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小惑星ベンヌの表面

Posted by moonrainbow on 03.2019 太陽系   0 comments   0 trackback
小惑星探査機「オシリス・レックス」が小惑星ベンヌからの物質放出を発見

ベンヌの表面から宇宙空間に放出される粒子をとらえた画像
ベンヌの表面から宇宙空間に放出される粒子をとらえた画像。2019年1月19日に「オシリス・レックス」の光学航法カメラ「NavCam 1」で撮影。0.0014秒露出で撮影した小惑星本体と5秒露出で撮影した粒子の画像を1枚に合成しています。(提供:NASA/Goddard/University of Arizona/Lockheed Martin)

NASAの小惑星探査機「オシリス・レックス」が小惑星ベンヌの表面から粒子が噴出するようすをとらえました。この発見を含め、これまでの観測で得られた数多くの成果が論文として発表されました

NASAの小惑星探査機「オシリス・レックス (OSIRIS-REx)」は、2018年12月4日にベンヌに到着した後、12月31日にはベンヌの周回軌道に入り、さまざまな観測を行ってきました。12月11日にはベンヌの表面に含水鉱物を発見したことが発表されています

2019年3月19日、これまでの観測成果が計7編の論文として、科学雑誌『Nature』に掲載されました。同じくC型小惑星からのサンプルリターンを目指し、「オシリス・レックス」ミッションとも協力関係にある日本の「はやぶさ2」ミッションチームも、同じ日に『Science』電子版で初期観測成果を発表しています。3月18〜22日に米国で開催された第50回月惑星科学会議に両チームとも発表のタイミングを合わせたとみられます。今回発表されたオシリス・レックスの主な成果をまとめます

ベンヌの表面から物質が放出されていた

2019年1月6日、ベンヌから約1.6km離れた周回軌道を飛行する「オシリス・レックス」によって、ベンヌの表面から宇宙空間に向かって粒子が放出されるようすが撮影されました。これまでに複数回の噴出がとらえています

放出された粒子の多くはベンヌから離れていきますが、中にはベンヌの周りを周回した後で再び表面へ落下するものも見つかりました。運用チームで安全性を評価したところ、これらの粒子は探査機に危険を及ぼすものではないと判断されています。運用チームでは現在も分析を続けており、物質が放出される理由を調べています

ベンヌも岩だらけ

事前の地上観測から、ベンヌの表面はほぼなだらかで大きな岩塊は数個ある程度だと予想されていましたが、「オシリス・レックス」の観測によって、実際には表面全体が起伏の激しい岩塊だらけの地形であることが明らかになりました。予想外の岩の多さに「はやぶさ2」チームが戸惑った小惑星リュウグウとまったく同じ状況です

ベンヌの南半球の表面
「オシリス・レックス」が撮影したベンヌの南半球の表面。3月7日に距離約5kmから高解像度カメラ「PolyCam」で撮影された。小惑星表面が多くの岩塊で埋め尽くされている。画面の中央やや下に写っている白っぽい岩塊は幅が約7.4m。(提供:NASA/Goddard/University of Arizona)

もともと「オシリス・レックス」では、岩塊などの障害物がない半径25mほどのエリアに降りて表面のサンプルを採取することを想定していました。しかし、ベンヌの表面は予想外に起伏が激しく、半径25mサイズの平らな場所は見つからなかったのです。このため、運用チームではより狭い候補地点を探しています

これを受けて、探査機の降下も当初の計画より精密に行わなければならないことになったため、運用チームでは「タッチ・アンド・ゴー(Touch-and-Go; TAG)」と呼んでいる当初のサンプル採取計画を修正し、より小さな場所にピンポイントで降りる計画「ブルズアイ TAG」を練っています

「これまでベンヌで行ってきた『オシリス・レックス』の運用を通じて、探査機も運用チームも、当初の想定を上回る精度で運用できることがわかりました。ベンヌは私たちに、荒い地形を克服せよという課題を突きつけてきましたが、『オシリス・レックス』ならこれをやり遂げると信じています」(「オシリス・レックス」プロジェクトマネージャー Rich Burnsさん)

その他の成果

今回発表された論文では、他にも以下のような発見が報告されている

ベンヌ最大の岩塊は差し渡し58m。
ベンヌの表面の反射率はわずか4%。太陽系で最も黒い天体の一つ。
ベンヌ表面の年齢は1億〜10億年で、予想よりは古いものの、現在も表面の変化が続いている。
ベンヌの体積は約60%が空隙で、瓦礫が集積した「ラブルパイル天体」。
表面全体で含水鉱物が検出されており、水の作用で変質したCMコンドライト隕石に最も近い。
ベンヌの自転は100年間に1秒の割合で定常的に速まっている。これは、反射率や表面温度がベンヌの表面で場所ごとに異なっているために回転力が生じ、少しずつ自転速度が変化する「YORP効果」によるものと思われる。
ベンヌは過去に探査機が周回した天体では最小のものだ。この小天体を調べることで、太陽系の起源や、地球上の水・有機分子の源を解明する手がかり、地球周辺の宇宙空間に存在する天然資源についての情報などがさらに詳しく得られることになるだろう。また、地球に衝突する可能性のある小天体について理解が深まることにもつながる


「『オシリス・レックス』がこの3か月で行った最初のベンヌ探査は、発見とは何かということを私たちに気づかせてくれました。発見を得るためには、驚きと機転と柔軟性が鍵です。ベンヌのような小惑星を研究することで、太陽系の起源に迫ることができます。『オシリス・レックス』が持ち帰るサンプルは、私たち生命はどこから来たかという最大の謎に答をもたらすのにも役立つことでしょう」(NASA惑星科学部門 Lori Glazeさん)

2019年3月29日
AstroArtsより

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