過去最大の宇宙地図によって宇宙の膨張速度を測定。326万光年あたり毎秒75km
宇宙の膨張速度 その広大さゆえに、一見静止しているように見えるかもしれないが、宇宙は絶えず膨張している。
5万6000の銀河までの距離をマッピングした最新の宇宙地図によれば、宇宙が膨張する速度は「メガパーセク(=約326万光年)あたり毎秒75キロ」であるそうだ。
また、宇宙の年齢は約138億年と考えられているが、それよりもさらに古いとされる「メトシェラ星(HD 140283)」も見つかっており、その推定年齢が本当に正しいのか疑問視されている。
最新の宇宙地図で導き出された宇宙の膨張率 今回、複数の方法でより正確な宇宙の地図が作成された。そこから導かれる誤差が少ない宇宙の膨張速度は、宇宙の年齢を正確に知るうえでも欠かせないものだ。
宇宙の膨張速度は、「ハッブル定数」によって表される。
これはハッブルルメートルの法則における、宇宙の現在の膨張率を表す定数で、銀河までの距離をr(Mpcメガパーセク)、後退速度をv(km/s)とすると、ハッブルルメートルの法則はv=H0rで表され、その比例係数H0がハッブル定数となる。
だが困ったことに、ハッブル定数は計算方法によって結果がまちまちだ。
そこでハワイ大学とリヨン大学の研究グループは、5万6000個の銀河の距離と、それらが遠ざかるにつれて変化する速度を「8つの方法」で測定し、より誤差の少ない正確な測定を試みた。
宇宙がどこまで広がっているかは誰にもわからないが、銀河は常に回転しているので、その回転速度と明るさなどを組み合わせれば、銀河同士の距離を明らかにできる。
そうした手がかりから作成された最新の宇宙の地図が「Cosmicflows-4」だ。これによれば、宇宙が膨張する速度は、「メガパーセク(=約326万光年)あたり毎秒75キロ」であるそうだ。

56,000 の銀河と距離測定値を示す全天地図 / image credit:University of Hawaii
宇宙はいつ誕生したのかを明らかにできる可能性 ハワイ大学の天文学者R・ブレント・タリー氏は、「より正確で豊富なツールを組み合わせることで、銀河の距離・宇宙の膨張率・宇宙が生まれてからの時間を数パーセントの精度で測定できるようになりました」と、プレスリリースで述べている。
数千億個の星々を宿した銀河同士の距離と速度は、宇宙の大きさを推定する手がかりであり、宇宙が誕生した日(ビッグバンが起きた日)をより正確に特定するための鍵となる。
この研究は『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』に掲載された。
2022年10月15日
カラパイアより