HIADは大型で重い物体を減速させ、さらに再運用時に保護することを可能とするもの。たとえばこれまでの探査機よりずっと大型の乗り物を他の惑星に着陸させることも可能となる。もし将来火星に人類が進出し、居住モジュールや物資、設備を送り込む必用が出た場合や、現在のものよりも大きく重い宇宙船を運用する必要が出てきた時に必用不可欠な技術となる可能性があるのだ。 「火星の大気は地球の大気よりもはるかに密度が低く、空気力学的な減速に非常に困難が伴います。大気は抗力を与えるには十分な厚みがありますが、地球の大気中と同じように宇宙船を素早く減速させるには薄すぎるのです。今回のHIADは従来のエアロシェルよりも大きいためより多くの抗力を生み出し、大気圏の上層部で減速プロセスを開始するため、より重い積載物だけでなく、より高い高度での着陸も可能になります」と、NASAは声明で述べている。 11月にはカリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙空軍基地からULAのアトラスV 401ロケットで打ち上げられ、LOFTID(the Low-Earth Orbit Flight Test of an Inflatable Decelerator)というテストミッションで直径6メートル以上の大きさに展開できるか実証する予定になっている。