アルマ望遠鏡がとらえた赤色超巨星ベテルギウス 
アルマ望遠鏡がとらえたベテルギウス。一辺は1.2秒角(=3000分の1度)(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/E. O'Gorman/P. Kervella)
アルマ望遠鏡が電波で観測した、赤色超巨星ベテルギウスの画像が公開されました。
オリオン座のベテルギウスは地球から約600光年の距離にある赤色超巨星です。現在知られている最大級の恒星のうちの一つで、半径は太陽の1400倍(ミリメートル波長で観測した場合)にも達します。
ベテルギウスの年齢はほんの約800万歳ですが(太陽は46億歳)、すでに一生の終末期に差し掛かっており、天文学的な時間スケールで言えば間もなく超新星爆発を起こすと考えられています。ひとたび爆発が起これば、その姿は昼夜を問わず地球から見えるようになるでしょう。
これまでにベテルギウスは可視光線や赤外線、紫外線など様々な波長で観測されてきました。ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡による観測では、星の表面から噴出したガスが太陽系とほぼ同サイズにまで広がっていることや、星の表面の巨大な泡構造も発見されています。これらの発見から、ガスと塵がどれほど激しく大量に星から放出されているかを調べることができます。
アイルランド・ダブリン高等研究所のE. O'Gormanさんたちは今回、ベテルギウスをアルマ望遠鏡で観測しました。アルマが恒星の表面を観測したのは初めてのことで、非常に高解像度でとらえられています。
アルマによるサブミリ波の観測では、ベテルギウスの大気中の彩層のうち下層にある高温のガスがとらえられています。ガスによって局所的に温度が上昇しており、それを反映しているためベテルギウスの像は非対称な形になっています。
2017年6月30日
AstroArtsより