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超高光度赤外線銀河

Posted by moonrainbow on 04.2022 銀河   0 comments   0 trackback
超高光度赤外線銀河の爆発的星形成は高密度なガスによるものか

超高光度赤外線銀河
銀河Mrk 273とスペクトル
(左)ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた超高光度赤外線銀河、おおぐま座のMrk 273。(右)「あかり」が観測したMrk 273のスペクトル。中央の「PAH」と書かれた輝線は多環芳香族炭化水素によるもので、星形成の指標となる(提供:(左)NASA, ESA, the Hubble Heritage(STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration, and A. Evans (University of Virginia, Charlottesville/NRAO/Stony Brook University)、(右)JAXA宇宙科学研究所リリース)

赤外線天文衛星「あかり」の観測で、爆発的な星形成を示す超高光度赤外線銀河からの水素スペクトル線に異常が見つかった。銀河内の水素ガス雲が極めて高密度であることを示している

銀河の中には、私たちが存在する天の川銀河よりもはるかに速いペースで星を形成しているものがある。超高光度赤外線銀河もそうした銀河の一種だ。名前のとおり星々の輝きを合わせた光度は極めて明るく、天の川銀河の100倍以上にもなるが、可視光線を吸収・散乱してしまう星間塵も非常に多いため、塵が再放射する赤外線で明るく輝いている。

こうした銀河における星形成活動を知る上では、宇宙に最も多く存在する元素であり恒星の主要な材料でもある水素の観測が欠かせない。電離していた水素原子が電子と再結合する際、電子のエネルギー状態に応じて様々な波長の「水素再結合線」と呼ばれる電磁波が放たれる。この水素再結合線は銀河の星形成活動を探る基本的なツールとされてきた。だが、よく使われるHα(赤い散光星雲の主成分)などの再結合線は塵で減光される可視光線であるため、超高光度赤外線銀河では役に立たない。

JAXA宇宙科学研究所の矢野健一さんたちの研究チームは、水素再結合線の中でも星間塵に影響されにくい赤外線のBrα(ブラケット・アルファ、波長4.05μm)とBrβ(波長2.63μm)を赤外線天文衛星「あかり」で観測した。その結果は、超高光度赤外線銀河の星形成環境が天の川銀河と大きく異なり、従来の常識が通用しない可能性を示唆するものだった。

広く受け入れられている仮定によれば、星間ガスでは一部を除く水素再結合線は他の水素原子にほとんど吸収されない。一方、Brαの方がBrβより放出されやすく、かつ波長の短いBrβの方が塵に吸収されやすいため、Brβの強度をBrαの強度で割ると0.565以下になるはずだ。ところが「あかり」の観測によれば、多くの超高光度赤外線銀河ではBrαとBrβの強度はほぼ同じなのである。

この結果について矢野さんたちは、再結合線が水素原子にほとんど吸収されないという前提が違っていると考えている。水素が厚くなると、Brαの方がBrβよりも先に吸収されやすくなる。理論モデルの計算によると、水素ガスの密度が天の川銀河の典型的な環境よりも1000倍以上高ければ、「あかり」の観測結果を説明できるという


水素再結合線
「あかり」が観測した水素再結合線の強度
「あかり」が観測した水素再結合線Brα(横軸)とBrβ(縦軸)の強度。Brβ/Brα比が0.565以下で従来の理論と合致する場合が青、不整合な場合がオレンジの領域。星印(★)で示した3つの銀河はBrβ/Brαの異常が特に顕著なもので、他にも多くの銀河が同様の傾向を示した(提供:JAXA宇宙科学研究所リリース

超高光度赤外線銀河の爆発的な星形成がどのように引き起こされているのかは、これまでわかっていなかった。「あかり」の観測結果は、天の川銀河にはほとんど存在しないほど高密度に水素が集まった領域が、超高光度赤外線銀河では普遍的に存在することを示唆しており、これが星形成活動に寄与しているのかもしれない

2022年2月28日
AstroArtsより

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