リソパンスペルミア説(Lithopanspermia)で解明される地球の生命

Posted by moonrainbow on 30.2015 科学   0 comments   0 trackback
リソパンスペルミア説(Lithopanspermia)で生命が宇宙の彼方からやってきたという新たなる証拠が発見される?

リソパンスペルミア説

リソパンスペルミア説とは、地球の生命の起源に関する最も興味深い説の1つです。パンスペルミア説(Panspermia)(地球の生命の起源は他の天体で発生した微生物の芽胞が地球に到達したという説)に『リソ(岩塊)』がついたものなのですが、生命の起源である微生物の芽胞が付着した岩塊そのものに重点を置き、それらが衝突などの現象によって隕石となり宇宙に放たれ地上へやってきたという仮説です

 まるでSFのような話ですが、その信憑性が高まるほどに、事実は小説より奇なりといった趣を持ち始めています。ロシアの最新研究でこの説を裏付ける証拠が発見されたのです。

 リソパンスペルミア説の登場は古代ギリシアまで遡ることができますが、それが広く受け入れられ始めたのは、1900年代初頭にスウェーデンの物理学者スヴァンテ・アレニウスが理論を提唱してからです。

 広大な宇宙に漂う隕石には、過酷な環境に耐えることができる種や芽胞が付着しています。そうした隕石の中には惑星の重力に引かれて落下するものがあります。もし地上の環境が適切であれば、種は発芽し、繁殖し、やがて進化の道筋を辿ることになります。

 にわかには信じがたい理論であり、証拠にも乏しかったことから、1世紀もの間、単なる推測にすぎないと見られていましたが、21世紀にもなる頃には、いつくかの証拠が集まり始めました。

 まず、芽胞は宇宙線から守られている限り、宇宙でも生存できることが判明したのです。隕石の中で実験した結果、他の惑星で活動できるレベルまで増殖しました。その後も、生存可能だと思われる微生物の数は増え続け、アレニウスの理論は部分的にあり得ることが分かったのです。

 もちろん、宇宙空間での生存可能性が、すぐさま生命の起源が宇宙からの微生物にあると保証するわけではないのです。地球に突入するタイミング次第では、今日のように生命にとって優しい環境ではないこともあります。気温、大気の構成、栄養の供給などが生命にとっては極端にすぎるかもしれないのです。しかし、地上に生息する一部の種は、過酷な環境でも生存することができます。それに相応しく好極限性細菌と名付けられた種は、先史時代の環境でも繁殖することができるのです。

 しかし、宇宙と地上での生存能力があっても、ファンタジーと現実との間にはまだ隙間があります。微生物は大気圏突入のストレスに耐えることができなければならないのです。その摩擦熱は最も頑強な生物でさえ殺してしまう可能性があるのです。しかし、生物がこれに耐えれるという証拠は、よく言っても乏しいといったところでしょう。2010年の研究では、藻類を宇宙から大気圏突入させましたが、生き残ったものはなかったのです。2014年には、DNAが生き残ることが判明しましたが、ここから生命自体を期待することはできないのです。

リソパンスペルミア説1

リソパンスペルミア説を裏付ける新たなる発見

 しかし、2015年7月に、同理論はロシアの科学チームから強力な後押しを得ることができました。彼らは、隕石に守られた微生物が突入プロセスを生き残り、成長を開始できることを発見したのです。この結果は、実際に地球の生命の起源である種を突き止めるための研究を加速させるかもしれないのです。

 同チームが実験したのは、サーモアネロバクター・シデロフィラス(Thermoanaerobacter siderophilus)という耐熱性極限環境微生物です。これは1999年に、ロシアのカリムスキー火山の付近の火道で発見されました。この微生物は高温に耐えることができるのみならず、鉄があっても成長でき、高ストレス環境でも芽胞を形成します。実験には打って付けです。これを培養した後、乾燥させ、人工隕石の中に埋め込みました。実験の隕石は直径7cmほどで、隕石に見立てるには理想的な玄武岩で作られたものです。

 微生物を仕込んだ隕石は、人工衛星フォトンM4の外装に取り付けられ、軌道まで打ち上げられました。45日後、フォトンは地球へ突入し、その途中で980度以上にもなる超ストレス条件に隕石を曝したのです。この過酷な試練が終わると、パラシュートによってフォトンは無事帰還しました。

リソパンスペルミア説2

 研究室では、微生物が媒体に入れられ、成長のサインがないかどうか観察されました。汚染がないことを確実にするために、厳密な無菌管理が行われました。その結果、外部からの汚染は確認されず、生命の芽生えが実験標本からのものであると確認されたのです。

 5日もかかりましたが、きちんと成長したのです。生存したのは24標本中4つのみでしたが、それらは何事もなかったかのように成長したのです。この微生物が原初の生命に似ていないという疑問は残されますが、リソパンスペルミア説には現実性があることを証明しています。


リソパンスペルミア説3

 これは微生物の生存が記録された初めての実験であり、まだまだ始まりにすぎない。今後は、サーモアネロバクター・シデロフィラスを陽性対照として、他の細菌でも実験が試されるだろう。これによって、より科学的に妥当な実験が行えるようになったのと同時に、数多くの種を使った実験への扉が開かれたことになる。その歩みはゆっくりとしたものかもしれないが、リソパンスペルミア説の真実へ向けた道のりは今や明確だ。そして、いつの日か、宇宙に青く輝く惑星の生命の起源が明らかになるかもしれない。

popsc

2015年07月18日
カラパイアより

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