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銀河中心ブラックホール周囲の塵による減光

Posted by moonrainbow on 29.2022 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
最大で24桁暗くなる、銀河中心ブラックホール周囲の塵による減光

ダストトーラスの構造の概念
ダストトーラスの構造の概念図。銀河中心ブラックホールと降着円盤を取り囲むようにダストトーラスが存在し、両者のあいだにダストを含まないガス雲が存在する。近赤外線はダストトーラス内縁部に存在する高温ダスト領域から放射され、それがダストトーラスを通過するときに減光を受ける。また、異なる方向から活動銀河核を観測すると近赤外線放射とX線放射の様子も異なり、(1)近赤外線放射はダストトーラスで減光を受け、X線放射はダストトーラスとその内側にあるダストを含まないガス雲の両方で減光を受ける/(2)近赤外線放射、X線放射はともに減光を受けない/(3)近赤外線放射、X線放射はダストトーラスでのみ減光を受ける、という差が生じて観測結果に反映される。画像クリックで表示拡大

活動銀河核の明るさ変動を近赤外線で観測したデータから、銀河中心の超大質量ブラックホールを取り巻く塵が、どれだけブラックホール近傍からの光を遮っているかが見積もられた

多くの銀河の中心には超大質量ブラックホールが存在し、そのブラックホールに大量のガスが流れ込んでいれば、莫大なエネルギーが解放されることで明るく輝く。これを活動銀河核と呼ぶが、活動銀河核の中には可視光線ではさほど明るく見えないものがある。これは、超大質量ブラックホールの周りに塵がドーナツ状に集まった「ダストトーラス」という構造が形成され、光を遮るからだと考えられる。

ただ、実際にダストトーラスにどれだけの塵が存在し、どれだけ光を吸収・散乱しているかを見積もるのは難しい。観測の多くは可視光線で行われてきたが、可視光線は少量の塵でも効率的に減光されてしまうため、実際の減光量は測定不能だった。

東京大学大学院理学系研究科の水越翔一郎さんたちの研究チームは、既存の赤外線観測データを使って活動銀河核中心部における減光量を測定する手法を開発した。超大質量ブラックホールの活動により、活動銀河核の明るさは数年単位で変動する。一方、同じ赤外線でも波長が短いほど塵による減光を大きく受けるので、明るさの変動の幅は小さくなる。そこで、2つの波長の赤外線で活動銀河核を観測し続けたデータから、短い方の波長でどれだけ変動の幅が小さくなったかを調べると、塵による減光量を見積もることができる。

水越さんたちはNASAの赤外線天文衛星NEOWISEの観測データを使い、463個の活動銀河核に対して減光量の測定に成功した。

活動銀河核は、中心部の可視光線放射がダストトーラスに隠されていないもの(1型活動銀河核)とほとんど隠されたもの(2型活動銀河核)に大別される。今回の測定では、2型の塵による減光量は1型に比べて大きい傾向が見られただけでなく、同じ2型でも減光量に幅があり、なかには可視光線波長の明るさが1杼分の1(1兆分の1の1兆分の1、あるいは10の24乗分の1)になるほどの減光量を示すものもあることがわかった


ダスト減光量
ダスト減光量と活動銀河核における視線方向のガス量の比較
測定された活動銀河核の塵による減光量と、視線方向(ブラックホール・地球間)に存在するガスの量との比較。2型は1型よりも減光量、ガスの量とも分布幅が広く、とくにダスト減光量は24桁もの幅がある(提供:東京大学リリース、以下同)

これらの活動銀河核はX線でも観測されており、その結果からはブラックホール周囲のガスの量がわかる。赤外線観測とX線観測のデータから、2型活動銀河核の多くではガスの量が予想より高いことも示された。こうした傾向は先行研究でも示唆されていたが、これほどたくさんの活動銀河核について系統的に調べられたのは初めてのことだ。この結果は、ダストトーラスの内側に塵を含まないガス雲が多数存在していると考えれば説明できるという。

NEOWISEが観測した活動銀河のうち、今回の手法を適用できるものは約10万個にもなる見込みだ。研究チームはこれら大量のデータの解析により、ダストトーラスの構造や状態を推定したり、銀河中心ブラックホールの成長と母銀河への影響を理解したりするための手がかりが得られると期待している


2022年9月26日
AstroArtsより

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