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観測史上最高エネルギーのガンマ線検出

Posted by moonrainbow on 11.2021 ニュース   0 comments   0 trackback
天体「ペバトロン」存在の証拠か

チベット高原の「空気シャワー観測装置」
【▲ チベット高原の「空気シャワー観測装置」と、天の川に沿う方向から飛来する高エネルギーガンマ線のイメージ(Credit: 東京大学宇宙線研究所/若林菜穂)】

東京大学宇宙線研究所や中国科学院高能物理研究所などで構成される国際研究グループは、観測史上最高エネルギーのものを含む高エネルギーのガンマ線が多数、天の川に沿う方向から地球に飛来していることが明らかになったとする研究成果を発表しました

研究グループは今回の成果について、高エネルギー宇宙線の起源とされる天体「ペバトロン」の存在を示す初の決定的な証拠であり、生成後の高エネルギー宇宙線が天の川銀河の磁場に十分長い時間(数百万年以上)閉じ込められた後に地球へ伝播しているとした60年来の理論予測に一致したと言及。今後はペバトロンそのものの探索や、ペバトロンで起きている天体物理現象の解明を目指すとしています

■最高1000兆電子ボルトの高エネルギーガンマ線を検出

「宇宙線」(一次宇宙線)とは宇宙から降り注ぐ高エネルギーの放射線のことで、主な成分は陽子(水素の原子核)です。宇宙線は100年以上前の1912年に発見されましたが、宇宙線の起源や陽子が加速される仕組みなどには多くの謎が残されています。

研究グループによると、比較的低エネルギーの宇宙線については「かに星雲」のような超新星残骸で生成される証拠が得られているものの、1ペタ電子ボルト(=1000兆電子ボルト※)を超えるような高エネルギーの宇宙線を生成し得る強力な天体については、これまで決定的な証拠が得られていなかったといいます。高エネルギー宇宙線の起源とされるこの天体は、研究者から「ペバトロン」と呼ばれています。

※…1電子ボルトとは1つの電子が1ボルトの電圧で加速されたときに得るエネルギー量のこと

ペバトロンが存在する証拠を得るために、研究グループは宇宙線に由来するガンマ線を観測しています。高エネルギーの宇宙線が星間物質に衝突すると、元の1割ほどのエネルギーを持つガンマ線が放射されるといいます。つまり、1ペタ電子ボルト以上の宇宙線の起源とされるペバトロンの証拠をつかむためには、0.1ペタ電子ボルト(100テラ電子ボルト)以上のガンマ線を観測しなければなりません。

後述するチベット高原の「空気シャワー観測装置」において2014年から2017年にかけて集められた約2年分の観測データを研究グループが解析した結果、最高で1ペタ電子ボルトのエネルギーを持つ多数のガンマ線が検出されたといいます。研究グループによると、検出されたガンマ線のエネルギーは可視光線の1000兆倍に相当するもので、史上最高のエネルギーを持つ光子(電磁波)の検出とされています。

また、検出された高エネルギーのガンマ線が飛来した方向は、ガンマ線を放射することがすでに知られている天体の方向からではなく、天の川(天の川銀河の円盤)に沿うように分布していることが明らかになったといいます。研究グループはこれらの事実について、ペバトロンが過去数百万年以内に存在した(あるいは今も存在する)ことを示す初の決定的な証拠だと考えています


天の川銀河からの高エネルギーガンマ線
【▲ 検出された天の川銀河からの高エネルギーガンマ線の分布(黄色)を示した図。背景は電波で観測された水素原子の分布を示した画像。ガンマ線の多くが天の川沿いに分布していることがわかる(Credit: チベットASγ実験グループ/HEASARC/LAMBDA/NASA/GFSC)】

■観測ではスーパーカミオカンデの技術を応用した検出器も併用

研究グループがガンマ線の観測に用いているのは、標高4300mのチベット高原に設置されている「空気シャワー観測装置」です。

これは日中の国際研究グループが取り組む「チベットASγ(ガンマ)実験」の観測装置で、高エネルギーの宇宙線やガンマ線が地球の大気上層で窒素の原子核などに衝突することで大量の粒子が生じる「空気シャワー」(二次宇宙線)と呼ばれる現象を捉えるために建設されました。空気シャワーの粒子を捉える597台の検出器は6万5000平方メートル(6.5ヘクタール)の範囲に碁盤目状に配置されていて、空気シャワーを生み出したガンマ線や宇宙線のエネルギーおよび飛来した方向を知ることが可能です。

また、ガンマ線よりも宇宙線を起源とするほうが50倍ほど多く生成されるミューオン(ミュー粒子)を利用して、空気シャワーの起源となったガンマ線(今回の研究対象)と宇宙線を高い精度で選り分けるために、スーパーカミオカンデの技術を応用した水チェレンコフ型検出器も併用されています


チベット高原に設置された空気シャワー観測装置
【▲ 上:チベット高原に設置された空気シャワー観測装置。下:空気シャワー観測装置の地下に設置された水チェレンコフ型ミューオン検出器(注水前)(Credit: チベットASγ実験グループ)】

Image Credit: 東京大学宇宙線研究所/若林菜穂

2021-04-05
Soraeより

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