映画『オデッセイ』は現実的

Posted by moonrainbow on 01.2016 映画・ドラマ   0 comments   0 trackback
映画『オデッセイ』に登場するのはNASAですでに研究されている9つの技術

映画「オデッセイ」

日本では2016年2月に公開予定の火星を舞台とするSF映画『オデッセイ』は、実際にNASAで開発が進められている技術にもとづいて描かれているます。その中から、9つをピックアップして解説します
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2016年2月に国内公開予定の映画『オデッセイ』。アンディ・ウィアーの小説『火星の人』(The Martian)を原作とする映画で、2030年、宇宙飛行士が「赤い惑星」へと旅をする時代に火星上に取り残された宇宙飛行士の物語です。

SFですが、この映画に登場するテクノロジーで、NASAがすでに開発しているものがたくさんあります。

1. 居住環境

主人公、マーク・ワトニーは、かなりの時間を居住モジュール、「ハブ」で過ごします。翻っていま、NASAのジョンソン宇宙センターでは、将来の乗組員たちが「HERA(Human Exploration Research Analog)」で生活をする訓練が行われています。

HERAはひとつの独立した環境で、深宇宙の状況を〈作業エリア〉〈居住スペース〉〈衛生モジュール〉〈模擬エアロック〉にわけ、シミュレートするものです。モジュール内部では、取り組むべき作業課題が与えられ、14日間を共同で生活します(すぐに期間は60日に延長される予定です)。

最近では、HERAは国際宇宙ステーション(ISS)のミッションをシミュレートするために用いられました。

映画「オデッセイ」1

2. 栽培

火星上で、宇宙飛行士たちは地球からやってくる食料の供給をあてにすることはできないため、栽培設備が必要となります。映画のなかで、ワトニーはハブを自給自足の農場に変えます。

ISSにはすでに、「Veggie」が存在する。赤、青、緑の光を用いて新鮮な食物を生産するシステムです。

表面には透湿性があり、内部には肥料を含んでいる「クッション」で植物は育てられます。NASAは、将来火星に行く宇宙飛行士たちのニーズに答えられるように、育てられる作物の量と種類を増やそうと試みています。

3. 水

火星上には水は存在しないため、ワトニーは水分不足で死ぬことがないように、あらゆる知恵を動員しました。

実際のISSでは一滴の汗も涙も、尿さえも無駄にはされません。「環境コントロール・ライフサポート・システム(Environmental Control and Life Support System)PDF」は、あらゆる水源から水を回収してリサイクルします。一方、「水再生システム(WRS: Water Recovery System)」は、水を濾過して再利用できるようにします。

WRSで用いられるのは遠心分離機です。気体と液体は、地球上と同じようには分離しないのです。NASAは水回収のための新しい技術に取り組んでいて、そのなかには、混入した無機物/有機物を取り除くフィルターがあります。

4. 酸素

ワトニーは、ハブ内に用意された「酸素供給器」を活用しています。ISSには、呼吸可能な空気を継続的に供給するために宇宙船の大気を合成する「酸素発生システム」が存在します。

このシステムは電気分解を利用します。水の分子をその原子である酸素と水素に分けるわけです。水素は宇宙に排出されるか、もしくは大気の副産物として水をつくり出す「サバティエ・システム(Sabatier System)」に回されます。NASAはこのシステムをさらに洗練し、より効率よいものにしようとしています。

映画「オデッセイ」2

5. 宇宙服

ワトニーは火星での日々(その単位は「日」ではなく「ソル」と呼ばれている)の大部分を、宇宙服を身につけて作業をしながら過ごします。したがって、快適で信頼性と柔軟性のあるものでなくてはならなりません。

NASAは、火星で着用できる宇宙服のために、地表での歩行から岩石標本の採集まで、考えうるあらゆる活動を考慮して研究を行っています。宇宙服の新しいプロトタイプは「Z-2」や「Prototype Exploration Suit」と呼ばれていて、必要を満たすだけの硬度と耐久性、そして柔軟性の折り合いを付けながら、考えうるあらゆる問題を解決するまで改善される予定です。

火星での大きな落とし穴のひとつは、そこで発生している塵となるかもしれない。船外活動の後にハブ内部に持ち込まれると、人および宇宙船内のデヴァイスに損傷を引き起こす可能性があります。プロトタイプは、こうした問題を避けるために、外部に宇宙服を残して宇宙船の内部に素早く入ることのできるシステムが備えられています。

映画「オデッセイ」3

6. ローヴァー

地表探査において、非常に遠い場所を訪ねるために、宇宙飛行士たちは頑丈で信頼できる多用途のローヴァーを必要とします。NASAは複雑な地形でも移動することのできる車両を開発しています。「多用途宇宙探査車(Multi-Mission Space Exploration Vehicle: MMSEV)」です。

この技術は、将来、小惑星や月でのミッションのような、ほかの種類のミッションもサポートする予定です。車両には、操作システムとともに6つの車輪が備わっています。例えば、これらの1つがパンクした場合に、車両はその車輪を持ち上げるだけで、ほかの車輪を使って移動し続けることができます。

7. イオン・エンジン

ワトニーを火星上に連れて行く宇宙船に備えつけられているのは「イオン・エンジン」です。アルゴンやキセノンのような電荷を帯びたガスが、イオンを時速40万km以上で排出して、宇宙船に推力をもたらします。一種の軽い「そよ風」ではあるけれど、何年も続く加速により、乗物はすさまじい速度に到達します。それだけでなく、高い操縦性能を保証します。

この技術は、探査機ドーンが時速4万km以上の速度に到達し、わずか5年あまりで準惑星ケレスとヴェスタにたどり着くことを可能にしました。NASAはこれまで、プロジェクト「進化型キセノンスラスタ(Evolutionary Xenon Thruster)」の形で開発を行ってきたのです。

8. ソーラーパネル

火星上にはサーヴィスステーションは存在しません。ワトニーは、電力を手に入れて生き延びるためにこれまでにないやり方でソーラーパネルを使わなければなりません。

ISSは、40以上の住居の電力をまかなうのに十分な84〜120KWの電力を発電するソーラーパネルを4連備えています。人類をこれまでよりも遠くへと連れて行くであろう宇宙船「オリオン」は、将来のミッションにおいて、ソーラーパネルを利用して、(太陽光が得られないときに利用するための)エネルギーの予備を集めるでしょう。光が船内にあるリチウムイオン電池を充電します。

9. RTG

40年以上、NASAは、プルトニウム238の自然の放射性崩壊から生じる熱を電力に変換する宇宙用電池を安全な方法で用いてきました。「放射性同位体熱電気転換器(Radioisotope Thermoelectric Generator: RTG)」と呼ばれるものです。火星のローヴァー「キュリオシティ」のような宇宙用車両は、そのアップデート版を用いている。映画では、RTGのプルトニウムをベースにした電力源が、ハブから離れた場所に埋められています。万が一、放射線が漏れた場合に身を守るためです。

現実では、火星の自然環境は、RTGよりもずっと放射線量が高いのです。RTGは主にアルファ線を放出しますが、これは短い距離空中を移動することができるだけで、衣服や人間の皮膚の中には入り込みません。これに対して、宇宙から火星に降り注ぐ電離放射線は、人間の健康にとって大きな危険であり、宇宙飛行士たちを保護するシステムが現在研究中です。将来の電力供給システムは、いずれにせよ、より効率的な放射性同位元素、ソーラーセル、燃料電池、核分裂反応を用いた、技術のミックスを利用することができるでしょう。

2015.9.27
WIREDより

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