2015年度ノーベル物理学賞予想は「太陽系外惑星(ペガスス座51番星b) (51 Pegasi b)]の発見」?

Posted by moonrainbow on 01.2015 科学   0 comments   0 trackback
3年連続の的中なるか? ノーベル物理学賞予想(大栗博司

太陽系外惑星HD189733b
太陽系外惑星HD189733b(右)の想像図。青く描かれている。左下に描かれているのは公転している恒星=米航空宇宙局など提供

最有力候補は「太陽系外惑星の発見」のミッシェル・メイヨールとディディエ・ケロスとジェフリー・マーシーの3名?

毎年この時期になると、WEBRONZAの編集部から、ノーベル物理学賞授賞者の予想記事を書くように依頼がある。一昨年は「本命は、素粒子物理学の分野の「ヒッグス粒子の発見であると思う」と書き、昨年は「トポロジカルな絶縁体の予言と検証もしくは青色発光ダイオードの実現に授賞されると予想する」と書いて、いずれも正解でした。

 物理学は、極微の素粒子の世界から、巨大な宇宙全体にいたる、幅広い対象を研究します。原子よりも小さいサイズの現象をあつかう素粒子物理学、原子から私たち人間のサイズの現象をあつかう物性物理学、それよりも大きい現象をあつかう天体物理学と、大まかに3つの分野に分かれています。どの分野でも重要な発見が相次いでおり、それらの軽重を客観的に比較することは難しい。授賞委員会としては、各分野の授賞回数のバランスも考慮に入れると思われます。

 1990年からの24回の授賞のうち、過半数の13回が物性物理学。残りの11回は、素粒子物理学が7回、天体物理学が4回と、ほぼ2:1の比になっています。一昨年は素粒子物理学(ヒッグス粒子の予言)、昨年は物性物理学(青色発光ダイオードの実現)に授賞があったので、今年は素粒子物理学か天体物理学の研究に授賞される可能性が高いと予想。

 素粒子物理学が対象であれば、ニュートリノの質量の発見が有力だと思う。

 2002年には、超新星爆発からのニュートリノの検出に対し、小柴昌俊とレイモンド・デイビスが受賞しているが、これは、ニュートリノ天文学という新しい分野を開拓したことに対するものである。これに対し、日本のスーパーカミオカンデ実験が、大気ニュートリノの振動を世界で初めて確認し、ニュートリノに質量があることを発見したことは、別個の、そしてそれ自身偉大な業績である。

 一方、天体物理学の分野にも有望な候補がある。太陽系外惑星の発見である。

宇宙や天体の研究は、20世紀の半ばまではノーベル賞の授賞対象分野ではなかった。20世紀科学の最大の発見のひとつとされる宇宙の膨張を明らかにしたエドウィン・ハッブルが受賞しなかったことは残念である。半世紀後に公開された選考委員会の記録によると、ハッブルが亡くなった年に授賞が内定していたそうである。

 この分野の最初の授賞は、1974年の電波天文学の先駆的研究に対するものである。2002年に同時授賞されたニュートリノ天文学とエックス線天文学も1回として勘定にいれると、現在までに天体物理学分野への授賞は合計7回であった。

この7回の授賞対象を詳しく見ると、宇宙背景マイクロ波放射に2回、宇宙の加速膨張に1回と、宇宙全体の物理学的研究が約半数。残りの4回の中では、電波天文学、ニュートリノ天文学、エックス線天文学は、いずれも物理学の手法で宇宙に新しい窓を開いた業績であった。また連星パルサーの観測に対しても授賞されているが、それは重力波の存在の間接的証拠を与えたことが評価されたものである。1983年度の授賞対象となった、スブラマニアン・チャンドラセカールの星の構造や進化の研究やウィリアム・ファウラーの恒星内の元素合成にしても、当時の理論物理学の最新の手法を使って、天体の性質を解明するものであった。こうしてみると、宇宙や天体の研究全体を対象にするのではなく、あくまで「物理学」への貢献を考慮に入れて選考しているようである。

 そこで、太陽系外惑星であるが、画期的発見であることは明らかである。

51 Pegasi b
「ペガスス座51番星b」(51 Pegasi b)のイメージ画像(Wikipediaより)
Credit:ESO/M. Kornmesser/Nick Risinger (skysurvey.org)

Artist’s impression of the exoplanet 51 Pegasi b



 1995年にジュネーブ天文台のミッシェル・メイヨールとディディエ・ケロスがぺガスス座51番星を公転する木星大の天体「ペガスス座51番星b」 (51 Pegasi b) 、愛称としては「ベレロフォン」(Bellerophon) を発見し、カリフォルニア大学バークレイ校のジェフリー・マーシーがこれをただちに追確認して、他の数々の恒星の周りにも惑星があることを明らかにした

 NASAが2009年に打ち上げたケプラー探査機は、これまでに、およそ1000個の太陽系外惑星を確認しており、その中には、水が液体で存在し得る、いわゆるハビタブル(生存可能)ゾーンにある惑星も含まれている。さらに最近では、日本のすばる望遠鏡などにより、太陽系外惑星を直接画像に映すことも可能になった。また、2014年からハワイで建設が始まった口径30メートルの次世代望遠鏡TMTでは、大気や惑星の表面の詳細な観測ができると期待されている。この10年の間に、地球外生物の痕跡を天文学的に検出できる可能性はあると思う。

 しかし、この発見が「物理学賞」にふさわしいかという点については、議論の余地があるだろう。天文学としては重要な発見であるが、ニュートリノやエックス線のように物理学として斬新な観測方法が用いられたわけでなく、また、その結果が直ちに物理学にインパクトを与えるわけでもないからである。物理学賞としては、銀河の回転速度の観測から、宇宙のダークマター(暗黒物質)の存在に確固たる証拠を与えたベラ・ルービンを選ぶのが穏当かもしれない。ノーベル物理学賞はこれまで199名に授賞されているが、そのうち女性はマリー・キュリーとマリア・ゲッパート=マイヤーだけである。偉大な業績をあげた女性物理学者を顕彰するという観点からも、ルービンへの授賞には意義がある。

 では、太陽系外惑星の発見はノーベル賞の授賞対象にはなりえないのか。ノーベル賞は、宇宙の膨張という世紀の大発見を顕彰する機会を逃している。私たちの世界観に大きなインパクトを与えた太陽系外惑星の発見への授賞を見送るのは残念だと思う。物理学賞としては拡大解釈になるかもしれないが、「今年は外す」というリスクを取って、今年度のノーベル物理学賞は、太陽系外惑星の発見に対して、メイヨール、ケロス、マーシーの3名に授賞されると予想する。

2015年09月23日
WEBRONZAより

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