FC2ブログ

二重クエーサーによるハッブル定数

Posted by moonrainbow on 05.2019 疑似科学   0 comments   0 trackback
二重クエーサー像の観測から推定するハッブル定数

二重クエーサーSDSS J1206_4332
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した二重クエーサーSDSS J1206+4332(提供:NASA Hubble Space Telescope, Tommaso Treu/UCLA, and Birrer et al.)

重力レンズ効果によって複数像に見えるクエーサーを利用して、宇宙の膨張率を表すハッブル定数を推定した研究結果が発表されました

宇宙がどのくらいの速度で膨張しているのかを表す「ハッブル定数」は、遠方銀河の大きさや宇宙の年齢を決定するうえで重要な値です。様々な観測によってその正確な値を知る研究が続けられており、推定値は67-73km/s/Mpc(1メガパーセク(約326万光年)離れた2点間の距離が毎秒67-73km広がる)の範囲にあるものの、確実な答えはまだ得られていません

ハッブル定数を導出する方法のほとんどは、天体までの距離と、その天体の後退速度(私たちから遠ざかる速度)の2つの情報を元にしている。米・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のSimon Birrerさんたちの研究チームは、これまでにハッブル定数の距離の計算に利用されていない光源として、クエーサーを用いた研究を行いました。クエーサーとは、中心の大質量ブラックホールによって莫大なエネルギーを中心部から放射し明るく見える銀河です

Birrerさんたちがとくに注目したのは、1つのクエーサーの像が複数になって見えているような天体です

クエーサーと私たちとの間に別の銀河が存在すると、その中間の銀河の質量が生み出す重力レンズ効果によって、クエーサー像が複数に見えることがあります。もしクエーサーの明るさが変動すると、レンズ効果を受けた像の明るさも変わりますが、地球まで届く光の経路が異なるため、それぞれの像の明るさは同時ではなく時間差で変動します。この時間差の情報などを元にすると、クエーサーと中間の銀河までの距離を推定することができるので、そこからハッブル定数を計算できます

研究チームでは、「H0liCOW collaboration」と呼ばれる国際的なプロジェクトの一環で四重クエーサー像を用いてこの手法を実証しようとしていましたが、四重の像は発見例が少ないため、まず二重クエーサー像で研究を行いました。対象となったのは、りょうけん座とおおぐま座の境界付近に存在する二重クエーサー「SDSS J1206+4332」です

ハッブル宇宙望遠鏡やジェミニ望遠鏡、ケック天文台の観測データなどを用いた研究の結果、Birrerさんたちはハッブル定数の値を72.5km/s/Mpcと導き出しました。これは、遠方の超新星を距離指標として用いた計算から得られている値とよく一致します。しかし今回の値も超新星観測による値も、宇宙マイクロ背景放射の観測結果に基づく値より約8%大きいのです。「方法によって値が異なるのが本当のことだとしたら、それはこの宇宙がもう少し複雑であることを意味しています。しかし、3つのうち1つか、あるいは3つすべてが正しくない可能性もあります」(米・カリフォルニア大学ロサンゼルス校 Tommaso Treuさん)

今回の方法の利点は、他の方法とは独立に、かつ他の方法を補うような形で、ハッブル定数を測定できるというところにあります。研究チームではすでに四重クエーサー像を40個も見つけており、これらを対象とした解析からハッブル定数の精度向上を目指しています

2019年1月29日
AstroArtsより

  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://earth38moon.blog115.fc2.com/tb.php/9118-cd83e012

プロフィール

moonrainbow

Author:moonrainbow
昔、"地球の旅人"の頃




服と鞄と雑貨の販売をしています

カテゴリ

カレンダー

12 | 2020/01 | 02
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード