土星の衛星「エンケラドゥス」に、もしかしたらすでに生命が?

Posted by moonrainbow on 13.2018 衛星   0 comments   0 trackback
土星の衛星「エンケラドゥス」は地球上の微生物が繁栄する可能性が示唆される。

エンケラドゥス

地球でも特に柔軟性の高い微生物は、土星の衛星である「エンケラドゥス」の隠された海で繁栄できるかもしれない

 氷の衛星として知られるエンケラドゥスは、地球外生命の探索候補地として真っ先にに挙げられる場所です

 オーストリアの研究チームが、エンケラドゥスの環境を模した実験で微生物の培養に成功したことで、その地下に生命が潜んでいる可能性も見えてきました

生命が存続のに必要な条件がそろっているエンケラドゥス

 エンケラドゥスには生命が生きるために必要な材料がたくさん存在しており、太陽系でも特に興味深い場所の1つです

 例えば、水が豊富にある。NASAの土星探査機カッシーニは、エンケラドゥス南極から生じるガスと粒子のプルームを発見し、その発生源が地殻の下にある液体の水の海であることを明らかにしました

エンケラドゥス1
5kmの氷の層に覆われた深さ65kmの海(エンケラドゥスの地層予想図)
image credit:NASA

 また熱水噴出孔があるとも考えられています。海底にひび割れがあり、凍える水と熱された岩石が一緒に存在していると思われるのです

 熱い素材と冷たい素材が混ざることで、生命を生み出す化合物のスープが作り出されているかもしれません

エンケラドゥス2
カッシーニは氷と水蒸気を噴霧する30箇所以上の噴流を観測した
image credit:NASA

 事実、エケラドゥスのプルームの中で発見されたメタン、二酸化炭素、水素といった化合物は、酸素がほとんどなくても生きられるある種の地球の微生物に関連しています

 こうした有機体は二酸化炭素や水素を消化し、その副産物としてメタンを放出することで知られています

エンケラドゥスの環境を模した実験で微生物が生き残ることを証明

 そこで、オーストリア、ウィーン大学の研究チームは、こうした微生物3種をエンケラドゥスと同じ温度・圧力・化学溶液の中で成長させてみることにしました

 するとそのうち1種がきちんと繁殖し、メタンを生産できたのです

 『Nature Communications』に掲載された研究は、エンケラドゥスを実験室で再現したものとしては世界初の試みです

 そして、太陽系内にある極低温の過酷な環境でも、生命には生き延びる術があることが明らかにされました。「こうした有機体は他の惑星でも生存できるでしょう」と主執筆者のシモン・リットマン氏は話す

すでにエンケラドゥスに微生物が生息している可能性

 対象となった微生物は、メタン生成アーキア(methanogenic archaea)と呼ばれるものです

 その一部は、地球の深海にある熱水噴出孔という亀裂で見ることができます。専門家は、地球の熱水噴出孔はエンケラドゥスにあるものとよく似ている考えています。したがって、そこで似たような微生物が出現した可能性はあります

 実験では、微生物の宇宙での生存能力を確かめるために、それをエンケラドゥスで生じると考えられる広範なシナリオに晒してみました

 カッシーニが集めたデータからエンケラドゥスにある水の化合物の割合・温度・圧力を再現した結果、そこで最も上手くやれたのは「メタノサーモコッカス・オキナウェンシス(Methanothermococcus okinawensis)」という種でした

 それはアンモニアや一酸化炭素のようなエンケラドゥスに存在する優しくない化学物質が導入されても、引き続き繁殖しました。実際には成長が抑制されるのですが、それでも繁殖することが可能だったのです

 研究チームは、仮に微生物がエンケラドゥスに存在するとしたら、そこにあるとされる熱水噴出孔の周囲にいるだろうと考えています

 そこで熱水によって作られる水素や二酸化炭素を食べるのです。そして、このことは、エンケラドゥスで検出されたメタンが実はこうした微生物が排出したガスに由来する可能性を意味するかもしれません

エンケラドゥス3
2017年、カッシーニが撮影した土星の後方に見えるエンケラドゥス
image credit:NASA

再調査が期待されるエンケラドゥス

 ワクワクするような推測ですが、今のところエンケラドゥスで微生物が生きる方法に関する仮説の1つにすぎません

 本当にそこにこうした微生物がいるのかどうか確かなことはまだ不明です。メタンが非生物学的プロセスによって生じている可能性だってあります

 それを確かめるために我々はエンケラドゥスに戻らねばならなりません。カッシーニはエンケラドゥスに関して数多くのデータを集めてくれましたが、そこで発見されたプルームの詳細な解析はできなかったのです。未来の探査機ならそのための装備が搭載されることもあるでしょう

ありがとう、カッシーニ!20年の土星探査ミッションを終えたカッシーニが撮影した美しい写真 : カラパイア

 だが、それはしばらく先のことになりそうです。NASAは今、木星の衛星エウロパなど、他のミッションに注力しています

 エンケラドゥスを調べたい研究者は、やはり興味深いミッションを提案する他の研究者たちと競争して、予算を勝ち取らねばならないのです

 もちろん今回の発見は、学者たちの間におけるエンケラドゥスの地位を高めてくれることだろう。もしかしたらそれがエンケラドゥスの再調査につながる可能性もあります

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