子持ち銀河NGC 5194(下)とNGC 5195

Posted by moonrainbow on 19.2017 銀河   0 comments   0 trackback
子持ち銀河のブラックホールは消化不良(RAS

子持ち銀河NGC 5194(下)とNGC 5195
(左)子持ち銀河NGC 5194(下)とNGC 5195、(右)VLAがとらえた電波、チャンドラがとらえたX線、HSTがとらえたHα線を合成したNGC 5195の擬似カラー画像。X線(緑)とHα線(青)ではアーク、電波(赤)では中心の超大質量ブラックホールからのアウトフローが見える(提供:(左)Jon Christensen、(右)NRAO / AUI / NSF / NASA / CXC / NASA / ESA / STScI / U. Manchester / Rampadarath et al.)

子持ち銀河の小さい方の中心に存在する超大質量ブラックホールが100万~200万年前に消化不良を起こし始め、周囲に物質を吹き飛ばしている様子が複数の波長の観測で示されました

りょうけん座の渦巻銀河「M51」は大小2つの銀河がつながっていて、「子持ち銀河」という愛称で有名な天体です。この2つの銀河は数億年前につながり始め、数十億年後に合体し1つになると考えられています

小さい方の銀河「NGC 5195」が大きい方の「NGC 5194」に突入すると、NGC 5195の中心にある太陽の1900万倍の質量を持つ超大質量ブラックホールへと物質が落ち込んで、周囲に降着円盤が形成されます。円盤は、これ以上物質が降着できなくなるまで、つまりブラックホールが効率的に物質を消化できなくなるまで成長を続け、その後は物質が周りの恒星間空間へと吹き飛ばされます

英・ジョドレルバンク天体物理学センターのHayden Rampadarathさんたちの研究チームは、e-MERLIN電波干渉計による高解像度観測と超大型電波干渉計(VLA)、X線観測衛星「チャンドラ」、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)のデータから、NGC 5195の中心領域における物質の吹き飛ばしがどのように発生し広がるのかを明らかにしました

NGC 5195の中心部への物質降着プロセスが衰えると、莫大な力と圧力による衝撃波が発生し、物質が恒星間空間へと押し出されます。すると、光速に近い速度にまで加速された電子が星間物質の磁場と作用して電波を放射します。衝撃波はさらに広がり、加熱されて高温になった星間物質からはX線が放射されます。また、周囲の中性水素から電子が剥ぎ取られ、電離水素ガスが生じます。衝撃波が膨らんでできた「泡」は、チャンドラとHSTがとらえたアーク(弧状の構造)を作り出す。画像にとらえられているのは、こうした過程で作られたエネルギーや構造です

「VLAが取得した電波波長の画像とチャンドラによるX線観測データ、HSTが検出した水素からの放射を比べると、とらえられた特徴に関係性があるだけでなく、電波を放射するガスの流れが、実はチャンドラとHSTがとらえた構造の前駆体であることがわかります。NGC 5195のアークの年齢は100万~200万歳です。つまり、私たちの祖先が火をおこすことを学んでいた頃、最初の痕跡がブラックホールから押し出されていたわけです。今、私たちがその現象を様々な手段で観測できるのは、実に驚くべきことです」(Rampadarathさん)

2017年7月6日
AstroArtsより

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