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準惑星ケレスの白い堆積物

Posted by moonrainbow on 23.2020 太陽系   0 comments   0 trackback
準惑星ケレスの白い堆積物のもとは地下からの塩水

オッカトル・クレーター
(A)「ドーン」による撮影画像を合成して得られたオッカトル・クレーターのモザイク画像。(B)ケレアリア・ファキュラ。中央にはドーム状に盛り上がった地形が見られる。(C)ウィナリア・ファキュリー(提供:Nathues et al., Nature Astronomy )

探査機ドーンの観測データから、準惑星ケレスの表面にある明るい堆積物は地下から湧き出した塩水に由来し、湧き水は現在も続いているらしいことがわかった

NASAの探査機「ドーン」は2007年9月に打ち上げられ、2011年に小惑星ベスタを1年かけて探査した後、第2の探査目標として準惑星ケレスへ向かった。そして2015年3月から2018年10月まで、3年以上にわたってケレスを周回しながら詳細な探査を行った。

ミッション最後の5か月間には、ドーンはケレスに35kmまで接近する軌道を周回し、直径約92kmの「オッカトル・クレーター」や、その内部にある特に明るい領域「ケレアリア・ファキュラ(Cerealia Facula;faculaは明るい点を表す)」や「ウィナリア・ファキュリー(Vinalia Faculae;faculaeはfaculaの複数形)」などを高い解像度でとらえた。今回、この観測期間に得られたデータを解析した最新の研究成果が、複数の論文誌にまとめて発表された。

一般に天体の表面は、微小隕石などの衝突が繰り返されることで荒れたり、衝突で生じた破片が降り積もったりすることにより、時間とともに暗い色に変わっていく。そのため、現在白っぽく見えているこれらの場所は、年代が若い地形である可能性が高い。

これまでのドーンのデータ解析から、この明るい物質の正体は主に炭酸ナトリウムからなる堆積物であることがわかっている(参照:「今も短期間で変化するケレスの表面」)。この堆積物は、地下の液体が表面に上ってきて蒸発し、非常に反射率の高い塩類の地殻となったものだと考えられているが、その液体がどこから来たのかは謎のままだった。

「オッカトル・クレーターには、中央部の大きなくぼみ、塩類の堆積物、亀裂、溝などが見られ、標高に応じて非常に複雑な構造をしていることがわかりました。その現在の形状から、どのような進化を経てきたのかを再構築することができ、過去にあった様々な現象が浮かび上がってきました」(独・マックスプランク太陽系研究所 Andreas Nathuesさん)。

ドーンが撮影した画像をもとにした年代分析によると、オッカトル・クレーターの歴史は次のようなものと考えられる。まず、約2200万年前の大規模な天体衝突によってオッカトル・クレーターが形成され、クレーターの中央に「中央丘」ができた。中央丘は地球上や月面などのクレーターにも見られる地形だ。この中央丘はその後崩れ、今から約750万年前ごろ、中央丘の名残であるクレーター中央の高まりから表面に塩水が湧き出した。この塩水の水分が蒸発して塩(炭酸塩)が残り、現在のケレアリア・ファキュラを形作る明るい堆積物となった。地下の物質が湧き出したことでクレーターの内部は沈下し、直径15kmほどのくぼみができた


ケレアリア・ファキュラの3次元画像
オッカトル・クレーター中央部にあるケレアリア・ファキュラの3次元画像。地下から湧き出した塩水が存在する場所を赤色で示している(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA)

その後の数百万年間は、主にクレーターの東側で、亀裂や溝から同じように塩水が表面に上昇し、ウィナリア・ファキュリーとなった。約200万年前にはクレーター中心部の活動が再び活発化し、ここでも塩水が表面に湧き出して、クレーター中央部のくぼみの中に白っぽい物質でできたドームが形成されたという。

「主な活動は100万年前まで続いていた可能性があります。現在もまだ弱まりつつある途中の段階にあるのかもしれません」(独・ミュンスター大学 Nico Schmedemannさん)


オッカトル・クレーター内部
オッカトル・クレーターの底
ドーンがケレスの上空約35~50kmから撮影した画像から作られた、オッカトル・クレーター内部(南東部)の3次元画像。手前に見える明るいくぼみや丘は、約2000万年前の天体衝突でこのクレーターができた後、水分に富んだクレーターの底部が凍ってできた地形だと考えられている(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA/USRA/LPI)

本来、ケレスの表面では、塩類に含まれる水は数百年も経てば失われてしまうはずだ。しかしドーンの観測から、ケレスの表面には現在も水が存在することが示されているほか、ヨーロッパ宇宙機関の赤外線天文衛星「ハーシェル」によって、水蒸気を含む極めて希薄な外気圏が時おりケレスの周囲に出現している兆候が見つかっている。これらの観測結果は、ケレスの地下に液体の水が存在し、ごく最近にもケレスの表面に出てきていることを示す証拠だと考えられる。

さらに今回、ドーンによるケレスの重力場の観測から、ケレスの地下の密度分布が得られた。これは氷に富んだ太陽系天体では初めての成果だ。その解析結果から、オッカトル・クレーターの地下約40kmの深さに、数百kmの広さにわたって液体の塩水の層が存在することがわかった。

太陽系では、氷が関わる地質活動は主に外惑星を周回する氷衛星で見られる現象だ。これは母惑星の重力を受けて衛星が変形し、内部が温められるという効果(潮汐加熱)によって引き起こされる。だが、ケレスで起こっている塩水の湧き出しにはこうした原因は当てはまらない。今回の成果は、太陽系のケレス以外の氷天体でも同じような地質活動があるかもしれないことを示唆するもので、惑星科学の新たな方向性を示すものだと言える。

「ドーンは、ミッション開始時に私たちが抱いていた期待をはるかに超える探査を成し遂げました。長期にわたる実り多いミッションの最後に得られた、これらのエキサイティングな発見は、この探査機の素晴らしさの証です」(NASAジェット推進研究所 ドーンミッションディレクター Marc Raymanさん)


2020年8月18日
AstroArtsより

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