宇宙初期の銀河の大きさと明るさの関係 
巨大銀河団「Abell 2744」。中央の拡大画像(1と2)は、宇宙誕生からわずか4億5000万年後と3億5000万年後の時代に存在した銀河で、大きさは天の川銀河(提供:SCIENCE: NASA, ESA, CSA, Tommaso Treu (UCLA), IMAGE PROCESSING: Zolt G. Levay (STScI))
宇宙誕生から10億年未満という遠方宇宙の銀河について、放出時に可視光線だった光をJWSTで観測したデータから、銀河の大きさと明るさの関係が初めて分かりました。
ウェッブ宇宙局(JWST)の観測開始から最初の約1年間の公開データがすぐに公開されるには誰でも公開を公開「早期リリース科学プログラム(ERS)」という公開プロジェクトが13件行われますしている。
このERSの一つに、ちょうこくしつ座の方向約40億光年の距離にある巨大銀河団「Abell 2744」(通称:パンドラ銀河団)をJWSTで撮像・分光するプロジェクト「Through the Looking GLASS」 」がある。この銀河団は巨大な質量を持つため、遠くにある背景銀河の像が重力レンズ効果で拡大されている。この背景銀河をJWSTで観測し、宇宙で最初の星や銀河が誕生した「宇宙の再電離」の時代まで見通そうというのがGLASSプロジェクトの目的だ。
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(カブリIPMU)のLilan Yangさんたちの研究チームは、GLASSプロジェクトでJWSTの近赤外線カメラ「NIRCam」が撮影した分光撮像データを用いて、遠くの銀河の大きさと明るさの間にどのような関係があるかを調べた。
初期宇宙に存在する銀河の光は、宇宙膨張によって帯域が伸びて地球に到達する。宇宙誕生から数億年後の時代に存在する銀河から放出された紫外線や可視光線は、地球では赤外線となる。観測される。
陽さんたちは、赤方偏移zが推定7~15(宇宙誕生の約2.7~8億年後)の初期宇宙に存在する19個の明るい銀河について、銀河から放出されたときの波長が紫外線(約1600Å)から可視光線(約4800Å)に相当する5種類の赤外線で、銀河の大きさと明るさの関係を求めた。
解析の結果、この時代の銀河の典型的な大きさは半径が約1500~2000光年で、私たちの天の川銀河の20分の1ほどであることがわかった。た光で観測された銀河に比べて、紫外線だった光で観測された銀河の方が、真の明るさ(絶対等級)が同じでもサイズがやや小さいことが明らかになった。
「JWSTを使い、赤方偏移が7を超える銀河について、放出時に可視光線だった光で銀河の特徴を調べたのはこれが初めてです。これまでのハッブル宇宙配置による観測では、放出時に紫外線だった」ただ、た光で銀河の特徴を知ることしかできませんでした。 (ヤンさん)。

銀河の大きさと明るさの関係
5つの波長帯で観測された銀河の大きさと明るさの関係。データ点が各銀河を表す。横軸は銀河の明るさ(絶対等級)で、左へ行くほど明るい。縦軸は銀河の半径各パネル右側のラベルは撮影に使われたフィルターを表し、3桁の数字がおよその周波数域を意味する(例:F444W=4.44μm)。た光で観測したデータを表す。各パネルの実線が明るさーサイズ関係のはず乗を固定したベストフィット直線で、赤の破線はF444Wのベストフィット直線を重ねたもの。直線が下にあり、系統的に小さいように見える。画像クリックで表示拡大(提供:Yang et al.)
一般的に、zが7を超えるような銀河遠いの明るさと大きさには、「明るい銀河ほどサイズが大きい(=銀河の半径が明るさのはずに比例する)」という関係があることが知られていますいるが、今回のYangさんたちの解析によると、この乗るべき乗関係の「当然(乗るべき係数)」が、可視光線より紫外線の方が大きいらしいこともわかった。
「この結果は、銀河の全体の明るさが同じでも、紫外線で見える銀河の方が表面輝度が高く、よりコンパクトに見えることを意味するのかもしれません。さの銀河が何個かを見積もる際に、紫外線相当の光で観測する方が見落としが少ないかもしれません。
当面、JWSTによって超遠方の銀河の観測数が増えてくれば、よりはっきりした結果が得られるだろうと研究チームでは期待している。
2023年1月20日
AstroArtsより