PSR J1119-6127

Posted by moonrainbow on 16.2017 宇宙   0 comments   0 trackback
太陽の数兆倍の磁場を持つパルサーの正体( NASA JPL

パルサーのイラスト
パルサーのイラスト(提供:NASA/JPL-Caltech)

静かなパルサーと考えられていた天体に、マグネターのような激しいX線バーストが観測されました。この天体特有のものなのか、パルサーとマグネターは一つの天体の異なる進化段階であることを示す結果なのかは、わかっていないのです

りゅうこつ座とケンタウルス座の境界に位置するPSR J1119-6127(以降J1119)は2000年に発見された天体で、従来は電波パルサーだと考えられてきました。パルサーとは超新星爆発の後に残された非常に高密度の天体である中性子星の一種で、高速の自転に伴って規則正しい電波放射が観測されます

2016年7月、静かな天体だと思われてきたJ1119に、2度のX線バースト(突発増光)が観測されました。こうした現象は、X線やガンマ線の波長で激しい高エネルギーのアウトバーストを起こします、マグネターと呼ばれる超強力な磁場を持つ天体に見られるものです

1970年代からパルサーとマグネターは完全に別種の天体として扱われてきましたがが、ここ10年ほどの間に、これらは一つの天体の異なる進化段階である可能性を示す証拠が出てきたのです。もしかするとJ1119はパルサーとマグネターとの中間に位置する天体で、いずれかへと移行する段階にあるのかもしれないのです

「J1119は、ある時にはパルサー、またあるときにはマグネターという2つの顔を持っています。この天体を調べることで、パルサーのメカニズムに潜む何かがわかるかもしれません」(NASAジェット推進研究所 Walid Majidさん)

J1119のX線バーストは、天体の自転によって超強力な磁場がねじれたことで生じたと考えられます。J1119の磁場は太陽の数兆倍もあり、これは既知のパルサーの中で最も強いものです。磁場のねじれにより中性子星の外層が破壊され、「グリッチ」と呼ばれる自転の急激な変化を起こします。このグリッチはNASAの天文衛星NuSTARによって観測されています

また、追跡観測の結果、X線バーストから2週間ほどでJ1119は再び静穏になり通常のパルサーに戻ったようにみえることも確認されたのです

本当にパルサーとマグネターが一つの天体の進化段階だとすると、一体どちらが先だったのかという疑問も残ります。J1119のような天体はまずマグネターから始まり、徐々にX線やガンマ線のアウトバーストを起こさなくなるとも考えられるし、パルサーとして誕生した天体に磁場が発生してアウトバーストが始まるという説もあります。こうした天体はありふれているのか、進化の過程はどうなっているのか、今後の発見と継続観測で謎が解き明かされていくでしょう

2017年1月11日
Astro Artsより

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