東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)のMetin Ataさんたちの研究チームは、110億光年離れた、つまり110億年前の宇宙で観測された銀河の集合体を再現する制約条件付きシミュレーションを実施した。観測対象として選ばれた領域が、ろくぶんぎ座の方向にある遠方宇宙まで見通せる「COSMOSフィールド」だったことから、この研究は「COnstrained Simulation of The COSMOS Field(COSMOSフィールドでの制約条件付きシミュレーション)」略してCOSTCO(コストコ)と名付けられている。COSTCOでは宇宙最初期から開始し、110億年前の状態を経て現在に至るまでの進化を再現する。
現在のところCOSMOSフィールド以外に制約条件付きシミュレーションに使える観測領域はない。しかし、今後数年のうちにすばる望遠鏡などに搭載された広視野のファイバー分光器によって、今回使われた領域の10倍以上も広範囲の観測データが得られる予定だ。そのデータを制約条件としてシミュレーションを行うことで、銀河団の形成と進化がより効率的に解明できると期待される。 total collapse v5b
シミュレーションの動画「Predicted future fate of COSMOS galaxy protoclusters over 11 Gyr with constrained simulations」(提供:Kavli IPMU チャンネル)