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連星系「HD 131399」の太陽系外惑星「HD 131399Ab」

Posted by moonrainbow on 26.2022 太陽系外惑星   0 comments   0 trackback
「3つの太陽を持つ惑星」撤回される。実は背景の星だった可能性

連星系「HD 131399」
【▲ ESOの「超大型望遠鏡(VLT)」が捉えた連星系「HD 131399」(Credit: ESO/K. Wagner et al.)】

2016年7月、アリゾナ大学の博士課程学生だったKevin Wagnerさん(現在はアリゾナ大学スチュワード天文台)率いる研究グループは、「ケンタウルス座」の方向約320光年先の連星系「HD 131399」で太陽系外惑星「HD 131399Ab」を発見したとする研究成果を発表しました

頭の画像(※)は、チリのパラナル天文台にあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」に設置されている観測装置「SPHERE」を使って取得されたHD 131399です。画像には3つの恒星「HD 131399A」「HD 131399B」「HD 131399C」と、研究グループが報告した「HD 131399Ab」が写っています。

※…3つの恒星と「HD 131399Ab」は明るさが大きく異なるため、2回の観測で得られた画像が合成されています。

しかし、成果発表から6年近くが経った2022年4月14日、研究グループは学術誌「サイエンス」に掲載された論文を取り下げました。ESOによれば、数年に渡る追加観測の結果、「HD 131399Ab」は系外惑星ではなかったことが明らかになったというのです


■数年間の追加観測によって連星系の背景に写る星だったことが明らかに

系外惑星「HD 131399Ab」
【▲ 2016年に公開された系外惑星「HD 131399Ab」(左手前)の想像図(Credit: ESO/L. Calçada/M. Kornmesser)】

見当初、「HD 131399Ab」は質量が木星の約4倍、表面温度が摂氏約580度と推定される巨大ガス惑星だと考えられていました。当時の発表によると、「HD 131399Ab」は連星系をなす恒星のひとつ「HD 131399A」(以下「A星」)から約80天文単位(太陽から冥王星までの距離の約2倍)離れた軌道を、約550年周期で公転しているとみられていました。

HD 131399は冒頭でも少し触れたように、約10天文単位離れて周回し合う2つの恒星「HD 131399B」「HD 131399C」(以下「B星」「C星」)と、そこから約300天文単位離れたA星で構成される連星系です。2016年当時、「HD 131399Ab」の発見は「3つの太陽を持つ惑星が見つかった」として報じられました


Artist’s impression of planet orbiting in the HD 131399 system


【▲ 連星系HD 131399の公転運動を示した動画(2016年に公開されたもの)】
(Credit: ESO/L. Calçada/M. Kornmesser)

ところが翌2017年の11月、この発見に異議を唱えたEric Nielsenさん(SETI研究所)たちの論文が学術誌「アストロノミカルジャーナル」に掲載されました。ケック天文台で追加観測を行ったNielsenさん率いる研究グループによれば、「HD 131399Ab」は惑星ではなく背景に写った恒星だというのです。

それから約4年後。Wagnerさんは2022年1月にアストロノミカルジャーナル誌へ掲載された論文のなかで、「HD 131399Ab」が背景の星であることがほぼ確実になったと述べています。この論文が掲載されてから3か月後、「HD 131399Ab」の発見を報告したWagnerさんたちの2016年の論文が取り下げられました。

Wagnerさんによると、「HD 131399Ab」とされた星の固有運動は背景に写る他の星々の大半(95パーセント)よりも大きかったことに加えて、その動きは連星系HD 131399の動きとたまたま一致していました。またESOによると、「HD 131399Ab」の熱放射はこの天体が惑星であることを示していたといいます。こうした事情もあって、研究グループは当時「HD 131399Ab」がHD 131399Aを公転する系外惑星だと結論付けていました。

しかし、Wagnerさんたちによる数年間に渡る観測の結果、地球から「HD 131399Ab」までの距離が1キロパーセク(約3260光年)以上であることが判明しました。連星系HD 131399までの距離が約320光年ですから、実際にはその10倍以上も遠くにある恒星だった可能性が高いというわけです。Wagnerさんは「HD 131399Ab」の発見とその撤回は有益な教訓であり、直接撮像による系外惑星の検出手法を洗練する助けになったと語っています


Image Credit: ESO/K. Wagner et al., ESO/L. Calçada/M. Kornmesser

2022-04-21
Soraeより

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