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大質量連星の誕生現場

Posted by moonrainbow on 16.2019 宇宙   0 comments   0 trackback
アルマ望遠鏡で観測、大質量連星の誕生現場

大質量連星系「IRAS07299-1651
アルマ望遠鏡で観測された大質量連星系「IRAS07299-1651」とその周囲のガス雲の分布(緑)。右が今回発見された、形成段階にあるに二つの若い大質量原始星。(青)が地球に近づく方向に、伴星(赤)が地球から遠ざかる方向への主星の運動を示す。赤破線および青破線は、それぞれの原始星の軌道の例(提供:理化学研究所、ALMA(ESO/NAOJ/NRAO), Zhang et al.)

生まれたての2つの重い恒星が互いに回り合う様子がアルマ望遠鏡で観測されました。先に生まれた星の周りのガス円盤が分裂し、そこからもう一つの星が生まれたことが示され、重い星どうしの連星系の誕生に迫る重要な成果となりました

太陽質量の8倍以上の質量を持つ「大質量星」は、そのほとんどが兄弟星を伴う「連星系」として存在することが近年の研究からわかっています。大質量星は、高密度のガス雲が重力的に収縮することで誕生すると考えられているが、そのガス雲収縮の中でどのようにして連星系が誕生するのかについては、二つのシナリオが提案されています

一つは、先に生まれた主星の周りのガス円盤が分裂することで伴星が誕生するというもの。もう一つは、高密度なガス雲が収縮する過程で2つの大質量星がそれぞれ独立に誕生するというものです

2つのうち正しいのはどちらか。その謎を解くには、形成段階にある大質量連星系の性質をつぶさに観測する必要があります

そこで理化学研究所のYichen Zhangさんたちの国際共同研究グループは、世界最高性能を誇るアルマ望遠鏡を用いて、約5,500光年彼方の大質量星形成領域「IRAS07299-1651」の観測を行い、領域の中心に約180天文単位という近さで2つの原始星が存在することをつきとめまました。これは、これまでで最も近接した大質量連星系です。また、それぞれの原始星の周囲のガスから水素再結合線が観測されたことで、2つの原始星は既に強力な紫外線を放出するまでに成長していることもわかりました

さらに、2つの原始星の距離と視線方向の速度差から、2つの星の合計質量は連星系の公転軌道が円形なら太陽質量の18倍以上、楕円軌道だとしても太陽質量の9倍以上であると見積もられました。伴星の質量が最大で主星の約8割で、お互いを公転する周期は600年以下であることもわかった。これらは、形成段階にある大質量連星系のダイナミクスを明らかにした初の研究成果です

また、連星系を取り囲む大規模な降着流(約1,000~10,000天文単位)と、それぞれの原始星を取り囲むガス円盤(約10天文単位)を含む多重スケールにわたる大質量連星系の誕生の様子も明らかになっています

2つの星の質量が同程度であることや、ほかに小質量星が同時に誕生していないことなどから、この連星系では、先に生まれた主星に付随するガス円盤が分裂することで伴星が誕生した可能性が高いと結論づけられました。しかし、連星公転面と主星円盤面にズレが存在するため、単純な円盤分裂シナリオではつじつまが合わない点もあります

円盤分裂シナリオでは公転軌道が円形に近い連星系が誕生すると示唆されているため、将来観測によってその形状がわかれば、この連星系の起源を決定づけられる可能性があります。さらに異なる波長での観測も行えば、中性ガスと電離ガスが正確に区別され、それぞれの原始星へのガス降着の様子もより詳しく調べることができるでしょう

今回観測された多重スケールの構造(大規模なガス降着流、連星系、ガス円盤を伴う各原始星の性質など)が一般的なのか、それとも特殊なのかを明らかにするためにも、今後もより多くの高解像度観測が待たれます

連星系の姿(左)と、伴星誕生時の姿(右
観測された連星系の姿(左)と、伴星誕生時の姿(右)。円盤分裂による伴星誕生のシナリオと観測結果が一致している (提供:理化学研究所)

2019年4月2日
AstroArtsより

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