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暗黒銀河を解明

Posted by moonrainbow on 10.2018 暗黒銀河   0 comments   0 trackback
遠方での暗黒銀河の候補を6個発見

暗黒銀河の候補
暗黒銀河候補のスペクトルと画像
(左)暗黒銀河の有力候補のスペクトル、(中央)ガスからの輝線による画像、(右)星からの放射による画像。赤い丸が暗黒銀河候補の位置。ガスの輝線では光っているが星の光は放射していないことがわかる(提供:R. A. Marino / MUSE)

クエーサーからの放射を利用した観測によって、遠方の宇宙で少なくとも6個の暗黒銀河の有力候補が見つかりました

宇宙の中で銀河が生まれる過程については、ここ半世紀以上の間に理解がかなり進んできました。しかし、「銀河間物質」と呼ばれる希薄なガスから恒星の集団が生まれる正確なプロセスがどのようなものであるかはいまだ解明されておらず、大きな問題として残されています。最近の理論モデルから示唆される一つの説として、大量のガスは存在しているが星はまだほとんど生み出されない、という時期が銀河形成の初めのころに存在する、という考え方があります

しかし、そのような「暗黒期」の銀河(暗黒銀河)は可視光線をあまり放射することがないため、今のところその存在を直接証明することはできていないのです。もし観測で暗黒銀河が見つかれば、銀河の進化を考える上での重要な空白を埋めるものとなります

このような中、スイス連邦工科大学チューリッヒ校のRaffaella Anna MarinoさんとSebastiano Cantalupoさんたちの研究チームは、これまでにない効率のよい手法で暗黒銀河の候補探しを行いました

観測のターゲットである暗黒銀河の暗さという問題を克服するため、研究チームは暗黒銀河を探す「懐中電灯」としてクエーサーを利用しました。クエーサーが放射する強い紫外線は水素原子を発光させ、そのスペクトルに「ライマンα線」という輝線が現れます。そのため、クエーサーの近くに暗黒銀河があると、暗黒銀河に含まれる水素からライマンα輝線が多く出て、目に見えるようになるのです

このような物質の「蛍光」とも言える輝線スペクトルはこれまでにも暗黒銀河探しに利用されてきましたが、これまでの観測は、特定のフィルターを必要とする比較的狭い波長域でしか行われていなかったのです。今回Marinoさんたちは、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTに搭載されている分光器MUSEを使い、過去の観測に比べてより遠方のクエーサーの周辺を広い波長域で探索しました

全波長域で天体のスペクトルを取得することにより、観測した天体が暗黒銀河候補かどうかを効率的に判別できます。複数のクエーサーの周辺を10時間ずつかけて観測した結果、ライマンα線を放射する天体として当初見つけた約200個のうち、6個は通常の星形成が起こっている恒星集団ではないという結論になりました。この6個は約120億年前よりも過去の初期宇宙(遠方宇宙)に存在しており、暗黒銀河の有力な候補となります

2018年5月29日
AstroArtsより

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