重力波観測で最大規模 ブラックホール合体 米欧チーム
ブラックホール同士が合体し、重力波を発生するシミュレーション。2019年5月に捉えた重力波の場合、合体後のブラックホールの質量は観測史上最大で、太陽の142倍とみられる(SXSコラボレーションなど提供)
地球から約70億光年離れた所でブラックホール同士が合体し、放出されたとみられる重力波が2019年5月に観測された。米欧の研究チームがデータを精査し、2020年9月19日までに発表した。合体後のブラックホールの質量は太陽の142倍に上り、2015年にブラックホール合体による重力波を初めて検出して以来、最も大きい。最も遠い場所から届いた重力波でもあるという。
この重力波は2019年5月21日、米国にある観測装置「LIGO(ライゴ)」とイタリアにある同「Virgo(バーゴ)」で捉えられた。太陽質量の85倍と65倍のブラックホールが合体し、8倍分のエネルギーを重力波として放出。142倍のブラックホールが残ったとみられる。
ブラックホールは大きな恒星が寿命を迎えてできると考えられている。しかし、地球がある銀河系(天の川銀河)を含め、銀河の中心には超巨大ブラックホールがあり、大きさのギャップが激しい。今回の観測で、その中間レベルのブラックホールが存在する確証が得られた。恒星からできたブラックホールが合体を重ね、段階的に大きくなる可能性があるという。
2020年9月19日
時事通信より