科学者が「宇宙の終わり」を予測。それは悲しくて孤独な、黒色矮星(Black dwarf)の超新星爆発で幕を閉じる(米研究)
宇宙の終わりを科学者が予測 image by:NASA / JPL-Caltech
この世にあるすべての物に終わりがある。それは宇宙も同じことだ。それははるか遠い未来にやってくる。
アメリカの科学者が今回予測した宇宙の終わり方は、とても孤独で物悲しいものだ。黒色矮星が次々と超新星爆発を起こし、それが宇宙最後の天体ショーとなるという。
その後、ブラックホールは蒸発し、宇宙の膨張によって、残された天体は遠く離れ離れになるという。あまりにも遠く離れすぎて、もはや何らかの爆発があったとしても、それを目にする誰も存在しないのだ。
星の最後の姿、超新星と白色矮星 宇宙がどんな終わり方をするのか?様々な説があるが、「熱死」であるとする考えが浸透している。最後を迎えた宇宙に残されているのは、ほとんどがブラックホールと燃え尽きた星だけだ。
だが、イリノイ州立大学(アメリカ)の理論物理学者マット・カプラン氏が予測する宇宙の最後は、一般的な見解とは少々違う。
核融合を起こす巨大な星のコアでは、徐々に鉄が蓄積している。すると、やがて自らの重力に耐えられなくなり、崩壊して大爆発を起こす。これが「超新星」と呼ばれる現象だ。
しかし質量が太陽の10倍未満しかないもっと小さな星の場合、それほどの重力と密度を作り出す鉄がないために、「白色矮星」となる。大きさは地球と同程度でも、密度はその数百万倍という恒星の最終形態の1つだ。
白色矮星がさらに冷えると黒色矮星に だが、カプラン氏によると、白色矮星は数兆年という気が遠くなるような時間をかけて冷えて固まり、鉄を作り出す「黒色矮星」になる可能性があるのだという。
黒色矮星は、電波による観測すらできないほど冷えた白色矮星のことで、現時点では仮説上の天体だ。
星の燃えかすのような存在だが、カプラン氏によると、「量子トンネル」(亜原子粒子が、まるでトンネルを抜けたかのように、障壁の向こう側に現れる現象)を通じて、ゆっくりゆっくりと核融合が起き続けるのだという。
こうして鉄が内部に蓄積される。そのために黒色矮星であっても、大爆発を起こして超新星になる。
What If Our Sun Became a Black Dwarf?10の1万1000乗年後の未来、宇宙最後の天体ショー カプラン氏は、さまざまな大きさの黒色矮星が爆発するために必要となる鉄の量を計算。
その結果、黒色矮星から生じる超新星の第一号は、今から10の1万1000乗年後に誕生するという。兆を100回近くもかけた、ほとんど想像不能な遥かすぎる未来の話だ。
まず、もっとも質量の大きな黒色矮星が爆発。それからより小さなものが続き、やがて黒色矮星は1つ残らず爆発する。それは10の3万2000乗年後のことだ。
カプラン氏によれば、こうしたイベントは宇宙において最後の見どころとなる天文学的現象で、最後の黒色矮星が超新星となるまで続く。
なお、すべての黒色矮星が爆発するわけではない。超新星になるのは太陽の質量の1.2~1.4倍あるもっとも重い部類の黒色矮星だけだ。それでも今日存在する星の1%、つまり10億 × 1兆個はある。
もの悲しく孤独な宇宙の最後 その後の宇宙では、銀河は散り散りになり、ブラックホールは蒸発。宇宙の膨張によって、残された天体は遠く離れ離れになる。あまりにも遠く離れすぎて、光でさえ物理的に到達できないほどだ。
もはや何らかの爆発があったとしてもそれを目にする者はいない。カプラン氏によると、宇宙を待ち受けるのは、こんな「もの悲しい孤独」な運命なのだそうだ。
この研究は『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』(8月7日付)に掲載された。
2020年08月21日
カラパイアより