縁のもっと寒い領域で形成されただろうことを物語っている。

NASAの探査機ドーンによって、準惑星ケレスのクレーターの中で氷が検出。その下には海が存在する可能性がある / image credit:NASA / JPL-Caltech / UCLA / MPS / DLR / IDA / ASI / INAF
シミュレーションの結果によれば、初期の太陽系では土星や木星のような巨大ガス惑星は非常に不安定で、木星と冥王星の間にあった水が豊富な小惑星の軌道を変え、太陽に向けて押し出した。
一方、今回発見されたもう少し水が多い小惑星は、もともと冥王星の向こうにあったが、海王星や天王星の影響で、太陽に向かってきたようだ。
こうしたことから、小惑星帯にある大型天体の多くは、起源がケレスと同じだろうことがうかがえるのだそうだ。それは、ケレスの成り立ちを理解することで、小惑星帯や太陽系の進化についても理解を深められるということでもある。
どうだろう、あなたが普段飲んでいる水から、ほんのり宇宙の味わいが感じられないだろうか?2023年03月02日
カラパイアより